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第四章 王立学院中等部三年生
288 儀式の間と転生者②
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「さて、これで邪魔な人間は居なくなったね。で、一応伝言を聞きたいかどうかも選べるけれど、どうする?」
神の憑依した男が問いかけてくるが、アシェルにはまだまだ理解できていないことがある。
というよりも、男の話では分からないことだらけだ。
「アフターケアは前世の私の嫌な記憶を消すこと。なのに、消してしまうと伝言は分からなくなってしまう。つまり、僕が前世で関わり合った人間の伝言という事でしょ?……どういう繋がりか分からないけど。ソレは誰からの伝言なのか、聞く前に教えてはくれないの?それと……魂に傷を負っているって何?何故いきなり神様が出てきたのかも、何が起きているかも分からないのに、簡単に決めることは出来ないよ。」
「伝言についてはあとで教えてあげる。まずは魂の傷だね。そこまでズタボロの魂だと、自覚があるんじゃないかと思うけどね?この世界では禁術になっているはずなのに、何度も魂に干渉したせいだよ。一度目は想いに魔力を乗せただけだから、魂そのものへの影響はなかったけれど……二度目と三度目は、違うものとはいえどちらも禁術になっていたはずだよ。あの術式は、魂に傷をつけることが出来るからね。まぁ、ヒトっていうのは貪欲だから、結果なんて関係ないんだろうけどね。どこから情報が流れたのか、それを使おうと思ったのかなんて私には分からないけど。元は犯罪者の魂を傷つけて罰を与えるためのモノなんだよ。何度か重ねて使うことで魂の傷が深くなるんだ。罪の意識に苛まれながら死ぬか、幸福な記憶を忘れて刑期を終える前に狂い死ぬか。っていう効果だったかな?処刑で断頭台なんてナンセンスだって言われたから与えたものだよ。肉体に影響が出るほど魂が傷つけば、その魂が新しい世界に旅立つこともできないしね。管理には気を付けるようにって言っておいたのだけれど、長い時の中で途絶えてしまっているのかな。」
明るい口調で何でもないことのように、誰も知らなかった知識が披露される。
それらは意図的に口伝されなかったか、長い歴史の中で途絶えた情報なのだろう。
普段のメイディーならそこに瞳を輝かせるはずなのに、その場を包んだのは強い殺気だった。
アシェルも辿り着いた答えに、この話を聞いた人間が辿り着いていないとは思えない。
つまりアシェルの為に怒ってくれているのだろうとは思うが、目の前の男に怒ってもどうにもならない。
ましてこの男を殺したところで、依り代になっている御子とやらが死ぬだけだ。神には影響ないだろう。
「どうして僕のことを知ってるの?それに、この眠気は死に向かってる、ってこと?」
「ずっとではないけれど見ていたから。私は神様だからね。その眠気は正確には、死なないためにだよ。身体が魂を癒そうとしているんだ。でも今のままじゃ今まで通りに暮らせるようになるまで、何年かかるか分からないよ。と思って、アフターケアついでに魂を癒してあげようと思ったんだ。——胡散臭いって言わないでくれるかな?仕方ないだろう。これを不始末のお詫びにって形じゃないと、干渉できないんだから。こうでもしないと世界に影響が出てしまうしね。まったく、神をストーカー呼ばわりする御子は君くらいなものだよ。」
神様なのだから色々とお見通しという意味なのだろうか。
依り代の御子と神様はとても仲良しのようで、御子はお喋りなようだ。
もしくは、お喋りに見せかけてアシェル達に口が滑った形で情報を流しているのか。真意は定かではない。
このままずっと眠気と戦い続けながら生きていけば、魂が癒える前に間違いなくどこかで事故に遭いそうな気がする。
なんならリリアーデの死因みたいに、急にフラッときて打ち所が悪くてなんて可能性もあり得てしまう。
薫の時は、最期の時に足掻こうとは思わなかった。
二人の結婚式は心残りだったが、それだけだ。
でも今は、死にたくないという気持ちが込み上げてくる。
「神様。僕はどうしたら、皆と一緒にこの先の人生を歩めるの?まだ、死にたくない……。」
「そのために今、私がここに居るんだ。私としても稀有な魂の持ち主を、こんなことで失いたくないからね。その魂じゃ、また会うことも出来ないし。君を癒すには、その身体はしばらく眠らないといけないから、そこについてはあとで相談しようか。大事にされてるね。やっぱり、この一族に君の魂を託して正解だった。大丈夫、彼女は死なないよ。」
