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10☆望まぬシュチュエーション
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野薔薇は光から目を覚ますと裸で大の字になって異空間に浮いていた。
慌てて両腕で胸を隠して足を閉じる。
あたりを見回し周りには誰もいなくてホッとする。
(こんな姿見られてたらお嫁にいけないでつ!)
一人で顔を真っ赤にしてムッとする。
ポムという音と煙とともに目の前にタキシードを着た二頭身の狐のぬいぐるみが現れて野薔薇は質問される。
『どんな、シュチュエーションで恋愛をしたい?ファンタジー?歴史物?近未来?』
質問と同時に、ゴウジャスレースのドレスを着せられたり、着物を着せられたり、ぴっちりとした宇宙服を着せられた。
「うー。どれも違うみたいでつ」
元通りのジャージをイメージするとその服になる。
狐のぬいぐるみは困ったように首を傾げて、
『どんな彼に会いたい?』
「彼…?」
『君、恋してるでしょ?しかも十八も年上のおじさんに』
「お、おじさんなんて、失礼でつ!素敵な人でつ!」
『その人とどんなシュチュエーションで出会いたい?』
十八離れている溝はどうしても埋められない。
ならば、
「学生のときの臣さんに会いたいでつ!」
と野薔薇は叫んだ。
ゲームでも若いときの臣さんを見ることができるなら見てみたいし恋愛したい!
野薔薇は楽しみで妄想が広がる。
どんな理論で臣と繋がるのか不思議に思うよりも、高校生の臣と対等の恋をしたい。
そう思うと甘酸っぱい妄想が広がる。楽しみになってくる。
『よーし。そのシュチュエーションの彼にあわせてあげるよっ!』
そういうと、タキシード狐のヌイグルミはステッキを取り出して、野薔薇に魔法をかけるように光の粒子をふりかけた。
野薔薇はそのうつくしい光と不思議に、
「それにしてもよくできたCGでつね」
とワクワク感を出して言った。
「ゲームのはずなのに現実みたいでつ」
『ここは囚われの魂の異界。だから過去にも魂を飛ばすことができる遊びだよ』
さらりとタキシード狐のとんでもないことを言った。
『恋が成就しなければお前の心(魂)いただいちゃうからね!』
狐のぬいぐるみはパカリと牙の生えた口を大きく裂けさせて、黒い瘴気を野薔薇に吹きかけた。
「ぬなっ!なにをっ!」
可愛かったぬいぐるみはあやかしだと野薔薇は思い腕を突き出しパンチをくれると、わざと吹き飛ばされたふりをしながら、
『あはあはあはあ!その元気な魂が闇に落ちるのをたのしみにしてるよっ!あはあはあはあ…』
狐のぬいぐるみは闇に溶けた。
そして、野薔薇も異様な眠気に勝てなかった。
(うっ…?)
野薔薇は目を覚める。
淡い光に目を薄くあける。
まだ、ねむい。
温かくてきもちい。
手を伸ばす。
その自分の手の短さ、小ささにびっくりする。
(これ、は赤ちゃんの手でつ⁉)
騙されたっ!と思うと怒りが湧く。
《学生の恋愛じゃないのでつか⁉》
と叫ぶと、
「あーーーぅ!」
としか声にならない。
野薔薇は焦る。
『君は十八歳年上の臣と学生恋愛したいっていった。だから魂を過去に飛ばしてあげたよ』
声だけ響く様にあのぬいぐるみがいう。
《だからって、なんで年齢差がかわってないのでつかっ!》
『【同年代】で恋愛したいなんて言ってないでしょ?』
たしかに、言葉に出さなかった気がする…
そんなところをついてくるなんて狐狸のあやかしの類だと野薔薇は思った。人を化かし馬鹿にする。まさに今の野薔薇のように!
望みは叶えるけれど、望む形ではない…
『望みはちゃんと言霊に出して言わなきゃ。
それに、臣に会えなければもとの自分の体戻らないよ。
バッドエンドの場合はもとの君の体は骨まで僕が食べちゃうけどね!あはあはあは!』
《なんでつってええええ!》
今現実の野薔薇は
「うぎゃぁぁああ!」
と思う存分泣き叫んだ。
赤ちゃんの野薔薇にできる抗議はこれしかできなかった…
慌てて両腕で胸を隠して足を閉じる。
あたりを見回し周りには誰もいなくてホッとする。
(こんな姿見られてたらお嫁にいけないでつ!)
