82 / 120
連載
86話*
しおりを挟む夕飯を食べたあと、友人達と少し話してから、自室に戻った。すでに風呂は沸いていたが、腹いっぱいなので、もうしばらく時間を置いた方が良いだろう。
そう思いながらソファに座ろうとしたところ、金の触手が伸びてきて、身体を持ち上げられた。そうして俺を抱えた状態で、ソファに腰掛けるリュカ。じっと見つめれば額にキスされ、頭にすりすりと頬を寄せられる。
謁見の間にて闇組織への処遇が決定した翌日から、リュカは多忙になり、俺達は朝から晩まで離れるようになった。だからか2人きりになると、すぐに抱き締めてくる。
俺も離れていた時間を埋めたいし、彼に包まれてキスされるのは嬉しい。だがいつも先に行動されてしまうので、ちょっと悔しい。俺からも抱き締めてキスしたいのに、タイミングを計る時間すらくれないのだ。
たまには抗議しようとグイグイ頭で押し返してみれば、リュカは顔を上げ、困ったように首を傾げてきた。
「ザガン? どうしたの?」
声をかけてきた、その頬にキスをする。よし、満足した。コクコク頷けば、彼は驚いたように瞬きしたあと、ふふっと笑みを零す。
「ザガン可愛い。ねぇザガン、今日はどうだった? 出掛け先で、何か問題は無かった?」
「今日訪ねたところは人口1200人ほどの小さな村だったからか、闇属性の差別に対する意識は、あまり変わっていないようだった。魔物も1体もいなかったな。だがいつも通り、問題は無い」
俺はこの4ヶ月、朝迎えに来てくれる女神リュヌと、フェンリル、ライトドラゴンと共に、国内のあちこちを訪問していた。
女神達の目的は、2神が復活したことで国民達の意識がどう変化したか、および諸々の現地調査である。他にも何百組もの調査グループが形成され、それぞれに各地を訪問している。
俺はそこに便乗させてもらおうと、女神に頼んだのだ。少しでも闇属性への差別を無くしたいから。
ドラゴンの飛行スピードはペガサスより断然速く、王都から王国端まで3時間もあれば到着する。なので移動時間はあまり掛からないものの、ソレイユ王国は広大で、都市や町、村といった自治体は、3万以上もある。訪問先で仕事もしなければならない為、1日1ヶ所が限界だ。
人口10万以上の都市に分類されている自治体では、流通が盛んなので情報が届きやすいし、100体は魔物が住んでいる。魔清を纏っているスピリット達が街を闊歩すれば、神ソレイユの復活を身近に感じずにはいられないだろう。それに都市では、魔物同伴の闇属性達も活動してくれているので、差別はおのずと減ってくれるはず。
だが人口5千以下の、村に分類される自治体には、魔物が1人も住んでいない場合が多い。夜に月が浮かぶようになり、全国紙には2神復活および千年前の真実が掲載された。それでも実際に神の御前に立たなければ、国がどれほど変化しているか感じにくいものだ。
なので村を訪れると、相変わらず差別される……どころではなく、ドラゴンやフェンリルの出現により、大混乱になる。王都や大都市から遠いところに住んでいる村人達にとっては、まだまだ物語や教科書にしか出てこないような、架空レベルの魔物である。
そうして焦っているところに女神が思念によって話しかければ、必ず武器を捨ててひれ伏してきた。ほんの僅かな威圧だけでも頭を上げられなくなるのが、神という存在である。
魔物が住んでいれば、女神が訪れた時点で姿を見せるので、そうでないなら住んでいない。
あとはフェンリルとドラゴンが、村人達にきちんと全国紙の内容を把握しているか、ついでに闇属性への差別ついてはどう考え、対処しているかも聞いてくれる。きっとどの村でも、闇属性が生まれた場合は殺しているか、母親ごと捨てているのだろう。そうでなければ、小さな村では生きていけない。しかし女神リュヌの前でそのような内容を言えるはずがなく、彼らはひたすら震えながら謝罪するだけ。
