上 下
23 / 101
第二幕

メリスト公爵家に到着

しおりを挟む


ヒュレムがウチに来て、数日が過ぎた頃…………

俺は馬車でとある場所に向かっていた

「シモン 予定ではメリスト公爵の屋敷に着いた後、時間が出来る
パーティーまでに準備を済ませておくといい」

「はい、父上」

そう、明日はいよいよフォルティナのお披露目パーティー当日だ
今、馬車の中には俺と父上、母上、フローラの四人が居る
そして後方の馬車にはメル達、従者と俺達の着替えが乗せてある

正直、出来るなら二日前あたりにメリスト公爵の元を訪れたかったのだが、ユーリ兄さんとゼアル兄さんからの手紙が届くのが遅れたから、一日前となってしまった

ユーリ兄さんは婚約者であるローリアス様が体調が優れない為、参加できず、ゼアル兄さんは簡単に休み過ぎて、単位が危なくて参加出来ないとの事……

(絶対にそうならないようにしよう……)

そう決意している中、ふと、外を見れば……

「……は?」

思わず声が出た……
窓から見えた恐らくメリスト公爵の屋敷だが、明らかに大きさがバグっていた

また着く距離を考えれば、およそ三十分弱、まだ敷地内に入る門を越えていないのにも関わらず、ここから見た屋敷はかなりデカい規模の屋敷なのは見て取れた

「相変わらず……、ヤツの屋敷建築力は凄まじいな……」

「あら~、そう言ってるけどガラルド
私達の屋敷も作ってもらったじゃない」

父上が俺と同じようにここから見えた屋敷に若干、引いていれば、母上は何処か、楽しそうに話している

(ってか、ウチの屋敷って、メリスト公爵が建てたのかよ……)

色々と衝撃的な事が判明して、頭が痛くなってくるがそんな事を言ってる場合では、なさそうだな
着けば、先ず挨拶だのしなければならない…………

「うみゅ……、おにぃ……、さまぁぁ……」


意外と馬車での移動に時間がかかっているからか、フローラはすっかり眠って、夢の中だ
俺の肩に頭を置き、完全に体を預けて、眠っているフローラの頭を撫でれば、少し気持ちが落ち着いた


「ぁ……、おにぃさま……、フローラを……、あいしてぇ……」

(前言撤回……、フローラ……
俺はお前の将来が不安で仕方ないぞ………)

小さな寝言は俺にしか聞こえてなかったからいいものの、俺はこの先、フローラがちゃんと結婚出来るのかが、不安で仕方なかった…………
母上はフローラを俺の嫁にするつもりだが……、出来るならそれは最終手段でとっておきたい……

やがて、馬車が門を抜けるとそこからはすぐで十分もしないうちに、屋敷前に着いた

「ガラルド!! 久しぶりだな!!」

「あぁ、お前も元気そうでなによりだ」

馬車を下りると髭を生やし、結構、年が行っていそうな男が父上に近付いてくると父上も嬉しそうに握手を交わした

「お兄様、義姉様
こうして会えて嬉しいですわ」

「あら~、アイズ君とテセリアちゃんも
前と比べると随分、見違えたわねぇ」

その男の後ろから二十歳に行ってなさそうな女性が来ては母上が駆け寄り、抱き着いては頭をナデナデしている

【アイズ・メリスト】そしてその妻である【テセリア・メリスト】は言わば、俺達の親戚である
テセリアは父上の妹で当時、男爵だったメリスト家に嫁ぎ、そこからの交流だが今では両家共に仲睦まじい関係が続いている

「アイズ叔父様 テセリア叔母様
お久しぶりでございます」

「今日は私たちをお招きいただき、感謝いたします」

俺は挨拶をすれば、すぐさま隣にフローラが立ち、二人でお辞儀をした
ちなみにフローラはすっかり素の自分と令嬢の自分を使いこなしているみたいで、素直にすごいと感じる

「おー!! あの小さかった双子がこんなに立派に……、叔父さん嬉しくて涙が出てきたわぁ……」

アイズ叔父様は俺とフローラを見れば、嬉し泣きをしている
昔、執事のヌリークに聞いた事だが、俺達、双子の出産はどうやら難産で、母上も危険な状態だった
そして産まれたが俺とフローラは想定より小さく、最初は呼吸が止まってたらしく、医師達の執念でなんとか息を吹き返したらしい……
呼吸が止まってた俺とフローラを見て、母上は泣き叫び、自分も危険だった事を忘れて、無理矢理体を起こして、俺とフローラを抱き寄せようとして、押さえ付けられてたと聞いた

目の前で我が子が死ぬかもしれないと知って、母上も気が気ではなかったのだろう……
だから今、こうして俺とフローラは家族の愛情を沢山、注がれているのだろうと感じた

「もう………、泣かないの
今は私達の可愛いフォルティナの婚約者なのよ?
フォルティナが結婚すれば、シモン君も私達の息子になるのだからカッコ悪い姿を見せちゃ、恥ずかしいわよ」

