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第三章 王立学院中等部二年生

132 記憶持ちの相談③ ※

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※中学生のアシェル達が性に目覚めた頃のお話ですので、その辺りの描写が沢山含まれます。

*******



Side:???(アシェルの前世)



アシェルが目覚めると、また昔話が始まる。



アシェル達は小学校を卒業し、中学生になった。

本を読むのが好きな女の親友でもある幼馴染に勧められた本を読むことと、市立図書館でまだ読んだことのない書物を読み漁ることが、アシェルにとっての趣味だった。

そんなアシェルに、ある時その女親友は沢山の冊子と呼べるくらい、一冊一冊が薄い本を持ってきて言った。

「ねぇ、これ読んでみて!私が漫画を描いてるのは知っちょるやろ?その繋がりの知り合いから借りたんやけど、なかなか興味深いけん。」

「これは……私達が読んでいいものじゃないよね?」

「お前……なんてもの借りて来てるんだよ。」

一緒にいた男の親友である幼馴染も呆れたように言った。

その冊子は描かれているキャラクターに違いはあるものの、どの表紙も明らかに成人指定のものだ。

「何よ、別に珍しいものでも何でもないやろ?遊んどる子だっているんやしさ。」

女親友の言う通り、施設出身の子供達の中には人の温もりを求めてか、性に奔放な者が一定数居る。
逆に異様に潔癖な者も。

「まぁまぁ、とりあえず読んでみてっちゃ。私もまだ途中までしか目を通してないけん、一緒に見よ?」

アシェル達に割り振られている部屋の窓際で、それぞれが冊子を手に取り中身を読み進めていく。

男女の絡みから、男や女の同性同士の絡みまで。

女親友が言うには、既存の漫画などのキャラクターを登場させて妄想の世界を描いている、二次創作と呼ばれる同人誌だそうだ。

女親友に見張られながら、二人は最後の一冊まで目を通した。

「なぁ、読んだから良いやろ?トイレに行かせてくれ。」

読み始めて数分後から男親友はそう言ってたが、女親友は許可を出してくれなかった。

「嫌やね。ふふふ、さぁ、その布団で隠してるものを見せなさい!実物を見てみたかったっちゃね。」

「って、お前、最初からそれが目的やろ!?嫌やって、やめろっ。」

男親友の抵抗虚しく、下半身を隠していた掛布団は取り払われ、女親友から床に押し倒された形になる。

「おぉ、本当におっきくなるんやね。ねぇ、漫画読んでムラムラしたん?こう、誰かとエッチしたい気分?これってほっといたら辛い??」

キラキラと瞳を輝かせる女親友に馬乗りになられたまま、男親友は顔を真っ赤にしてアシェルに助けを求める。

「見てないで助けてくれよっ。」

「でも、二人とも嬉しそうだから。押し倒されて興奮してる?男女で身体の作りが違うのは知ってたけど、同じ本を読んでも露骨に違いがあるんだね。興味深いわ。」

「あーこれは、助けてくれねぇやつだ……って、おい。さりげなく脱がそうとするんじゃねぇよ!」

女親友がズボンと下着を脱がせようとしているのを、男親友が抵抗している。

「ちょっと抑えちょって。私もこういう漫画描いてみたいけん、観察したいき。想像上で描くより、実物を知っちょった方がリアリティ出るやろ?」

「そうね。知らないものを描くと歪なものが出来上がるし。良いわよ。」

「良いよじゃねぇよ!」

アシェルが体重をかけて男親友の腕を床に押し付ける。

その間に脱がされた下半身からは、天を向いてそそり立つ男親友のモノが現れた。

「うわぁ……本物って結構インパクトのある見た目しちょるんやね……。ちっちゃい時と形も変わっとうし。あんなに可愛いゾウさんやったんに。」

現れたものをまじまじと観察しながら女親友が言う。

今でこそ入浴は男女別だが、小学生の途中までは男女混合で入浴していた。
その時のことを言っているのだろう。

「これが二次性徴を迎えた後の男性器なんだね。普段は柔らかくて、興奮すると勃起して怒張するんだよね?」

「そうだよっ、もう見たからいいやろ!」

「良くないばい。色々試してみたいし、スケッチも取りたいきね。」

「野郎の股間をスケッチしてどうするっ!」

「そりゃ参考資料にするに決まっちょるやん。ではでは、失礼して。」

女親友が漫画で見た手法を真似て、男親友のモノを触り始める。
その自分以外から与えられる刺激に、男親友の腰が跳ねた。

「っ!」

「どうどう?気持ち良い??わぁ、先っちょからヌルヌルが出てきた。これが先走りってやつやね。……ん、しょっぱい。それにちゃんと綺麗にあらっちょるんやね。あまり匂いもせんね。」

