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あやかしと神様と男子校

7☆核心

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 ルカの神の異界を繋げる力で閉じた異界を開き、瑠香、東殿下、臣の三人は葛葉子を救いに急ぐ。
「この紅葉のあやかしは、東殿下の前世の恋人のしわざなんですか?」
 臣は東殿下に遠慮なく尋ねる。
「まぁね…でも、肉体関係持ってないよ。彼とはね。」
 東殿下は苦笑する。
 彼ではない稚児を恋人にした事を思い出した。
 この紅葉の異界を通りだんだん前世のことを思い出して来たようだ。
「彼は僕に惚れてたみたいだけどね。プラトニックラブを貫いたよ」
「旅の修行僧してたときは、今も昔も変わらず女の子のほうが好きだったし、オカルト探しをしてたね」
 その当時は旅の修行僧を装った生臭坊主だった。
「あまりにも迫ってくるから、互いに立派な僧侶になった暁には、思いを受け入れるって約束して置いていくように逃げたんだよね。」
 前世の自分と今の自分とは違う人生だと客観視しているために当時の本心を遠慮なく語る。
「彼を引き取った責任もあるし、寺の住職に勧めちゃって、自分はオカルト探しに夢中になっちゃって、いろんな力試しとか人々を救ってたらスカウトされて阿闍梨になったんだよね。」
 それで、八尾比丘尼にも会えなくなって、また会おうって約束も果たせなくて、転生して今に至るんだよね。」
 若い時の前世の自分は約束をまともに守る事を理解してなかった……
 反省するように東殿下は苦笑する。
「昔っから東殿下は東殿下だったんですね…」
 臣は素直な、感想を口にしてしまった。
 前世と今世は違うとしても、やはり似ているところはあるし、分けることは難しいなと、苦笑いする。
「ごめんね、僕のために葛葉子にも迷惑かけて」
 とりあえず東殿下は瑠香に謝る。
「いえ、葛葉子のあやかしに捕われる体質なのが原因なので…」
 ブラックオーラはそのままに笑顔でそういった。
 葛葉子は巫女でもあり最強のあやかしであった天狐の九尾の狐の菊を魂に持つ稀なる存在。
 人の魂や血肉を好むあやかしには、魅力的に感じるようだ。
 狐といいカッパといい吸血鬼といい…今後も狙われる恐れがあると思うと気が気ではない。
 更に自分の不注意に憤りのブラックオーラでもある。

「葛葉子さんってあやかしに好かれるよなぁ…」
「あやかしだけじゃなくて、みんな葛葉子のこと可愛くおもっちゃうよね。素直でいい子だもん。」
 東殿下は深い意味もなく素直にそういう。
「お褒めに預かり光栄です。」
 やはりブラックオーラはそのままに笑顔が怖い瑠香だ。
 あやかしだけじゃなくて、一般人にも注意をはらわねば…と更に瑠香は決意する。
 東殿下はそんな独占欲の強い瑠香の背中をポンポンと叩いて、
「葛葉子は子供作って家庭にいたほうが良いかもね」
 東殿下はものの核心をつく。
 それはやはり前世の影響で悟りを開いた者の意見だと思う。
 瑠香の望みは子供たちと愛しい妻と、ゆっくりとした幸せな時間を過ごしたい。
 できれば共に歳とり人生がおわるまで……と瑠香は切実に思いため息を吐き葛葉子を早く救いたいと決意し、前に進むのだった。
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