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ドキドキ両親に挨拶
4☆野薔薇の家族
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改めて、畳敷きの応接間で臣は野薔薇の両親に緊張した面持ちで向き合う。
小綺麗な服に着替えた晶は少しムスッとした感じで腕を組んで臣を見る。
翠はニコニコ、ワクワク感を滲ませて臣をチラチラみて口元を抑える。
臣は美男というわけでないが男らしくて優しそうだ。
瑠香も年の割には若い雰囲気だが、臣もそのように見える。
野薔薇の両親は臣と瑠香より七才年上なだけだ。
臣は緊張して、唾をゴクリと呑んで、「娘さんを僕にください!」
と言おうとしたら、
「野薔薇を頼む。」
「は、はい。」
まさかの晶からの言葉で反射的に答えてしまった。
出鼻をくじかれて、拍子抜けする臣を晶はニヤリと笑って鼻で笑う。
その様子を見て
(瑠香の従兄弟だ!)
と改めて認識する。
晶は意地悪だった。
そんな晶に翠は頭をペシりと叩く。
「ごめんなさいね、出鼻くじいちゃって。うふふふ」
夫の首根っこを掴んで臣がいなかったら張り倒しているオーラがにじみ出る。
「そうでつよ!お父さんのバカァァ!」
まさかの父の意地悪に野薔薇は憤慨する。
「い、いいんだよ。認めてもらって嬉しいよ」
臣は大人の対応をした。
女たちがぎゃあぎゃあ言うのを手でまぁまぁと晶は収める仕草をしたあと、
「阿倍野の女は寿命が短い。
野薔薇が早く結婚したいのはそういうことがあるからかも知れない……」
と、真面目な顔で言った。
その言葉で翠も野薔薇も黙る。
それは家族で話し合って将来はそうなることは不確定だが覚悟を決めていた話のようだ。
「……存じております。私の学友、お義父さんの従姉妹の葛葉子さんがそうでしたし……それは白狐の影響だと瑠香に聞いております。」
命の危機が起こったとき白狐が阿倍野の血筋を引いた女を依代に命を助けるという事がある。
その条件は宮中で働いている阿倍野の女に限定される。
結婚生活のために野薔薇は陰陽寮を離れるが、また働きたいと思っていることを野薔薇に聞かされて臣も承知した。
理由が愛しの旦那と、同じ仕事場にいたいという理由もある。
「家事と子供の教育と仕事が、成り立つか分からないけど、夢を見ることはいいことでつ!」
と野薔薇は力説していた。
宮中で働きたいというのは遺伝なのかもしれない。
野薔薇を葛葉子のようにはさせない。
白狐が野薔薇さんにつかないように宮中の仕事を一生懸命してさらに野薔薇さんを守りたい……
改めて強く臣は思う。
「野薔薇さんを悲しい苦しい思いをさせません。生涯野薔薇を幸せにします。
どうか野薔薇さんを私に下さい。」
臣は野薔薇の両親に深々とお辞儀をし真摯に心からの言葉を言う。
その言霊は晶、翠、野薔薇の胸に打ち響いて、野薔薇は嬉しくて涙をこぼした。
「そこまで分かってるなら心配ないね。野薔薇を、よろしく頼む……」
晶はやっと素直に微笑んで結婚を承諾した。
翠はご馳走を振舞った。
「野薔薇も、料理上手くならなきゃダメよ。お母さんになるんだからね!包丁くらい握られるように修行するわよ!」
「が、がんばりまつ!」
全て母にやって貰っていてご飯すら炊いたことも無い野薔薇は覚悟を決めた。
