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23.変化の予兆

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 翌日。意識が浮上して、ああ目が覚めたんだなぁと思いながらうつらうつらしていたら、いつもと違うことに気が付いた。何かに包まれていて、あったかいし……気持ち良い。でも、なんだろうか?

 不思議に思いつつ目を開けると、すぐ間近に見えたものは布だった。そのまま目線を上に持っていくと、神崎の寝顔があって、ちょっとビックリしてしまう。

 あったかいのは神崎の体温だったらしい。背中に触れてきているのも、もしかしなくても神崎の掌で。抱き締められているのだと気付いた途端、身動ぎすることすら憚れてしまった。起こしたら、どうしよう。

「…………」

 けれど身体を強張らせてじっとしているのにも疲れてしまい、結局もぞもぞ動いた。神崎はまったく起きる気配がなく、すぅすぅと静かな寝息を繰り返している。

 相変わらず綺麗な顔だ。瞼を閉じて眼球の見えない現状は、硝子細工か彫刻のよう。けれど抱き締めてくれる身体はちゃんとあったかいから、安心する。

 それにしても、どうしてここで眠っているのだろう。何かあったのか?
 首を傾げながらも、しばらくじっと見つめる。けれどまったく起きないから、再び目を閉じて、彼の懐に顔を埋めた。

 ああ、気持ち良い。あったかいし、安心する匂いがする。洗濯し終えたばかりのシャツなのか、清潔感のある匂いだ。

 シャツにグリグリ顔を押し付けたあと、二度寝しようかともぞもぞ動いていたら、背中に回っていた腕が動いた。そうして背中から上へと移動していき、後頭部を撫でられる。目を開ければ、神崎と視線が合った。

「おはようございます」
「……おはよう」

 挨拶を返すと、神崎はまた頭を撫でてくれるから、頬が緩んでしまう。胸の中に抱き込まれて、何度も頭を撫でられる。あったかくて幸せで、ずっとこうしていたいと思う。
 俺の願うままに抱き締め続けてくれて、髪を梳いたり頭を撫でたりしてくれるのが、すごく嬉しい。けれど寝起きなせいか、段々と尿意がやってきた。

「あ……その、トイレ……」
「そうですか。では起きましょう」

 神崎が起きたことで、くっついていた身体が遠ざかってしまう。咄嗟に追おうとしたら冷えた外気が肌に触れて、寒くて布団から出られなかった。だから目で、神崎の姿を追う。

「すぐに戻りますから」

 エアコンのスイッチを入れて、神崎は部屋から出ていった。尿をするのを我慢して待っているうちに、部屋が暖かくなる。

 すぐにという言葉どおり、毛布無しでもいられるくらいになった頃、彼は洗面器やマグカップや歯ブラシを持って部屋に戻ってきた。

「部屋、暖まりましたね」

 持ってきたものをデスクに置いたら、カーテンを開けられる。少しひんやりとした空気が漂ったみたいだけれど、外は晴れで、11月の透きとおっている青空が広がっていた。

「弘樹さん、トイレは?」
「まだ、してない」
「そうですか。では見ていてあげますから、してください」

 ベッドに座ってきた神崎に、顔を覗かれる。指1本で頬を撫でられ、顎をくいと上げられた。間近から見つめてくる双眸に、全身がトロリと蕩けそうになる。

「……ん」

 頷くと、指が離れていった。ふわふわ夢心地になりながら、ベッドから出る。壁際にあるトイレに跨がり、どうしようかと迷ったけれど、結局チンコを見られないように背中を向けた。

 背後を確認すれば、神崎はちゃんとこちらを見ていた。恥ずかしいけど嬉しくて、ヒクッとアナルが疼く。見られているのを意識しながら、尿道を開いて下腹部に力を入れた。そうして溜っていた尿を出していく。

「ん……、……ぁ」

 重かった膀胱が元に戻っていく感覚に、吐息が漏れた。それに気持ち良い。
 排泄しているところを神崎に見てもらいたいと思うようになったのは、いつからだろう。支配されることで、俺の世界は神崎だけになる。そうして心が満たされる。

