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未来の縁
7☆先見の絶望
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威津那は夢のようなあやふやの世界に落とされたことを理解する。
そして、体を動かせる感覚がない。
己の存在自体不安定に感じる。
体を父さんに奪われているせいだからか……?
気持ちの焦りだけが剥き出しになっている……
《お前に絶望の宿命の、未来を見せてやる》
父さんの声が暗闇の中で聞こえる。
暗闇から灯りがついて、その明かりに橘が映る。
とても幸せそうな微笑み。
その胸の中には小さな可愛い赤ちゃんがこちらを見て微笑む。
心がすごく暖かくなり、狂おしいほど守りたい存在だと、未来のことなのに『今』に伝心する。
橘と娘との幸せなときが過ぎて、娘が十四歳を過ぎた頃…橘にまた新しい命が宿る。
とても可愛い…とても誰にもやりたくないほど……
娘たちが唯一の心の支えになる……
心の支えとしてこの先ずっと生きていかなくてはならない……
……それは……
……橘は亡くなってしまうから……
ああっ!
胸が裂かれるほど辛いっ!苦しいっ…想像するだけでも苦しいのに…!
見せないでくれ!見たくない!見たくない!
橘が亡くなる事も考える事ですら絶望と悲しみに胸が痛い、苦しい………
そんな、悲しい未来など想像もしたくないほどだったのに、未来に起こる出来事なんか尚更だ!
《この先、お前を支える娘たちも早くに亡くなっていく……》
それは、一族全員の呪いのせいのようだ……
まざまざと見せられて、感情だけ揺さぶられて苦しい、感情だけが強く渦巻く。
《そして、お前は、忠誠を誓う陛下を……裏切る….》
そんな、恐ろしい未来など来てはならない!それは父さんの願望だ!
《いや、お前自ら、陛下を憎むのだ……大切な子供を皇のために命を奪われるからだ……》
娘が死ぬ……
二人とも…宮中で…穢れとして……
ぁああああああああああっ!
その時の絶望する感覚は今すぐ精神が壊れるほどの衝撃を受けることが、『今現在』の僕に苦しい思いを伝えてくる。
《お前は将来確実に、そうなる事………私の気持ちがわかるほどに、いやそれ以上に日和を…陛下を憎み、破壊するのだ…!》
九尾を使い宮中を破壊している映像が映り、そのことに僕は満足し、その傍らに九尾になった娘が微笑んでいる。
その映像は、菊に見せられた未来そのもの……
……この未来は確定しているようだ……
陛下や日和を憎み壊す気持ちは父とは違うのか父の気持ちに怒りを感じる。
父は日和を戻したいのに、未来の僕は日和を破壊する気持ちだ…
そこに相反する思いも伝わる……
…だが、父と未来の計画は一緒なのだ……やろうとしていることに変わりはない……
《わかっているのだろう……?》
わかっていたはずだ……
希望の光は、手に入れたら…すぐに消える儚いものだと……
何度も未来を確認して見てきていた……
その日が来る事を楽しみにしていた…
橘と出会った当初までは分かっていた…知っていた…希望を失う未来を……
知っていた……覚悟していたんだ……
その時は愛おしいという感覚は夢のような想像でしかなかったからわからなかった……
けれど、実際に知ってしまった。
出会い、心通わせ、守りたいと思った……
祝皇を共に愛し忠誠を誓うことは、橘と穏やかに祝皇の祝福のもと平和に暮らす事を叶えたいと強く思うからだ。
幸せな未来を共に生きていこうと決めたのに……
それら全てを失う未来が宿命だなんて……苦しい…辛すぎる……!
《大切なものを全て失うことがお前の宿命だ……》
わかっている…わかっているから……!
「失いたくない!失いたくない!失いたくない……!怖いっ!怖いんだ!どうしたらいいんだ…っ!」
あまりの心の張り裂けように言霊が出た。
瞳から涙が溢れて止まらない……
まるで幼子に返った感覚だった。
《ならば、私に体を委ねろ…私がお前になり宿命を変えてやろう…宿命の時がすぎるまで…私がお前になり守ってやる……なぁ、愛おしい我が息子よ…》
優しい父さんの声は癒しに聞こえる……
不安を安心に変えてくれる……
僕は弱い…と正直に自覚してしまう…認めてしまえば、楽になり気が抜けた…
「それも…いいかも……」
そう言霊に出した途端、急激に闇に落ちる感覚がした。
「!」
それも奈落の底に落ちる感覚。
……ただ暗い暗い世界に落ちるのみ……
それは自分の今後の将来のようだ……
そして、体を動かせる感覚がない。
己の存在自体不安定に感じる。
体を父さんに奪われているせいだからか……?
