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デビグルクラーケン遭遇 ってか、やっぱりイカじゃねぇか!?

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ルフス達と別れて、マソラと街を散策している俺だが、街の活気は少なく、何処も店が閉じているようだった
流石にここまで酷いとは思ってもいなかったが…………
どうやら、デビグルクラーケンってヤツが相当、厄介なヤツなのはこの光景を見て、取れる

「パパ、臭い変」

「ん? そうか
マソラは磯の臭いを嗅いだことはなかったな
これは海の近くだからする臭いだ」

「なんでー?」

「海には魚…………、そうだな………
川とは違う魚が居て、その魚を育てるプランクトン………、って、言ってもマソラは分からないか」

俺もあんまり海には詳しくないからな~…………
子供の何でも気になるって、こう言うことか…………
そういや、親戚の子供も何で何で、って聞いてきたな………
さーて、どう説明するか………

「……………海だからかな」

「そっかー♪」

結局、考えがまとまらなかったわwww
それはそうと困ったな………
聞き込みしたいのに人影がここまで少ない………、いや、居ないんじゃなぁ…………
聞き込み云々、出来ねぇ……………

「パパ、あそこ」

「ん?」

俺が思考しているとマソラが肩をペチペチしてきて、指を指していた
その方を見れば店っぽい建物があって、戸も開いてるようで、やっているみたいだ

「やってるようだな
ありがとう、マソラ」

「えへへへへ~♪」

教えてくれたマソラの頭を撫でてからその店に入るとそこは装飾屋みたいで小さなアクセサリーが並んでいた
見るからに細かい装飾が施されているから、無知の俺でもコレは凄い物だって分かる

「おや? お客さんかい」

俺が装飾を見ていると奥から四十代くらいの男性が現れた
ってか、その手の手袋、何?
見るからに分厚そうなんだけど、って、そうか
装飾作る際、熱を使ったりするのもあるから火傷防止の手袋か

「すまない、娘への装飾を探しているのだが」

「んー、なるほど…………
それでしたら、こちらの【ブルフェアリー】を象った髪飾りなどは如何でしょう?」

俺が聞けば、その店主はマソラを見て、一度、顎に手を当て、考えれば、装飾が並ぶテーブルから一つ、取り、俺に見せてきた
その装飾は小さな蝶をあしらい、色は少し薄い空色のようで、マソラの髪に合っている髪飾りだ

「なら、それを売ってくれるか?」

「はい、銀貨3枚です」

俺はここに来る前にスミャルから受け取った硬貨袋から銀貨を3枚、取り出せば店主に渡し、マソラの髪にその髪飾りを付けてやった
すると、マソラは気に入ったのか、俺から降りれば、鏡の前に行き、自分の髪を触りながら嬉しそうに見ていた

そんなマソラに微笑みながら俺は店の外を見た

「ところで店主よ
街を歩いていたがここ以外の店は閉まっていたが」

「あー、それでしたら、仕方がないのです…………
海に繁殖種が現れ、魚が取れなくなったり、ここに来るはずだった荷物も届かない状態が続いておる故で………………」

「繁殖種がこの街に現れる可能性は?」

「分かりませんね…………
ここは水路が海まで繋がっているのでいつ、その水路から現れるか………………」

店主の話を聞いて、俺は納得した
水路があるならば、そこから現れかねない…………
だから、人は建物から出れないってことか
それに魚が取れないことはまだしも、船でしか、来れない物資が届かないのは痛手であろう…………

それから店主に2、3言、聞いてからマソラを連れて、店を後にした
それから街の水路を一つずつ、確認しながら侵入されないように結界を張っていった
まぁ、この結界は俺が全力で殴っても壊れない折り紙付きだからまぁ、大丈夫だろう

俺がその作業をしている間、マソラは初めて見る建物などに興味津々で眺めていた

(ここで最後)

空は茜色に染まりつつある頃、この街の恐らく一番、高いところに来た
一応、ここまで水路が伸びているからな……………

「パパ!! 海、赤い!!」

「そうだな
太陽が沈んで、夕焼けになっているから赤くなってるんだよ」

興奮しているマソラの頭を撫でて、落ち着かせながら説明すればマソラはまだ興奮を抑えられないまま、じっと海を眺めていた
あー、本当に可愛いんじゃあ…………
っと、マソラにデレデレしてるのはやめて、さっさと、作業をしねぇと……………

「………………………マソラ」

「なーにー?」

「しっかり我に掴まっとけ」

「う、うん………」

声をかければいつもの声で返ってきたが俺が伝えれば、俺の雰囲気で分かったのか、ギュッとしっかり、掴まってきた
さっきまでは何の気配もしなかったが下流の方…………、海の方から何かが近づいて来ているのを感じた

身構え、感覚を上げると目の前の水路の水面が急に黒くなったと思えば激しい水しぶきを上げた

「っ、ぐぅ!?」

「パパ!?」

水が落ちきらない内に水が弾けたと思えば触手が俺の首と両腕に絡みついた
っ、強い力だな…………
少し力を入れねぇと水に引き摺り込まれる

水しぶきが完全に落ちきるとソイツは姿を現した
頭の部分が黒く、黒い斑点模様が見え、黄色い目が俺を捉えている

「なるほど……………、コイツがデビグルクラーケンか………………
めっちゃアオリイカやスルメイカに似てるな…………」

そう、何でか、見慣れてるなぁ、と思えばデビグルクラーケンって、アオリイカを大きくしたみたいな姿をしていた
やべぇ………………、食いたくなってきたwww
っと、食欲に素直になってる場合じゃねぇな

「っ!!  らぁぁぁぁ!!」

引き摺り込まれそうになっていたが俺はその触手を掴めば逆に一気に引っ張り、デビグルクラーケンを水から釣り上げた
そして雷の魔力を具現化、右手を刀っぽくして、残った左手で引っ張り、デビグルクラーケンを近付けさせれば、右腕を振り抜く
振り抜いた時、まるで紙を切ってるように軽く斬れ、デビグルクラーケンは一瞬にして、絶命したが………………

こうして見ると、本当にイカだな
旨そう…………

「パパ…………」

「ん? どうした?」

「お洋服…………」

俺がデビグルクラーケンを見ていればマソラに呼ばれ、見ればマソラが落ち込みながら服を見せてくればスカート部分が破られていた

「あー、破れたか
宿に行ったら直してあげるからな」

「っ、うん!!」

怒られると思ってたのだろうか、俺がそう言えば、さっきまでシュン、と落ち込んでいたのが嘘みたいに明るい笑みをマソラは浮かべた

うん、本当に可愛いんじゃあ♪

っと、こんなことをしてたら、夜になりそうだな
マソラにスカート代わりにタオルを巻かせて……………、このデビグルクラーケン、持って帰ろう
食いたい!!

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