俺はというと、そんな村人達に、王都や大都市がどう変化しているか伝えていた。
神ソレイユがよく空を駆けていて、そこらに下りては国民と交流していること。王都の人口は100万以上だが、人化していた魔物は1万を越えており、闇属性への差別どころではなくなっていること。今まで居場所が無かった闇属性達は、新たに建設された神立大図書館に匿われ、平穏に暮らしていること。それと女神の眷属である俺が、神の眷属であり第2王子であるリュカと結婚し、6月には結婚式を挙げることも。
全国紙に何度も掲載されている内容ばかりだが、改めて人から聞くことで、国の変化をより身近に感じられるはずだ。
女神リュヌの圧倒的強さに圧されている彼らは、人間というだけで安心するのか、黒髪を晒している俺の言葉でもきちんと聞いてくれる。
小規模な村で、差別をいきなり無くすのは難しいかもしれない。だから今後この村に闇属性の赤子が産まれた時には、せめて殺さずに、差別の薄まっている自治体に預ける。そんな選択肢もあることを知っておいてほしい。もちろん迫害せずに親元で育てられるのなら、そうしてほしいけれど。
他の確認事項は、税金関係、警備関係、各ギルド、教育機関、裁判所、教会などいろいろあるが、どれも女神達の仕事であり、俺は一切関与していない。冒険者らしく冒険者ギルドに行き、依頼を確認してから、村の外を見回っている。
今はまだ神ソレイユの怨念がたくさん残っているので、モンスターと遭遇すれば問答無用で攻撃してくる。だが怨念が薄れれば、襲ってくるモンスターは減るだろう。それにスピリットも出現するようになる。
スピリットでも獰猛な奴はいるし、逆に刺激さえしなければ、近くを歩けるモンスターもいる。どの魔物が危険で、どの魔物が危険でないのか。常に注意深く観察し、情報を更新していかなければならない。
「リュカの方は、どうだった? 明日から3日間休むからと、たくさん仕事を押し付けられるような、酷いことはされなかったか?」
「ふふ。大丈夫、そんなことはされないよ。両親に兄上、爺様達。他にも王家みんなで協力して、仕事してるからね。それに優秀な文官もたくさんいるし、何より大臣達がすごいよ。5千年間ソレイユ王国を支えてきた方達なだけあって、事務能力がとんでもなく高いんだ」
「お前が無茶していないなら、俺としては問題無い。家族も元気のようだな」
リュカは相変わらず、家族ととても仲が良い。俺も結婚報告時に話したが、リュカの家族らしく、良い人達ばかりだった。特に王太子は、リュカのことをいろいろ教えてくれた。リュカが結婚相手を見つけてくるとは思わなくて、とても驚いたとも。
『この子はどうしてか、幼い頃からあまり感情が動かなくてね。何をしても喜ばない、悲しみもしない。けれど剣術も座学もあまりに優秀だったから、周囲からは恐れられていたよ。私からすれば、話しかけたらちゃんと聞いてくれるし、言葉も返してくれる、素直で可愛い弟だったんだが』
『いつも心配してくださる兄上を、俺はずっと尊敬しているし、大好きですよ。でも可愛いのはザガンです』
『旅に出るまで、このような言葉を返してくる男でもなかった。だから大切な人が出来たという手紙が届いた時は、とても驚いたが、本当に嬉しかったよ。リュカに、誰かを好きになれるほどの感情があったのだと。――ザガン殿。弟と出会い、その想いに応えてくださったこと、心より感謝します』
さすがはリュカの兄、素晴らしいほどの人格者である。リュカが旅先でことあるごとに手紙を送るくらい、頼っていたのも頷ける。
