エロゲーの悪役に転生したはずなのに気付けば攻略対象者になっていた

柚木ハルカ

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おまけ(完結後)

リュカ誕生日*

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 12月28日。とある屋敷の敷地内に立っている、とある診療所の休憩室。
 その室内は、まだ陽が昇っている時間体にもかかわらずカーテンを閉められ、テーブル上のランプだけが灯されていた。そして集まっている人間が4人。

 まるで密会のような雰囲気が作られている中、俺は他3人に視線を向ける。

「お前達に集まってもらった理由は1つだ。……わかっているな?」
「もちろん。奴への誕生日プレゼントをどうするか、じゃな」
「去年はプロポーズするための結婚指輪でしたよね。その場面は見ていませんが、想像するだけでも素敵です。でも、だからこそ今年はどうするか、悩むのはわかります」
「彼、物欲がないものねぇ。心が籠もったものであればなんでも喜んでくれるだろうけど……ザガン君から欲しいものと考えると、ねぇ」
「リュカが最も望んでいるものは、ザガン本人だからな。1番喜ぶものがわかっておるのに、他のものを渡すのは難しいじゃろう」

 うちで働いている友人達の言葉に、神妙に頷いてみせる。
 彼女達に集まってもらったのは、まさしくその問題をどうすべきか相談したかったからだ。いくら考えても、リュカの欲しいものが俺以外に浮かばない。たとえ他のものを用意しても、俺自身に比べると全部劣ってしまう。自意識過剰な考えだと思われそうだが、真実なので仕方ない。

「ちなみにわらわは、今回もセックス用ローションだぞ。香りはバニラにしてみた」
「そうなのか。俺の誕生日に貰ったものは、もう使い切ったからな。誕生日のたびにローションを貰えるのは、とても助かる」
「うむ。2人で存分に楽しむがよいぞ」
「私は今年も小説をプレゼントするわねぇ。たくさんある物語の中から2人に合うのを選ぶのは、とても楽しいわ」
「僕もいつも通り、ザガンさんと一緒に食べられるお肉マシマシ弁当を作りますね」
「ありがとう。どちらも楽しみにしている」

 リュカが喜ぶプレゼントは、高価なものや珍しいものではなく、俺と一緒に楽しめるものだ。それを友人達は理解している。もちろん俺も。だからこそなおさら、俺がリュカに贈るものは、俺自身しか考えられない。

「やはりリュカが心から喜んでくれるものが俺である以上、物を贈るのではなく、普段はしないことをして喜ばせるほうが良いか」
「そうじゃな。普段はしないプレイとか、衣装を着るとか……」
「それならメイド服姿の、ご主人様プレイはどうかしら? 普段は絶対にしないでしょう?」

 シンディがベネットを見ながら、キラリと眼鏡を光らせる。
 突然すごい案を出されて声が出なかったが、いやしかし、確かにそういうプレイはしたことがない。スカートを穿いた経験もない。以前着たウェディングドレスのランジェリーは、あくまでも下着であって、スカートではない。

 だからかなり抵抗感があるが、どうせリュカしか見ないので、リュカが喜ぶのであれば……と考えたところで、ベネットが真剣な顔でスッと手を挙げてきた。

「リュカ様とザガン様はどこまでも対等でいてほしいので、僕は反対です。代わりに、エプロンだけ身に着けた、旦那様呼びを提案いたします」
「裸エプロンに旦那様か。……うむ、良いのではないか?」
「そうね……ザガン君にそれをやられたら、リュカ君は大喜びどころじゃなくなりそうだわ。うふふ、さすがはベネットちゃん、2人に合った素敵な提案ねぇ」
「ありがとうございます。シンディさんにそう言っていただけると、お2人を支える身として自信が持てます」
「エプロンであれば、すぐに準備出来るというのもよいな。ザガンが着るメイド服となると、特注せねばならんし」
「そうですね。あ、エプロンはフリルの可愛いものが良いですか? それとも男性用のシンプルなものに?」
「わらわはフリルに1票じゃ」
「お姉さんもフリルの可愛いほうが良いわぁ」
「僕もそちらのほうが、リュカ様が喜ぶと思います。ザガン様、よろしいでしょうか?」

 女性3人によってどんどん話が進んでいくのをひたすら聞いていたら、いきなり同意を求められたので、つい頷いてしまった。裸エプロン自体恥ずかしいので、せめて男性用のシンプルなほうが良かったんだが、時すでに遅し。