はっきりと男が宣言したことで、ようやく周囲の殺気が引いていく。
「もう一つの質問は伝言についてだったね。アフターケア前に伝えておかないと、関連して記憶が薄れてしまうと伝言の価値が下がると思ったからね。それに彼らの提案を飲むのなら、アフターケアと共に処置したほうが良い。伝言は君の家族か——。」
「聞く。」
食い気味に反応したアシェルに、男は優しい眼差しを向ける。
それから口を開いて紡がれた言葉は、それまでの男のモノではなくとても懐かしい声だった。懐かしい声は当時のままではなく、少しだけ落ち着いた声色に思える。
《あーっと、神様?これっちもう伝言して良いん?……えーっと、薫、元気にしちょる?って、咲やけど声分かるんかな?ボイレコみたいなんっち聞いちょるけど、留守電残しよるみたいでちょっと恥ずかしいね。》
《恥ずかしがっちょったら先に進まんやろ。薫、元気か?俺は健斗な。何ち説明したら良いんか分からんけど、俺達たまたま神様と縁があってな。対価が——イテッ。》
《そんなん言わんでいいとよ!とりあえず神様が薫に声届けてくれるっち言うけ、それならっちお願いしたっちわけ。》
二人の掛け合いの声を聞くだけで、二人がどんな表情で、どんなふうに健斗を叩いたのかまで脳裏に浮かんでくる。
《んでね、まずは薫に謝りたかったんよ。……施設長の奥さん覚えちょる?今は元、なんやけど。実はうちらの結婚式に招待しとったんよ。で、奥さんだけ来るっち返事はあったんやけど……式場でずっと薫のこと探しとって。うちらも薫が来るっち聞いとったのに来てないけ、遅れたんかなっち探しよったけさ。なんで薫を探しとったんか聞いたんよ。もしかしたら体調悪いんかもしれんし、お見舞いに行った時に伝言があれば伝えたらいいっち思ってさ。それでね。薫が……ずっと薫がうちらのこと守ってくれとったっち、教えてもらったんよ。奥さんも聞いただけやったから、分かる範囲でやけど。ごめんね、薫。うちら、何も知らんで。薫に負担ばっかかけて。うちらが薫のこと、守っとうつもりやったんに。本当は薫に守られとったっち、おらんくなって、会えんくなって、初めて知ったんよ。》
《俺からも、ごめんな薫。辛かったやろ。誰にも相談できんかったやろうし。薫の犠牲の上になりたってたっち気付いてやれんくて……。それに、俺達と色々シてたの、嫌やなかったか?薫のことやから、嫌やっち言えんかったんやないかと思って。もし、もし嫌やのに付き合ってくれとったんなら本当にごめんな。》
涙をこらえるような二人の声に、胸が締めつけられる。
出来れば二人には知らないままでいて欲しかった。
いつも通り明るく笑っていてくれれば、薫は幸せだったのだ。
「そんなことない。私は、幸せだったの。二人が笑ってくれてればそれで。私はそれでよかったの。いつも二人が守ってくれるみたいに、私だって二人を守ってあげたかった。」
届かないと知っていても、唇から思いが溢れてくる。
《本当にごめんね。それと、ありがとう。うちらの結婚式、来れんかった理由も分かったよ。神様が、20歳を目前にっちいっとったけん。ずっと捜しとって、そんでも見つからんくて。神様がおらんかったら、きっと薫のこと見つけてあげられんかった。もう薫は新しい人生を歩んどるっち聞いたけど、薫の葬儀もしたし、ちゃんと山下家のお墓に眠っとるけね。うちらもそこに入るけん。今はちょっと寂しいかもしれんけど、あと少し待っとってね。……っちいうのも、おかしい話しやけど。成仏とは違うやろうけど、もう抜け殻なんにね。でも、やっぱり薫の一部やけん。待っとって、かな。》
空気を変えるように、咲の明るい言葉が響く。
《施設長も、薫のとこの社長も、ちゃんと裁きを受けちょるけな。ちなみに、墓ん中は今は薫一人やけど、今のところ息子夫婦に孫も産まれとるき。血筋が途絶えん限りは賑やかになり続ける予定ばい。薫は俺らの家族で、俺らの家族は薫にとっても家族やきな。墓の中にどれくらい骨を納められるんか知らんけど、きっと薫が静かにしろっち思うほど賑やかになるばい。》
「孫……そっか。結婚して、子供も生まれたんだね。もう大きくなってるんだろうけど、おめでとう。どっち似だろ。もし男の子で健斗に似てたら、モテて大変だね。」