ちなみにソレイユ王に対して、謁見の間では闇属性として喧嘩腰な態度を取ったが、挨拶時はきちんと敬語で話した。リュカの父親であり、リュカが心から尊敬しているので、俺も敬意を示すべきである。
結婚についても、反対されなくて良かった。もし了承されなかったら、リュカを大森林に拐わなければならなかった。
彼らには結婚式の相談も乗ってもらい、6月に決定した。挙式と披露宴は王城でやり、翌日には国民に披露しながら神立大図書館に移動、大図書館にて2次会。王が王城から出られず、クラージュも大図書館から出られないので、俺達が移動することになった。
「そうだ。帰りに大図書館に寄って、クラージュに2次会の準備を頼んできた」
「ありがとう。クラージュ、やってくれるって?」
「ぐちぐち文句は言われた。なんで私に頼むんですか、そもそも結婚式の2次会とはどういうものなんですか、仕方無いので調べてあげますけどね、雰囲気の要望くらいはあるでしょう、とかなんとか。文句を言いながらも、嬉しそうだった」
「ふふ、引き受けてくれたなら良かった。要望は、何か伝えた?」
「参加者が俺の友人達とノエル、神ソレイユと女神リュヌ、うちの使用人、クラージュのところの希望者だけなので、気軽なものにしてほしいと伝えておいた。豪華な食事を出すだけでも良いと。……でも1つくらい、皆が楽しめる企画があると嬉しい、とも付け足しておいた」
正直俺も詳しくないから、それ以上は言えなかった。ただクラージュと話していた際、女神が隣にいたからか、聞き耳を立てていた魔物達がいた。そしてあれこれ意見を出し始めたせいで収拾付かなくなったので、あとはクラージュに任せて、屋敷に帰ってきたのである。
そう説明すると、リュカは小さく苦笑を零した。
「みんなが協力してくれるんだね。どんなパーティーになるのか、今から楽しみだね」
頷く。クラージュに準備を任せれば、闇属性達も安心して参加出来るだろう。資金はいくらでも出すので、クラージュ自身を含め、参加してくれる皆が楽しめるパーティーにしてほしい。リュカは多忙なので手伝えないが、俺は帰宅前なら図書館に寄れるので、いくらでも打ち合わせが可能だし。……俺が役立つかどうかは、置いておく。
まぁさすがに、幹事を引き受けてくれたクラージュへの謝礼は、俺達だけで用意しなければならないが。何をやれば喜ぶのかまったく想像出来無いので、それとなく調査するか。
そんなことを考えていると、ふと左手を取られた。首を傾げつつリュカを見上げれば、指輪付近にちゅっとキスされる。
「そろそろお風呂に入ろっか。明日は休みだから、一緒に……ね?」
ん、確かにそろそろ入れそうだ。というわけで、懐からスッと、あるものを出す。すると気付いたリュカは、大きく目を見開いた。
「えっと。もしかして、これを使いたいの?」
コクコク頷く。もちろん使いたい。せっかく友人から貰ったのだから、この期に絶対使いたい。
「そっか。それでずっと、懐に大事にしまっていたんだね。……もうホント、ザガンは可愛いなぁ。もちろん使うよ。一緒に、いっぱい気持ち良くなろうね」
指摘されるのはだいぶ恥ずかしかったが、それでも欲望には逆らえないので、大人しく抱き上げられておいた。
リュカに見せたのは、彼の誕生日にカミラから貰った、セックス用ローションである。
ノエルからのぬいぐるみや、ニナの写真立てはベッドサイドに飾っているし、ミランダがくれたペア食器は夕食時に使用している。ベネット特製弁当は早々に食べており、シンディがくれた本は読み終えて本棚に入れている。
だがカミラから貰ったローションだけは、今まで時間が取れなくて使えなかったのだ。明日からは休みで、女神が迎えにくるのは昼過ぎ。この機会に、使わない手は無い。