「舐めるな、嗅ぐな、言うな!!」

既に抵抗することを諦めた男友達の腕を解放し、アシェルもその未知の存在に触れてみる。

「あったかい、どくどくしてる……。ねぇ、こうしたら気持ち良いの?」

アシェルも本の中で見た手技を真似ながら手を動かし、男親友の顔色を伺う。

「ここじゃないね。こっちかな。それにこっちの方が良さそうな表情してるわ。」

男親友が一番気持ちよく感じている場所と触り方を探りながら、硬く熱いものを扱いていく。

「流石、すぐに上達するね。今のうちにスケッチとろっと。」

女親友はそんな二人を前に瞳をキラキラさせたまま、ノートとシャーペンを持って一心不乱に描き始める。

「さっきより少し大きくなった?」

「なった、なってるから、わざわざ口にするなっ。」

「口……そういえば、口でシてるのもあったよね。フェラチオ……だっけ?やってみる?」

「やっちゃって。」

「分かった。」

アシェルが顔を近付け、まずはしょっぱいと言われていた先走りをぺろりと舐める。
確かに女親友が言うようにしょっぱいし、美味しくも不味くもない。

そのまま口に含むが「イテッ。」という声が聞こえて、慌てて口を離した。

「ごめん、駄目だった?」

「いや、まぁ。あぁ、もういい、とことん付き合うけん。歯を当てんようにしてくれ。さすがにデリケートなところやけん、歯が当たると痛い。」

「そっか、ごめんね。気を付けるね。」

今度は歯が当たらないように慎重に口に含む。

それからゆっくり上下に動いていると、急に男親友の腰が動いて、喉の奥まで突き上げられた。
吐き気を誘う刺激にえづいてむせ込んでしまう。

「悪い、大丈夫か?気持ち良くてつい……。」

「ごほっ、ごほっ……奥はダメ。でも、奥に入れたいのは本能?子作りするには子宮に子種を届けないといけないもんね。どうしたらいいかな。……うん、やってみよう。」

もう一度口に含み、今度は舌で奥まで入ってこないようにガードする。

それからゆっくりとまた上下に動かし始める。

ふぉおどう?」

「そのまま喋んなっ。ヤバいくらい気持ちいいっ。」

何かに耐えるような男親友に、女親友は嬉々として質問を飛ばす。

「やっぱり自分の手でするより良いと?温かい温度って感じてるん?辛そうな顔してるけど、イくの我慢しちょると?それってどれくらい我慢できるものなん??」

「そうだよっ。なぁ、マジでヤバイ。」

口の中でさらに大きくなったものを咥えて刺激しながら、女親友に視線を送る。

「抵抗ないなら、そのまま口で受け止めといて。そのあと、口開いてどんなのが出たか見せてくれん?」

アシェルは小さく頷いて、まずは口で白濁を受け止めるためにスピードを上げた。
確か本では、イきそうなときは腰の抽送を早める描写をしていたはずだ。

「あっ、それマジヤバい、出るっ!!」

男親友の宣言通り、口の中のものはどくどくと拍動して、アシェルの口の中にたっぷりの白濁を吐き出した。

それを溢さないように、飲み込まないように注意しながら熱い塊から唇を離して、女親友に口を開いて見せる。

「おぉぉぉ!すごい、すごいやんっ!ちょっと待って、すぐスケッチするけん。あんたも見ときぃよ。」

「俺も?……うわ……すげぇエロいやん。」

「でしょ?さぁ、もう描けたき。吐き出しても良いけど、少し味見してみたいね。キスしても良い?」

アシェルがこくんと頷くと、女親友の柔らかい唇が触れる。
舌が入ってきたので、口の中のものを分け与えるように舌を動かした。

唇を離した女親友の表情は眉根を寄せている。

「うわぁ……美味しいものじゃないね。もういいよ、ありがとう。」

口の中の苦味と粘つきのあるものをこくんと嚥下する。
最後の里親に、処理が面倒だからそうしろと言われていたからだ。
口でシたわけではなく最終的に口の中に出されていただけだが、何度も飲み込んだことがある。

