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第一章
悪役令嬢 お忍び外出
しおりを挟む成約を終えてから、一週間が過ぎた…………
アレからユーマ達と情報をやり取りしながら、破滅フラグを避ける為、熱心に作戦を立てながら、私は、ふと、考えた………
確かに私は、破滅フラグを避ける為に、腕を上げ、魔法も使いこなせるようになった
だが、【職業・忍】に関しては、まだ素人も同然…………
「と、言うわけで、魔物を討伐して訓練よ!!」
「と、言ってものぉ、些か突発じゃのぉ」
忍服を着て、フンスと気合を入れれば、後ろからゼファーレンド…………
以降は、ゼファー爺が笑いそうに言ってきた
屋敷に戻って、ゼファー爺には、【種族・ワーウルフ】と偽って貰い、私の使用人兼執事として、傍に居てもらっている
まぁ、最初は、ココが『お嬢様のお世話は、私の仕事です!!』と、泣きながら嫌がってたけど…………
今は、二人とも仲良くしているから、問題ないわね
「突発なのは、当然だけど、忍スキルを使いこなさないと、いざって時に困るわ
それにゼファー爺に負担を全任させる訳にはいかないわ」
「ふむっ、その心意気、素晴らしいのぉ
なら、たっぷりと鍛えると良い」
私の言葉に、ゼファー爺は、満足そうに頷きながら頭を撫でてくる
少し恥ずかしいけど、嬉しくて頬を緩めながら、私は、とある場所に向けて、出発した
しばらくして…………
私は、ある建物の扉を開けて、中に入った
中に、入れば、様々な人達が、ボード前に並んで、依頼を見たり、受付では、報酬などを受け取ったりする人達が居た
ここは、帝国一のギルド【黄昏の夢】
実力者揃いの冒険者が、所属している
中では、有名になり、各国に相当の人数を派遣している所
私が、ここに通い始めたのは、丁度、六か、7歳くらいの時かしら?
始めの頃は、色々と学ぶ為に来ていたけど、十歳を超えた今!!
誕生日パーティーが終わった翌日には、ここに来て、ギルドに登録しているわ!!
だから晴れて、私も依頼をこなせるわ!!
(まぁ……………、お父様の根回しもあるのだけれど、スムーズに終わったわよね…………
もう少しメンバー登録には、時間がかかると思ってたのだけれど……………)
そう考えながら、依頼書の貼ってあるボードの所にやってくれば、依頼書の確認をした
貼ってある内容は、どれも簡単なモノばかり…………
(薬草集め…………、猫探し…………
どれも忍のスキルを活かせそうだけど、実戦には、程遠いなぁ…………
出来るなら魔物を討伐したいけど、それは、ランク的に無理かぁ…………)
そう思いながら依頼書を見ているが、どれも微妙で、正直、もう少し上のランクの依頼が羨ましい…………
ゲームにおいてもそうだけど、最初は、皆、Fランクと言う最低ランクから始まる
単純明快だけど、F~Aとなり、その上にSランクとかあったりする
(まぁ…………、その上もあるって、話だけど…………)
顔を振り、考えを飛ばすと、私は、近くの依頼書を手に取った
内容は、シンプルで、薬草集めの依頼
しかも場所は、この王都から出て、近くという初級に相応しい依頼だ
(今のランクじゃ、こんなモノね………
さっさとランクを上げないと………)
依頼書の内容を確認しながら、私は、早足で受付に向かった
そして数分後……………
「簡単すぎ!?」
目の前にある様々な薬草が山ほど入っているカゴを前に、私は、思わず叫んでいた
だって、そうでしょ!?
依頼場所に着いて、『さぁ、やるぞ』と、言い、近くの草を取って、カゴに入れ、鑑定したら、すぐに納品数を超えた量を手に入れたんだから
それに何か色々と他のも取れたみたいだし…………
「えーと……………、って、コレ…………
確か全部、レアなヤツだったわよね?」
インベントリに入れ、整理されたリストを確認すると、確か【プリンセス・セレナーデ】でレア素材だったはず…………
自信はないけど、間違ってないと思う…………
「ふむっ、主人よ
すぐに終わってしまったのぉ」
「え、えぇ………….、せっかく意気揚々とした矢先なのよね…………
不完全燃焼だわ」
後ろで、リストを見てたゼファー爺が顎髭を撫でながら話しかけてきたから、私も答えながらちょっと肩を窄めた
これじゃあ訓練にもならないじゃない…………
「まぁ、いいわ
さっさとランクを上げて、討伐の依頼を受けられるようにしないと」
グタグタ言ってても仕方ないから、私は、リストをしまうと、王都に戻ろうとした
「っ、きゃっ…………」
突然、目の前にウィンドウが現れて、小さな悲鳴が出てしまった
少し恥ずかしいけど、それを隠して、ウィンドウの文字を確認した
《警告 後方○○m先、【ローザスバッファ】確認
民間人を含む六名を強襲中》
「っ!? ゼファー爺!!」
「心得た」
ウィンドウの文字を見た瞬間、私は、ゼファー爺に呼びかけ、王都に戻ろうとした足を反転させ、駆け出した
ローザスバッファは、群れで過ごす牛型の魔物で、見た目は、バッファローと瓜二つで、性格は、獰猛だが、無闇に人などを襲うなどない為、ランクBで討伐依頼を受けることが、出来る
だが、文字を見る限り、ローザスバッファが、人を襲ったとみていい……………
「どうしてローザスバッファが!?」
「ワシの考えを言うならば、その強襲されてる人間達に非があると、考えられるが…………
別の要因を挙げるとするならば、ローザスバッファ自体が凶暴化したかかのぉ」
「それって、何かの異変って」
ゼファー爺の言葉に聞き返そうとしたが、ふと、とあるイベントを思い出した
【貴方に捧ぐ…………、だーもー!! 長い!!