脱衣所で下ろされたら、スライムゼリーで作られた、大きなスライムバスマットも出す。2人同時に寝そべっても、余るほどのサイズだ。事前に買っておいたもので、これがあればローションで滑ってしまっても怪我をしないし、寝転がりながら出来る。それからバスクッションも。どんな体勢でやるにしろ、横になるならクッションは必需品だ。
そう説明したところ、リュカは両手で顔を覆い、天井を仰いだ。
「俺とのローションエッチ、そんなに楽しみにしてくれていたなんて。もう、ザガンが尊すぎて、どうにかなりそう」
「わかったから、早く準備しろ。……先に入っているからな」
身悶えているリュカを横目にさっさと服を脱いで、浴室に入る。ドアを閉めて、はぁと一息。
くそっ、顔が熱い。さすがに恥ずかしすぎて、リュカを待っていられなかった。
……別に良いではないか、準備万端でも。いつもと違うセックスをすごく心待ちにしていても、良いではないか。いざ身体を繋げた時に、ローションのせいで滑ってどこかを打ち付けるなんて事態になったら、セックスどころではなくなるぞ? リュカが大好きだからこそ、リュカを感じてひたすら気持ち良くなりたいし、リュカにも心から満足してほしいのだ。
とにかく俺達はもう夫夫なのだから、こっそりバスマットを買っておいた程度で、大げさに喜ばないでほしい。
内心で文句を言いつつも、タイルにバスマットを敷いて、シャワーを掛けて温める。少しすればリュカが入ってきて、マットに膝を付いていた俺を、背中から抱き締めてきた。
「先に湯船に浸かって温まらないと、風邪引いちゃうよ?」
「…………もう5月だ、そんなに寒くない」
「だぁめ。万が一でも体調崩したら、明日出掛けられないでしょ。数分だけでも浸かろう」
まだ羞恥を引き摺っていたので、顔を背けて突っ撥ねたところ、正論で窘められてしまった。ついでにシャワーヘッドを片付けられたので、大人しく湯船に浸かる。するとリュカは隣に入ってきて、俺の腰を引き寄せながら、ふふっと笑みを零した。
「ごめんねザガン。嬉しすぎて、つい舞い上がっちゃった。許してくれないかな?」
「……別に、謝るようなことではない。リュカに喜んでもらえて、俺も嬉しい。ただ、どうにも恥ずかしくて、我慢出来無かっただけで」
「そっか。ザガン、準備しておいてくれて、ありがとう。一緒に買いに行けなくて、ごめんね。今度時間が出来た時は、街でデートしようね」
ちゅ、ちゅ、と頭やこめかみにキスされるので、顔を向けると、唇にもキスしてくれた。今朝ぶりの口付け。柔らかな感触に、愛しさが募る。もっと深く合わせたそうに唇を啄ばめられ舐められたので、口を開けば、すぐに舌が入ってきた。舌先が触れ合い、ぞくりとした感覚に身体が震える。
「ん、んむ……ふ、……んぅ、」
舐めて、舐められて、たくさん刺激し合いながら、リュカのものと混ざった唾液を嚥下する。光の魔力がとても気持ち良くて、隙間から零れる息が熱くなる。リュカ、好きだリュカ。もっとお前を感じたい。
もっと近付きたくて彼の首に両腕を回せば、リュカは俺の腰を引き寄せて、抱き締めてくれた。胸から股間までが密着し、よりリュカを感じられて、愛しさが溢れる。あぁ、リュカが勃起している。もちろん、俺も。けれど湯の中にいるせいか上手く擦り付けられず、弱い快感がもどかしい。
「ふ……ザガン、……は、ふ……、ん……」
「はぁ、ん……リュカ、ん、ん……む、ふぁ……っ」
キスしながらゆるゆる股間を動かしていたら、腰を抱いていたリュカの手が、尻を撫でてきた。指でアナルの縁をクリクリ刺激され、胎内が疼いてキスどころではなくなってしまう。すぐにでも、リュカのペニスが欲しくなる。
「ん、ぁ……リュカ。もう、温まった……」
「うん、そろそろ出よっか。ふふ、ザガンったら、キスだけでとろとろ」
「ん……♡」
柔らかな微笑、その双眸から強烈な欲望を感じ、さらに胎内が疼いた。リュカが、俺を求めてくれている。
