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第五章

当初の目的へ アグロとの謁見

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とりあえずリーファにお仕置きがてら、しばらくアイアンクローをし続けていると扉がノックされ、俺が目覚めた事を知るとアグロ王との謁見に案内された

起き抜け一発で国王との謁見とか……
ハードすぎる展開だと思うが仕方ない……

部屋を出るとアルバートも丁度、部屋から出てきた
首元に夥しいキスマークを付けながら……
部屋を出るとアルバートに睨まれたがシカトして、人魚メイドに案内され、謁見の間に案内された

謁見の間に案内されるとアグロ王は玉座に……  座っておらず、まさかの床で正座スタイルで待っていた
人魚だから尾鰭を畳んで座ってるんだが、器用だな……

そしてアグロ王の側に居る人物を見て、俺は思わず顔が引き攣った
何故ならアルフレット王がニコニコしながら俺を見ていたからだ

「やぁ、シモンくん
まさか君が人魚国の問題を解決してくれたなんてね  驚きだよ」

「……何で居るんですか?」

「ん? あぁ、簡単に言うとね
同盟国となっても我々は人魚国に付いて、何も知らない 情報が無かったからね
実際にここに来て、色々と自分の目で見ないと次期国王として、同盟国を知らないとね」

俺が聞くとアルフレット王はそう答えながらきっとここの料理人に作ってもらったであろう昆布の串焼きを食べていた

立ち食いは王族的にどうなのかと思うが……  視線を脇にずらすとシャルロッテ達も堂々と立ち食いしていたから何も言う事はなかった

「シモン君 アルバート君
君たちの事は娘より聞かされておる
改めて私が人魚国の国王であったアグロ・シースだ」

「シモン・フェルストリーです」  「アルバート・ジェラールだ」

アグロ王に名乗られたのでこちらも自己紹介するとふと、アグロ王の言葉に引っかかる点があった

「失礼 国王であったと言う事は」

「あぁ、私は今回の責任を取る為に国王を退くことにした」

アグロ元王はそう言い、何処かスッキリとした表情をしていた

「今回は操られていたとは言え、国を危険に晒してしまった
あと一歩、遅ければ私達はシモン君 君達二人によって滅ぼされていただろう
それに私は娘、リーファにあのような非道な事を言ってしまったのだ
それを償わなければ、私は父親として、自分が許せなくなってしまうんだ
だから今回を気に王の座を長女であるフィオルに譲る事にした」

そう言い、フィオルの方へ視線を向けるとフィオルは昆布の串焼きを俺のアイアンクローから解放されたリーファに食べさせていた

「この国は今日、新たに生まれ変わる
この日が人間達と我々の新たな一歩という事になるのだ」

「フィオル女王には話をしてあるから同盟内容も問題ない
これからは近くに街に人魚国から宝石や海産物が増えるから街は賑わい、これまで以上に国は豊かになるだろうな」

アルフレット王はそう言い、俺に同盟内容が書かれた書類を見せてきた
内容を見ると確かにどちらの国にも有意義な交易内容だ

「ってか、コレを俺に見せていいのかよ?」

「君はシャルロッテの婚約者だろ?
なら、私の身内だから問題ない」

書類を見てからだが、そう聞くとアルフレット王は満面の笑みで答えてきて、頭を押さえた
アルフレット王の性格は確かに底が見えないが、この人がそう言うと何かありそうで不安になる……

「フィオル ニシェリス リーファ
こちらに」

アグロ元王は三人を呼ぶと三人がコチラに来た
リーファだけが俺の側に来ると姉妹で話せたからなのか、ニコニコと嬉しそうだ

「シモン様ですね?
改めて自己紹介を 私はここ 人魚国の女王に任命されました
フィオル・シースと申します この度の事件及び、リーファについても深く感謝を申し上げます」

「ニシェリス・シースよ
私からも礼を言わせて……  貴方のお陰でリーファともう一度、姉妹としてやり直せた
それに貴方が手を回してくれたお陰で私はここに居られる……
本当にありがとうございます……」

