上 下
34 / 38

34.身体を繋げる

しおりを挟む

 ゆっくり解かされて腰砕けになる頃には、指1本を簡単に飲み込んでしまうくらいにトロトロになっていた。縁を舐められつつも中に指が入ってきて、くにくにと胎内を弄られる。気持ち良くて、指を締め付けてしまう。

「ん、あ……いい、気持ち、良い……ふあぁ」

 前立腺を優しく押されるたびに、駆け抜けていく快感に背筋が震えた。とても気持ち良くて、また勃起してくる。

 少しすれば舐めるのは終わりにしたようで、吐息が感じなくなったし、さらには指も抜かれた。閉じた感覚に腰が跳ねたからか、宥めるように尻を撫でられる。

 快感に浮かされたままぼんやりしていると、神崎がベッドヘッドに手を伸ばした。彼はローションを手にすると、また視界から消える。

「ではいつものように解かしますので、リラックスしていてくださいね」
「ん……」

 頷けばトロリとローションを垂らされたあと、にゅぷりと埋められる指。最初は1本、けれどすでに蕩けていると判断したのか、すぐに2本に増やされた。くちゅくちゅ掻き混ぜられたり、くぱりと縁を広げられたり。気持ち良くて、けれどもっと奥まで欲しくて、腰をくねらせてしまう。

「ぁん……、あ、あ……ん、ん……」

 そうして感じ入っていると、また指が抜かれた。小さく吐息が漏れる。イけないくらいの快感が溜まっていて、開放したくて全身がビクビクしている。

 いつもならこのあと、オモチャを入れられるわけだけど、今日は。

「弘樹さん。前からと後ろから、どちらが良いですか?」
「あ、う……、……ど、どっちでも……いや、顔を見ながらは、ちょっとヤバい、かも」

 心臓がバクバクと煩いくらいに鳴っているのに、神崎の顔を見ながらするなんて、キャパオーバーでおかしくなりそうな気がする。

「では最初は、このまま後ろから入れますね」

 クッションをぎゅっと抱き締めて、コクコク頷く。するとすぐに尻を開かれ、アナルにピトリと熱が宛がわれた。

 今日も、神崎は俺で勃起してくれている。最近はいつも素股されているので、いつもどおりと言えば、いつもどおり。だがそれでも、これから俺を抱こうとして勃たせてくれるのは、とても嬉しい。

 緊張してしまい身体が強張っているからか、すぐには入ってこなかった。ちゅむ、ちゅむと、付いては離れてを繰り返される。熱くて、アナルに亀頭がくっ付いているだけで気持ち良い。

「ん……ぁ、ん……あん……神崎……」
「入れる前から、腰が揺れていますね。ふふ、可愛いなぁ」
「うぅ……だって、ん……ぁ」

 神崎の言うとおりだ。だんだんと緊張よりも、胎内を満たしてほしいという欲求が勝ってきて、腰が揺れてしまう。尻を高くして、宛がわれているペニスをどうにか飲み込もうとする。しかし先端は縁からズレてしまう。けれどすぐに場所を戻されて触れてきて、またちょっとだけ亀頭を咥えて。

 ううぅ、もう入れてほしい。早く、早く……あ、あ、……は、はいって。

「ふぁ、あ……あ、ん」

 神崎が入ってくる。縁を大きく広げられ、ずりずり腸壁を擦りながら、ゆっくり埋まってくる。

「んん、んー……っ、んあ、あ……っ」
「ん……弘樹さん、は、ん……」

 今までとは違った熱い質量に、涙が出そうになった。こんなふうに抱かれるなんて、神崎と出会うまで想像したことなんてなかった。こんなにも幸せを感じることも、なかった。

 神崎が胎内にいてくれるのが、とてつもなく嬉しい。だがオモチャでは届いたことのないほど奥まで埋まってくるから、だんだん怖くなってくる。こんな、こんな奥まで……っ。

「んぁ、あ……んい……、う……ふぁ、あ」
「はっ……全部、入りましたよ」

 ようやく止まってくれた時、ガクガク震えてどうしようもなかった。背中に覆い被さられ、抱き締められても、なんの反応も返せない。

「ふ、う……ぁ、あう」
「っ……弘樹、さん?」

 苦しそうに呼ばれた。ぎゅうぎゅう締め付けているせいだろう。理由はわかっても、奥までいっぱいなのがどうしても怖くて、力が抜けない。どうしようもなくて涙が零れて、鼻水まで出てしまう。

「……弘樹さん、驚いてしまいましたね。大丈夫ですよ。大丈夫、貴方の身体は、どこもおかしくなっていない」

 抱き締められたまま、下腹部に手を置かれた。そっと撫でられて、背中にはキスをしてくれる。優しくあやされて、ホッと吐息が漏れた。柔らかくて優しい抱擁に、力が抜けていく。