気持ちの焦りだけが剥き出しになっている……
《お前に絶望の宿命の、未来を見せてやる》
父さんの声が暗闇の中で聞こえる。
暗闇から灯りがついて、その明かりに橘が映る。
とても幸せそうな微笑み。
その胸の中には小さな可愛い赤ちゃんがこちらを見て微笑む。
心がすごく暖かくなり、狂おしいほど守りたい存在だと、未来のことなのに『今』に伝心する。
橘と娘との幸せなときが過ぎて、娘が十四歳を過ぎた頃…橘にまた新しい命が宿る。
とても可愛い…とても誰にもやりたくないほど……
娘たちが唯一の心の支えになる……
心の支えとしてこの先ずっと生きていかなくてはならない……
……それは……
……橘は亡くなってしまうから……
ああっ!
胸が裂かれるほど辛いっ!苦しいっ…想像するだけでも苦しいのに…!
見せないでくれ!見たくない!見たくない!
橘が亡くなる事も考える事ですら絶望と悲しみに胸が痛い、苦しい………
そんな、悲しい未来など想像もしたくないほどだったのに、未来に起こる出来事なんか尚更だ!
《この先、お前を支える娘たちも早くに亡くなっていく……》
それは、一族全員の呪いのせいのようだ……
まざまざと見せられて、感情だけ揺さぶられて苦しい、感情だけが強く渦巻く。
《そして、お前は、忠誠を誓う陛下を……裏切る….》
そんな、恐ろしい未来など来てはならない!それは父さんの願望だ!
《いや、お前自ら、陛下を憎むのだ……大切な子供を皇のために命を奪われるからだ……》
娘が死ぬ……
二人とも…宮中で…穢れとして……
ぁああああああああああっ!
その時の絶望する感覚は今すぐ精神が壊れるほどの衝撃を受けることが、『今現在』の僕に苦しい思いを伝えてくる。
《お前は将来確実に、そうなる事………私の気持ちがわかるほどに、いやそれ以上に日和を…陛下を憎み、破壊するのだ…!》
九尾を使い宮中を破壊している映像が映り、そのことに僕は満足し、その傍らに九尾になった娘が微笑んでいる。
その映像は、菊に見せられた未来そのもの……
……この未来は確定しているようだ……
陛下や日和を憎み壊す気持ちは父とは違うのか父の気持ちに怒りを感じる。
父は日和を戻したいのに、未来の僕は日和を破壊する気持ちだ…
そこに相反する思いも伝わる……
…だが、父と未来の計画は一緒なのだ……やろうとしていることに変わりはない……
《わかっているのだろう……?》
わかっていたはずだ……
希望の光は、手に入れたら…すぐに消える儚いものだと……
何度も未来を確認して見てきていた……
その日が来る事を楽しみにしていた…
橘と出会った当初までは分かっていた…知っていた…希望を失う未来を……
知っていた……覚悟していたんだ……
その時は愛おしいという感覚は夢のような想像でしかなかったからわからなかった……
けれど、実際に知ってしまった。
出会い、心通わせ、守りたいと思った……
祝皇を共に愛し忠誠を誓うことは、橘と穏やかに祝皇の祝福のもと平和に暮らす事を叶えたいと強く思うからだ。
幸せな未来を共に生きていこうと決めたのに……
それら全てを失う未来が宿命だなんて……苦しい…辛すぎる……!
《大切なものを全て失うことがお前の宿命だ……》
わかっている…わかっているから……!
「失いたくない!失いたくない!失いたくない……!怖いっ!怖いんだ!どうしたらいいんだ…っ!」
あまりの心の張り裂けように言霊が出た。
瞳から涙が溢れて止まらない……
まるで幼子に返った感覚だった。
《ならば、私に体を委ねろ…私がお前になり宿命を変えてやろう…宿命の時がすぎるまで…私がお前になり守ってやる……なぁ、愛おしい我が息子よ…》
優しい父さんの声は癒しに聞こえる……
不安を安心に変えてくれる……
僕は弱い…と正直に自覚してしまう…認めてしまえば、楽になり気が抜けた…
「それも…いいかも……」
そう言霊に出した途端、急激に闇に落ちる感覚がした。
「!」
それも奈落の底に落ちる感覚。
……ただ暗い暗い世界に落ちるのみ……
それは自分の今後の将来のようだ……
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