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しおりを挟む「なあなあ。今度は、仕事抜きで温泉来ようよ」
「いいですね。色々探してみましょうか」
泡ぶろでの行為を皮切りに、幾度も交わり合った俺と紅葉乃さんは、疲れ切っているのに爽快な気分、という状態でふたり布団に寝転んで、次回への思いを馳せる。
「どこがいいかなあ。ここみたいに、個室に温泉が付いているのがいいな、俺」
「俺もです。人目を気にしなくていい所がいいですよね」
そんな会話をしながらも、指を絡めたり、髪を撫でたりし合う。
この時間が、俺はとても好きだ。
激しく求め合うのとはまた違う、穏やかな優しさに包まれた幸福。
「あと、観光もしたい!」
「俺は、泡ぶろをもっと堪能したいです」
それなのに、ついぽろっと出る本音。
「え?」
真面目に旅行の話をしていた紅葉乃さんが、その俺の発言にきょとんとなった。
「折角だったのに、余裕が無くて余り見られなかったから」
「・・・・・」
「『泡人間~』とか言ってた紅葉乃さん、すっごくエロ可愛かったのに、ほんの一瞬で食っちゃったのが悔やまれます」
「いやいやいや。息吹きかけてくれちゃったりなんかしたりなんかしたよね?」
「日本語おかしくなっていますよ」
「それくらい動揺してんだよ!なんだよ、泡ぶろ堪能って!」
「正確に言えば、泡ぶろで紅葉乃さんを堪能したいんです」
ここまでくれば、隠したって仕方ない。
俺は正直に己の欲望を口にした。
「そんな凛々しい顔して言うことか?」
「だって、この顔、紅葉乃さん好きでしょ?」
にやりと笑えば、紅葉乃さんがぽかぽかと俺を叩く。
「ずるいぞ、そういうの。でもさ、泡ぶろってなら、別に旅行先でなくてもいいんじゃねえの?」
そういえば、と言い出した紅葉乃さんは、自分が墓穴を掘ったことを知らない。
「じゃあ、今度は俺ん家の風呂でしましょう。あそこ、結構な広さがあるから」
今俺が住んでるマンションは、紅葉乃さんと付き合うようになって、かなり厳しい条件で探した物件だけあって、セキュリティも万全だし、プライベートも守られる。
それに何より、俺が紅葉乃さんとの妄想をあれこれ繰り広げ、その場に相応しいと選んだだけあって風呂がとにかくいい。
泡ぶろになんて、最適じゃないか。
「え?鏡ん家で、って・・え?」
いつのまにか、泡ぶろが決定事項になっていて驚いている紅葉乃さん。
「楽しみにしていますね。はい、指きり~」
「うん?指きり~・・って、鏡!?」
驚いているうちに、俺につられて指きりして動揺しまくる。
そんな紅葉乃さんもめっちゃ可愛い、と俺は、目をくるくるさせる紅葉乃さんに、触れるだけのキスをした。
了
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