【貴光】《あなひか》で、確かヒロインが学園入学前のプロローグで一部の魔物が凶暴化し始めて、異変の予兆と言われていたかしら…………
「って、そうなってたら、展開が早すぎるじゃない!?
少なくともそれって、五年後のイベントなのよ!?」
思わず叫びながら駆けていると、前方で土煙が上がった
私は、足を踏み込み、空へ飛べば、現状の確認する
土煙の方から逃げている六人の人影
見るからに前2人、真ん中三人、後方1人で移動中…………
おそらく真ん中の女性たちが非戦闘民で避難中…………
前の魔術師と弓師が誘導兼護衛、そして後方の剣士が殿をしている…………
民間人と見られる女性達の格好から、帝都に住む人と見て、間違いないわね
次に土煙の方へ、目を向ければ、土煙の中、蠢く巨大な影が見えた
その影は、ゆうに建物…………、二階建ての家を超える大きさで、影からでも分かる巨大な角が二本…………、いや、牙先が枝分かれに伸びていて、まるで剣山のようになってるみたいね…………
そして土煙が晴れれば、そこには、巨大な牛がソコに居た
「やっぱりローザスバッファ!!
だけど、姿が違う!?」
確かにそこに居たのは、ローザスバッファと呼ばれるモンスターだが、あんなに巨大では無いし、角もあんなに鋭利で殺傷出来るヤツじゃなかった!!
ローザスバッファは、ゆっくりと巨体を動かし、避難してる六人の方を向くと、いきなり猛スピードで突進し始めた
「助走なし!? 此処からじゃ間に合わない
なら!!」
近付いて、注意をこちらに向けさせる事を考えてたが、私は、まだ空中に居るため、間に合わない
それならと、私は、インベントリから素早く球を取り出し、ソレをローザスバッファの手前目掛けて、ぶん投げた
幸いステータスは、10歳にして、かなり高いお陰か、すぐに球は、ローザスバッファ手前の地面に落ち、そしてその瞬間、避難中の六人を守るように巨大な蔦の壁が出来上がった
そしてローザスバッファは、その壁に突撃したが、蔦の壁は、崩れる事なくその突撃をいなした
(たまたま忍スキルを見てた時、スキルに【蔦壁】って言う、防御スキルがあったから、作ってみたけど、便利ねコレ
色んな場面で使えそう)
蔦壁に何度も突撃をしているローザスバッファの後方に着地すれば、すぐに私は、腰の忍刀を抜いた
ちなみにこの刀は、ユーマとアカツキの合作で作ってくれた刀で、私の成長と共に刀身が伸びて、持ち手も合うようにしてくれてる一品よ
「さて、ローザスバッファの巨体を見る限り、足元から崩すのは、セオリーね
でも、スピードが厄介ね」
「主人よ
なら、彼奴を押さえるのは、儂がやろう」
「………えぇ、頼むわ
ゼファー爺」
ゼファー爺の提案に頷くと、ゼファー爺は、私の前に立った
その隙に、私は、忍スキルを選択する
すると流石に私達に気付いたのか、ローザスバッファが、コチラを向くと、一気に突進してきた
が、心配はしてないわ
「ほいっとな」
そんな簡単な掛け声を出すとゼファー爺がローザスバッファの角を指で摘むと、簡単にローザスバッファの突進が止まってしまった
まぁ、戦神だからねwww
「今ですぞ?」
ゼファー爺が、合図を出すように言えば、既に準備を整えた私は、既に宙に飛び上がった
【スキル・影分身 発動】
そんなウィンドウが出た瞬間、私から、数個の影が出てくれば、すぐに私になった
そして忍刀を逆手に持ち、息を止めた
【スキル・疾風・逆巻き 発動】
スキルが発動すれば、忍刀に風が纏えば、一瞬、分身を含む私が消えれば、一瞬にして、ローザスバッファを細切りに斬り刻んだ
「っ、ぁは…………!!
はぁ、はぁ…………、嘘でしょ……………
体力、つけたはず、なのに…………」
息を吐けば、私は、思わず膝をつけば、肩を大きく動かしながら、乱れた呼吸を整えていた
体力は、畑やったりして、つけてきたのに、こんなに疲れるなんて…………
「仕方ないわね
だって、貴女は、本体だから分身の私達の疲労も蓄積されるのだから」
後ろから声が聞こえてきて、振り返れば、分身の中の1人が腕を組んで、私を見下ろしていた
「は、はぁ?
それ………、マジ………?」
「えぇ、でも疲労は、凄いけど、本体である貴女には、利があるわよ
疲労が貴女に蓄積されるのと、同時に経験も貴女に蓄積されるから、ステータスを見てみなさい」
分身に言われた通り、ステータスを確認すれば、スキルの熟練度が一気に上がっていた
「うわっ、コレ……………、凄いわね」
「えぇ、コレなら貴女のレベルアップに役立つわ」
「え、えぇ、ありがとう」
「あっ、それと分身の私達が消えたら、一気に倍の疲労が貴女を襲うから、ヨロ♪」
「えっ!?ちょっ!?」
分身を止める前に、分身達が影になり、消えれば、私は、いきなり目の前が真っ暗になり、気絶してしまったらしい…………
依頼の報告とかは、ゼファー爺がやってくれたから問題ないわ
それに避難していた六人も無事だったからよかったわ
ってか、(それは先に言いなさいよ……………)
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