急いで立とうとしたら、リュカに抱き上げられた。落とさないよう、触手まで絡められる。
こんなふうに抱えられるのにも、だいぶ慣れた。なるべく人前ではしないようにと約束したのが、半年前。あれから実際、よほど切羽詰っていなければ、2人の時しか抱き上げられていない。
そっとバスマットに下ろされ、リュカも膝を付いてくる。
「どんな体勢でやりたい?」
「リュカが下になれ」
クッションをバスマット端に置いて、ぽふぽふ叩く。するとリュカは苦笑しながらも寝転がり、そこに頭を置いた。その間にもローションの蓋を開け、ドバッと手に出して、適当に自分の身体に塗っていく。
まずは1回イっておかないと、後ろが疼いて耐えられそうにない。早くリュカが欲しい。それをリュカもわかっているのか、それともリュカも耐えられないからか、静かに見守ってくれる。
胸から腹、ペニスにベタベタ塗ったあと、彼に跨り、乳首が触れ合うように位置を調整しながら、身体を倒していった。ぬるり、ぬるり。ゆっくりと身体を擦り付けながら、リュカにもローションを塗っていく。
「はん、ぁ……はぅ、ん……リュカ……ん」
「ん……ザガン、気持ち良い……?」
「気持ち、いい……あ、ん……リュカ……」
リュカと素肌が触れ合うのは心地良く、さらに乳首が刺激されて、すごく気持ち良い。それにぬるぬるした感触は、普段と違っていて興奮する。リュカはどうだろうか? 気になってリュカを見れば、気持ち良さそうに目を細めながら吐息を零していた。俺の視線に気付くと、背中に置かれていた手がぽんぽん叩いてくる。
「ザガン、俺も気持ち良いよ……君が一生懸命動いてくれるの、すごく、興奮する」
「ん……それなら、良かった。……ふ、あ」
何度も乳首を擦り付けていると、ジンジンした弱い快感に侵食されていく。乳首だけでは、イけそうでイけない。それに胸板を合わせているので、身長差のせいでペニス同士は触れていなかった。彼の勃起したペニスは、俺の睾丸から尻の谷間を行き来している。
リュカにもっと感じてほしくて、上半身を預けたまま腰を上下に動かせば、はぁと熱い吐息を零してきた。良かった、気持ち良さそうだ。時折アナルに先端が引っ掛かると、入りたそうに腰を動かしてくる。しかし縁をクンッと弾くだけ。その感覚にゾクゾクして、震えてしまう。
そろそろ入れて良いだろうか? それともまだ、前戯を楽しんでいたいか。
「ん、は……ねぇザガン。もう、ザガンの中に、入りたいな。君のエッチなお尻で、俺を包んでくれる?」
「ん……」
悩みつつも腰を動かしていたら、リュカが囁いてきた。官能的な甘い声に蕩けそうになりながら、それでもどうにか身体を起こして、ペニスの先端にアナルをくっ付ける。
この体勢の時は、いつも両手で腰を掴み、支えてくれるリュカ。しかし今日はローションでぬるぬる滑って上手くいかないからか、太腿に触手まで巻き付いてくる。そんなふうに支えられながら、ゆっくり、腰を下ろしていく。
「あ……ん、ふぁ……、あ……ん……♡」
熱いペニスが、狭まっていた胎内を徐々に広げていった。湧いてくる快楽に、全身が小さく戦慄く。
もしも支えられていなかったら、勢いよく奥まで飲み込んでしまっていただろう。リュカがいてこそのセックスなのに、自分だけが先にイくのは寂しい。リュカと一緒に気持ち良くなりたい。だからリュカも、俺の様子を窺いながら、少しずつ支えを緩めていくのだ。
「あぁ……ん、……ん、んん……ふぁ……」
ぬぷり、ぬぷり。ゆっくり受け入れていき、とうとう全部を飲み込んだ。足の力を抜いて、べったり座っている状態。熱いペニスが奥の奥まで埋まっている感覚に、全身がビクビク痙攣する。
「んん……、リュカ……ぁん、ん……は、あふ」
