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デビグルクラーケン討伐へ
しおりを挟む「親方様!!」
デビグルクラーケンを袋に詰めて、やるべき事をやって、宿に着く頃にはすっかり日は沈み、月が天で輝いていた
宿に入ると待っていたのか、ルフスが駆け寄ってきた
ってか、コイツ、どれくらい待ってたんだ?
「ルフスよ
今、戻った」
「はっ!! 親方様方がご無事でこのルフス!!
安心し申した!!」
ルフスはそう言いながら頭を下げるがお前……………
一応、確認するが勇者なんだよな!?
「そうか、で、早速で悪いがルフス
部屋の鍵を貰えるか?」
「はっ!! こちらに!!」
ルフスが鍵を差し出してきて、それを受け取れば部屋番を確認した
………………全く読めねぇ!?
まぁ、こっちはルール無用のアーカイブがあるからな……………
あとで確認するか…………
「ゴーラ、戻ってたのか」
「スミャルか」
ルフスの後方から声が聞こえてくればスミャルがタオルで頬を拭きながらこちらに歩いてきていた
風呂に入ってたのか、妙に顔が赤い気がする
「おぉ、スミャル殿
大浴場の方に入られてたのでござるな」
「あぁ、部屋のもいいが先ずはこっちの湯を堪能したくてな」
スミャルは機嫌がよさそうにルフスに答えているが…………
スミャル…………、お前って風呂好きなんだな…………
「パパ…………」
「あぁ、そうだな
部屋に戻って、直さないとな」
「やや!? 如何なされた!?
マソラ殿!?」
スミャルが話しているのが終わったと見れば、マソラが俺を呼んだ
流石に待ちくたびれたとは思わないが、スカートを直して欲しいのだと思った
そしてルフス…………、マソラを見て、驚いてるが今更かよ……………
「先程、水路で襲われてな
その時にマソラのスカートが破れてしまったのだ」
「何と!?」
「恐らくデビグルクラーケンだと、我は思った
その亡骸も回収してある」
「っ!? 見せてくれ!!」
俺がそう言えば顔色を変え、スミャルが言ってきたから、袋を取り出して、中を見せた
あっ、ちなみに袋の中は工夫して、時間が止められてるから腐ってないぞ
「確かにデビグルクラーケンだ
くっ…………、街にまで現れ始めたか………」
「案ずるな
この街の水路は全て障壁を張った
そこから出てくることはなかろう」
「さっすが!!親方様!!」
ルフスが言ってるが、まぁ、置いておこう
俺はそう思い、袋の封を締め直して、しまえば、スミャルを見た
「我は部屋に行く
何かあれば部屋に訪れよ」
「あぁ、そうさせてもらう
私は一応、この事を騎士達に伝えておく」
そう言い、スミャルと付き添いでルフスが去っていくのを見送れば俺はマソラを連れて、部屋に向かった
「……………よし、終わったぞ」
「わぁ~!! ありがとう!!パパ!!」
部屋に入れば、マソラに夕飯を食べててもらっている間にワンピースのスカート部分を縫い終えるとマソラが嬉しそうに受け取るとすぐに着替え始めた
余程、気に入ってくれてるみたいで嬉しいんだが、そろそろ他の服も買ってもいいかもな
俺が作ったやつだけじゃ、流石に、な…………
っと、そうだ
俺も飯を食うついでに……………
「まな板と…………、包丁……………、あとは醤油か……………」
今回は創造で作ったが今度からは持ち運び用のヤツを作ってもいいかもな
醤油は…………、何かで変わりになればいいが…………、見つかってないからな……………
っと、まぁ、そんな考えは後にするか
袋からデビグルクラーケンを取り出して、捌いていって…………
頭の部分がデカいからな
少しだけ捌いても、皿に山になるな…………
これって意外と量あるな
うーん、見た目は完全に俺の知ってるイカだな…………
箸でイカの刺身を摘んでみても触感はコリコリとしている
あっ、何故、刺身にしたのかって?
刺身の方が素材の味を知れるからwww
そんな事を考えながら醤油につけて、カプッと食って、よく噛み、味わう
「……………うん、普通に美味いな」
食感はコリコリっと、歯応えはいい、それなのに歯切れは良く、味はイカ本来の旨味がどんどん出てきて…………
うん、噛めば噛む程、美味いwww
これは揚げて、フライにしても美味そうだ
「パパ」
「ん?」
俺がデビグルクラーケンの味に浸っているとマソラに呼ばれ、見れば俺の腕に抱きつきながら口を開けているマソラが居た
「あー、と、よく噛んで食べるんだぞ」
「ん♪」
その意が分かれば、俺はイカの刺身を摘み、醤油につければ、マソラの口に入れれば、マソラはモグモグと口を動かしながら顔を下げ、味わっているようで、次第にその顔に笑みが浮かび、すぐに満面の笑みになった
「コリコリおいしーー♪」
マソラから絶賛、いただきましたーーー!!www
星三つですwww
……………冷静に俺、何やってんだ?
まぁ、マソラが好きになってくれたならよかった
そんな事を思いながらマソラを見てれば、余程、気に入ったのか、自分で箸を使って、イカの刺身を摘めば食べ、幸せそうにモグモグ口を動かし、笑みを浮かべている
うん……………、マジでこの光景を写真にしたい
「あっ………」
俺がカメラがない事を悔やんでいればマソラが小さく呟いた
視線を向ければ更にあれだけあったイカの刺身が綺麗に無くなっていた
すると、マソラは人差し指を下唇に当て、物欲しそうに俺を見上げてくる
…………………ナニコノカワイイイキモノ
「おかわり斬ってやるから待ってろな」
「っ!!」
完全に負けた俺はデビグルクラーケンを取り出せば、マソラはパッと明るい笑みを浮かべた
そんな顔を見たら甘えさせたくなるじゃねぇか!!
