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第二章
8話
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新入生歓迎パーティー当日。パーティー自体は午後4時から行われるため、午前は普通に授業があったのだけれど、周りはみんな期待に胸を膨らませていて、少し落ち着かない雰囲気が流れていた。
パーティー会場の準備自体は前日のうちに生徒会が中心となって済ませており、実は私も少し手伝ったりした。といっても表に立つ仕事ではなくて書類仕事のほうだけれど。ルーク様も同じ場所にいるという状況も時々あったのだけれどなぜか不自然なほど目が合わなかった。
「何か……嫌われるようなことでもしたかしら?」
「誰のことですか?」
パーティーの前に自室でラナに髪を編んでもらっていると、ふと考えていたことが声に出てしまった。
「ルーク様よ。一週間前くらいから全く目が合わないの」
「うーん……でもあの殿下がお嬢様のことを嫌うなんて……そんなことありえませんよ」
ラナの言葉を不思議に思っていると準備が終わったので会場に向かった。親戚なども参加可能の卒業パーティーならともかく、今回はあくまで学院内のみでのパーティーなのでそこまで堅いものではない。入場もエスコートはなしで到着した人から順に入っていくらしい。
「フィリア様!もういらしていたのですね」
早めに会場について特にすることもなくいると、後からメルルが満面の笑みでこちらにやってきた。メルルは黄緑色のドレスに花の飾りが飾られたものを身に纏っていて、髪にも色とりどりの花が飾られていた。本当に天使だ。
「メルル、貴女本当に素敵ね」
「あ、ありがとう、ございます……。でも、フィリア様の方がずっとお綺麗です」
「ふふ、ありがとう。今日のパーティー、楽しみましょうね」
「はい!」
メルルと話していると、パッと一気に会場が暗くなり、一箇所にだけ光が当てられた。そこには凛々しい青の衣装を身に纏ったルーク様がいた。このパーティーは生徒会長の挨拶から始まるのだ。よく見るとその周りにはカイ様やルカルド様、レオン様もいらっしゃる。
隣のメルルに少し近づいて小声で話しかける。
「貴女はあそこにいなくて大丈夫なの?」
「はい!せっかくの日なのだからフィリア様と一緒にいて良い、とルークベルト殿下から許可をいただきましたので」
「……そうなの」
おそらく私が一人にならないように気を使ってくださったのだろう。そう考えると、嫌われてはいないと思っても良いのかもしれない。そう思いながら挨拶を続けるルーク様の方を見つめた。こうして見ると、威厳だとか、言葉の選び方だとかそういうものが年々国王陛下に似ていっていらっしゃる。きっといつかは立派な王になられるのだろう。その隣にいるのは、場合によっては私ではない。元々そんなに近いわけでもないのにルーク様のことを何故か少し遠くに感じた。
挨拶が終わると音楽がなり始め、生徒たちがそれぞれパートナーを見つけて踊り始めた。まだ社交界デビューはしていない私たち新入生はこれが初めてのダンスになる。
「フィリア嬢、一緒に踊ってくれないか?」
ルーク様がこちらにやってきて美しい所作で手を差し出してくださった。
「私で、よろしいのですか?」
「?…婚約者なのだから当たり前だろう」
「は、はい。そうですね」
それからルーク様の手を取って踊り始めた。私はなぜか先程のルーク様の言葉が頭の中にストンと落ちてきて、よく分からない、安心感に近い感情を抱いていた。
パーティー会場の準備自体は前日のうちに生徒会が中心となって済ませており、実は私も少し手伝ったりした。といっても表に立つ仕事ではなくて書類仕事のほうだけれど。ルーク様も同じ場所にいるという状況も時々あったのだけれどなぜか不自然なほど目が合わなかった。
「何か……嫌われるようなことでもしたかしら?」
「誰のことですか?」
パーティーの前に自室でラナに髪を編んでもらっていると、ふと考えていたことが声に出てしまった。
「ルーク様よ。一週間前くらいから全く目が合わないの」
「うーん……でもあの殿下がお嬢様のことを嫌うなんて……そんなことありえませんよ」
ラナの言葉を不思議に思っていると準備が終わったので会場に向かった。親戚なども参加可能の卒業パーティーならともかく、今回はあくまで学院内のみでのパーティーなのでそこまで堅いものではない。入場もエスコートはなしで到着した人から順に入っていくらしい。
「フィリア様!もういらしていたのですね」
早めに会場について特にすることもなくいると、後からメルルが満面の笑みでこちらにやってきた。メルルは黄緑色のドレスに花の飾りが飾られたものを身に纏っていて、髪にも色とりどりの花が飾られていた。本当に天使だ。
「メルル、貴女本当に素敵ね」
「あ、ありがとう、ございます……。でも、フィリア様の方がずっとお綺麗です」
「ふふ、ありがとう。今日のパーティー、楽しみましょうね」
「はい!」
メルルと話していると、パッと一気に会場が暗くなり、一箇所にだけ光が当てられた。そこには凛々しい青の衣装を身に纏ったルーク様がいた。このパーティーは生徒会長の挨拶から始まるのだ。よく見るとその周りにはカイ様やルカルド様、レオン様もいらっしゃる。
隣のメルルに少し近づいて小声で話しかける。
「貴女はあそこにいなくて大丈夫なの?」
「はい!せっかくの日なのだからフィリア様と一緒にいて良い、とルークベルト殿下から許可をいただきましたので」
「……そうなの」
おそらく私が一人にならないように気を使ってくださったのだろう。そう考えると、嫌われてはいないと思っても良いのかもしれない。そう思いながら挨拶を続けるルーク様の方を見つめた。こうして見ると、威厳だとか、言葉の選び方だとかそういうものが年々国王陛下に似ていっていらっしゃる。きっといつかは立派な王になられるのだろう。その隣にいるのは、場合によっては私ではない。元々そんなに近いわけでもないのにルーク様のことを何故か少し遠くに感じた。
挨拶が終わると音楽がなり始め、生徒たちがそれぞれパートナーを見つけて踊り始めた。まだ社交界デビューはしていない私たち新入生はこれが初めてのダンスになる。
「フィリア嬢、一緒に踊ってくれないか?」
ルーク様がこちらにやってきて美しい所作で手を差し出してくださった。
「私で、よろしいのですか?」
「?…婚約者なのだから当たり前だろう」
「は、はい。そうですね」
それからルーク様の手を取って踊り始めた。私はなぜか先程のルーク様の言葉が頭の中にストンと落ちてきて、よく分からない、安心感に近い感情を抱いていた。
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