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第三章

奴隷商

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空は雲が覆い、光が差し込まぬ闇の中を俺は歩いている
ここは王都……  今は深夜帯で街はすっかり明かりが無い真っ暗な街だが一つだけ紫色の炎のランタンが入り口を示している
そこを覗くと地下に向かって、階段が伸びているのが薄らだが見えた
階段を降りて行くとやがて、大きな鉄の扉が見えてきた

その扉の前に立ち、ノックを3回する
すると鈍く大きな音が響くと扉が開いた

「ようこそ 奴隷商エロガイルへ」

中に入るとそこにはまるで貴族が雇った執事のように身だしなみが整った若い男が居た

「お待ちしておりました シモン・フェルストリー様
フェルストリー当主 ガラルド・フェルストリー様より要件はお伺いしております
ここを任せられております スケッベと申します」

「あぁ こちらこそ、このような時間を指定してすまなかった」

「いいえ シモン様はガラルド様が保証人となっておりますがまだ成人しておらぬ身、昼間は避けるのは正解かと」

そう言うとスケッベは俺を案内し始めた
中は清潔そのもので汚れが一切なかった
進んでいくとふと、何か聞こえ始めた

「シモン様 本日は奴隷を雇うのであるのでならば奴隷商がどのようなモノなのかを見てもらいます
それが我がエロガイルの最初の決まり事です
その歳で見るには酷い現実があるというのも理解しておありで?」

スケッベが突然、足を止めて俺を見てくると真剣な顔でコチラを見てきた
つまりこの扉を超えた先には奴隷商の一部がやってるような事を見せつけてくるとの事らしい……
だが、この言い分だとスケッベが所属している奴隷商とは違うと言いたげな物言いだ

「変な探りをしなくていいぞ ワザワザ他の奴隷商を見せる為にそこに入るんだろ?」

「流石はガラルド様が三男でございます
ここより先は我ら、エロガイルでは無い別の奴隷商がやっている所ですが、コチラの事は気づかないでしょう
……お覚悟はよろしくて?」

スケッベがそう聞いてきて、頷くとスケッベはその扉を開けた

中に入ると思わず顔を顰めた
そこに広がっている光景は右も左も壁だが中はまさに強姦等の光景が広がっていた

「この奴隷商に居る者は全てがこのように男を喜ばす事だけを注視し、調教及び強制教育されております
見ての通り、種族や年齢等は皆無の世界です」

スケッベは俺の隣で俺と同じように嫌気がさしてるような表情をしていた
俺が見てる部屋の中では巨漢の男がまさに小柄な女性に覆い被さり、ひたすらに己の快楽のためにただ腰を振る様子が見えている
床には既に数回、いや数十は下らないだろう程の子種が広がり、小柄な女性は身動きが取れずにもはやされるがままで、悲鳴に近い声を上げ、助けを求めてるがこの部屋は言わば奴隷達の牢獄……
誰も助けは来ないだろう……

「酷い光景でしょう……
あの男はモドレナクと言う精力剤を飲んでいるようです
モドレナクは精力薬の最高峰であるオークロードとトワイライトロードゴブリンの睾丸を一ヶ月、瓶で熟成させてから錬金術を使い、更に効果を強力にさせた物を使っている為、普通の人間が飲むと凡そ一ヶ月は己の性器肥大化して治らず、子種は大幅に生成を続ける為、あの奴隷の女はこれから一ヶ月もの間、あの男のモノを入れられたままで生きるハメになるでしょう
副作用もあると言う危険な薬というのに……
通常であれば、生命の危機になれば強制的にあの男は部屋より転移されるのですがあの様子だと死ぬまであのままでしょうね……」

スケッベは嫌気が刺してるのか、そう言うと先程の扉に戻って行った
俺も扉に戻ろうと歩き出したが改めて周りを見渡した

(確かに……、これは父上やスケッベさんが所属してる奴隷商の方針とかには合わないな
むしろコレは違法ギリギリを攻めすぎている)