一人で顔を真っ赤にしてムッとする。
ポムという音と煙とともに目の前にタキシードを着た二頭身の狐のぬいぐるみが現れて野薔薇は質問される。
『どんな、シュチュエーションで恋愛をしたい?ファンタジー?歴史物?近未来?』
質問と同時に、ゴウジャスレースのドレスを着せられたり、着物を着せられたり、ぴっちりとした宇宙服を着せられた。
「うー。どれも違うみたいでつ」
元通りのジャージをイメージするとその服になる。
狐のぬいぐるみは困ったように首を傾げて、
『どんな彼に会いたい?』
「彼…?」
『君、恋してるでしょ?しかも十八も年上のおじさんに』
「お、おじさんなんて、失礼でつ!素敵な人でつ!」
『その人とどんなシュチュエーションで出会いたい?』
十八離れている溝はどうしても埋められない。
ならば、
「学生のときの臣さんに会いたいでつ!」
と野薔薇は叫んだ。
ゲームでも若いときの臣さんを見ることができるなら見てみたいし恋愛したい!
野薔薇は楽しみで妄想が広がる。
どんな理論で臣と繋がるのか不思議に思うよりも、高校生の臣と対等の恋をしたい。
そう思うと甘酸っぱい妄想が広がる。楽しみになってくる。
『よーし。そのシュチュエーションの彼にあわせてあげるよっ!』
そういうと、タキシード狐のヌイグルミはステッキを取り出して、野薔薇に魔法をかけるように光の粒子をふりかけた。
野薔薇はそのうつくしい光と不思議に、
「それにしてもよくできたCGでつね」
とワクワク感を出して言った。
「ゲームのはずなのに現実みたいでつ」
『ここは囚われの魂の異界。だから過去にも魂を飛ばすことができる遊びだよ』
さらりとタキシード狐のとんでもないことを言った。
『恋が成就しなければお前の心(魂)いただいちゃうからね!』
狐のぬいぐるみはパカリと牙の生えた口を大きく裂けさせて、黒い瘴気を野薔薇に吹きかけた。
「ぬなっ!なにをっ!」
可愛かったぬいぐるみはあやかしだと野薔薇は思い腕を突き出しパンチをくれると、わざと吹き飛ばされたふりをしながら、
『あはあはあはあ!その元気な魂が闇に落ちるのをたのしみにしてるよっ!あはあはあはあ…』
狐のぬいぐるみは闇に溶けた。
そして、野薔薇も異様な眠気に勝てなかった。
(うっ…?)
野薔薇は目を覚める。
淡い光に目を薄くあける。
まだ、ねむい。
温かくてきもちい。
手を伸ばす。
その自分の手の短さ、小ささにびっくりする。
(これ、は赤ちゃんの手でつ⁉)
騙されたっ!と思うと怒りが湧く。
《学生の恋愛じゃないのでつか⁉》
と叫ぶと、
「あーーーぅ!」
としか声にならない。
野薔薇は焦る。
『君は十八歳年上の臣と学生恋愛したいっていった。だから魂を過去に飛ばしてあげたよ』
声だけ響く様にあのぬいぐるみがいう。
《だからって、なんで年齢差がかわってないのでつかっ!》
『【同年代】で恋愛したいなんて言ってないでしょ?』
たしかに、言葉に出さなかった気がする…
そんなところをついてくるなんて狐狸のあやかしの類だと野薔薇は思った。人を化かし馬鹿にする。まさに今の野薔薇のように!
望みは叶えるけれど、望む形ではない…
『望みはちゃんと言霊に出して言わなきゃ。
それに、臣に会えなければもとの自分の体戻らないよ。
バッドエンドの場合はもとの君の体は骨まで僕が食べちゃうけどね!あはあはあは!』
《なんでつってええええ!》
今現実の野薔薇は
「うぎゃぁぁああ!」
と思う存分泣き叫んだ。
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