「飲んだのかよ……。で、満足したか?」

へにょりと力を無くした自身のモノをティッシュで拭いて、下着の中に仕舞いながら男親友は問う。

「まだまだ。時間がある時は、こうやって色々シてみて研究しようよ。あんただって気持ち良いから満更じゃないんやろ?良い?」

「私は良いよ。それで二人が嬉しいなら。」

「ふふ、決まりやねっ。とりあえず、そろそろご飯の準備手伝いにいかんと。口も濯いでおかんとね。」

アシェルも口は濯いでおきたい。

こうして女親友の知的欲求を満たすという目的で、アシェル達は時間を見つけては本に書いてあることを試して、改良していった。

その三人での触れ合いが温もりを求める心も満たしてくれ、行為にのめり込むのにそう時間はかからなかった。

ある時はアシェルと男親友が、またある時はアシェルと女親友が、そしてまれに女親友と男親友が。
唇を重ね、肌を重ね、温もりを交換し合う。

日常の中に、夕方のひと時に触れあう時間が増えた。

アシェルと男親友での絡みは男同士を想定したものもあったので、アシェルは男同士で性交を行う手段などにも詳しくなった。
男親友は最初は凄く抵抗していたが割と気持ち良かったようで、数回ことに及べば抵抗は無くなった。

中学校に通いながら、相変わらず親友二人がいなければ満足に人混みに居れないアシェルは、二人が喜んでくれる行為と、知的好奇心を満たしてくれる行為を楽しんでいた。

中学一年の後半には初潮もきて、女親友よりも遅かったが女性としての性成熟も迎えることが出来た。

そんなアシェルが中学二年生になったあたりから、施設で夜を過ごす記憶が抜け落ちて蓋がある部分が増えてくる。

必ず夜の、消灯時間よりも後で、起きたことは覚えているのに何をしていたかは覚えていない。
日中も少し眠たい眼を擦りながら、退屈な授業を受けていたはずだ。

中学を卒業して、高校も二人と同じ場所を選んで、学費をかけないために学費無料の特待生になった。

施設に居ながら二人を高校に進学させるための、施設長に出された条件だったと記憶している。
ただ、いつ約束したのかまでは記憶していない。

高校生あたりから、日中にも空白の時間が存在していた。
決まって昼休みに。

高校を卒業するまでの三年間。
虫食いのように穴の開いた記憶しか、アシェルは持ち合わせていない。




========



Side:アシェル13歳 春



「ざっくりこんな感じです。中学からの記憶の蓋は、今までの比じゃないくらい頭が痛いです。ちょっとお手洗い借りても良い?気持ち悪い。」

「あぁ、こっちだ。」

アークエイドに連れられて行ったトイレで、扉を閉めた後に胃の中のものを吐き戻す。

あまりにも多すぎる蓋は、アシェルが嫌だった記憶だと言うことだ。

落ち着くまで吐き戻して、口を濯いでソファまで戻る。

心配そうな表情のアークエイドとアレリオンがそこに居る。

「大丈夫か?」

「うん、落ち着いた。施設の夜は、多分施設長が関係してるとは思います。けど、何人かの職員を思い浮かべても蓋がある時があるので、何があったのか分かりませんが。蓋が無い場所で、体罰を受けた覚えはあります。でも……その体罰は何かを隠すためでした。何を隠してたんだったっけ……。高校生の頃は……昼休みなんて教師か生徒のどっちかですよね。たまに放課後に抜け落ちている時もありますけど、施設に帰った記憶はあるので学校関連じゃないと思います。あと、中学生の時は、一人だけになってしまった時に何度かパニックを起こしたことがあります。すぐに二人が見つけてくれたので落ち着きましたが。でも、高校生の時には一人で移動している時間なんかもあったはずなのに、パニックになった記憶はないです。」