「っ………、そうだな………
未来の息子となるシモンにカッコ悪い父親を見せる訳にはいかないな」

テセリア叔母様が慰めるようにそう言えば、アイズ叔父様は涙を拭き、キリッとした表情になった
ちなみに今更だが彼らはこう見えて、かなり若い……
ウチの両親と比べてもこの世界の実年齢と比べると、美男美女が多いからかなり困っている………
若いと思ったら、実は年が行っていたと何回、あったことか……

「シモン様!!」

そんなくだらない事を考えていれば、フォルティナの声が聞こえて、そちらを向くと驚いた
そこに居たのは最後に会った時よりも可憐で、美しさに全振りしたかと思えるくらいのフォルティナがドレスのスカートを揺らしながらこちらに駆け寄ってきていた

「おっと」

フォルティナが止まる気配が無いから抱き留めるとガバッと首に抱きつかれた

「お会いしたかったです!!」  「あぁ、俺もだ」

嬉しそうに笑うフォルティナに釣られて微笑めば、ようやく現状を理解したのか、フォルティナが顔を赤くした

「あ、し、失礼「駄目、離さん」シモン様!?」

父上達に見られて、フォルティナが恥ずかしくなり、逃げようとした為、逃がさないように逆に抱き寄せるとフォルティナが面白いくらいに真っ赤にしながら俺を見てきた

「はははwww
ウチに来て、沢山、フォルティナの笑顔を見てきたがここまで嬉しそうな笑顔は初めて見たな」

「えぇ、それだけシモン君を愛しているのね」

アイズ叔父様とテセリア叔母様の話に参ったのか、フォルティナは頭から湯気が出てそうなくらい羞恥してたので流石にこのままじゃ可哀想と思い、フローラと目配りするとフローラがフォルティナの手を取った

「フォルティナお姉様
私、屋敷の中を見てみたいですわ」

「俺は庭園を見てみたい
父上、叔父様、よろしいですか?」

俺が聞けば、父上とアイズ叔父様は嬉しそうに頷いた

「あぁ、だが迷惑をかけるなよ?
それと迷子になったら従者の方に案内してもらうようにな?」

「それと屋敷を見て回るのは今の時間帯だと厳しいから、庭園に行ってみるのをオススメするよ
フローラの好きなお花もあるから、きっと気にいるはずだ」

「ホント!? お姉様!!
早く早くぅ!!」

父上達の話に目をキラキラさせながらフォルティナの手を取り、フローラは駆け出した
フォルティナは驚いているが、俺はその背を押し、その場を後にした

「早く孫がみたいな」 「そうだな シモンとフローラの子供も混ざれば、大所帯になりそうだ」

父上とアイズ叔父様がそんな話をしているのを遠くから微かに聞こえていたが、言い返す余裕がなかった

(父上!? 貴方、ちゃっかり俺とフローラが子供作るの賛成派なのですね!?)

父上がまさかのそっち側だった方が驚きいっぱいであった
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スキル喰らい(スキルイーター)がヤバすぎた 他人のスキルを食らって底辺から最強に駆け上がる

けんたん
ファンタジー
レイ・ユーグナイト 貴族の三男で産まれたおれは、12の成人の儀を受けたら家を出ないと行けなかった だが俺には誰にも言ってない秘密があった 前世の記憶があることだ  俺は10才になったら現代知識と貴族の子供が受ける継承の義で受け継ぐであろうスキルでスローライフの夢をみる  だが本来受け継ぐであろう親のスキルを何一つ受け継ぐことなく能無しとされひどい扱いを受けることになる だが実はスキルは受け継がなかったが俺にだけ見えるユニークスキル スキル喰らいで俺は密かに強くなり 俺に対してひどい扱いをしたやつを見返すことを心に誓った

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

死んで全ての凶運を使い果たした俺は異世界では強運しか残ってなかったみたいです。〜最強スキルと強運で異世界を無双します!〜

猫パンチ
ファンタジー
主人公、音峰 蓮(おとみね れん)はとてつもなく不幸な男だった。 ある日、とんでもない死に方をしたレンは気づくと神の世界にいた。 そこには創造神がいて、レンの余りの不運な死に方に同情し、異世界転生を提案する。 それを大いに喜び、快諾したレンは創造神にスキルをもらうことになる。 ただし、スキルは選べず運のみが頼り。 しかし、死んだ時に凶運を使い果たしたレンは強運の力で次々と最強スキルを引いてしまう。 それは創造神ですら引くほどのスキルだらけで・・・ そして、レンは最強スキルと強運で異世界を無双してゆく・・・。

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

処理中です...