41 / 117
第一章
34.5話
しおりを挟む
(???視点)
「ふぅ、疲れた」
冷たい外気を切り離すようにドアを閉めてため息をつく。やっと家までたどり着いた。その安心感がじんわりと広がっていく。
今日は散々な一日だった。会社では理不尽なことで上司に怒鳴られ、彼氏には浮気をされていたことが発覚し、しかもその相手は高校時代からの友人。もう何もかもどうでもよくなりそう。でもそんな一日にも一つだけ救われることはあった。
「やっとゲットできたんだよね~!」
ガサガサと袋を漁り一冊の本を引っ張り出す。白地に金色の文字で「Loving Relief」と書かれた表紙。そう!これこそが大人気乙女ゲームラブリリの番外編ノベルなのだ!噂によれば内容はルーク様の過去の鍵を握る亡くなった婚約者の話らしい。ラブリリのキャラは全員トラウマ持ちで過去の話に関してはファンの間で考察も多々出ている。その中で公式からのこの供給!公式様はなかなかやり手ですな~。今日は金曜日で明日はお休み!夜も更けてまいりましたが、徹夜してでも読み切らせていただきます!
ただ今読み終わりました。えっと……簡潔に言うと……「重い」。いやいや、重すぎだって!ただの病死かと思ってたのにあんなことある?!そりゃトラウマにもなるわ!ここまで来ると何だっけ名前……あ、フィリア!そう、フィリアちゃん可哀想すぎて泣けてくる!
「今日の私より不憫かも……」
いくらヒロイン大好きの私でもこれは流石に同情する。この子が生きてればゲーム内での大体のこと解決しそうだし。いや、まあ、でも……。
「この子自体は生きようとしてたんだよなぁ……」
あーあ、私がどうにかしてあげられたらいいのに……なーんてね。無理に決まってるけど。
「よーし!もう一回読み直そうっ……っ、ゴホッ」
なんだか最近咳がひどい気がするけど……まぁ大丈夫かな?
******************
静かな空間。あれ?私はいつからここにいるんだろう?そう思っていると急に外に押し出されるような感覚がした。
「あ!産まれましたよ!元気な女の子です!」
真っ暗だった視界が突然光に包まれた。ここどこ?なんだか周りもよく見えないし音も聞こえにくくて気持ち悪い。どうゆうこと?私は今一体どうなっているの?!
「ふぅ、疲れた」
冷たい外気を切り離すようにドアを閉めてため息をつく。やっと家までたどり着いた。その安心感がじんわりと広がっていく。
今日は散々な一日だった。会社では理不尽なことで上司に怒鳴られ、彼氏には浮気をされていたことが発覚し、しかもその相手は高校時代からの友人。もう何もかもどうでもよくなりそう。でもそんな一日にも一つだけ救われることはあった。
「やっとゲットできたんだよね~!」
ガサガサと袋を漁り一冊の本を引っ張り出す。白地に金色の文字で「Loving Relief」と書かれた表紙。そう!これこそが大人気乙女ゲームラブリリの番外編ノベルなのだ!噂によれば内容はルーク様の過去の鍵を握る亡くなった婚約者の話らしい。ラブリリのキャラは全員トラウマ持ちで過去の話に関してはファンの間で考察も多々出ている。その中で公式からのこの供給!公式様はなかなかやり手ですな~。今日は金曜日で明日はお休み!夜も更けてまいりましたが、徹夜してでも読み切らせていただきます!
ただ今読み終わりました。えっと……簡潔に言うと……「重い」。いやいや、重すぎだって!ただの病死かと思ってたのにあんなことある?!そりゃトラウマにもなるわ!ここまで来ると何だっけ名前……あ、フィリア!そう、フィリアちゃん可哀想すぎて泣けてくる!
「今日の私より不憫かも……」
いくらヒロイン大好きの私でもこれは流石に同情する。この子が生きてればゲーム内での大体のこと解決しそうだし。いや、まあ、でも……。
「この子自体は生きようとしてたんだよなぁ……」
あーあ、私がどうにかしてあげられたらいいのに……なーんてね。無理に決まってるけど。
「よーし!もう一回読み直そうっ……っ、ゴホッ」
なんだか最近咳がひどい気がするけど……まぁ大丈夫かな?
******************
静かな空間。あれ?私はいつからここにいるんだろう?そう思っていると急に外に押し出されるような感覚がした。
「あ!産まれましたよ!元気な女の子です!」
真っ暗だった視界が突然光に包まれた。ここどこ?なんだか周りもよく見えないし音も聞こえにくくて気持ち悪い。どうゆうこと?私は今一体どうなっているの?!