「ではお忙しいご主人様の代わりに、僕が用意しておきますね。大船に乗ったつもりでお任せください」
「…………ああ、任せた」

 確かに忙しい。今日は女神が王城で仕事をしなければならないから俺は休んでいるが、明日明後日はまた地方を巡る予定だ。それにリュカの誕生日パーティーは王城で行われるので、31日は伴侶として準備の手伝いをしなければならない。

 だから買ってきてくれるのはありがたいが、やはり裸エプロンは恥ずかしいな。しかもフリル付きなんて、どう考えても男には似合わない。でもその格好をするのはあくまでもセックス時なので、より倒錯的なほうが、リュカを滾らせられるのは確かだ。
 それに3人とも俺の相談したいという声に集まり、親身になって考えてくれたのだから、採用すべきである。……他に案も浮かばないしな。







 1月1日、夜。リュカの誕生日パーティーが終わり、女神に屋敷まで送ってもらった。
 2神との新年パーティーも含まれていたせいか本当に大勢の参加者がいて、かなりの人数がリュカに話しかけてくるので、それを横で聞いているだけでも大変だった。中には俺に話しかけてくる者もいたし。まぁその大半は魔物であり、彼らは俺達を神の眷属として見てくるので、問題ないが。

 ただたまに、笑顔の裏に『なんでこんな男がリュカの伴侶なんだ』と、嫉妬や嫌悪を抱えている人間がいるだけで。闇属性なので負の感情を持たれているのはなんとなくわかるし、人としてそういう感情が芽生えてしまうのはどうしようもないため、思っているだけなら女神は何もしない。

 嫌悪されるのは不快だが、リュカの伴侶である以上覚悟していたことでもある。だからリュカに心配されても、1秒たりともリュカから離れなかった。2神が、俺達の関係を壊そうとするものは排除すると約束してくれたからといって、その好意に甘んじるつもりはない。

 そんなわけで結婚してもなおリュカに近付こうとする者達への牽制も含めて、あまりの人の多さに精神的に疲れたので、帰宅したらすぐに風呂に入った。湯船に浸かり、リュカに寄りかかる。

「はぁ……疲れたね、ザガン」
「ん、疲れた……」

 同意すると、ちゅっと頬にキスされた。それから腹に置かれていた手が、股間を撫でてくる。風呂でヤりたい時はそのまま流されるが、今日はその腕を掴んだ。するとリュカは、耳元で甘く囁いてくる。

「今日は、お風呂でのエッチは、駄目?」
「ん。ベッドでしたい」

 風呂では、エプロンが着られないので駄目だ。リュカの誕生日を俺なりにきちんと祝うためにも、ここを譲るわけにはいかない。

 ちゃんとベッドでと言ったので、リュカはすぐに手を離してくれた。代わりにちゅっちゅっと、頭やこめかみにキスしてくる。少々足りなくてリュカのほうに顔を向ければ、ちゅっと、唇にもキスしてくれた。満足して頷けば、ふふっと嬉しそうに微笑んでくる。

 しばらくして湯船からあがり、身体を洗って、また少しだけ湯に浸かり。そうして風呂から出たら、脱衣所で身体を拭いた。使用人達が用意してくれるふかふかのバスタオルが、とても気持ち良い。バスローブも気持ち良い。だがすぐに脱ぐことになる。

「リュカ、先にベッドに入っていろ」

 そう告げると、ぱちぱち瞬きされたあと、ぎゅっと抱き締められた。

「ふふ、了解。楽しみに待ってるね」

 以前ウェディングランジェリーを着た時も先に出るよう促したが、あの時は「どうしたの、待ってるよ?」と言われたので、背中を押して脱衣所から無理矢理追い出した。けれど今回は、自分から出ていくリュカ。

 まぁ2回目だからな。俺がここで何をするかは、知られている。どんな格好で出てくるのか、楽しみにしてくれるのも嬉しい。……期待に沿えるかどうかは不明だが。

 マジックバッグから、まずはリボンを出した。自分では何も用意しないというのも憚れたので、出先の村で購入したものである。それからベネットが買ってきてくれたエプロンを出した。白で、縁が全部フリルになっている、短めの可愛らしいエプロン。改めて見ても男用ではない。

 これを着るのは恥ずかしいが、躊躇していてもどうにもならないので、さっさとバスローブを脱いだ。紐が背中でXになるように頭と腕を通して、前かけの端から出ている紐を腰辺りで結ぶ。あとは自分がプレゼントであること主張するためのリボンを、まだ萎えているペニスに結ぶ。これで完了である。

