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あやかしと神様と男子校
8☆ブラックな青い瞳
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紅葉はとても色気のある青年だった。
瑠香のように凛とした厳しい美しさではなく、柔和で優し気で儚げなあやしく美しい青年だった。
けれど、瞳はあやしく紅く輝いていた。
それは父の威津那と同じ先見の能力を秘めているのかもしれない。
「私は敬愛する東さまと再開を望み即身仏をなしとげたのだ…この先見の瞳は再び予見したのだ…」
今世でむりならば来世で約束を果たせると先見の能力は夢を見せた。
「仏のためではなく愛欲のために、即身仏をするとは見上げた僧侶だの」
菊は葛葉子の体を乗っ取り馬鹿にするように苦笑して言った。
葛葉子も思ったが口には出さずにいようとしたのに。
「結局は欲のため悟りも開かぬやつが即身仏するからあやかしになるのだ。」
紅葉があやかしになった理を菊は見抜いてそう言い放った。
「でも、どうして、人に危害を加えるようなことするんだ?
男好きにしたり、紅葉で人を惑わしたり…」
紅葉は菊の悪態を気にしもしないで語る。
「それは私の東様を思う心の情熱が人の心を狂わすだけ…と言いたい所だが、様々な奇っ怪な噂を広めればあの方は私に会いに来るはず。あの方はそういう方なのだから…」
やっぱり紅葉が恋する僧侶は【東さま】は東殿下の前世だったのか…
と葛葉子は溜息を吐いた。
紅葉は即身仏をした体をいとおし気に撫でて、
「だが、私の本体はこのように干からびていて、この姿で東さまにお会いすることは恥ずかしい……だから人の子の精気をいただき、蘇る事にしたのだ」
紅葉の赤い瞳は葛葉子を獲物を捕らえた獣のような瞳で見る。
葛葉子はぞっとする。
嫌な予感しかしない。
「そして、お前のように不思議な魂を……力を持った血肉を吸い取ったら、この体は生き返ることが叶うことだろうな…私はそこまで見えていたのだよ」
そういうと、紅葉はすっとミイラの体の中に入った。
ミイラはカタカタと小刻みに揺れたかと思うと、スッと消えた。
「ど、どこ行ったっ!?」
葛葉子は身構える。
ミイラの気配を探す。
《葛葉子、上だ!》
菊に指示されて上を向くと蝙蝠がごとくにミイラがぶら下がっていて、空洞の瞳が赤く光ったことにおののいた瞬間体が固まる。
金縛りになった。
そのすきをついてミイラは葛葉子の背後に抱き着いて、骨の手で思いっきり股間を掴まれて
「ぎゃつ!」
と、葛葉子は叫んだ。
触られるとも思ってもなかったところを思いっきり触られ握られて気持ち悪い!
「とても立派なものをもっておるな…ふふ」
「や、やめろ!きもちわるい!!てか!精気ってそこから吸い取るものなのか!?」
《まぁ、男の精の源って言ったらそこだろうな》
「菊!冷静に言わないで!」
金縛りのせいで体の自由がきかなくて焦る。
服が燃えてもいいから、体から狐火を出そうとするが、力が出てこない。
仮にも即身仏をするくらいの高僧のためにあやかしの力を封じることはできるようだ。
「神々しいたましいをしておるな。 だがなかなか精がすいとれぬ…なぜだ…?」
ミイラの紅葉は不思議に思っているらしかった。
「私は本来は女だからに決まってるだろっ!」
葛葉子は唸るように低い声で叫ぶように言った。
「菊、変化を解除して!」
《本来は主である夫にキスで戻してもらうのがロマンチックだとおもうのだがな》
葛葉子もそういう愛のキスで元に戻る方法のほうが良いが、
「そんなこと言ってる場合じゃないし!」
必死な葛葉子に菊は呼応して煙を出すと元の姿に戻った。
制服がぶかぶかになり、すり抜ける。
女になるとズボンのウエストがブカブカのためにするりと抜け出すことに成功した。
学校指定のブレザーとシャツも大きめなので下着がぎりぎり見えない。
パンツは見せることはないと思っていたのでキツくても女物を穿いていてよかったと思った。
葛葉子のシャツから覗く女らしくなめまかしい太ももから、ふくらはぎのラインは美しい。
人を惑わす妖狐の血筋を引く葛葉子は男を魅了せずにはいられない気配を持っている。
ミイラの紅葉もそれにはあらがえない何かを感じ絶望した。
「なんと、穢れた女を触ってしまったァァァ!」
紅葉ミイラは本気で嘆く。
信じ深く、幼いころから女性とはかかわらず男の中で生きてきた稀なる人生を終えた紅葉にはありえないことだった。
その観念もあり紅葉の異界のエリアでは女は不浄とみなし気分を悪くさせる結界を作っていた。
「お前を消滅させて、なかったことにする……」
感情もなくいう決意の言霊を紅葉はいう。
「ハァァア!?できるものならやってみろ!