覚えていることから、今のアシェルに分かる情報を出す。
それをアレリオンはメモを取りながら聞いて、顔を上げた。

「どうも13歳あたりから六年間は、トラウマだらけみたいだね。ここは掘り下げないといけないかもしれないから後にしようか。学校を卒業した後のことは覚えているかい?」

「はい。といっても、普通に就職しました。別に能力を活かせる場所とかじゃなくて、普通のOL……事務職員です。頭が良いだけの愛想のない女なんて、肩身が狭かったですから。仕事はやっぱり退屈で、生きていくためのお金を稼ぐために働いていただけです。でもやっぱり、一年を越えたあたりからところどころに蓋があります。……セクハラされてたのを無視してたので、怒らせたか襲われたかのどっちかじゃないですかね。ざっくり二年くらいで記憶は途切れてます。多分最後の記憶と思われるところには蓋があって、何かを楽しみにしてたのに、諦めたことだけ分かります。親友達のその後は、その最後の記憶に紐づいているみたいで、唯一親友関係で思い出せない記憶です。なので、この最後の記憶が私の死因なのかなと思います。一人で残業させられてたんで、脳出血とか過労で倒れたのかもしれないですね。」

「そうだったんだね……。それにしても、きっとアシェは前世でも可愛かったんだね。親友達は置いておいて、里親に出された先にしても、就職先にしても男性からアプローチを受けるなんて。」

「感情の乏しい人間に可愛いも何もないと思いますが……あぁ、でも、身体の発育は良かったので、就職先でのセクハラはそれが原因ですね。胸やお尻を触られてましたから。どうでもよかったので無視してましたが、今思えば少し嫌がるふりをして、証拠を集めて慰謝料を取ればよかったなと思います。」

「ふふ、アシェらしい考え方だね。さぁ、一旦食事と睡眠にしようか。良い時間だしね。もう食べられそうかい?」

「はい。」

アシェルの返事に優しく笑顔を浮かべたアレリオンは、立ち上がってアシェルの頭を撫でてくれる。

「良かった。殿下、キッチンをお借りしますね。」

「部屋の中は自由に使ってくれ。」

「アン兄様、僕も——。」

「ありがとうございます。アシェは殿下とゆっくり座ってて。疲れてるだろう。」

アレリオンがアークエイドの私室から繋がるキッチンに消える。

「アシェ、本当に大丈夫か?無理はしてないか?」

「うん、大丈夫だよ。自分だけで思い出してるよりは楽だし、ちゃんと思い出せてると思う。ただ……少しだけぎゅってしていい?思ったよりも記憶の蓋が多すぎて、少し怖い。」

普段は弱音など吐きたくないが、どうやら思っている以上に記憶を引き出すことは負担らしい。
アレリオンの手で撫でられて思ったのだが、誰かの温もりに触れていたかった。

「あぁ、アシェが抱き着いてくれるなら大歓迎だ。」

「ありがとう。」

隣に座るアークエイドの胸元に顔を埋めてギュッと抱き着けば、同じように抱きしめ返してくれる。

きっとアレリオンは魔力で観ているからバレているだろうが、アシェルから抱き着いたのでアークエイドへのお咎めはないだろう。
——ないと信じたい。

トクトクと少しだけ早いアークエイドの心音が聞こえて、温かさとその音に少し安心する。

結局アレリオンが簡単にご飯を作って戻ってくるまで、アークエイドに抱き着いていた。

「おやおや、殿下で充電してたのかい?ご飯の後で、僕もお願いしようかな。」

「勿論です。」

アークエイドから離れ、食事を食べてから、アレリオンの膝の上に乗りギュッと抱きしめて貰う。

「やっぱり、アシェとこうしていると癒されるね。」

「それは僕もです。ふふ、久しぶりにアン兄様と充電できます。」

優しく頭を撫でて貰う。

しばらくしてチュッと頬にキスが落とされ、アシェルもキスを返す。
充電完了の合図だ。

そして寝るためにアークエイドの寝台に潜り込むと、少し嫉妬の色を瞳に混ぜたアークエイドの腕に抱きこまれた。

「兄達の膝の上には乗るのに、俺には乗ってくれないんだな。」

まさかそんなことで嫉妬していたとは思わず、アシェルは笑った。

「本当にアークはヤキモチ妬きだなぁ。お兄様達の膝の上に乗るのは抵抗ないけど、例えばベルやメルを乗せるのは良くても、乗れって言われたら嫌だからね。アークもベルやメルみたいな感じ……というか、お兄様達だから乗ってるんだよ。」

「イザベルやメルティーみたいな感じか……。まぁ、俺に抱き着いても良いか、アシェが聞いてくれるようになっただけ良しとするか。おやすみアシェ。」

「おやすみ、アーク。」

チュッと頬におやすみのキスを貰ったのでお返しして、瞼を閉じる。
アークエイドの腕の中は暖かくて、すぐに睡魔は訪れた。
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