《施設でさ、虐待っち連鎖するっち言われたやん?うちも健斗も三歳までやけど、実の親から暴力も受けたし、育児放棄もあったき、子供産むんは心配やったんよ。薫ほど記憶力が良い訳やないき、うろ覚えやけど……でもそういうことがあったっちことは覚えとる。でも、実際にお腹痛めて、赤ちゃん抱いて。なんであんなことできたんやろっち思えるくらい可愛かったんよ。あ、もちろん可愛いだけやないきね?夜泣きはするし、おっぱいで数時間おきに起こされるし。言葉は通じんし、通じるようになってもちっさい時っち、まぁ暴れるけね。疲れてイライラして、子供にあたる気持ちも分からんでも無かったけど。今まで沢山小さい子のお世話もしてきたし、一人やなかったき、うちらでもちゃんと子供は育てることが出来たばい。だき、もし薫が悩んどるのが子供のことなら、旦那と家族に手伝ってもらったら良いんよ。まぁ、これがいつ薫に届くか分からんき、好きかって言えるだけやけどね。》
「……?なんで私が子供を産むかどうかの話??」
子供は可愛い。虐待は連鎖しなかった。周りの協力があれば大丈夫という話なら分かる。
咲と健斗もきっと実際に子供を産んで育てるまで、自信が無くて不安だったはずだ。
施設を出て子供を見せに来てくれる年上の子供たちも、同じように不安に思っていたが大丈夫だったと報告に来てくれて、安心して良いよって教えてくれていた。
《なぁ咲。薫が何に悩んどると思ってアドバイスしたかの主語が抜けとるばい?話の脈絡が繋がらんっち、絶対薫が首傾げちょうよ。》
《あはは、ごめんごめん。えーっと、うちら今。神様のお手伝いみたいなことしとるんやけどね。そのお手伝いが、薫の行方を教えてもらうための条件やったんやけど。薫が転生しとるっち話を聞いて、うちらがしつこく薫の様子を聞くけ、薫がアシェルっち女の子で良いとこのお嬢様なことも。理由は知らんけど男装で過ごしとるっちことも。あと……盗み聞きみたいでほんとごめん!薫に片思いしとる男の子がおって、薫がふったらしいとこまでは聞いとるんよね。薫のこと大好きみたいやし、仲もいいみたいやし。見た目的にも超イケメンなんやろ?しかも見た目は薫好みのクール系ロングヘア。めっちゃいい相手やと思うんよ。ただ相手は国を継がんでいい王子様やけど、一応子供つくらないかんかったりするんかなっち思うとさ。言い方悪いけど、偉い血筋やからスペアっち必要なんやろ?もし薫が子供産んだり育てたり……それまでの行為が怖いっち思っとるんやったら。うちらの体験談で少しは怖いのがマシにならんかなぁっち思ったんよ。嫌なこともいっぱいあったやろうけど、人の温もりっち落ちくっち思うけさ。もしこれが引っかかっとるなら、そんなに心配せんでも良いよっち言いたかったん。》
「……訂正するわ。アークがクールに見えるのは見た目だけよ。クーデレじゃなくて、一歩間違えばヤンデレまっしぐらだから。……っていうか、神様?僕のこと言いふらしてるの、咲と健斗にだけですよね?二人だから許せますけど……本当なら声を聞くことどころか、死後に繋がることすらできないので。でも、それ以外に言いふらしてたら。あと、お手伝いが何か知りませんけど、咲と健斗に無茶を強いてるなら。例え神様でも容赦しませんからね。」
アシェルが怒気を含んだ笑みを向けても、御子の中に居る神様は笑みを浮かべるだけだ。
プライバシーの侵害とか、そういう概念を持っていないのだろうか。
条件がどうのと言っていたので、アシェルには神様と会話をする権利が無かったのだとは思うが、せめて一言。
二人にアシェルのことを話すね、くらい。事後承諾でも何でもいいので、神託で伝言とかできなかったのだろうか。
《俺としても、身分とか置いといて悪くない相手やないかなっち思うばい。こう……なんちいうか。妹を嫁に出す気分で、ちょっとイラっとせんこともないけど。》
「妹扱いなの?誕生日的には健斗の方が弟なのに……娘って言われないだけマシなのかな。」
《まぁでも、薫のちょっとした変化に気づける人材は貴重やきね。新しい家族とも仲いいみたいやし、生涯の伴侶として薫のことよく見てくれる奴がおったら、俺達も安心できるなっち思うばい。》
《そーそー。薫のおねーちゃんも、その王子様なら反対せんばい!まぁ個人的には、毎月会ってる幼馴染の男の子達なら、どれ選んでも当たりやと思うけどね!うち的には獣人の子がライトじゃなければ——。》
神様は一体どこまで詳細に、アシェルのことを二人に話しているのだろうか。
もしかしてアシェルの幼馴染の個人情報まで筒抜けなのだろうか。
《咲の好みは聞いとらんやろ。》
《だって生獣人がおるんよ!?これが興奮せずにいられますかっ。ライトな方でもモフモフ出来たらそれで……!》