 すると背中からトクトクと、彼の心音が伝わってきていることに気付いた。そうか、いつものような布越しではなく、互いの肌が触れ合っているんだな。神崎の体温と匂いに包まれて、うなじには熱い吐息も感じられて……こんなにも近くで、心音が重なっている。
 あったかくて、優しくて。好きな相手に包んでもらえている嬉しさに、ぐずっと鼻を啜りながらも、自然と頬がほころんだ。

「ん……神崎、神崎……」
「はい、弘樹さん」

 名前を呼んだら、呼び返された。そして軽く、奥をつつかれる。それだけですごく感じて、身体が痙攣した。胎内でドクドク脈打っている感覚が、今までとは違うことを教えてくれる。神崎と繋がっているのだ。
 あぁ、気持ち良い。ぶわぶわっと、快感が湧いてくる。好き、好きだ神崎。

 埋まっている熱に感じ入っていると、ゆっくりペニスが出ていった。途中で止まり、狭まったところをまた入ってくる。抱き締められたまま、ぬちゅ、ぐちゅ……と、ゆっくり出し入れされる。

「あ、ん……ふぁ、あ……あん」
「ふふ、弘樹さんの中、すごく蠢いてますよ。とても熱くて、気持ち良いです」
「あふ……俺も、きもひ、いい……ぁ、あん」

 自分でもペニスをきゅうきゅう締め付けているのがわかるくらい、感じていた。神崎を咥えている喜びで、身体も心も震える。気持ち良い、気持ち良い、すごく気持ち良い。

「あん、ん、ん……神崎、好き、すきぃ……あ、あ、あ」
「ん、俺も好きです……ん、は」

 神崎が背中から離れると同時に、ゆっくりだった律動が早くなった。蕩けた胎内から、じゅぷじゅぷ恥ずかしい音が聞こえてくる。ずくんと奥の奥まで抉られて、ずるずる出ていき、また勢いよく入ってくる。
 角度のせいか奥だけじゃなくて前立腺も擦られるから、ものすごく感じた。湧き上がってくる快楽に、我慢出来無くなってくる。こんな、こんなのもうイく、イきたい。

「あんん……っ、ふぁ、あ、あ……ん、ん――……ッ!」

 強くペニスを締め付けた瞬間、胎内から脳天までを、快感が駆け抜けていた。全身を巡る強烈な悦楽に抗えず、盛大にイってしまう。

「っ、は……く、ん……ッ」

 息を殺すような艶かしい声が聞こえたあと、中にブワリと熱が広がるのを感じた。ドプドプと、精液を出されている。神崎のものにされているみたいで、胸がいっぱいになる。

「ふあ、ぁ、ん……、……」
「弘樹さん……」

 トロトロに蕩けていたら、射精し終えた神崎がまた抱き締めてくれた。後ろから頬をくっ付けきて、くすぐったさについ笑ってしまう。すると神崎も喉を鳴らしたあと、可愛いと囁いて、頬にキスしてくれた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

執着攻めと平凡受けの短編集

松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。 疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。 基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

皇帝陛下の精子検査

雲丹はち
BL
弱冠25歳にして帝国全土の統一を果たした若き皇帝マクシミリアン。 しかし彼は政務に追われ、いまだ妃すら迎えられていなかった。 このままでは世継ぎが産まれるかどうかも分からない。 焦れた官僚たちに迫られ、マクシミリアンは世にも屈辱的な『検査』を受けさせられることに――!?

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

宰相閣下の執愛は、平民の俺だけに向いている

飛鷹
BL
旧題:平民のはずの俺が、規格外の獣人に絡め取られて番になるまでの話 アホな貴族の両親から生まれた『俺』。色々あって、俺の身分は平民だけど、まぁそんな人生も悪くない。 無事に成長して、仕事に就くこともできたのに。 ここ最近、夢に魘されている。もう一ヶ月もの間、毎晩毎晩………。 朝起きたときには忘れてしまっている夢に疲弊している平民『レイ』と、彼を手に入れたくてウズウズしている獣人のお話。 連載の形にしていますが、攻め視点もUPするためなので、多分全2〜3話で完結予定です。 ※6/20追記。 少しレイの過去と気持ちを追加したくて、『連載中』に戻しました。 今迄のお話で完結はしています。なので以降はレイの心情深堀の形となりますので、章を分けて表示します。 1話目はちょっと暗めですが………。 宜しかったらお付き合い下さいませ。 多分、10話前後で終わる予定。軽く読めるように、私としては1話ずつを短めにしております。 ストックが切れるまで、毎日更新予定です。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

愛を探しているんだ

飛鷹
BL
熱心に口説かれて付き合い始めた筈なのに。 たまたま見た雑誌で、アイツが来年の夏に結婚する事を知ってしまう。 次の愛を探さなきゃなぁ……と思いつつ、別れのメッセージをアイツに送ったのだけど………。 両思いのはずが微妙にすれ違って、そして仲直りするまでのお話です。 2022年2月22日の猫の日に因んで書いてみました。

処理中です...