絶対、破局 ~願うは、婚約破棄。その一択~

「僕の妻になるんだから、僕の好みに従ってよね。そして、僕に最高の贅沢をさせること。それが、君の使命と心得て」

 婚約式の日、婚約者となった第六王子エマニュエルにそう言われたグラディス。

 アシュトン侯爵家の跡取り娘として教育を受け、領地領民を愛する彼女は、しかしその爵位の高さから、不出来で素行の悪い第六王子を王家より押し付けられてしまった。

 しかも押し付けた後は知らぬとばかり、第六王子の素行をとがめるどころか、グラディスのせいだと国王はグラディスを貶める。

「よかったですね、あなた」

「ああ。王家は、この婚約を無かったことにしたいようだ。その願い、全力で叶えてさしあげようじゃないか」

 その国王の言葉に、グラディスの両親、アシュトン侯爵夫妻は黒い笑みを浮かべ、婚約破棄の絶対成立を誓う。

 婚約時に交わした、王家とアシュトン侯爵家との約束。

 それに従い婚約を破棄するべく、グラディスは両親や親友ルビーの協力を得て、着実に証拠を集めて行く。

 そして、願いが叶ったその時、グラディスにも新しい道が開く。
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