《やから脱線しすぎやって!あぁっと、まぁ。俺たち的には大事にしてくれそうな第二王子様で良いんやない?ってのと、結婚出産を諦めんといて欲しいなっちだけの話。そこが最終的な幸せやないっち分かっとるけど、やっぱり自分の子も。孫も可愛いしさ。んでもって。これが前置きで、まだ本題が残っとるんよね。》
「……二人の性格は分かってるけど。いつも前置きが長すぎるわ。大事な用件なら、先に本題を話してくれたらいいのに。」
《あぁっ、それバラしたら。薫がまたさっさと本題言えって急かしてくるやろ!》
《急かされても俺らには分からんし、だらだら話すわけにもいかんやろっ。》
「今からが本題なら、もう十分だらだら話してるわ。」
きっとどれもお互いに会えないからこそ話したかった内容なのだとは思うが、世間話はあとにして、大事な話を先に話して欲しかった。
特に咲は忘れっぽいので、大事な話ほど先に話してもらっておかなくてはいけない。
《えーっとね。神様が、薫に会いに行くかもって言っとって。そん時に希望すれば薫やった時の嫌な記憶を消しに行くっちいっとったんよ。でも、その記憶っちうちらのためにってものが多いか、そればっかりかやから。うちらのこともうろ覚えになるかもっち。でね、健斗とも相談したんやけど……。嫌な記憶消すときに、うちらのこと。忘れた方が良いんやないかなっち。》
「なん……で……。」
二人と過ごしたことは、薫にとってもアシェルにとっても大事な記憶だ。
前世の記憶があるからこそ、アシェルは今のように明るく生きていくことが出来たし、周囲に馴染むことが出来たと思っている。
何も覚えていなければ、きっとアシェルはこの世界でも異質な存在だったはずだ。
自分で封じたのに、薫だった時のことを思いだして。
確かに嫌な記憶もあるが、それ以上に二人のことを思いだせて良かったと思ったのだ。
また忘れたりしたくない。
《薫は物覚え良いやろ?俺らのこと覚えとって、せっかく嫌な記憶閉じ込めとるんに、嫌な事思い出したり。記憶がないっち悩むきっかけになって欲しくないんよ。前世があったことまで忘れる必要はないっち思うけど。そっちの記憶持ちっち、前世のことは薄れていく人が多いんやろ?そっちの生活に影響が出らんくらいには、忘れた方が良いんやないかなっち思うばい。》
《薫がうちらのこと、覚えとってくれたんも。思い出してくれたんも嬉しいんやけどね。うちらがおらんくても、薫は今楽しく生活できとるんやろ?急になくなると不安やろうけ、他の人みたいにゆっくり薄れていくようにしてもらってさ。うちらも、薫のこと大事なんよ。嫌な記憶のせいで、薫の新しい人生の邪魔したくないき。》
「邪魔なんかじゃない。全部……全部、私で僕だもの。咲たちのこと覚えてなかったら、昔のことを覚えてなかったら。きっと今の僕じゃなかった……!」
《まぁ、俺らは無いほうが良いんやないって思っとるけど。無責任やけど最後は薫が決めることやけ。》
《どっちを選んでも、うちらが薫の家族で親友であることには変わりないきね。っと、もう時間がないみたいやき。これがいつ薫の耳に届くか分からんけど、アシェルの人生が色に溢れた世界でありますように。またね、じゃないね?またいつか、かな。》
《バイバイは言いたくないしな。薫の、アシェルの人生が幸せでありますように。またいつか、会えたら良いな。》
「伝言は以上だよ。この伝言を踏まえた上で、どうするか決めて欲しいんだ。」
前触れもなく始まった二人の言葉は、男の声を区切りに終わったようだ。
どちらにしても、嫌な記憶を消せば二人のことは薄れる可能性があると聞いた時から答えは決まっている。
「僕は薫としての記憶を忘れたくない。忘れるつもりも無い。そのアフターケアは要らない。」
「分かった。じゃあ前世の記憶には触れないでおくよ。次は君の魂の癒し方を——。」
「待って、その前に……。この伝言は一方通行?対価を払えば、僕から咲と健斗にも伝言できるの?僕が持っているもので支払えるなら、僕の言葉を伝えて欲しい。寿命でも、魔力でも……僕以外の人に迷惑をかけないものなら対価として差し出すから。」
二人に気にしないでと伝えたかった。
今も昔も、ずっと幸せなのだと。二人と家族で良かったと。
言葉にしたことのない気持ちを伝えたかった。
確かに気持ちの良い話ばかりではないが、全てひっくるめて薫の人生だったと思うことが出来る。
そしてその前世も含めて、今のアシェルがあるのだと。
でもアシェルの言葉を聞いた男は、明らかに困惑の表情を浮かべた。
咲と健斗は神様を手伝っているらしい。内容は分からないまでも。