「ザガン……は、ザガンの中、あったかくて、すごく、気持ち良い」
「ん、よかった……ふ、……俺も、きもち、い……」
目を瞑り、リュカの大きさや熱さをじっくり堪能する。はぁ、リュカでいっぱいに満たされていて、とても幸せだ。胎内を軽く締めてみると、よりまざまざと感じられて、より充足感に包まれる。リュカ、好きだ、大好き。
「俺も、ザガンが好きだよ。愛してる」
どうやら声に出ていたらしい。目を開ければ、リュカは頬を紅潮させながらも、優しく微笑んでいた。幸せそうな笑みに、胸がきゅっと甘く締め付けられる。愛しさが溢れてくる。
もっと、もっとリュカが欲しい。そしてもっと、俺で気持ち良くなってほしい。
「リュカ、動きたい。……いいか?」
「もちろんだよ。いっぱい、君を感じさせて?」
コクリと頷き、腰を上げた。そしてすぐに腰を下ろす。ずるずると、腸壁が擦れる感覚が堪らない。前立腺もカリで掻いて、さらに快楽を得る。
もっともっとたくさん感じたくて、上下運動を繰り返し、括約筋から結腸までを自分の思うままに刺激した。そうしてどんどん湧いてくる快楽に、酔いしれる。気持ち良い、気持ち良い、リュカ、リュカ。
「ふぁ、あ、リュカ……ん、んあ、あ、……ん」
「はぁ……ザガン、ん……俺のペニス、気持ちい……っ?」
「ん、いい……きもち、いい、……あ、ぁふ♡」
「良かった。俺も、すごく、イイよ」
途切れ途切れに言葉を紡いだあと、はぁと吐息を零し、熱い眼差しで見上げてくるリュカ。感じている姿が艶かしく、愛しくて、さらに胎内をきゅうきゅう締め付けてしまう。
すると我慢出来無くなったのか、リュカは苦しげに眉根を寄せると、グッと突き上げてきた。ちょうど腰を落としたタイミングだったせいで、奥の奥まで抉られる。ブワブワッと快楽が溢れて、尻から脳天まで駆け抜けていく。
「ひうっ! ……う、ぁんん……っ♡」
背中が大きく撓った。全身がガクガク痙攣する。奥までズップリ飲み込んだまま、大きく身体が震えるから、余計に締め付けて感じていた。危ない、イくところだった。でもどうにか我慢した。リュカと一緒にイきたいから。
はぁ、気持ち良い。リュカのペニス、すごく気持ち良くて、身体が蕩けてしまいそうだ。
「あん……あ、んっ……ん、んっ♡」
「ザガン、……ふ、は、……んっ」
求めるまま、互いに腰を動かしていた。いっぱい胎内を嬲られながら、ペニスをぎゅうぎゅう締め付ける。奥をちゅぷん、ちゅぷんと突かれ、時々結腸奥まで入り込んでくると、あまりの快感にイきそうになる。
イきたい、でもまだリュカから与えられる快楽に浸っていたい。もっと、もっと。あ、あ、駄目だ、そんなに奥を、ぐりぐりされたら。
「あ、あぅ、……イく、ぁん、もうイってしまう。ふあ……リュカ、リュカ」
「ッ……ザガ、ン、……うん、一緒に……ッ!」
「ふぁあ、あ、ぁん、ん、んんん――――……ッ!♡」
ビクビクビクゥッと背中が戦慄き、大きく弓形に反れた。目の眩むような快楽が弾けて、射精する。全身が震える。気持ち良い、気持ち良い。奥でドプドプ出されたリュカの精液も、とても気持ち良い。パチパチと光の魔力が弾けて、痺れるような感覚。
「ふぁあ、……ぁ、ああ……♡」
強烈な快感が鎮まってくると、頭も身体も、ふわふわした心地に包まれた。腸壁からリュカの魔力が浸透して、リュカに染まっていく。リュカ、好きだ、愛している。
「リュカ、はん……、リュカ……」
「はぁ……うん、うん、すごく、気持ち良かったよ。……ほら。おいで、ザガン」
余韻に浸りながら呼吸を整えていたリュカは、名を呼ぶとすぐに応えて、両腕を広げてきた。横になって休憩したかったので、遠慮無く倒れさせてもらう。ずるっとペニスが抜けて、狭まった括約筋に腰が震えたが、それでも寝そべると、優しく背中を撫でてくれた。