葛葉子は菊と呼応して盛大な狐火をだす。
容赦なく燃え尽きさせてやろうと意見が一致した。
狐火を本体のミイラめがけて投げる手首を木の根っこに縛られた。
「っつ!?」
閉じられた異界の紅葉の根っこが縄のように葛葉子に素早く巻き付いた。
手足首を縛り上げてさらには首を締めあげて息ができないようにする。
異界は作り出したものの世界。
絶対的優位な空間である。
殺すも生かすも、主しだいだ。
「る、か……」
息ができなく、意識が遠のく。
「不浄の女といえど、その魂血肉はわれのものとして復活の糧にしてやる…」
もう考え方が定まらず魔やあやかしそのものだということに気づくには長い年月が経ちすぎていた。
ただ再び会う約束を果たせるならばどんな手をも使うつもりだ。
もう近くに、会いたい彼は来ているのだから…心臓を食らえば生き返ることができるかもしれない……
魔物の思考が無意識に浮かび葛葉子の胸に手を伸ばす。
その干からびた手も紅葉の枝のように伸びて心臓を貫き血肉を吸い取ろうと考える。
もう、即身仏をなしとげた高僧ではないなと自問することすら忘れてしまっている。
メキメキ……
根っこに閉ざされた空間を引き裂く音がする方を見やれば真っ黒な荒御魂ふきあれ、殺気溢れる猫の目のように縦に瞳孔が開かれた青い瞳が紅葉をとらえる。
「うちの妻に…手を出そうとする生臭坊主はこちらですかぁ…?」
ミイラが下半身裸の妻の首に手をかけてる光景が映ったとたん。
瑠香はブラックなオーラをはなって一気に木の根っこ引き裂いてオーラで粉砕した。
「オレの愛しき妻に手を出すとはいい度胸だな……」
半端ない神の荒御魂を吹き荒れる様子に紅葉は恐れもなく良い獲物が来たかなようにカタカタとミイラの口元を揺らす。
「神の化身か…お前の血肉ならば穢れもなく復活の糧になろう!」
紅葉は恐怖するよりも嬉々として喜んだ。
ミイラから魂を出した美しい紅葉は人を魅了する魂の瞳で瑠香を見つめる。
「このあやかしはもとは女だから効かなかったが、お前には効くかもなぁ。」
紅葉の御霊は空間を飛び越えて瑠香の顔の目の前に現れ紅い瞳を瑠香に合わせる。
背後に現れたルカの神はその危険を助言するが、
「男だろうがっ!女だろうがっ!オレが触れて愛したいのは葛葉子だけなんだよ!」
神誓いをしている陛下に関しては、触れられない絶対領域なので別格という位置にある。
荒御魂の黒いオーラを込められた拳はそのままミイラにも容赦なく向けられたのだった。
瑠香のように凛とした厳しい美しさではなく、柔和で優し気で儚げなあやしく美しい青年だった。
けれど、瞳はあやしく紅く輝いていた。
それは父の威津那と同じ先見の能力を秘めているのかもしれない。
「私は敬愛する東さまと再開を望み即身仏をなしとげたのだ…この先見の瞳は再び予見したのだ…」
今世でむりならば来世で約束を果たせると先見の能力は夢を見せた。
「仏のためではなく愛欲のために、即身仏をするとは見上げた僧侶だの」
菊は葛葉子の体を乗っ取り馬鹿にするように苦笑して言った。
葛葉子も思ったが口には出さずにいようとしたのに。
「結局は欲のため悟りも開かぬやつが即身仏するからあやかしになるのだ。」
紅葉があやかしになった理を菊は見抜いてそう言い放った。
「でも、どうして、人に危害を加えるようなことするんだ?
男好きにしたり、紅葉で人を惑わしたり…」
紅葉は菊の悪態を気にしもしないで語る。
「それは私の東様を思う心の情熱が人の心を狂わすだけ…と言いたい所だが、様々な奇っ怪な噂を広めればあの方は私に会いに来るはず。あの方はそういう方なのだから…」
やっぱり紅葉が恋する僧侶は【東さま】は東殿下の前世だったのか…
と葛葉子は溜息を吐いた。
紅葉は即身仏をした体をいとおし気に撫でて、
「だが、私の本体はこのように干からびていて、この姿で東さまにお会いすることは恥ずかしい……だから人の子の精気をいただき、蘇る事にしたのだ」
紅葉の赤い瞳は葛葉子を獲物を捕らえた獣のような瞳で見る。
葛葉子はぞっとする。
嫌な予感しかしない。
「そして、お前のように不思議な魂を……力を持った血肉を吸い取ったら、この体は生き返ることが叶うことだろうな…私はそこまで見えていたのだよ」
そういうと、紅葉はすっとミイラの体の中に入った。
ミイラはカタカタと小刻みに揺れたかと思うと、スッと消えた。
「ど、どこ行ったっ!?」
葛葉子は身構える。
ミイラの気配を探す。
《葛葉子、上だ!》
菊に指示されて上を向くと蝙蝠がごとくにミイラがぶら下がっていて、空洞の瞳が赤く光ったことにおののいた瞬間体が固まる。
金縛りになった。
そのすきをついてミイラは葛葉子の背後に抱き着いて、骨の手で思いっきり股間を掴まれて
「ぎゃつ!」
と、葛葉子は叫んだ。
触られるとも思ってもなかったところを思いっきり触られ握られて気持ち悪い!