だからこその特別措置なのであって、本来死者と生者は交わることの無いものだ。
対価があれば二人に言葉を伝えられるかもと、欲張り過ぎたのかもしれない。
神の憑依した男が問いかけてくるが、アシェルにはまだまだ理解できていないことがある。
というよりも、男の話では分からないことだらけだ。
「アフターケアは前世の私の嫌な記憶を消すこと。なのに、消してしまうと伝言は分からなくなってしまう。つまり、僕が前世で関わり合った人間の伝言という事でしょ?……どういう繋がりか分からないけど。ソレは誰からの伝言なのか、聞く前に教えてはくれないの?それと……魂に傷を負っているって何?何故いきなり神様が出てきたのかも、何が起きているかも分からないのに、簡単に決めることは出来ないよ。」
「伝言についてはあとで教えてあげる。まずは魂の傷だね。そこまでズタボロの魂だと、自覚があるんじゃないかと思うけどね?この世界では禁術になっているはずなのに、何度も魂に干渉したせいだよ。一度目は想いに魔力を乗せただけだから、魂そのものへの影響はなかったけれど……二度目と三度目は、違うものとはいえどちらも禁術になっていたはずだよ。あの術式は、魂に傷をつけることが出来るからね。まぁ、ヒトっていうのは貪欲だから、結果なんて関係ないんだろうけどね。どこから情報が流れたのか、それを使おうと思ったのかなんて私には分からないけど。元は犯罪者の魂を傷つけて罰を与えるためのモノなんだよ。何度か重ねて使うことで魂の傷が深くなるんだ。罪の意識に苛まれながら死ぬか、幸福な記憶を忘れて刑期を終える前に狂い死ぬか。っていう効果だったかな?処刑で断頭台なんてナンセンスだって言われたから与えたものだよ。肉体に影響が出るほど魂が傷つけば、その魂が新しい世界に旅立つこともできないしね。管理には気を付けるようにって言っておいたのだけれど、長い時の中で途絶えてしまっているのかな。」
明るい口調で何でもないことのように、誰も知らなかった知識が披露される。
それらは意図的に口伝されなかったか、長い歴史の中で途絶えた情報なのだろう。
普段のメイディーならそこに瞳を輝かせるはずなのに、その場を包んだのは強い殺気だった。
アシェルも辿り着いた答えに、この話を聞いた人間が辿り着いていないとは思えない。
つまりアシェルの為に怒ってくれているのだろうとは思うが、目の前の男に怒ってもどうにもならない。
ましてこの男を殺したところで、依り代になっている御子とやらが死ぬだけだ。神には影響ないだろう。
「どうして僕のことを知ってるの?それに、この眠気は死に向かってる、ってこと?」
「ずっとではないけれど見ていたから。私は神様だからね。その眠気は正確には、死なないためにだよ。身体が魂を癒そうとしているんだ。でも今のままじゃ今まで通りに暮らせるようになるまで、何年かかるか分からないよ。と思って、アフターケアついでに魂を癒してあげようと思ったんだ。——胡散臭いって言わないでくれるかな?仕方ないだろう。これを不始末のお詫びにって形じゃないと、干渉できないんだから。こうでもしないと世界に影響が出てしまうしね。まったく、神をストーカー呼ばわりする御子は君くらいなものだよ。」
神様なのだから色々とお見通しという意味なのだろうか。
依り代の御子と神様はとても仲良しのようで、御子はお喋りなようだ。
もしくは、お喋りに見せかけてアシェル達に口が滑った形で情報を流しているのか。真意は定かではない。
このままずっと眠気と戦い続けながら生きていけば、魂が癒える前に間違いなくどこかで事故に遭いそうな気がする。
なんならリリアーデの死因みたいに、急にフラッときて打ち所が悪くてなんて可能性もあり得てしまう。
薫の時は、最期の時に足掻こうとは思わなかった。
二人の結婚式は心残りだったが、それだけだ。
でも今は、死にたくないという気持ちが込み上げてくる。
「神様。僕はどうしたら、皆と一緒にこの先の人生を歩めるの?まだ、死にたくない……。」
「そのために今、私がここに居るんだ。私としても稀有な魂の持ち主を、こんなことで失いたくないからね。その魂じゃ、また会うことも出来ないし。君を癒すには、その身体はしばらく眠らないといけないから、そこについてはあとで相談しようか。大事にされてるね。やっぱり、この一族に君の魂を託して正解だった。大丈夫、彼女は死なないよ。」
はっきりと男が宣言したことで、ようやく周囲の殺気が引いていく。