 脱衣所の鏡で、自分の姿を確認してみた。……自分だからか、似合っているとはまったく思えない。女のように胸が膨らんでいるわけではないので、裸エプロンの意味もあまりない気がするし。尻が出ている後ろ姿であれば、興奮させられそうか?
 あとは旦那様呼びだな。旦那様、旦那様……そんな呼び方されて、リュカは喜ぶだろうか。いまいちわからない。でも友人達が俺達のために考えてくれたことなので、実行はしよう。

 脱衣所から出ると、リュカはベッドに腰かけて待っていた。裸エプロン姿の俺を見て、とても嬉しそうに微笑んでくる。

「ザガン、すっごく可愛いよ。ホント可愛い」

 普段と違う格好で出てくることは予測されていたので、ウェディングドレスの時のような驚きは見られない。けれど表情を見れば、どれだけ喜んでいるかわかる。それに可愛いと言ってきたなら、リュカ的に合格な格好なんだろう。……俺がリュカのためにした格好なら、どんなものでも可愛いと言いそうだが、気にしてはいけない。
 
 羞恥はどうしても湧くものの、それでも褒めてもらえたことにホッとして、リュカに近付く。すると彼は、両腕を広げて迎えようとしてくれた。そんな腕の中に入る前に、伝えておくべきことを口にする。

「誕生日おめでとう……旦那様。プレゼントは俺だが、受け取ってくれるか?」

 告げた瞬間、リュカは笑顔のまま固まった。数秒経っても動かないので、エプロンを両手で摘まんで、ちょっと持ち上げてみる。ペニスの先端が、見えるか見えないかくらいの位置。

「旦那様、さっそく味見するか?」

 首を傾げて、もう一度聞いてみる。するとリュカはようやく動いた。両手で顔を覆い、グゥッと喉を鳴らす。あからさまに誘ったのですぐに抱き寄せられてしゃぶられるかと思ったが、悶えるのが先らしい。

「……、……ッ、……俺のザガンが尊い!」 
「落ち着け、旦那様」
「あああぁ俺の奥さんがこんなにも可愛いぃ……!」

 どうやら旦那様呼びが、クリティカルヒットしたようだ。普段は絶対にしない奥さん呼びしてくるあたり、ものすごく喜んでいる。こんな反応をされると、俺まで嬉しくなってくる。

 悶えているリュカの膝に乗り上げて、頭を抱いて撫でれば、腰をぎゅうぎゅう抱き締められた。喜びが溢れるまま、グリグリ顔を押し付けてくる。俺を心から愛してくれる、そんな姿が愛おしい。

「俺の旦那様も、とても可愛いぞ。リュカ、産まれてきてくれてありがとう。愛している」

 髪を梳きながら囁けば、リュカは頭を動かすのを止めた。代わりに胸元に埋めていた顔を少しだけ上げて、頬をほんのり赤く染めながら、上目遣いで俺を見てくる。

「……可愛いって言われるの、結構恥ずかしいけど、嬉しいね」

 そういえば可愛いとリュカにきちんと伝えたのは、これが初めてか。普段は思っているだけだし、言葉にすることもあるが、リュカが寝ている時だけである。思わずポロリと出てしまったものの、嬉しく感じるのなら、リュカの格好良さを損なわない程度に今後も伝えよう。

 コクコク頷いていると、リュカはふふっと笑みを零す。

「ザガンありがとう。君に誕生日を祝ってもらえるなんて、すごく嬉しい」

 腰に回っている腕が解かれたと思えば、触手が何本か伸びてきた。胴や足に巻き付いてきて、持ち上げられて、ベッドの真ん中まで運ばれる。そうして大きなクッションを背にして緩く座らされたら、触手が消えた。
 リュカは俺の真正面で膝をつくと、左手を取り、薬指に嵌めている指輪にキスしてくる。

「俺の可愛い奥さん。さっきみたいに、可愛いおちんちん見せてくれる?」
「…………ん」

 言葉にされると羞恥が湧くが、求められるのが嬉しくもある。だから手を離されると、先程のようにエプロンを摘んで、そろそろと持ち上げていった。ゆっくりと見せていき、先端が外気に触れる。それでもなお持ち上げて、根元で結んでいるリボンまで晒した。