耳に残る女性の嬌声、悲鳴……
そしてそれらの行為が繰り広げられる音……
それらを振り払い、扉を抜けるとスケッベさんが扉を急いで閉めた

「シモン様 先程の奴隷商のやり方はあくまで奴隷商の一部のやり方です
それはお忘れなきように」

「分かった あのクソみたいな奴らを無くす為にアンタらはそういう方針の元で動いてるんだろ?」

俺がそう聞くとスケッベは少し驚いたような顔をしてから頭を下げてきた

「左様です シモン様の見解、まさに私達が奴隷を一人の人間として世に送り出すと言う我々の方針そのままでございます」

「父上が何故、ここを紹介したのかが今、分かった
貴方方は信用に値する人達だ」

「そう言っていただき感謝いたします」

そう言い、握手を組み交わすと本来の制約部屋に案内された


「では、シモン様 どのような奴隷をお探しで?」

席に着くと正面にスケッベさんが座り、俺を見てきた
手元に何も用意されてないがそれは俺の意見を聞き、それを元に最適な奴隷を探すのだろう……
だからその前に俺は口を付いた

「【全ては女神アゴルタガリア様の導きのままに】」「っ!?」

俺がそう言うとスケッベさんは目を見開き、驚いた顔で俺を見た

『いいか? ルミナス・エルドで奴隷を買うんだったら、月の光もない真っ暗な夜の日に行け
そして奴隷商にこう言うんだ
【全ては女神アゴルタガリア様の導きのままに】ってな
何故かと言うとよ……  ソレが奴隷の攻略キャラを出現させるキーなんだよ』

そう……  この合言葉はエロゲー野郎が教えてくれた言葉だ
何でも奴隷を雇ったとしてもステータスやレベルは完全にランダムだと言う事で、エロゲー野郎も相当、攻略には手こずったらしいがこの合言葉を見つけてから解決したと言っていた

この合言葉はこのルミナス・エルドと言うゲームで必須のガチャ要素の課金分であり、確率を上げる魔法の言葉だ
奴隷を雇うのは金がかかるからその金を稼ぐのにも時間がかかる
だからガチャに勝つ為にこの合言葉が絶対条件だ

「驚きました まさかその言葉を知っておられるとは……」

スケッベはそう言っているが席を立つと扉を手で指した
俺は立ち上がるとスケッベに案内され始めた

案内されていると先程よりも清潔且つ整備が完備された区画に来た
そして進んでいけば、とある扉の前で止まった

「コチラに」 

スケッベはそう言うと俺の後ろに立った
俺は扉を見ながらドアノブに手をかけた

ルミナス・エルドだとここでキャラクリに入るって、言っていたが……
ここは現実……  どんなヤツが居るかは分からない……

(一応、想像しながら開けてみるか……)

どうなるかは分からないが一応、(こんなキャラがいいな)と思いながら扉を開けた

「……」

中に入ると猫型の獣人が表情を変えずに俺を見てきた
歳は俺より一歳か、二歳下辺りだろうか?
とにかくどうやら俺の想像した通りの見た目になっているようだ

「シモン様 ここに居るのは3人ですが彼女にしますか?」

「三にブッ!?」

スケッベに指摘され、部屋を見渡すと思わず吹き出した
そこに居たのは一人は髪が腰まで伸びていて、歳は俺と同じだろう
そしてかなり可愛い系の童顔だ
そしてもう一人は青色の髪でオッドアイだ
そしてその瞳に魔力が宿っているように感じた
だが、俺が驚いた理由はとてつもなく衝撃的だからだ

(な、な、何でゲームパッケージのイラストに載ってたヒロイン二人が奴隷になってんだよ!? バカっヤロぉぉぉ!?)

そう……  最初の猫獣人の子は奴隷攻略キャラなのは分かってる事だがこの二人の女はエロゲー野郎が一度、見せてきたルミナス・エルドのパッケージに描かれていたヒロインの二人だからだ

衝撃的で口が開きっぱなしになったが慌てて閉じて、咳払いしてからスケッベを見るとインベントリから白金貨を五枚ほど取り出して、渡した

「この3人を雇う
これで足りるか?」

「えぇ 十分すぎます
それでは誓約書と奴隷印を刻みます」

とりあえずこの3人を雇う事を伝えるとスケッベはすぐに用意する為に部屋を出て行った

(……何でこんな事になったんや)

予想外すぎて頭が追いついてないが……
とにかく奴隷を雇う事には一応だが成功した
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