「もう一つの質問は伝言についてだったね。アフターケア前に伝えておかないと、関連して記憶が薄れてしまうと伝言の価値が下がると思ったからね。それに彼らの提案を飲むのなら、アフターケアと共に処置したほうが良い。伝言は君の家族か——。」
「聞く。」
食い気味に反応したアシェルに、男は優しい眼差しを向ける。
それから口を開いて紡がれた言葉は、それまでの男のモノではなくとても懐かしい声だった。懐かしい声は当時のままではなく、少しだけ落ち着いた声色に思える。
《あーっと、神様?これっちもう伝言して良いん?……えーっと、薫、元気にしちょる?って、咲やけど声分かるんかな?ボイレコみたいなんっち聞いちょるけど、留守電残しよるみたいでちょっと恥ずかしいね。》
《恥ずかしがっちょったら先に進まんやろ。薫、元気か?俺は健斗な。何ち説明したら良いんか分からんけど、俺達たまたま神様と縁があってな。対価が——イテッ。》
《そんなん言わんでいいとよ!とりあえず神様が薫に声届けてくれるっち言うけ、それならっちお願いしたっちわけ。》
二人の掛け合いの声を聞くだけで、二人がどんな表情で、どんなふうに健斗を叩いたのかまで脳裏に浮かんでくる。
《んでね、まずは薫に謝りたかったんよ。……施設長の奥さん覚えちょる?今は元、なんやけど。実はうちらの結婚式に招待しとったんよ。で、奥さんだけ来るっち返事はあったんやけど……式場でずっと薫のこと探しとって。うちらも薫が来るっち聞いとったのに来てないけ、遅れたんかなっち探しよったけさ。なんで薫を探しとったんか聞いたんよ。もしかしたら体調悪いんかもしれんし、お見舞いに行った時に伝言があれば伝えたらいいっち思ってさ。それでね。薫が……ずっと薫がうちらのこと守ってくれとったっち、教えてもらったんよ。奥さんも聞いただけやったから、分かる範囲でやけど。ごめんね、薫。うちら、何も知らんで。薫に負担ばっかかけて。うちらが薫のこと、守っとうつもりやったんに。本当は薫に守られとったっち、おらんくなって、会えんくなって、初めて知ったんよ。》
《俺からも、ごめんな薫。辛かったやろ。誰にも相談できんかったやろうし。薫の犠牲の上になりたってたっち気付いてやれんくて……。それに、俺達と色々シてたの、嫌やなかったか?薫のことやから、嫌やっち言えんかったんやないかと思って。もし、もし嫌やのに付き合ってくれとったんなら本当にごめんな。》
涙をこらえるような二人の声に、胸が締めつけられる。
出来れば二人には知らないままでいて欲しかった。
いつも通り明るく笑っていてくれれば、薫は幸せだったのだ。
「そんなことない。私は、幸せだったの。二人が笑ってくれてればそれで。私はそれでよかったの。いつも二人が守ってくれるみたいに、私だって二人を守ってあげたかった。」
届かないと知っていても、唇から思いが溢れてくる。
《本当にごめんね。それと、ありがとう。うちらの結婚式、来れんかった理由も分かったよ。神様が、20歳を目前にっちいっとったけん。ずっと捜しとって、そんでも見つからんくて。神様がおらんかったら、きっと薫のこと見つけてあげられんかった。もう薫は新しい人生を歩んどるっち聞いたけど、薫の葬儀もしたし、ちゃんと山下家のお墓に眠っとるけね。うちらもそこに入るけん。今はちょっと寂しいかもしれんけど、あと少し待っとってね。……っちいうのも、おかしい話しやけど。成仏とは違うやろうけど、もう抜け殻なんにね。でも、やっぱり薫の一部やけん。待っとって、かな。》
空気を変えるように、咲の明るい言葉が響く。
《施設長も、薫のとこの社長も、ちゃんと裁きを受けちょるけな。ちなみに、墓ん中は今は薫一人やけど、今のところ息子夫婦に孫も産まれとるき。血筋が途絶えん限りは賑やかになり続ける予定ばい。薫は俺らの家族で、俺らの家族は薫にとっても家族やきな。墓の中にどれくらい骨を納められるんか知らんけど、きっと薫が静かにしろっち思うほど賑やかになるばい。》
「孫……そっか。結婚して、子供も生まれたんだね。もう大きくなってるんだろうけど、おめでとう。どっち似だろ。もし男の子で健斗に似てたら、モテて大変だね。」
《施設でさ、虐待っち連鎖するっち言われたやん?うちも健斗も三歳までやけど、実の親から暴力も受けたし、育児放棄もあったき、子供産むんは心配やったんよ。薫ほど記憶力が良い訳やないき、うろ覚えやけど……でもそういうことがあったっちことは覚えとる。でも、実際にお腹痛めて、赤ちゃん抱いて。なんであんなことできたんやろっち思えるくらい可愛かったんよ。あ、もちろん可愛いだけやないきね?夜泣きはするし、おっぱいで数時間おきに起こされるし。言葉は通じんし、通じるようになってもちっさい時っち、まぁ暴れるけね。疲れてイライラして、子供にあたる気持ちも分からんでも無かったけど。今まで沢山小さい子のお世話もしてきたし、一人やなかったき、うちらでもちゃんと子供は育てることが出来たばい。だき、もし薫が悩んどるのが子供のことなら、旦那と家族に手伝ってもらったら良いんよ。まぁ、これがいつ薫に届くか分からんき、好きかって言えるだけやけどね。》