 誕生日プレゼントであることを主張したそこを、リュカが蕩けた表情で見つめてくる。

「こんなに素敵なプレゼントを貰えるなんて、本当に嬉しいよ。ありがとうザガン」

 ちゅっと唇にキスされたあと、リュカの頭が股間に下りていった。でもすぐには咥えず、じっくりと観察される。間近から観察されるのが恥ずかしくて、早く舐めてほしくもあって、だんだんペニスが擡げてくる。するとリュカも興奮したようにはぁと熱い吐息を零すから、もう我慢出来なかった。
 完全に勃起してしまい顔が熱くなるし、羞恥に震えてしまう。するとリュカは、小さく笑う。

「ふふ、見ているだけで勃起しちゃったね。ホント可愛い。たまんない。いただきます」

 もっと言葉で苛められ羞恥を煽られるかと思いきや、すぐにペニスを咥えてくれた。温かな咥内に先端を包まれた状態で、尿道を舐められる。舌先でほじられるだけで腰が震える。ちゅうと吸われるのも気持ち良いし、竿を舐められる舌の感触も、リボンの巻いた根元まで咥えられるのも気持ち良い。しゃぶられながら、睾丸をくにくに揉まれるのも堪らない。

「ふぁ、あ……ん、リュカ……ん、ん……」

 アナルにも指が伸びてきて、縁をそっと撫でられた。窄まりに指が挟まってくるから、ひくりと収縮して。しかし柔く押されるばかりで、胎内にまで入ろうとはしない。早く咥えたくて括約筋がヒクヒクするし、奥も疼いてくる。リュカのペニスが欲しくて、腰を揺らしてしまう。

「あ、ん……リュカ……なか、……なかに」
「ん……ちょっと、待ってね」

 どうにか入れてほしくて言葉にすると、リュカはペニスから口を離した。まだイっていないから、勃起したまま。唾液や先走りでテカテカ光っているそこを愛しげに見つめられ、ちゅっとキスされたあと、リュカは着ていたバスローブを脱ぐ。

「うつ伏せにするからね」

 途中で止められたもどかしさに震えながらも頷くと、再び触手が巻き付いてきて、身体を持ち上げられた。大きなクッションの位置を変えられ、その上にリュカの脱いだバスローブを置かれる。そしてそこにうつ伏せで身体を置かれれば、尻を突き出す格好になった。
 普通サイズのクッションも胸下辺りに入れられて、もう1つは見える位置に持ってこられたので、抱える。楽な体勢になって、ふぅとひと息。

 その直後、尻をスルリと撫でられて、小さく跳ねた。

「はぁ……裸エプロン、すごくエッチで可愛い。ザガン、こっちも舐めて良い?」
「……ん」

 頷くと、ありがとうと言われたあと、尻の間を開かれた。中まで外気に触れているような感覚に、ぶるりと背筋が震える。尻の間に顔を埋められ、リュカの熱い吐息がかかるだけで気持ち良く、舌先がアナルに触れるともう堪らなかった。弄ってほしかった括約筋を刺激されるのも、唾液からリュカの魔力が少しずつ浸透してくるのも本当に気持ち良くて、感じ入ってしまう。

「あ、ん……リュカ……ふぁ、きもち、い……あ、あん……」
「ん……うんうん、気持ち良いね。俺の舌を何度も締め付けてきて、味わおうとしてるのが伝わってくるよ。ふふ、ホント可愛い」

 ちゅ、ちゅ、と縁をキスされたあと、また舌先が入ってきて、クリクリほじられる。舐められるの気持ち良いけれど、奥が疼きすぎて我慢出来なくなってきた。だからか腰を大きく振ってしまい、舌が抜ける。

「リュカ、リュカ……も、も……」
「ああ、我慢させすぎちゃったね。じゃあザガン、プレゼント貰って良いかな?」

 その言葉にコクコク頷けば、すぐに腰を掴まれ、ペニスを宛がわれた。縁に挟まってくる熱さに、腰が蕩けそうになる。くぷりと侵入してきて、括約筋を大きく広げられるのも、ゆっくり胎内を埋められるのも、すごく気持ち良い。

「ふぁ、あ……ぁ、ん……ん、あ……♡」

 結腸手前まで入ってきて、くちくちと奥を嬲られる。気持ち良くて蕩けているところをさらに柔らかくされて、感じ入っていると、さらに奥まで侵入してきた。亀頭が結腸に埋まり、快感が溢れて、全身の痙攣が止まらない。