お酒に酔った晶は親しげに臣の肩に腕を回してお酌を臣にもらい、お酌し合う。
「それにしても君……いろいろオカルト経験してそうだねぇ。」
晶は葛葉子の事情を素直に受け入れている臣の態度も気に入ったしオカルトを否定しない所を快く思う。
「ま、まぁ、そうですね……色々体験させて頂きました……」
それは、中務の宮と学友としてのお付き合いをしてから色々と……経験させて頂いた。
不現実な体験を拒否したいが現実に起こったことなので受けいれる体勢が出来ていた。
懐かしい思い出でもあり現代進行形でもあるし、野薔薇とのなり染めもあの異界のゲームで深まった。
「もし、漫画のネタを切らしたら洗いざらい吐いてもらうぞぉ……それと取材にも同行してもらおうかなぁ……ウヒヒ。」
笑い方が野薔薇ちゃんに似ていると思うのと、義父は中務の宮と同じタイプだ……と臣は思うのだった。
そして親密になるための楽しく一夜は過ぎていった。
☆
「ごめんなさい、子供っぽい両親で……」
「そんなことないよ。こういう楽しい家族が俺は羨ましかったんだよ……」
母に客間を用意してもらって布団を引いてもらい二人一緒の布団で寝る。
あらためてシラフで向かい合わせで眠るのは最初恥ずかしかったけど、互いに抱きしめられれば当然のことにも自然のことにも思えてとても安心する。
体のつながりはなくても心から愛し合えていると実感をお互いに抱く。
それはとても大切なものでこれからずっと守り通していきたいものだと握りあった掌で伝わる。
さらに野薔薇は臣の腕枕をしてもらって肩を抱いてもらえて満足だ。
触れ合う期間が少なかった分、臣もそれだけでも幸せで、恋人期間も含めてラブラブな時間だと思うと幸せいっぱいだった。
「そういえば、臣さんの家族ってどういう感じでつか?」
「よそよそしい……かな?」
「え?臣さんのイメージと違います……」
だが、李流のいった武士の家のイメージには当てはまる。
「だから、野薔薇ちゃんの家族が暖かくて、楽しくて……ほっとした…俺が望む家族像だよ」
少し悲しげにそういった。
優しい臣には想像もつかない家族の何か複雑なものを持っていることに不安な表情をする野薔薇に気づいて、
「俺は野薔薇ちゃんの家族みたいに暖かい家庭を作りたい……それが、夢だったんだよ。だから野薔薇ちゃんを大切にするし生まれてくる子供も大切にしたい……」
そういって緊張が解けたのかそのまま眠ってしまったようだ。
「臣さん……その望み私が叶えてあげ待つからね。」
野薔薇は臣をぎゅっと抱きしてめて言った。
翌日は臣の家に挨拶で、野薔薇は気合いを入れたりあれこれシュミレーション妄想してあまりよく眠れなかった。
小綺麗な服に着替えた晶は少しムスッとした感じで腕を組んで臣を見る。
翠はニコニコ、ワクワク感を滲ませて臣をチラチラみて口元を抑える。
臣は美男というわけでないが男らしくて優しそうだ。
瑠香も年の割には若い雰囲気だが、臣もそのように見える。
野薔薇の両親は臣と瑠香より七才年上なだけだ。
臣は緊張して、唾をゴクリと呑んで、「娘さんを僕にください!」
と言おうとしたら、
「野薔薇を頼む。」
「は、はい。」
まさかの晶からの言葉で反射的に答えてしまった。
出鼻をくじかれて、拍子抜けする臣を晶はニヤリと笑って鼻で笑う。
その様子を見て
(瑠香の従兄弟だ!)
