臣と野薔薇の恋愛事情

花咲蝶ちょ

文字の大きさ
上 下
36 / 38
ドキドキ両親に挨拶

6☆臣の事

しおりを挟む
 屋敷の門まで歩きながら臣は家族について語る。
 臣の母親は幼い頃なくなってすぐ後妻に入った叔母が育ててくれた。
 継母は弟と分け隔てなく育てくれていても、やはり弟には優しい母親らしい振る舞いだった。
 そのために疎外感はあった。
 正直に甘えられなかった……
 
 臣の素直に甘えられない事の原因で他人行儀な家族でもあったからだ。
 遠慮がちな性格になったのはこのことが原因だと思う。

「私に拒否されてあってくれなかったのはそういう理由からでしたか……」
 野薔薇は口に出して納得する。
「あの時はごめん…勇気がなくて……」
「わ、私だって悪い態度でしたし、勇気なかったでつ……でも今こうしていられるから幸せでつよ」
 と、フォローしながら心からのことばをいう。
「ありがとう野薔薇ちゃん」
 野薔薇の正直に言葉に出すところは好ましく思う。
 臣には難しかったりするからだ。
 そんな臣は高校になって東殿下とオカルト探しや、伝統衛士をして、そのまま宮廷警察に入隊していま東殿下の近衛警備と宮中警備長を兼任している。
 弟が結婚し嫁が家に入ったことをきっかけに自分だけの家を建てた。
 結婚出来なくても自分の居場所である家があればいいか……と思っていた。
 家族は部下たち皇室を敬う仲間と共に過ごす人生も悪くないと思っていた。
 そんなふうに思っていた時、野薔薇のような、若くて可愛いお嫁さんを迎えられて幸せだ。
 家族に紹介したいと思うくらいに……
 臣はぎゅっと、手を握るだけではなくて、突然、野薔薇の小さな身体を抱きしめる。
「お、臣さん!?」
 臣は言葉は苦手ではないが、下手だ。余計な事を言って不安がらさせてしまいたくない。
 言葉で伝えられないなら、体で示す方が簡単だった。
 ぎゅっと、さらに抱きしめて、

「挨拶が終わったら、野薔薇ちゃんと赤ちゃんの家具を見に行こう……野薔薇ちゃんが俺の家の奥さんになるんだから、野薔薇ちゃんの好きな物いっぱい置こう。
 そしてもっと沢山未来の話を二人だけでしよう」
 臣はそう言って励ます事しか出来ない。
 臣自身両親の反応に不安があるからだ。
 臣は両親から独立して家まである、野薔薇を滝口家に、縛る気は全くない。
 だから、そう言って未来を見るしかないと不器用なから思った。
 愛しの臣に抱きしめられて、不安はふわふわな幸せ気分が優って、
「はい!それまで頑張ってみせまつ!」
 野薔薇もそれはとても嬉しい申し出に
(今日のご挨拶頑張ろう!未来をもっと良くするために!)
 今の難関を頑張ろうと武家屋敷の門を見つめて奮起するのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~

椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」 私を脅して、別れを決断させた彼の両親。 彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。 私とは住む世界が違った…… 別れを命じられ、私の恋が終わった。 叶わない身分差の恋だったはずが―― ※R-15くらいなので※マークはありません。 ※視点切り替えあり。 ※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

別に要りませんけど?

ユウキ
恋愛
「お前を愛することは無い!」 そう言ったのは、今日結婚して私の夫となったネイサンだ。夫婦の寝室、これから初夜をという時に投げつけられた言葉に、私は素直に返事をした。 「……別に要りませんけど?」 ※Rに触れる様な部分は有りませんが、情事を指す言葉が出ますので念のため。 ※なろうでも掲載中

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

処理中です...