「♡……、……、ん、――……♡」
「はぁ……すごく、搾ってきてる。ザガンに根元まで包まれるの、ホント気持ち良い……ザガン大好き」

 根元まで埋め込まれたあと、背中に覆い被さってきて、腰に片腕を回された。もう片方……左手は俺の左手を取り、指を絡められながら握ると、指輪にキスしてくる。それから頬に頬をくっ付けてきて、軽くすりすりされた。

 中をリュカでいっぱいに満たされて、全身もリュカに包まれて。自分が完全にリュカのものになっているこの瞬間が、堪らなく嬉しい。嬉しさが溢れすぎて、少しでも軽減させようと頬をすりすり擦り返してしまうし、言葉も零れていく。

「リュカ、リュカ……好きだ、好き……大好き」
「俺も大好きだよ。ふふ、ザガン愛してる、……ザガン、ザガン」
「ん……あ、ん……♡、ん……ふぁ、あ」

 腰を小さく揺らされて、奥を刺激されて、快楽が全身を巡っていく。きゅっと胎内を締めると、リュカも気持ち良さそうに声を漏らし、さらに腰を動かしてきた。

 最初は小刻みに奥をつつかれたが、次第に大きな動きに変わっていき、腸壁全体をずりずり擦られる。ぬぷ、ぬぷっと何度も結腸を出入りされて、どんどん快感が大きくなり、全身をぐるぐる回る。あ、あ、もう駄目だ、イきたい、イきたい。

「リュカ、あ、あんん、ふぁ……、あ……っ、ん、ん――……ッ♡」
「は、あ……、っ……んんん、ん……!」

 ブワブワッと快感が溢れ、弾けていく。気持ち良い、気持ち良い。ぎゅうううと胎内を強く締めたことでリュカも震えて、奥の奥まで埋め込まれた状態で射精された。リュカの精液が染みてさらなる快感に見舞われ、硬直も締め付けもしっぱなしになる。

「――……ッ♡、……あ、ん――……っ♡」
「ん……はぁ……、ザガン、ザガン……」

 たくさん出された精液を塗り込めるようにゆるゆる動かれて、それだけですごく気持ち良くて、痙攣が止まらなかった。何度もペニスを締め付けてしまう。

「ふぁ、りゅか……すき、すき……」
「うんうん、俺も大好きだよ。ザガン……俺だけの、ザガン」

 耳元で甘く囁かれて、胸から幸せがいっぱい溢れた。リュカからも幸せがいっぱい伝わってくるから、さらに幸せになって、つい笑みが零れてしまう。するとリュカは、うううっと呻く。

「俺のお嫁さんが可愛すぎる……っ。ホント幸せ。ザガンからのプレゼント、最高に嬉しい」
「ん……来年も、同じプレゼントで良いか?」

 さすがに同じ格好はしないと思うが、それでも毎回俺では手抜きに感じられて機嫌を損ねてしまうかもしれないので、一応確認を取る。ただまぁ、相手はリュカなので。

「もちろんだよ。むしろ毎年ザガンが欲しいな。あと誕生日の時だけでも、君の中に入ったまま眠れたら、最高だろうなぁ」

 と、予想通りの言葉が返ってきたが、ついでに予想外の催促までされてしまった。リュカのペニスを入れたまま眠るなんて、出来るだろうか? 何度もイかされて、寝落ちすれば可能か?

 考えている間にも、リュカは再び腰を動かして、胎内を嬲ってきた。くちゅんと奥をつつかれて、身体がぶるりと大きく震える。

「ふぁ、ん……お手柔らかに、頼む」
「うんうん、ザガンの全身が俺の魔力で満たされて寝ちゃうくらい、いっぱいしようね」

 どれくらい中出しされればそうなるか不明だが、リュカの子種でいっぱいにされるのは正直とても心地良いし、幸せになる。でも素直に頷くのは少々憚れたので、すぐ横にある顔をじっと見つめると、ふわりと微笑まれた。

「おめめ、ハート浮かんでてトロトロだ。ふふ、久しぶりのツンデレなザガン、可愛いなぁ」

 何も言っていないのにツンデレになるのは、どうなんだ。

 そう思わなくもないけれど、奥をくちくち混ぜられるのはとても気持ち良くて、ぎゅっと抱き締められて愛がたくさん伝わってくるのも幸せで……結局反論せずに、すりすりとリュカの頬に頬を擦り寄せた。


 ...end.
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