「……?なんで私が子供を産むかどうかの話??」
子供は可愛い。虐待は連鎖しなかった。周りの協力があれば大丈夫という話なら分かる。
咲と健斗もきっと実際に子供を産んで育てるまで、自信が無くて不安だったはずだ。
施設を出て子供を見せに来てくれる年上の子供たちも、同じように不安に思っていたが大丈夫だったと報告に来てくれて、安心して良いよって教えてくれていた。
《なぁ咲。薫が何に悩んどると思ってアドバイスしたかの主語が抜けとるばい?話の脈絡が繋がらんっち、絶対薫が首傾げちょうよ。》
《あはは、ごめんごめん。えーっと、うちら今。神様のお手伝いみたいなことしとるんやけどね。そのお手伝いが、薫の行方を教えてもらうための条件やったんやけど。薫が転生しとるっち話を聞いて、うちらがしつこく薫の様子を聞くけ、薫がアシェルっち女の子で良いとこのお嬢様なことも。理由は知らんけど男装で過ごしとるっちことも。あと……盗み聞きみたいでほんとごめん!薫に片思いしとる男の子がおって、薫がふったらしいとこまでは聞いとるんよね。薫のこと大好きみたいやし、仲もいいみたいやし。見た目的にも超イケメンなんやろ?しかも見た目は薫好みのクール系ロングヘア。めっちゃいい相手やと思うんよ。ただ相手は国を継がんでいい王子様やけど、一応子供つくらないかんかったりするんかなっち思うとさ。言い方悪いけど、偉い血筋やからスペアっち必要なんやろ?もし薫が子供産んだり育てたり……それまでの行為が怖いっち思っとるんやったら。うちらの体験談で少しは怖いのがマシにならんかなぁっち思ったんよ。嫌なこともいっぱいあったやろうけど、人の温もりっち落ちくっち思うけさ。もしこれが引っかかっとるなら、そんなに心配せんでも良いよっち言いたかったん。》
「……訂正するわ。アークがクールに見えるのは見た目だけよ。クーデレじゃなくて、一歩間違えばヤンデレまっしぐらだから。……っていうか、神様?僕のこと言いふらしてるの、咲と健斗にだけですよね?二人だから許せますけど……本当なら声を聞くことどころか、死後に繋がることすらできないので。でも、それ以外に言いふらしてたら。あと、お手伝いが何か知りませんけど、咲と健斗に無茶を強いてるなら。例え神様でも容赦しませんからね。」
アシェルが怒気を含んだ笑みを向けても、御子の中に居る神様は笑みを浮かべるだけだ。
プライバシーの侵害とか、そういう概念を持っていないのだろうか。
条件がどうのと言っていたので、アシェルには神様と会話をする権利が無かったのだとは思うが、せめて一言。
二人にアシェルのことを話すね、くらい。事後承諾でも何でもいいので、神託で伝言とかできなかったのだろうか。
《俺としても、身分とか置いといて悪くない相手やないかなっち思うばい。こう……なんちいうか。妹を嫁に出す気分で、ちょっとイラっとせんこともないけど。》
「妹扱いなの?誕生日的には健斗の方が弟なのに……娘って言われないだけマシなのかな。」
《まぁでも、薫のちょっとした変化に気づける人材は貴重やきね。新しい家族とも仲いいみたいやし、生涯の伴侶として薫のことよく見てくれる奴がおったら、俺達も安心できるなっち思うばい。》
《そーそー。薫のおねーちゃんも、その王子様なら反対せんばい!まぁ個人的には、毎月会ってる幼馴染の男の子達なら、どれ選んでも当たりやと思うけどね!うち的には獣人の子がライトじゃなければ——。》
神様は一体どこまで詳細に、アシェルのことを二人に話しているのだろうか。
もしかしてアシェルの幼馴染の個人情報まで筒抜けなのだろうか。
《咲の好みは聞いとらんやろ。》
《だって生獣人がおるんよ!?これが興奮せずにいられますかっ。ライトな方でもモフモフ出来たらそれで……!》
《やから脱線しすぎやって!あぁっと、まぁ。俺たち的には大事にしてくれそうな第二王子様で良いんやない?ってのと、結婚出産を諦めんといて欲しいなっちだけの話。そこが最終的な幸せやないっち分かっとるけど、やっぱり自分の子も。孫も可愛いしさ。んでもって。これが前置きで、まだ本題が残っとるんよね。》