ほっと息をついて、俺も快感の余韻に浸りながら、呼吸を整える。
「今日も俺ので、いっぱいになったね。ふふ、ザガン、俺のザガン」
とても幸せそうに、ちゅっちゅっと額にキスしてくる。リュカに抱かれて俺も嬉しいし、リュカが嬉しいから、さらに嬉しくなる。幸福感で満たされる。
しばらくはリュカのあたたかな温もりに包まれながら、胎内から身体中へと巡っていく光の魔力に酔いしれていた。湯船から立ち上っている湯気で、身体の熱が引いても寒くはない。だが次第に物足りなくなり、尻をもぞもぞ動かしてしまう。
また、入れてもらえるだろうか? それに先程は性急だったので、今度はゆっくり触れ合いたい。
「…………リュカ」
「うん? そろそろ触って良いのかな?」
柔らかく微笑みながら顔を覗き込んでくるリュカに、コクコク頷く。すると彼はふふっと笑みを零した。
「ありがとう。また一緒に、たくさん気持ち良くなろうね」
ちゅっと眦にキスしてきたリュカは、身体を起こすと、ローションボトルを掴んだ。俺も起きるべきか考えながら、とりあえず動向を見守る。リュカはボトルの中身をたっぷり手に出して、彼自身にローションを塗った。胸や腹、ペニス。先程俺が射精した精液と混ざって、テラテラ光る。
それから再び横になると、俺を背中から抱き締めてきた。ぬるぬるした感触が背中や尻に伝わってくる。リュカの普段より熱くなっている体温も。気持ち良いし、幸せだ。
リュカの精液が溜まっている下腹部を優しく撫でられ、まだ勃っていないペニスを弄られたあと、睾丸も揉まれた。
「ふぁ……ん、……ん、……リュカ」
「ふふ、気持ち良いね。お尻、もじもじしてて可愛い」
リュカの言うように、どうしても尻が動いてしまう。リュカの再び勃起したペニスに、緩くなっているアナルを擦り付けてしまう。ローションのせいか、それとも先程出された精液のせいか、ぬちぬち艶かしい音が鳴る。
そうして感じている間にも、乳首を摘まれた。左右ともゆっくり捏ねられると、胸からも快感が湧いてきて、さらに身悶えた。優しい愛撫をくれるリュカの手に、酔いしれる。
「あ、ん……、ふぁ……ん……」
「今日もぷくりと勃ってる。可愛い、ザガン、すごく可愛い」
「んん、は……リュカ、ぁ、あん……なか、」
くりくり乳首を弄られるのは気持ち良いが、イけるほどではないせいか、だんだん胎内が切なくなってきた。またリュカにペニスを入れてほしい。俺を中を、リュカでいっぱいに満たしてほしい。
愛撫されるだけ我慢出来無くなり、アナルにペニスを引っ掛けてみた。先程咥えたばかりで緩くなっている括約筋に、くぽりと先端が嵌る。このまま尻を押し付ければ、きっと簡単に埋まるだろう。しかし先程はリュカから望んでくれたので、今度は俺が。
「……リュカ。また、リュカが欲しい。……入れてくれるか?」
恥ずかしかったが、それでもチラリとリュカの方へ視線を向けつつ、望みを告げる。すると蕩けるような優しい微笑と、頬への柔らかなキスをくれた。
「もちろんだよ。愛してる、ザガン。……――俺だけの、ザガン」
「リュカ……。俺も、ぁ……あん、ん……ふぁ、あ♡」
リュカの愛に包まれて、じぃんと胸があたたかくなって。俺も愛していると返そうとしたら、入ってきたペニスに感じて、言葉が途切れてしまった。先程出された精液を腸壁に染み込ませるように、ゆっくりゆっくり、抽挿しながら奥まで埋まってくる。身体も心も、リュカでいっぱいに満たされて、とても幸せだ。
背中も密着するよう寄せていけば、すぐに抱き締めてくれた。気持ち良いね、と囁かれたのでコクリと頷き、意識して胎内を締める。リュカも、もっともっと気持ち良くなってくれるように。
そうしてゆったり身体を繋げながら、愛するリュカと、甘い時間を過ごした。