 勢いよく出ていたものが弱まっていき、完全に止まった。終わったのでまた神崎を窺う。しかしこちらをただただ見てくるだけ。何も言ってくれない時には、自分から強請るしかない。

「あの……。……ちんこ、拭いてほしい」
「どうしてですか?」
「えっ」

 一瞬思考が停止してしまった。今まで理由なんて聞かれたことがなくて、驚いてしまう。

「……ええと。汚しちまう、から。パンツ、履いていないから」
「ええ、そうですね。良く出来ました」

 間違っていなかったみたいで褒めてくれたので、ほっと息を吐き出した。おまるの前で待っていると、いつものようにウエットティッシュでペニスを拭いてくれる。

 歯を磨いてもらい、片付けをされたあとは、パールで遊んだ。うつ伏せになり、腹下にクッションを入れて尻を上げたら、ローションでアナルを解かされる。そうしてトロトロになったら、紐で繋がっているパールをいくつか入れられた。

「ふぁ……あ、ん……んん、……あふ」
「弘樹さん、いつもよりも腰が動いていますよ」
「んんっ……だ、だって」

 バイブと違って振動しないから、自分が動いて中のものの位置を変えなければならないのだ。腰をくねらせて球と球がこすれ合いゴロゴロ動くと、内壁のあちこちがぐりぐり押されて、とても気持ち良い。

「5つ。これで全部です。1つ直径3cmだから、少し苦しいかもしれませんが」
「はん……イイ、気持ち、い……あ、あん、ん……」

 意図して縁を緩めると、くぽぉとパール1つが外に出ていこうとする。その状態で排泄を我慢するように穴を締めれば、外に出ていた部分が、くぽんと胎内に戻ってきた。その反動で他のパールとぶつかりながら、ゴロゴロと腸壁を刺激する。

「あっ、あ……ん、……ふぁ、あ……ん?」

 何度か繰り返していたら、出過ぎたのか尻に力を入れても胎内に戻ってこなくなった。縁を動かしてどうにか内側に入れようとしても、上手くいかず、むしろポンッと外に出てしまう。紐が引っ張られて他の4つが大きく動き、その衝撃に背筋まで快感が走り、ブルブルッと震えた。

「はうぅっ、……あは、ん」
「あらら、出てしまいましたね」

 聞こえてくる揶揄めいた言葉に少し恥ずかしくなり顔を伏せると、出てしまったパールを中に戻してくれた。再び押し込められたものを、堪能しようとしたのだが。

「ふぁ……? あ、あんんんっ!」

 ポンポンポンポンポンッと勢いよくパールが出ていき、とてつもない快楽に見舞われて、気付けば射精していた。しかも震えが止まらないのに、再びパールを全部入れられて、またしても勢いよく引っ張られてしまう。

「んああっ!」
「ふふ。すごいですね、弘樹さんのお尻。強い刺激を与えると、クパクパ開閉してちょっと中が見えますよ」
「んあっ……、あ、あう、う……」

 恥ずかしい。閉じなくなる穴を指摘されると、逆に誘うようにひくひくとアナルが収縮を繰り返してしまう。見られているだけなのに、どうしようもなく感じてしまう。

「んは、ぁ、……あん」

 また胎内に入れられて震えるも、腰が砕けて力が入らず、ささやかな抵抗すら出来無かった。入れられたパールを指でグリグリされるのが気持ち良すぎて、何度も腰が跳ねる。

「あんっ……ん、……ふぁ、あんんっ……ん」
「気持ち良さそうな声。この生活が終わっても、ずっと聞かせてくださいね」
「は、……ぁう……?」
「ふふ、なんでもありません」

 いつもと違うことを言われた気がして目を開けたが、神崎は答えてくれなかった。首を傾げるも、そのあともパールを出されたり入れたりされて、快感で何も考えられなくなる。

 そうして何度もイって。しばらくしてパールを抜かれた時には、疲れて瞼を開けられなくなっていた。
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