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第1章 リオン・ムーン・ヴィエルジュ編
第7話:リオクリの芽吹き
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目が覚めると、そこは見慣れた自室だった。
頭痛が酷く、全身に筋肉痛が走っている。ディアは頭を抱え、現状を確認した。
(いたた。私、今まで眠っていたのかしら? えぇっと……目が覚める前、確かリオンと一緒にウッドサーペントに立ち向かっていて……。あぁ、融合魔法の反動で気絶してしまったのかもしれないわね。ゲームでもそのような描写があったような……)
「ディア?」
ヒヤリと冷たい声にディアの肩が揺れる。どうやら丁度、リオンが部屋に入ってきていたらしい。その手には軽食が乗ったトレーがあった。
まさか、あのリオンがディアに食事を持ってくるとは。ディアは驚いて、そのまま固まってしまった。リオンの方も同じく固まっていて、珍しく驚いているようだった。
ディアはなんとかそんな彼に声をかけようとしたが、喉がカラカラで上手く言葉がでなかった。
「ごほっ、ごほっ」
「っ! 水を飲め。お前は三日も眠っていたんだ。喉が渇いて当然だろう」
「えぇ!? 三日も!?」
はた、と思い出す。そういえば初めて融合魔法を成功させた主人公もそのくらい意識を失っていたような気がする。
まさか融合魔法の代償がこれほど大きいとは……。喉はカラカラ、お腹もぺこぺこ、おまけに頭痛は酷いし、最悪である。
リオンはサイドテーブルにトレーを置く。どうやら冷静さを取り戻したようだ。
──そして、ディアに頭を下げたのだ。
「すまなかった。俺のせいで、お前を危険に晒した」
「え!? お、お兄様!? そ、そんな……頭を上げてください!」
「簡単に許されるものとは思っていない。お前を殺しかけたも同然なのだから。いくらでも罵ってくれて構わない。ぶってくれても構わない。お前の気が済むなら」
「そ、そんなことしませんわ! 今までの私の言動は、お兄様に嫌われて当然のものでしたから。それよりもお兄様。私達、あの後……」
「あぁ。実は前もって父上に事情を話した上で、ディアの救助に出向いたんだ。だからあの後、すぐに救助が来た」
「なるほど。だからあの時、もう少しで助けが来るとおっしゃったのですね。流石、お兄様ですわ!」
「……そもそもお前を森に行かせたのは俺だ」
リオンは眉を顰めて、俯いた。
相当、後悔しているのだろう。ゲーム本編でも、彼は正義感が強い人間として描かれていた。
そんな彼にディアは思わず口角が上がる。
「もういいのです。私はお兄様を責めるつもりはありません。そうして謝罪していただけただけでも嬉しいですわ。──それよりもお兄様、約束を忘れていませんわね?」
「なに?」
「忘れたとは言わせませんわよ?」
ディアは森へ行く際に持ち歩いていた小袋を取り出した。その中から、ボロボロの水色に輝く花冠が落ちて出る。ディアの魔力に反応し、微かに輝くそれは明らかに魔花であった。
リオンの目が丸くなった。
「これは……。ディア、お前、いつの間に?」
「ウッドサーペントの身体には魔植物がたっくさん生えていましたからね。一つくらい掴み取れますわよ。まぁ、とにかく必死で、こんなにボロボロになってしまいましたが」
「はは、はははっ! お前には敵わないな。しかし、魔法の稽古なら俺よりもいい教師を父上が……」
「いいえ、お兄様でなくては駄目なのです! お兄様の魔法は世界一ですもの!」
それは、心からディアが思ったことだった。
共にウッドサーペントに立ち向かったリオンの氷魔法は本当に凄まじかった。
ゲームの終盤に出てくるような、いわば中ボスを相手に魔法初心者のディアが生き残ったのはほとんどリオンのおかげだ。これは前世の画面越しでは分からないことだろう。目の前でそう感じたからこそ、ゲームのキャラクターとしてではなく、一人の魔法使いとしてディアは彼に憧れるようになった。
……と、そんなディアの嘘偽りない賞賛を浴びて、リオンは一瞬石のようになり──耳まで真っ赤に染まった。ここまで動揺した彼の表情をディアは初めて見た。
「ば、ば、馬鹿者。世界一だなんて、そ、そんなわけないだろう! おだてるな!」
「そんなことありませんわ! お兄様の魔法は世界で一番カッコよかったですわ! 私を助けてくださった時の氷魔法の美しさといったら……命の危機だというのに見惚れてしまう程でしたし、それに……」
「も、もももういい! 分かった、分かったから! お前の容態が落ち着いたら稽古をつけてやるから、それ以上俺を褒めるんじゃない!」
「あら、お兄様ったら。お顔が真っ赤ですわよ?」
するとそこで、ノック音が響いた。ドアの方を見れば、クリスがこちらを見てキョトンとしている。
「ディアがネアンの森で怪我をしたと聞いて慌てて来てみれば……。随分、兄妹仲がいいみたいですね? 僕はお邪魔だったかな」
「クリス様っ! そ、そんなわけありませんわっ! クリス様がお邪魔だなんて! お見舞いに来てくださったんですの? 嬉しい! 推しのご尊顔より強いオタクの回復アイテムはありませんもの!」
「オタク??」
「はっ! な、なんでもありませんわ、おほほ。とにかく来てくださってありがとうございます」
クリスの顔を見た瞬間、ディアの瞳が途端に輝きだす。
それに気づいたリオンはムッと今まで感じたことのない複雑な感情を覚えた。
「そうだわ! クリス様、実は今後お兄様に魔法の稽古をつけてもらうことにしましたの。よろしければクリス様もご一緒にどうですか?」
「こ、コラ、ディア。クリス殿下は既に国一番の魔法使いの下で鍛錬なさっているんだぞ! わざわざ俺に習うまでもないだろう」
「いや、そんなことはないよ。魔法というものは人によって鍛錬方法や習得方法が大きく変わるからね。様々な人の魔法を学ぶのは無駄なことではないさ。そうだね、リオン殿の稽古には僕も興味があるよ。リオン殿、駄目かな?」
「え、えぇ。殿下がそうおっしゃるのならば、私は構いませんが……」
「んんんっ!!」
思わずディアは鼻を抑えた。溢れ出る萌えが血液となって、ディアの鼻から漏れだしそうになったからだ。
(こ、ここ、これは──く、く、クリス様がリオンに興味を示している!? つまりリオクリ(リオン×クリス)の始まりの予感!? クールでちょっぴりサディストなリオンが自分を慕ってくれる子犬系のクリス様の可愛さに、思わず加虐心が擽られて……なんて展開だったら私得!! はぁはぁ、この恋の芽は、一体どんな萌えを咲かせてくれるのかしら! か、考えるだけでも鼻血が止まらない……! リオクリ最高! リオクリ万歳!! ドチャシコビッグバンンンンンン!!)
──そんなディアの薔薇が咲く妄想をよそに、クリスの視線がディア自身に熱く注がれていることを、彼女はまだ気づかない。
頭痛が酷く、全身に筋肉痛が走っている。ディアは頭を抱え、現状を確認した。
(いたた。私、今まで眠っていたのかしら? えぇっと……目が覚める前、確かリオンと一緒にウッドサーペントに立ち向かっていて……。あぁ、融合魔法の反動で気絶してしまったのかもしれないわね。ゲームでもそのような描写があったような……)
「ディア?」
ヒヤリと冷たい声にディアの肩が揺れる。どうやら丁度、リオンが部屋に入ってきていたらしい。その手には軽食が乗ったトレーがあった。
まさか、あのリオンがディアに食事を持ってくるとは。ディアは驚いて、そのまま固まってしまった。リオンの方も同じく固まっていて、珍しく驚いているようだった。
ディアはなんとかそんな彼に声をかけようとしたが、喉がカラカラで上手く言葉がでなかった。
「ごほっ、ごほっ」
「っ! 水を飲め。お前は三日も眠っていたんだ。喉が渇いて当然だろう」
「えぇ!? 三日も!?」
はた、と思い出す。そういえば初めて融合魔法を成功させた主人公もそのくらい意識を失っていたような気がする。
まさか融合魔法の代償がこれほど大きいとは……。喉はカラカラ、お腹もぺこぺこ、おまけに頭痛は酷いし、最悪である。
リオンはサイドテーブルにトレーを置く。どうやら冷静さを取り戻したようだ。
──そして、ディアに頭を下げたのだ。
「すまなかった。俺のせいで、お前を危険に晒した」
「え!? お、お兄様!? そ、そんな……頭を上げてください!」
「簡単に許されるものとは思っていない。お前を殺しかけたも同然なのだから。いくらでも罵ってくれて構わない。ぶってくれても構わない。お前の気が済むなら」
「そ、そんなことしませんわ! 今までの私の言動は、お兄様に嫌われて当然のものでしたから。それよりもお兄様。私達、あの後……」
「あぁ。実は前もって父上に事情を話した上で、ディアの救助に出向いたんだ。だからあの後、すぐに救助が来た」
「なるほど。だからあの時、もう少しで助けが来るとおっしゃったのですね。流石、お兄様ですわ!」
「……そもそもお前を森に行かせたのは俺だ」
リオンは眉を顰めて、俯いた。
相当、後悔しているのだろう。ゲーム本編でも、彼は正義感が強い人間として描かれていた。
そんな彼にディアは思わず口角が上がる。
「もういいのです。私はお兄様を責めるつもりはありません。そうして謝罪していただけただけでも嬉しいですわ。──それよりもお兄様、約束を忘れていませんわね?」
「なに?」
「忘れたとは言わせませんわよ?」
ディアは森へ行く際に持ち歩いていた小袋を取り出した。その中から、ボロボロの水色に輝く花冠が落ちて出る。ディアの魔力に反応し、微かに輝くそれは明らかに魔花であった。
リオンの目が丸くなった。
「これは……。ディア、お前、いつの間に?」
「ウッドサーペントの身体には魔植物がたっくさん生えていましたからね。一つくらい掴み取れますわよ。まぁ、とにかく必死で、こんなにボロボロになってしまいましたが」
「はは、はははっ! お前には敵わないな。しかし、魔法の稽古なら俺よりもいい教師を父上が……」
「いいえ、お兄様でなくては駄目なのです! お兄様の魔法は世界一ですもの!」
それは、心からディアが思ったことだった。
共にウッドサーペントに立ち向かったリオンの氷魔法は本当に凄まじかった。
ゲームの終盤に出てくるような、いわば中ボスを相手に魔法初心者のディアが生き残ったのはほとんどリオンのおかげだ。これは前世の画面越しでは分からないことだろう。目の前でそう感じたからこそ、ゲームのキャラクターとしてではなく、一人の魔法使いとしてディアは彼に憧れるようになった。
……と、そんなディアの嘘偽りない賞賛を浴びて、リオンは一瞬石のようになり──耳まで真っ赤に染まった。ここまで動揺した彼の表情をディアは初めて見た。
「ば、ば、馬鹿者。世界一だなんて、そ、そんなわけないだろう! おだてるな!」
「そんなことありませんわ! お兄様の魔法は世界で一番カッコよかったですわ! 私を助けてくださった時の氷魔法の美しさといったら……命の危機だというのに見惚れてしまう程でしたし、それに……」
「も、もももういい! 分かった、分かったから! お前の容態が落ち着いたら稽古をつけてやるから、それ以上俺を褒めるんじゃない!」
「あら、お兄様ったら。お顔が真っ赤ですわよ?」
するとそこで、ノック音が響いた。ドアの方を見れば、クリスがこちらを見てキョトンとしている。
「ディアがネアンの森で怪我をしたと聞いて慌てて来てみれば……。随分、兄妹仲がいいみたいですね? 僕はお邪魔だったかな」
「クリス様っ! そ、そんなわけありませんわっ! クリス様がお邪魔だなんて! お見舞いに来てくださったんですの? 嬉しい! 推しのご尊顔より強いオタクの回復アイテムはありませんもの!」
「オタク??」
「はっ! な、なんでもありませんわ、おほほ。とにかく来てくださってありがとうございます」
クリスの顔を見た瞬間、ディアの瞳が途端に輝きだす。
それに気づいたリオンはムッと今まで感じたことのない複雑な感情を覚えた。
「そうだわ! クリス様、実は今後お兄様に魔法の稽古をつけてもらうことにしましたの。よろしければクリス様もご一緒にどうですか?」
「こ、コラ、ディア。クリス殿下は既に国一番の魔法使いの下で鍛錬なさっているんだぞ! わざわざ俺に習うまでもないだろう」
「いや、そんなことはないよ。魔法というものは人によって鍛錬方法や習得方法が大きく変わるからね。様々な人の魔法を学ぶのは無駄なことではないさ。そうだね、リオン殿の稽古には僕も興味があるよ。リオン殿、駄目かな?」
「え、えぇ。殿下がそうおっしゃるのならば、私は構いませんが……」
「んんんっ!!」
思わずディアは鼻を抑えた。溢れ出る萌えが血液となって、ディアの鼻から漏れだしそうになったからだ。
(こ、ここ、これは──く、く、クリス様がリオンに興味を示している!? つまりリオクリ(リオン×クリス)の始まりの予感!? クールでちょっぴりサディストなリオンが自分を慕ってくれる子犬系のクリス様の可愛さに、思わず加虐心が擽られて……なんて展開だったら私得!! はぁはぁ、この恋の芽は、一体どんな萌えを咲かせてくれるのかしら! か、考えるだけでも鼻血が止まらない……! リオクリ最高! リオクリ万歳!! ドチャシコビッグバンンンンンン!!)
──そんなディアの薔薇が咲く妄想をよそに、クリスの視線がディア自身に熱く注がれていることを、彼女はまだ気づかない。
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