臣と野薔薇の恋愛事情

花咲蝶ちょ

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はじめてのあと

6☆赤い糸の結び目(エンド)

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「かーさん。あの二人、本当に縁結びしたの?」

 傍らに浮いている幽霊であり神の使いの母に問う。
 薫はいい雰囲気になったのはあのゲームのおかげだと思っている。
 そしてもしかして今の現状はあの狐が結んだものだから拗れが生じているのでは?と分析していた。

『あの時はあのときの事だよ。』
 葛葉子は、腕を組み鼻で息を吐いた。
『もう結ばれてるよ。野薔薇ちゃんのお腹の中には臣の子がいるんだから。』
 ムフフッと口元を抑えて笑う。
「は?」
『私の縁結びは恋人にするだけじゃないんだぞ。』
 葛葉子は真剣で少しかなしげな顔をして、

『私が産めなかった分の赤ちゃんたちをみんなに繋げていく事が使命なんだよ。』
 薫は意味がわからなくて、もしや…と複雑で首をかしげた。

『あんなにとーさんと睦み合っててお前たちしかできなかったのは不自然だろっ!』
 葛葉子は顔を赤くして言った。

「なるほど、二人兄弟以上出来ててもおかしくはなかったな…っか、堕ろしたの?」
 毎日が、ラブラブだったんだから…もしやと思う。

『ううん。宿らなかった…寿命の制限があったし瑠香が二人以上いらないって宣言しちゃったし、お前達二人に精一杯愛情を注ぎたかったしね』

「そうか。ありがとうかーさん」
 葛葉子は自分のお腹をさすりながら、
『で、ほんとは私に宿るはずの御霊の子供達…
 いや、わたしの子供だけじゃなくて、すべての赤ちゃんの御霊を導くのも私の使命なんだよ。』

「かーさんが産めなかった分俺が子供いっぱい作ってやるからな!」
 薫は胸を張った。

『うふ。そして、瑠香を幸せにしてあげてね。
とーさんは無類の子供好きだから…』
 ふふっと、その時の幸せそうな瑠香を思い笑う。

「で、臣さんにこの事伝えなくていいの?」
『うーん…二ヶ月してもあのまんまだったらね。』
 葛葉子は苦笑した。


 と、いうことで、野薔薇が妊娠したことを李流が臣に報告して真実の愛を繋いだのだった。
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