と改めて認識する。
晶は意地悪だった。
そんな晶に翠は頭をペシりと叩く。
「ごめんなさいね、出鼻くじいちゃって。うふふふ」
夫の首根っこを掴んで臣がいなかったら張り倒しているオーラがにじみ出る。
「そうでつよ!お父さんのバカァァ!」
まさかの父の意地悪に野薔薇は憤慨する。
「い、いいんだよ。認めてもらって嬉しいよ」
臣は大人の対応をした。
女たちがぎゃあぎゃあ言うのを手でまぁまぁと晶は収める仕草をしたあと、
「阿倍野の女は寿命が短い。
野薔薇が早く結婚したいのはそういうことがあるからかも知れない……」
と、真面目な顔で言った。
その言葉で翠も野薔薇も黙る。
それは家族で話し合って将来はそうなることは不確定だが覚悟を決めていた話のようだ。
「……存じております。私の学友、お義父さんの従姉妹の葛葉子さんがそうでしたし……それは白狐の影響だと瑠香に聞いております。」
命の危機が起こったとき白狐が阿倍野の血筋を引いた女を依代に命を助けるという事がある。
その条件は宮中で働いている阿倍野の女に限定される。
結婚生活のために野薔薇は陰陽寮を離れるが、また働きたいと思っていることを野薔薇に聞かされて臣も承知した。
理由が愛しの旦那と、同じ仕事場にいたいという理由もある。
「家事と子供の教育と仕事が、成り立つか分からないけど、夢を見ることはいいことでつ!」
と野薔薇は力説していた。
宮中で働きたいというのは遺伝なのかもしれない。
野薔薇を葛葉子のようにはさせない。
白狐が野薔薇さんにつかないように宮中の仕事を一生懸命してさらに野薔薇さんを守りたい……
改めて強く臣は思う。
「野薔薇さんを悲しい苦しい思いをさせません。生涯野薔薇を幸せにします。
どうか野薔薇さんを私に下さい。」
臣は野薔薇の両親に深々とお辞儀をし真摯に心からの言葉を言う。
その言霊は晶、翠、野薔薇の胸に打ち響いて、野薔薇は嬉しくて涙をこぼした。
「そこまで分かってるなら心配ないね。野薔薇を、よろしく頼む……」
晶はやっと素直に微笑んで結婚を承諾した。
翠はご馳走を振舞った。
「野薔薇も、料理上手くならなきゃダメよ。お母さんになるんだからね!包丁くらい握られるように修行するわよ!」
「が、がんばりまつ!」
全て母にやって貰っていてご飯すら炊いたことも無い野薔薇は覚悟を決めた。
お酒に酔った晶は親しげに臣の肩に腕を回してお酌を臣にもらい、お酌し合う。
「それにしても君……いろいろオカルト経験してそうだねぇ。」
晶は葛葉子の事情を素直に受け入れている臣の態度も気に入ったしオカルトを否定しない所を快く思う。
「ま、まぁ、そうですね……色々体験させて頂きました……」
それは、中務の宮と学友としてのお付き合いをしてから色々と……経験させて頂いた。
不現実な体験を拒否したいが現実に起こったことなので受けいれる体勢が出来ていた。
懐かしい思い出でもあり現代進行形でもあるし、野薔薇とのなり染めもあの異界のゲームで深まった。
「もし、漫画のネタを切らしたら洗いざらい吐いてもらうぞぉ……それと取材にも同行してもらおうかなぁ……ウヒヒ。」
笑い方が野薔薇ちゃんに似ていると思うのと、義父は中務の宮と同じタイプだ……と臣は思うのだった。
そして親密になるための楽しく一夜は過ぎていった。
☆
「ごめんなさい、子供っぽい両親で……」
「そんなことないよ。こういう楽しい家族が俺は羨ましかったんだよ……」
母に客間を用意してもらって布団を引いてもらい二人一緒の布団で寝る。
あらためてシラフで向かい合わせで眠るのは最初恥ずかしかったけど、互いに抱きしめられれば当然のことにも自然のことにも思えてとても安心する。
体のつながりはなくても心から愛し合えていると実感をお互いに抱く。
それはとても大切なものでこれからずっと守り通していきたいものだと握りあった掌で伝わる。
さらに野薔薇は臣の腕枕をしてもらって肩を抱いてもらえて満足だ。
触れ合う期間が少なかった分、臣もそれだけでも幸せで、恋人期間も含めてラブラブな時間だと思うと幸せいっぱいだった。
「そういえば、臣さんの家族ってどういう感じでつか?」
「よそよそしい……かな?」
「え?臣さんのイメージと違います……」
だが、李流のいった武士の家のイメージには当てはまる。
「だから、野薔薇ちゃんの家族が暖かくて、楽しくて……ほっとした…俺が望む家族像だよ」
少し悲しげにそういった。
優しい臣には想像もつかない家族の何か複雑なものを持っていることに不安な表情をする野薔薇に気づいて、
「俺は野薔薇ちゃんの家族みたいに暖かい家庭を作りたい……それが、夢だったんだよ。だから野薔薇ちゃんを大切にするし生まれてくる子供も大切にしたい……」
そういって緊張が解けたのかそのまま眠ってしまったようだ。
「臣さん……その望み私が叶えてあげ待つからね。」
野薔薇は臣をぎゅっと抱きしてめて言った。
翌日は臣の家に挨拶で、野薔薇は気合いを入れたりあれこれシュミレーション妄想してあまりよく眠れなかった。
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