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 頑張ったな、俺の理性。 

 

「鏡!風呂!風呂入ってから!ここ、源泉かけ流しなんだって!だから直ぐ入れるから!」 

 漸くふたりきりになったそこは赴きある和室で、紅葉乃さんは、わあ、なんて可愛い喜びの声をあげていたけど、既にしてそれどころじゃない俺は、紅葉乃さんに悦びの声をあげさせるべく、早速と紅葉乃さんを押し倒そうとした。 

 だけど、その手をすり抜け風呂へと走る紅葉乃さんを見て、俺は乱暴に自分の前髪をかきあげた。 

 その目はきっと、獲物を狙う猛獣そのもの。 

「なら、一緒に入りましょう。洗ってあげますよ」 

 もちろん、洗うだけでは済まない。 

 猛る半身を思い切り紅葉乃さんに捻じ込み突き上げて、善がる嬌声が聞きたい。 

 もう我慢なんて出来ない俺は、紅葉乃さんを足早に追いかけた。 

「あれ?」 

 紅葉乃さんが居たのは、露天じゃなく個室になっている方の風呂で、その浴槽を前に紅葉乃さんが固まっている。 

 きょとん、と首を傾げるその姿は無邪気で可愛い。 

 流石にこの状態の紅葉乃さんは襲えない、と理性を総動員して見てみれば、その浴槽にはもこもこと泡が盛り上がっていた。 

「温泉なのに入浴剤がある、って入れたら、こんなんなった」 

 その言葉から、紅葉乃さんが意図してやったことではないと容易に分かる。 

 分かるけれど、そんな可愛い顔して俺を煽ったのが悪い。 

 俺は、まるで悪戯が見つかった子どものような表情で言う紅葉乃さんの手を引いて、ゆっくりとその着衣を脱がせにかかる。 

「紅葉乃さんのおねだり、嬉しいです」 

「おねだり?」 

「はい。泡プレイ。初めて、ですね」 

「なっ・・!・・そんなつもりじゃ・・あっ・・鏡待って!」 

 俺の言葉に紅葉乃さんは混乱しているけど、こんなチャンス逃すわけが無い。 

「ほら、紅葉乃さん。こっちの足あげて・・うん、上手。今度はこっちね」 

 紅葉乃さんが混乱して碌に抵抗もできないうち、するすると紅葉乃さんを裸にした俺は、一旦脱衣所に出て紅葉乃さんの服を籠に入れ、自分も速攻で裸になるとタオルを掴んで浴室へ戻った。 

 
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