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34.身体を繋げる
しおりを挟むゆっくり解かされて腰砕けになる頃には、指1本を簡単に飲み込んでしまうくらいにトロトロになっていた。縁を舐められつつも中に指が入ってきて、くにくにと胎内を弄られる。気持ち良くて、指を締め付けてしまう。
「ん、あ……いい、気持ち、良い……ふあぁ」
前立腺を優しく押されるたびに、駆け抜けていく快感に背筋が震えた。とても気持ち良くて、また勃起してくる。
少しすれば舐めるのは終わりにしたようで、吐息が感じなくなったし、さらには指も抜かれた。閉じた感覚に腰が跳ねたからか、宥めるように尻を撫でられる。
快感に浮かされたままぼんやりしていると、神崎がベッドヘッドに手を伸ばした。彼はローションを手にすると、また視界から消える。
「ではいつものように解かしますので、リラックスしていてくださいね」
「ん……」
頷けばトロリとローションを垂らされたあと、にゅぷりと埋められる指。最初は1本、けれどすでに蕩けていると判断したのか、すぐに2本に増やされた。くちゅくちゅ掻き混ぜられたり、くぱりと縁を広げられたり。気持ち良くて、けれどもっと奥まで欲しくて、腰をくねらせてしまう。
「ぁん……、あ、あ……ん、ん……」
そうして感じ入っていると、また指が抜かれた。小さく吐息が漏れる。イけないくらいの快感が溜まっていて、開放したくて全身がビクビクしている。
いつもならこのあと、オモチャを入れられるわけだけど、今日は。
「弘樹さん。前からと後ろから、どちらが良いですか?」
「あ、う……、……ど、どっちでも……いや、顔を見ながらは、ちょっとヤバい、かも」
心臓がバクバクと煩いくらいに鳴っているのに、神崎の顔を見ながらするなんて、キャパオーバーでおかしくなりそうな気がする。
「では最初は、このまま後ろから入れますね」
クッションをぎゅっと抱き締めて、コクコク頷く。するとすぐに尻を開かれ、アナルにピトリと熱が宛がわれた。
今日も、神崎は俺で勃起してくれている。最近はいつも素股されているので、いつもどおりと言えば、いつもどおり。だがそれでも、これから俺を抱こうとして勃たせてくれるのは、とても嬉しい。
緊張してしまい身体が強張っているからか、すぐには入ってこなかった。ちゅむ、ちゅむと、付いては離れてを繰り返される。熱くて、アナルに亀頭がくっ付いているだけで気持ち良い。
「ん……ぁ、ん……あん……神崎……」
「入れる前から、腰が揺れていますね。ふふ、可愛いなぁ」
「うぅ……だって、ん……ぁ」
神崎の言うとおりだ。だんだんと緊張よりも、胎内を満たしてほしいという欲求が勝ってきて、腰が揺れてしまう。尻を高くして、宛がわれているペニスをどうにか飲み込もうとする。しかし先端は縁からズレてしまう。けれどすぐに場所を戻されて触れてきて、またちょっとだけ亀頭を咥えて。
ううぅ、もう入れてほしい。早く、早く……あ、あ、……は、はいって。
「ふぁ、あ……あ、ん」
神崎が入ってくる。縁を大きく広げられ、ずりずり腸壁を擦りながら、ゆっくり埋まってくる。
「んん、んー……っ、んあ、あ……っ」
「ん……弘樹さん、は、ん……」
今までとは違った熱い質量に、涙が出そうになった。こんなふうに抱かれるなんて、神崎と出会うまで想像したことなんてなかった。こんなにも幸せを感じることも、なかった。
神崎が胎内にいてくれるのが、とてつもなく嬉しい。だがオモチャでは届いたことのないほど奥まで埋まってくるから、だんだん怖くなってくる。こんな、こんな奥まで……っ。
「んぁ、あ……んい……、う……ふぁ、あ」
「はっ……全部、入りましたよ」
ようやく止まってくれた時、ガクガク震えてどうしようもなかった。背中に覆い被さられ、抱き締められても、なんの反応も返せない。
「ふ、う……ぁ、あう」
「っ……弘樹、さん?」
苦しそうに呼ばれた。ぎゅうぎゅう締め付けているせいだろう。理由はわかっても、奥までいっぱいなのがどうしても怖くて、力が抜けない。どうしようもなくて涙が零れて、鼻水まで出てしまう。
「……弘樹さん、驚いてしまいましたね。大丈夫ですよ。大丈夫、貴方の身体は、どこもおかしくなっていない」
抱き締められたまま、下腹部に手を置かれた。そっと撫でられて、背中にはキスをしてくれる。優しくあやされて、ホッと吐息が漏れた。柔らかくて優しい抱擁に、力が抜けていく。
すると背中からトクトクと、彼の心音が伝わってきていることに気付いた。そうか、いつものような布越しではなく、互いの肌が触れ合っているんだな。神崎の体温と匂いに包まれて、うなじには熱い吐息も感じられて……こんなにも近くで、心音が重なっている。
あったかくて、優しくて。好きな相手に包んでもらえている嬉しさに、ぐずっと鼻を啜りながらも、自然と頬がほころんだ。
「ん……神崎、神崎……」
「はい、弘樹さん」
名前を呼んだら、呼び返された。そして軽く、奥をつつかれる。それだけですごく感じて、身体が痙攣した。胎内でドクドク脈打っている感覚が、今までとは違うことを教えてくれる。神崎と繋がっているのだ。
あぁ、気持ち良い。ぶわぶわっと、快感が湧いてくる。好き、好きだ神崎。
埋まっている熱に感じ入っていると、ゆっくりペニスが出ていった。途中で止まり、狭まったところをまた入ってくる。抱き締められたまま、ぬちゅ、ぐちゅ……と、ゆっくり出し入れされる。
「あ、ん……ふぁ、あ……あん」
「ふふ、弘樹さんの中、すごく蠢いてますよ。とても熱くて、気持ち良いです」
「あふ……俺も、きもひ、いい……ぁ、あん」
自分でもペニスをきゅうきゅう締め付けているのがわかるくらい、感じていた。神崎を咥えている喜びで、身体も心も震える。気持ち良い、気持ち良い、すごく気持ち良い。
「あん、ん、ん……神崎、好き、すきぃ……あ、あ、あ」
「ん、俺も好きです……ん、は」
神崎が背中から離れると同時に、ゆっくりだった律動が早くなった。蕩けた胎内から、じゅぷじゅぷ恥ずかしい音が聞こえてくる。ずくんと奥の奥まで抉られて、ずるずる出ていき、また勢いよく入ってくる。
角度のせいか奥だけじゃなくて前立腺も擦られるから、ものすごく感じた。湧き上がってくる快楽に、我慢出来無くなってくる。こんな、こんなのもうイく、イきたい。
「あんん……っ、ふぁ、あ、あ……ん、ん――……ッ!」
強くペニスを締め付けた瞬間、胎内から脳天までを、快感が駆け抜けていた。全身を巡る強烈な悦楽に抗えず、盛大にイってしまう。
「っ、は……く、ん……ッ」
息を殺すような艶かしい声が聞こえたあと、中にブワリと熱が広がるのを感じた。ドプドプと、精液を出されている。神崎のものにされているみたいで、胸がいっぱいになる。
「ふあ、ぁ、ん……、……」
「弘樹さん……」
トロトロに蕩けていたら、射精し終えた神崎がまた抱き締めてくれた。後ろから頬をくっ付けきて、くすぐったさについ笑ってしまう。すると神崎も喉を鳴らしたあと、可愛いと囁いて、頬にキスしてくれた。
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