「おいひぃー♪」
結局、デビグルクラーケンの頭部の刺身に加え、ゲソも綺麗に処理して、刺身したのをマソラは夢中でモグモグしてるのを傍で見ながら俺も少しだけ摘んで食べていた
しかし本当に美味いな、コレ
料理したり、加工すれば更に旨くなると思うけど………………
マソラが喜んでくれるなら明日…………
デビグルクラーケン狩りで数匹、貰うかwww
そして一眠りして、翌朝…………
まだ日が昇っていない頃…………
俺は起きて、準備に取り掛かっていた
一応、一通りの物は作ったから問題ないはず…………
俺はそれをしまえばマソラを見た
「イカイカ♪」
マソラも早く起きて、今はただ楽しみにワクワクしながらワンピースを着ている
ってか、イカって………www
もはやマソラもデビグルクラーケンが食材って認識になってるwww
ワクワクしているマソラを見て、和んでいると扉がノックされた
「にゅ? 誰ぇ?」
「……………私よ ミレファ」
「あっ、ミレファお姉ちゃん」
扉の近くにいたマソラがトコトコと近付いて、尋ねれば声の主が顔見知りと分かると扉を開けた
いや…………、マソラ…………
いくら知り合いだからって、扉をそう、全開に開けてはいけないぞ?
ほら、ミレファがキョトンと驚いてるじゃないか……………
あとでそう言う事も教えないとな…………
「ミレファか
早朝に何事か?」
「ゴーラ、貴方、武器とか剣は持ってなかったわよね?」
俺が来て、マソラの頭を撫でながらミレファに聞けばミレファがそう聞いてきた
武器?
まぁ、確かに何も持ってないし、ずっと素手だったけど…………
「いや、持ち合わせてはいないな」
「そう、なら持ってきて正解だったわね」
そう言い、ミレファは俺に少し下がるよう言ってきて、言われた通りにすればミレファが入口のところにバックを置けば開いた
そして重そうに中のモノを持てばそれは巨大な剣だった
ってか、ちょっと待って!?
そのバックの中にどうやって入ってた!?
明らかにバックよりも大きいんだけど!?
「ちょっと…………、重いんだから…………」
「あ、あぁ………、すまん」
プルプルしているミレファから剣を受け取ればミレファは手をパタパタさせているのを尻目に俺は剣を見た
確かに得物としては良い部類だろうが……………
何かなまくらみたいだな
「騎士団から拝借した剣よ
それなりの名が通った鍛冶屋が打ったって、話だからそれなりには使えるでしょ」
おいそれ!?
一番、騙されるやつぅ!?
「これで貴方はともかく、その子の安全の為に持っておきなさい
その子、怪我したら貴方だって困るでしょ?」
「むっ、確かにそうだがその言い分だと我の事は考えておらぬな?」
「当たり前でしょ?
貴方の事は一応、信頼してるし、実力は私達より上
なら、心配する必要はないと思ったのよ」
そう言いながらミレファは笑みを浮かべながら俺を見てるが……………
何か……………、ごめん………
お前の事、勘違いしてたみたいだわ
何、この正ヒロイン?www
ツンデレダメダメ王女様だと思ったら、めっちゃ有能じゃねぇかwww
「そうか、失敬した」
「いいのよ
私、自分でも性格は捻くれてるって分かってるし……………
それにゴーラはこんな私の話をちゃんと目を見て、聞いてくれてるから
それだけで嬉しいのよ
流石、ルフスが先生って慕う人ね」
…………………マジでミレファ、正ヒロインじゃん
何だよ? このマジで恋愛ゲームとかに居そうな正ヒロイン感……………
「そうか……………
ミレファからの信頼、感謝する」
「ん、それじゃあ集合時間は日の出から一時間後、それじゃあね」
俺が礼を言えばミレファは頬を赤くして、そう伝えればマソラに手を振り、部屋を後にした
うん……………、ミレファ………
お前がゲームとかの中だったら間違いなく人気ランキング1位を取れるぞ
まぁ、俺はその系統のゲーム、一切やってないんだけどなwww
けど、アイツの信頼に応えるためにも気合いを入れ直さないとな
それから太陽が昇り、集合時間になれば俺はルフス達と合流、スミャルの案内で港に訪れていた
そして俺たちの目の前には大きな軍船が着港している
「大きいね~」
「そうだな」
本当にでけぇな…………
見た目からして、本当にデカい…………
あの、何だっけかな………… イージス艦?
うん、それよりもデカい
「この船に乗って、デビグルクラーケンの住処になってるところに向かう
全員、乗り込んでくれ」
「今更なんだがよ
どうやって水中の奴らを討伐するんだ?」
スミャルが船を指差しながら言えば、今まで黙っていたバルゴが口を開いた
そしてその内容は俺も気になっていた所だ
デビグルクラーケンは必ず水中にいる
そうなれば船底から攻撃されて、一瞬にしてやられるだけだ
何か考えがあるのか?
「それについては心配するな
この船には【海中魔導砲】が取り付けてある
それで海中の奴らを海上に引き摺り出す」
「なるほど……………、浮遊魔法を奴らにかけて、強制的に海中から引き摺り出すわけか………」
えっと……………、よくわからねぇがイカの一本釣りと同じって、考えればいいのか?
そういうところはマジで分からん
まぁ、ともかくソレが機能すればいいがな………
俺は一抹の不安を胸に船に乗り込んだ
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