「とても立派なものをもっておるな…ふふ」
「や、やめろ!きもちわるい!!てか!精気ってそこから吸い取るものなのか!?」
《まぁ、男の精の源って言ったらそこだろうな》
「菊!冷静に言わないで!」
金縛りのせいで体の自由がきかなくて焦る。
服が燃えてもいいから、体から狐火を出そうとするが、力が出てこない。
仮にも即身仏をするくらいの高僧のためにあやかしの力を封じることはできるようだ。
「神々しいたましいをしておるな。 だがなかなか精がすいとれぬ…なぜだ…?」
ミイラの紅葉は不思議に思っているらしかった。
「私は本来は女だからに決まってるだろっ!」
葛葉子は唸るように低い声で叫ぶように言った。
「菊、変化を解除して!」
《本来は主である夫にキスで戻してもらうのがロマンチックだとおもうのだがな》
葛葉子もそういう愛のキスで元に戻る方法のほうが良いが、
「そんなこと言ってる場合じゃないし!」
必死な葛葉子に菊は呼応して煙を出すと元の姿に戻った。
制服がぶかぶかになり、すり抜ける。
女になるとズボンのウエストがブカブカのためにするりと抜け出すことに成功した。
学校指定のブレザーとシャツも大きめなので下着がぎりぎり見えない。
パンツは見せることはないと思っていたのでキツくても女物を穿いていてよかったと思った。
葛葉子のシャツから覗く女らしくなめまかしい太ももから、ふくらはぎのラインは美しい。
人を惑わす妖狐の血筋を引く葛葉子は男を魅了せずにはいられない気配を持っている。
ミイラの紅葉もそれにはあらがえない何かを感じ絶望した。
「なんと、穢れた女を触ってしまったァァァ!」
紅葉ミイラは本気で嘆く。
信じ深く、幼いころから女性とはかかわらず男の中で生きてきた稀なる人生を終えた紅葉にはありえないことだった。
その観念もあり紅葉の異界のエリアでは女は不浄とみなし気分を悪くさせる結界を作っていた。
「お前を消滅させて、なかったことにする……」
感情もなくいう決意の言霊を紅葉はいう。
「ハァァア!?できるものならやってみろ!
葛葉子は菊と呼応して盛大な狐火をだす。
容赦なく燃え尽きさせてやろうと意見が一致した。
狐火を本体のミイラめがけて投げる手首を木の根っこに縛られた。
「っつ!?」
閉じられた異界の紅葉の根っこが縄のように葛葉子に素早く巻き付いた。
手足首を縛り上げてさらには首を締めあげて息ができないようにする。
異界は作り出したものの世界。
絶対的優位な空間である。
殺すも生かすも、主しだいだ。
「る、か……」
息ができなく、意識が遠のく。
「不浄の女といえど、その魂血肉はわれのものとして復活の糧にしてやる…」
もう考え方が定まらず魔やあやかしそのものだということに気づくには長い年月が経ちすぎていた。
ただ再び会う約束を果たせるならばどんな手をも使うつもりだ。
もう近くに、会いたい彼は来ているのだから…心臓を食らえば生き返ることができるかもしれない……
魔物の思考が無意識に浮かび葛葉子の胸に手を伸ばす。
その干からびた手も紅葉の枝のように伸びて心臓を貫き血肉を吸い取ろうと考える。
もう、即身仏をなしとげた高僧ではないなと自問することすら忘れてしまっている。
メキメキ……
根っこに閉ざされた空間を引き裂く音がする方を見やれば真っ黒な荒御魂ふきあれ、殺気溢れる猫の目のように縦に瞳孔が開かれた青い瞳が紅葉をとらえる。
「うちの妻に…手を出そうとする生臭坊主はこちらですかぁ…?」
ミイラが下半身裸の妻の首に手をかけてる光景が映ったとたん。
瑠香はブラックなオーラをはなって一気に木の根っこ引き裂いてオーラで粉砕した。
「オレの愛しき妻に手を出すとはいい度胸だな……」
半端ない神の荒御魂を吹き荒れる様子に紅葉は恐れもなく良い獲物が来たかなようにカタカタとミイラの口元を揺らす。
「神の化身か…お前の血肉ならば穢れもなく復活の糧になろう!」
紅葉は恐怖するよりも嬉々として喜んだ。
ミイラから魂を出した美しい紅葉は人を魅了する魂の瞳で瑠香を見つめる。
「このあやかしはもとは女だから効かなかったが、お前には効くかもなぁ。」
紅葉の御霊は空間を飛び越えて瑠香の顔の目の前に現れ紅い瞳を瑠香に合わせる。
背後に現れたルカの神はその危険を助言するが、
「男だろうがっ!女だろうがっ!オレが触れて愛したいのは葛葉子だけなんだよ!」
神誓いをしている陛下に関しては、触れられない絶対領域なので別格という位置にある。
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