155
お気に入りに追加
8,122
あなたにおすすめの小説
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
余命僅かの悪役令息に転生したけど、攻略対象者達が何やら離してくれない
上総啓
BL
ある日トラックに轢かれて死んだ成瀬は、前世のめり込んでいたBLゲームの悪役令息フェリアルに転生した。
フェリアルはゲーム内の悪役として15歳で断罪される運命。
前世で周囲からの愛情に恵まれなかった成瀬は、今世でも誰にも愛されない事実に絶望し、転生直後にゲーム通りの人生を受け入れようと諦観する。
声すら発さず、家族に対しても無反応を貫き人形のように接するフェリアル。そんなフェリアルに周囲の過保護と溺愛は予想外に増していき、いつの間にかゲームのシナリオとズレた展開が巻き起こっていく。
気付けば兄達は勿論、妖艶な魔塔主や最恐の暗殺者、次期大公に皇太子…ゲームの攻略対象者達がフェリアルに執着するようになり…――?
周囲の愛に疎い悪役令息の無自覚総愛されライフ。
※最終的に固定カプ
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
宰相閣下の執愛は、平民の俺だけに向いている
飛鷹
BL
旧題:平民のはずの俺が、規格外の獣人に絡め取られて番になるまでの話
アホな貴族の両親から生まれた『俺』。色々あって、俺の身分は平民だけど、まぁそんな人生も悪くない。
無事に成長して、仕事に就くこともできたのに。
ここ最近、夢に魘されている。もう一ヶ月もの間、毎晩毎晩………。
朝起きたときには忘れてしまっている夢に疲弊している平民『レイ』と、彼を手に入れたくてウズウズしている獣人のお話。
連載の形にしていますが、攻め視点もUPするためなので、多分全2〜3話で完結予定です。
※6/20追記。
少しレイの過去と気持ちを追加したくて、『連載中』に戻しました。
今迄のお話で完結はしています。なので以降はレイの心情深堀の形となりますので、章を分けて表示します。
1話目はちょっと暗めですが………。
宜しかったらお付き合い下さいませ。
多分、10話前後で終わる予定。軽く読めるように、私としては1話ずつを短めにしております。
ストックが切れるまで、毎日更新予定です。
シナリオ回避失敗して投獄された悪役令息は隊長様に抱かれました
無味無臭(不定期更新)
BL
悪役令嬢の道連れで従兄弟だった僕まで投獄されることになった。
前世持ちだが結局役に立たなかった。
そもそもシナリオに抗うなど無理なことだったのだ。
そんなことを思いながら収監された牢屋で眠りについた。
目を覚ますと僕は見知らぬ人に抱かれていた。
…あれ?
僕に風俗墜ちシナリオありましたっけ?
最強S級冒険者が俺にだけ過保護すぎる!
天宮叶
BL
前世の世界で亡くなった主人公は、突然知らない世界で知らない人物、クリスの身体へと転生してしまう。クリスが眠っていた屋敷の主であるダリウスに、思い切って事情を説明した主人公。しかし事情を聞いたダリウスは突然「結婚しようか」と主人公に求婚してくる。
なんとかその求婚を断り、ダリウスと共に屋敷の外へと出た主人公は、自分が転生した世界が魔法やモンスターの存在するファンタジー世界だと気がつき冒険者を目指すことにするが____
過保護すぎる大型犬系最強S級冒険者攻めに振り回されていると思いきや、自由奔放で強気な性格を発揮して無自覚に振り回し返す元気な受けのドタバタオメガバースラブコメディの予定
要所要所シリアスが入ります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。