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あやかしと神様の補足事項
10☆捕獲
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「ポンタ達どこら辺に、逃げたのかな……」
葛葉子は不安そうに呟いた。
雀ちゃん達もいつの間にいなくなっていた。
楽器だけ残して……
楽器の周りを人混みは無意識に避けているように瑠香は察して気づく。
「甘すぎ……」
と、瑠香は吹き出した。
「ポンタの臭いは覚えたんだよ……あやかしの匂いは独特だから
……」
瑠香は冷静に人混みの中からポンタの匂いを辿っていたら楽器に辿り着く。
「宮中の西の森に近い匂い……少し葛葉子に似た香りだった……」
と瑠香は不服そうに言う。
人混みの中で爽やかな新緑の清々しい匂いはポンタの雰囲気似合うと思っていた。
その匂いを辿れば人混みの匂いを忘れて人混みをかき分けて目的の場所にたどり着いた瞬間、ポンタに似たリーゼントの男が自分のギターのごとく手に取り背中に背負う。
そして、人混みに混じっていこうとする。
瑠香は咄嗟にそのギターを男から奪う。
「何すんだてめぇ!オレのだぞ!」
自分のだと思い込んでいる男は見た目と同じでキレやすい性格をしているようだ。
瑠香は体から香りを僅かに発して、記憶を入れ替える。
いや、ポンタに操られた記憶を正す。
不良の男はぼーっとした顔をして何事も無かったように大人しく駅に向かっていった。
瑠香のギターを見つめる瞳は審神者の青い瞳をしていた。
神もあやかしも紙一重。
ならば審神者の神を見定める力は役に立つ。
「……さて、捕まえた……今すぐへし折ってやりたい……」
と言い、ギターを真っ二つに折る様に曲げる。
「ぎやぁあ!痛い痛い!」
ギターから手足がでた。
ポンタはギターに化けていた。
狸のあやかしは、人を馬鹿にすることが好きで化ける。
瑠香は人が苦手ということを知っていて、先手を打って人混みに紛らわせたようだ。
人が化かされているのを見るのが好きな狸はその様子を見たいがために近くに潜む。
【灯台下暗し】を気取ったようだが、瑠香にはもともとバレていた。
伊達に宮中の神の化身に選ばれていないのだから。
「瑠香、ダメだよ、ポンタを殺しちゃ!」
葛葉子は物騒な事を言いながら慌てて止める。
「殺したら元も子もないだろ。」
瑠香は容赦なくギターを彎曲させる。
さらにギターに尻尾が生えて、ぶんぶく茶釜みたいだと葛葉子は思う。
瑠香は手を緩めるが、瞳は緩めないので金縛り状態で動けず、人に化けることも出来ずに、情けない姿のままポンタは手足をダランと降参したように垂らす。
「ごめんね、ポンタ……手荒な真似して……」
葛葉子はほんとに申し訳なく謝る。
「いや、誓約は絶対だし……いいんだ……」
ポンタは声に力がなかった。
瑠香に押さえつけられているだけではなく、夢が夢で終わってしまったことへの絶望感だと瑠香も感じるとさすがに可哀想に思う。
「……とりあえず、このまま宮中に持っていくぞ。
他に宮中に住む、あやかしを探して無理やりつかせてもいいしな……」
瑠香は同情して優しい言葉を零した。
謹慎処分中なので、前のように宮中に足を踏み入れることは許されない為、瑠香は式神を送り宮中の陰陽寮に務める陰陽寮長の父に宮中に入る許可を貰った。
その時。東殿下もいらして面白そうな事が起こることに瞳を輝かせていたことは言うまでもない。
葛葉子は不安そうに呟いた。
雀ちゃん達もいつの間にいなくなっていた。
楽器だけ残して……
楽器の周りを人混みは無意識に避けているように瑠香は察して気づく。
「甘すぎ……」
と、瑠香は吹き出した。
「ポンタの臭いは覚えたんだよ……あやかしの匂いは独特だから
……」
瑠香は冷静に人混みの中からポンタの匂いを辿っていたら楽器に辿り着く。
「宮中の西の森に近い匂い……少し葛葉子に似た香りだった……」
と瑠香は不服そうに言う。
人混みの中で爽やかな新緑の清々しい匂いはポンタの雰囲気似合うと思っていた。
その匂いを辿れば人混みの匂いを忘れて人混みをかき分けて目的の場所にたどり着いた瞬間、ポンタに似たリーゼントの男が自分のギターのごとく手に取り背中に背負う。
そして、人混みに混じっていこうとする。
瑠香は咄嗟にそのギターを男から奪う。
「何すんだてめぇ!オレのだぞ!」
自分のだと思い込んでいる男は見た目と同じでキレやすい性格をしているようだ。
瑠香は体から香りを僅かに発して、記憶を入れ替える。
いや、ポンタに操られた記憶を正す。
不良の男はぼーっとした顔をして何事も無かったように大人しく駅に向かっていった。
瑠香のギターを見つめる瞳は審神者の青い瞳をしていた。
神もあやかしも紙一重。
ならば審神者の神を見定める力は役に立つ。
「……さて、捕まえた……今すぐへし折ってやりたい……」
と言い、ギターを真っ二つに折る様に曲げる。
「ぎやぁあ!痛い痛い!」
ギターから手足がでた。
ポンタはギターに化けていた。
狸のあやかしは、人を馬鹿にすることが好きで化ける。
瑠香は人が苦手ということを知っていて、先手を打って人混みに紛らわせたようだ。
人が化かされているのを見るのが好きな狸はその様子を見たいがために近くに潜む。
【灯台下暗し】を気取ったようだが、瑠香にはもともとバレていた。
伊達に宮中の神の化身に選ばれていないのだから。
「瑠香、ダメだよ、ポンタを殺しちゃ!」
葛葉子は物騒な事を言いながら慌てて止める。
「殺したら元も子もないだろ。」
瑠香は容赦なくギターを彎曲させる。
さらにギターに尻尾が生えて、ぶんぶく茶釜みたいだと葛葉子は思う。
瑠香は手を緩めるが、瞳は緩めないので金縛り状態で動けず、人に化けることも出来ずに、情けない姿のままポンタは手足をダランと降参したように垂らす。
「ごめんね、ポンタ……手荒な真似して……」
葛葉子はほんとに申し訳なく謝る。
「いや、誓約は絶対だし……いいんだ……」
ポンタは声に力がなかった。
瑠香に押さえつけられているだけではなく、夢が夢で終わってしまったことへの絶望感だと瑠香も感じるとさすがに可哀想に思う。
「……とりあえず、このまま宮中に持っていくぞ。
他に宮中に住む、あやかしを探して無理やりつかせてもいいしな……」
瑠香は同情して優しい言葉を零した。
謹慎処分中なので、前のように宮中に足を踏み入れることは許されない為、瑠香は式神を送り宮中の陰陽寮に務める陰陽寮長の父に宮中に入る許可を貰った。
その時。東殿下もいらして面白そうな事が起こることに瞳を輝かせていたことは言うまでもない。
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