フィオルはまるで聖母のような笑みを浮かべ、ニシェリスは涙で顔がぐちゃぐちゃになりながらも俺に頭を下げてきた

「頭を上げてくれ
元々、俺はリーファを国に帰してやるつもりでここに来たんだからよ
で、そこで問題が発生したからついでに解決しただけだ
だから礼を言われる事はしていない」

「それでもです
貴方のお陰で私達は救われたのです
本当にありがとうございました」

フィオル女王にそう言われ、頭を掻きながら息を吐くと「さて……」と小さく呟いた

「それじゃあリーファの奴隷印を消すか」

そう言い、リーファを見るとさっきまで笑顔とはかけ離れ、絶望顔で俺を見てきた

「い、嫌です……  嫌です!! わ、私はシモン様と一緒に居たいです!!」

「おいこら!? 王女様が奴隷じゃいけないだろ!? そもそもお前をここに届けるのが目的なんだから大人しくしろ!!」

「いやぁぁ~!? やめてくださいぃぃ!?」

嫌がってきたリーファを取り押さえるとスケッベから渡された魔石を奴隷印に近づけた
この魔石には解呪の魔術が込められていて、一度だけ奴隷印だろうが、跡形もなく解呪して消し去る事が出来る

「嫌ぁぁぁぁ!? 私はシモン様の事が好きです!! シモン様の側に居たいです!! 私は……  一生、奴隷でもいいからシモン様の側に居たいですぅぅ!!」

暴れるリーファを気にせず、奴隷印に魔石を押し当てると魔石が光だし、やがて砕け散った
(終わった……)と一仕事して汗を拭ってからリーファを見ると……

リーファの胸元の奴隷印が一時的なモノでは無くなった奴隷印になっているのに気付いて、ガチィ、と固まった

「あ、あぁ……  よかった……
これで私は正式にシモン様の奴隷ですね!!」

リーファは奴隷印が消えてない事に気付くと満面の笑みを浮かべて、俺に抱きついてきた

『シモン様 この魔石には解呪の魔法が込められておりますが本人の了承がない限り、解呪はされませんのでお気をつけを……』

リーファに抱きつかれ、頬に何度もキスされながらふと、スケッベの言葉を思い出していた

「……やっちまったぁぁぁ~!?」

そしてようやく状況を把握すると俺は頭を抱えながら膝から崩れ落ちた
状況から言うに……  リーファは俺の奴隷である事を望んでしまったことから解呪に失敗したということになる……


「おいこら!? リーファ!!
お前、国に帰りたいって言ってただろうが!?」

「そうでしたがシモン様と一緒に居る事が好きです!!
それに色んな場所で知見を広めた方がきっとこの国の為になると思います!!
それにシモンが好きです!! 大好きです!! 愛しております!! 他の人と結婚なんて無理です!!
それならシモン様の奴隷として側に居られるのなら私は幸せです!!」

俺がリーファを引き剥がそうとするがそれ以上にリーファが力を込めて、抱きついてきたので助けを求めるようにフォルティア達を見ると

「ふふふ これはまた賑やかになりますね」

駄々をこねるリーファを見ながらまるで母親のような眼差しを向けるフォルティア

「「ぶぅ~!! あんなに抱きついてズルいぃぃ~!!」」

頬を膨らませながらリーファに嫉妬するフローラとシャルロッテ

「「……は!? 夜のご奉仕が減る!?」」

全く関係ない事を心配するミュレーヌとネロ
ついでにショックを受けるユキ

「おやおや」

そしてこの状況を楽しむように笑っているアルフレット王

(おいぃぃぃいぃぃぃ!?)

流石に困り果てたので親族でもあるアグロ達に助けを求めるように見る

「り、リーファが嫁入りに行ってしまった……」

嬉しさと悲しさで半々の感情を抱くアグロ

「あらあら、リーファ
お姉ちゃんにもシモン様に愛される時間、頂戴ね?」

何かしれっととんでもない爆弾をぶち込んだフィオル女王

「ま、まぁ 私にはいずれいい男が出来るはずよ
きっと……」

途中までは平気そうだったのに後になって不安になっていくニシェリス

(だ、ダメだこりゃ……)

この状況はどうにもならないな……
そう悟った俺は先程から腹抱えて、爆笑しているアルバートをブン殴る事を決めた
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