46
お気に入りに追加
6,032
あなたにおすすめの小説
【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます
宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。
さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。
中世ヨーロッパ風異世界転生。
【完結160万pt】王太子妃に決定している公爵令嬢の婚約者はまだ決まっておりません。王位継承権放棄を狙う王子はついでに側近を叩き直したい
宇水涼麻
恋愛
ピンク髪ピンク瞳の少女が王城の食堂で叫んだ。
「エーティル様っ! ラオルド様の自由にしてあげてくださいっ!」
呼び止められたエーティルは未来の王太子妃に決定している公爵令嬢である。
王太子と王太子妃となる令嬢の婚約は簡単に解消できるとは思えないが、エーティルはラオルドと婚姻しないことを軽く了承する。
その意味することとは?
慌てて現れたラオルド第一王子との関係は?
なぜこのような状況になったのだろうか?
ご指摘いただき一部変更いたしました。
みなさまのご指摘、誤字脱字修正で読みやすい小説になっていっております。
今後ともよろしくお願いします。
たくさんのお気に入り嬉しいです!
大変励みになります。
ありがとうございます。
おかげさまで160万pt達成!
↓これよりネタバレあらすじ
第一王子の婚約解消を高らかに願い出たピンクさんはムーガの部下であった。
親類から王太子になることを強要され辟易しているが非情になれないラオルドにエーティルとムーガが手を差し伸べて王太子権放棄をするために仕組んだのだ。
ただの作戦だと思っていたムーガであったがいつの間にかラオルドとピンクさんは心を通わせていた。
【完結】公女が死んだ、その後のこと
杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】
「お母様……」
冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。
古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。
「言いつけを、守ります」
最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。
こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。
そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。
「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」
「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」
「くっ……、な、ならば蘇生させ」
「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」
「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」
「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」
「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」
「まっ、待て!話を」
「嫌ぁ〜!」
「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」
「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」
「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」
「くっ……!」
「なっ、譲位せよだと!?」
「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」
「おのれ、謀りおったか!」
「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」
◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。
◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。
◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった?
◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。
◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。
◆この作品は小説家になろうでも公開します。
◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!
(完結)その『悪役令嬢』は幸せを恋い願う
玉響なつめ
恋愛
市井で流行っている物語に出てくる『悪役令嬢』のようだ――そんなふうに陰口を叩きながら、彼らはロレッタを嘲笑う。
それもこれも学生のうちの、ちょっとした悪い遊びのようなものだろう。
そんなふうに考えて公爵令嬢のロレッタは一つ下の婚約者である王太子の浮気も、その浮気相手を擁護し嫌味を言う義弟のことも大目に見てきた。
だがそれは唐突に、彼女を含め卒業をする生徒たちを送る会が開かれた、学校の講堂で起きたのだ。
「ロレッタ・ワーデンシュタイン! 貴様はこの僕、王太子アベリアンの婚約者、並びに公爵令嬢という立場にありながらここにいるカリナ・アトキンス男爵令嬢を冷遇し、周囲にもそれを強要した! そのような女性を未来の国母にするわけにはいかない。よってここに婚約破棄を申し渡す!」
望まぬ婚約から解き放たれた公爵令嬢は、彼らに語る。
これから何が必要で、何をすべきなのか。
そして幸せを願うのだ。
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
寡黙な貴方は今も彼女を想う
MOMO-tank
恋愛
婚約者以外の女性に夢中になり、婚約者を蔑ろにしたうえ婚約破棄した。
ーーそんな過去を持つ私の旦那様は、今もなお後悔し続け、元婚約者を想っている。
シドニーは王宮で側妃付きの侍女として働く18歳の子爵令嬢。見た目が色っぽいシドニーは文官にしつこくされているところを眼光鋭い年上の騎士に助けられる。その男性とは辺境で騎士として12年、数々の武勲をあげ一代限りの男爵位を授かったクライブ・ノックスだった。二人はこの時を境に会えば挨拶を交わすようになり、いつしか婚約話が持ち上がり結婚する。
言葉少ないながらも彼の優しさに幸せを感じていたある日、クライブの元婚約者で現在は未亡人となった美しく儚げなステラ・コンウォール前伯爵夫人と夜会で再会する。
※設定はゆるいです。
※溺愛タグ追加しました。
【完結】悪役令嬢エヴァンジェリンは静かに死にたい
小達出みかん
恋愛
私は、悪役令嬢。ヒロインの代わりに死ぬ役どころ。
エヴァンジェリンはそうわきまえて、冷たい婚約者のどんな扱いにも耐え、死ぬ日のためにもくもくとやるべき事をこなしていた。
しかし、ヒロインを虐めたと濡れ衣を着せられ、「やっていません」と初めて婚約者に歯向かったその日から、物語の歯車が狂いだす。
――ヒロインの身代わりに死ぬ予定の悪役令嬢だったのに、愛されキャラにジョブチェンしちゃったみたい(無自覚)でなかなか死ねない! 幸薄令嬢のお話です。
安心してください、ハピエンです――
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる