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27.湯殿にて
しおりを挟む「ああ。今日も庭が白い」
ぐったりと寝椅子に横たわり、佳音はうつろな目を庭へと向けた。
今日も濃霧に覆われたそこがどれほど美しい庭園なのか佳音も楽しみにしているが、今はシライの気に入りだというだけで、庭そのものがシライのように思え、思わず睨みつけてしまう。
「シライの奴ぅ。ゆっくり、って・・・はあ」
一昨日の朝、佳音は体調不良だったシライを案じつつも送り出した。
そして、予告通り昼過ぎには執務を終えて戻ったシライを、安堵して迎えたのだが。
『佳音。オレの桃の精』
食休みの後、ゆっくり湯殿を使いたい、とシライに言われた時には。
そっか。
シライ、ゆっくりしよう、って言ってたもんな。
湯殿をゆっくりつかって、ゆっくり休むっていうのは癒されるよな。
などと思い、シライの要望通り共に湯殿へ行ったのだが。
は!?
ゆっくり、って。
ゆっくりってこういうことかよ!
という心の叫びと共に<ゆっくり湯殿を使いたい>とシライが言う、その本当の意味を知った。
「佳音」
それは、湯殿に入って結構な時間が過ぎた頃。
これまでと同じように互いに髪を洗い身体を洗って、さあ湯船に、というところで、シライは不意に佳音を抱き留め、自身と向かい合う形で座らせた。
「シライ?お湯につかるんじゃ・・・っ!」
そして、きょとんとした目でシライを見た佳音を自身の膝に抱き上げると、そのまま後孔へと指を這わせる。
「なっ」
予想外の事に、思わず逃げを打とうとした佳音は、その動きを封じられ、唇を塞がれた。
いつのまに潤滑油まで!
後孔に触れるシライの指は、滑りよくしっとりと潤っていて、佳音の後孔を傷つけることなく広げていく。
「ん・・・んっ」
そして口腔に入り込んだ舌に舌を絡め取られ、その口づけに夢中になった佳音は、自らシライの首に腕を回して抱き付き、腰をあげてシライの動きを受け入れた。
すごっ・・気持ちいい。
「くちのなか・・・もっと」
無意識に強請れば、シライの半身が熱くなるのが分かる。
佳音にはそれも嬉しくて、うっとりとシライの舌に酔うも、何故か絡み合う舌を外され、更には口腔から出て行く気配がして、離すまいと慌てて強く抱き付いた。
「佳音・・・」
再び深く入り込んだシライの舌が、佳音の口腔を蹂躙するように動き回り、後孔の指が増やされて自ら腰を揺らしてしまう佳音の、その胸の頂をシライが指で摘まみ上げる。
「あっ」
加わった新たな刺激に佳音の半身が立ち上がり、知らずシライの足へ擦り付ければ、後孔から指を引き抜いたシライが、自らの熱杭と共に佳音の半身を握り込んだ。
「えっ・・なっ」
何が起きたのか分からないまま、強い快楽の波に呑み込まれた佳音は、シライの熱杭も限界が近いことを悟って、懸命にシライの手を止めようと動く。
「いいから、任せろ」
「んっ・・だめっ・・・シライはっ・・・なかでっ・・おれに・・そそい・・・っああっ」
乱れる息で懸命に訴えた佳音は、次の瞬間より強い力で扱きあげられ、呆気なくシライの腹に吐精した。
「あっ・・あっ・・まって・・いま・・いったばっか・・っ」
「佳音は、オレを煽る天才だ」
達したばかりで敏感になっているそこを、尚もシライの熱杭と共に擦られ、佳音は息も絶え絶えにシライに縋り付く。
「蕩けた顔をして・・本当にオレの桃の精は可愛いな・・・っ」
耳に囁かれる息も熱く、佳音は再び何かが押し寄せるのを感じた。
「やっ・・なんかっ・・なんか・・へん・・・んんっ・・・ああっ」
そして己が吹き上げたものを呆然と見つめる佳音を、シライが愛し気に抱き寄せる。
「潮を吹いただけだ。案じることは無い」
「な・・なに?・・あっ」
混乱する間にも、シライの手は止まらず、佳音はシライが吐き出した大量の熱いものが自分の腹にかかるのを見た。
「ああ・・・堪らぬ」
己の白濁に塗れた佳音を見たシライは、ぐっ、と歯を噛み締めたかと思うと佳音を横抱きに抱き上げ、そのまま湯殿を出る。
「し、シライ!?俺、身体洗いたい・・・っ」
シライに身を委ねながらも佳音が訴えれば、即座に洗浄され濡れていた肌さえも乾く。
「え?すごい」
一瞬、現状を忘れ感動した佳音は、柔らかい寝台の上にとさりと下ろされた。
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