「……二人の性格は分かってるけど。いつも前置きが長すぎるわ。大事な用件なら、先に本題を話してくれたらいいのに。」
《あぁっ、それバラしたら。薫がまたさっさと本題言えって急かしてくるやろ!》
《急かされても俺らには分からんし、だらだら話すわけにもいかんやろっ。》
「今からが本題なら、もう十分だらだら話してるわ。」
きっとどれもお互いに会えないからこそ話したかった内容なのだとは思うが、世間話はあとにして、大事な話を先に話して欲しかった。
特に咲は忘れっぽいので、大事な話ほど先に話してもらっておかなくてはいけない。
《えーっとね。神様が、薫に会いに行くかもって言っとって。そん時に希望すれば薫やった時の嫌な記憶を消しに行くっちいっとったんよ。でも、その記憶っちうちらのためにってものが多いか、そればっかりかやから。うちらのこともうろ覚えになるかもっち。でね、健斗とも相談したんやけど……。嫌な記憶消すときに、うちらのこと。忘れた方が良いんやないかなっち。》
「なん……で……。」
二人と過ごしたことは、薫にとってもアシェルにとっても大事な記憶だ。
前世の記憶があるからこそ、アシェルは今のように明るく生きていくことが出来たし、周囲に馴染むことが出来たと思っている。
何も覚えていなければ、きっとアシェルはこの世界でも異質な存在だったはずだ。
自分で封じたのに、薫だった時のことを思いだして。
確かに嫌な記憶もあるが、それ以上に二人のことを思いだせて良かったと思ったのだ。
また忘れたりしたくない。
《薫は物覚え良いやろ?俺らのこと覚えとって、せっかく嫌な記憶閉じ込めとるんに、嫌な事思い出したり。記憶がないっち悩むきっかけになって欲しくないんよ。前世があったことまで忘れる必要はないっち思うけど。そっちの記憶持ちっち、前世のことは薄れていく人が多いんやろ?そっちの生活に影響が出らんくらいには、忘れた方が良いんやないかなっち思うばい。》
《薫がうちらのこと、覚えとってくれたんも。思い出してくれたんも嬉しいんやけどね。うちらがおらんくても、薫は今楽しく生活できとるんやろ?急になくなると不安やろうけ、他の人みたいにゆっくり薄れていくようにしてもらってさ。うちらも、薫のこと大事なんよ。嫌な記憶のせいで、薫の新しい人生の邪魔したくないき。》
「邪魔なんかじゃない。全部……全部、私で僕だもの。咲たちのこと覚えてなかったら、昔のことを覚えてなかったら。きっと今の僕じゃなかった……!」
《まぁ、俺らは無いほうが良いんやないって思っとるけど。無責任やけど最後は薫が決めることやけ。》
《どっちを選んでも、うちらが薫の家族で親友であることには変わりないきね。っと、もう時間がないみたいやき。これがいつ薫の耳に届くか分からんけど、アシェルの人生が色に溢れた世界でありますように。またね、じゃないね?またいつか、かな。》
《バイバイは言いたくないしな。薫の、アシェルの人生が幸せでありますように。またいつか、会えたら良いな。》
「伝言は以上だよ。この伝言を踏まえた上で、どうするか決めて欲しいんだ。」
前触れもなく始まった二人の言葉は、男の声を区切りに終わったようだ。
どちらにしても、嫌な記憶を消せば二人のことは薄れる可能性があると聞いた時から答えは決まっている。
「僕は薫としての記憶を忘れたくない。忘れるつもりも無い。そのアフターケアは要らない。」
「分かった。じゃあ前世の記憶には触れないでおくよ。次は君の魂の癒し方を——。」
「待って、その前に……。この伝言は一方通行?対価を払えば、僕から咲と健斗にも伝言できるの?僕が持っているもので支払えるなら、僕の言葉を伝えて欲しい。寿命でも、魔力でも……僕以外の人に迷惑をかけないものなら対価として差し出すから。」
二人に気にしないでと伝えたかった。
今も昔も、ずっと幸せなのだと。二人と家族で良かったと。
言葉にしたことのない気持ちを伝えたかった。
確かに気持ちの良い話ばかりではないが、全てひっくるめて薫の人生だったと思うことが出来る。
そしてその前世も含めて、今のアシェルがあるのだと。
でもアシェルの言葉を聞いた男は、明らかに困惑の表情を浮かべた。
咲と健斗は神様を手伝っているらしい。内容は分からないまでも。
だからこその特別措置なのであって、本来死者と生者は交わることの無いものだ。
対価があれば二人に言葉を伝えられるかもと、欲張り過ぎたのかもしれない。
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