78 / 128
本編
二十一歳㉒
しおりを挟む
ガーディアから宮廷へ帰還後、スレンツェはフラムアークから数日間休養するよう申し渡された。
彼の厚意を素直に受けることにしたスレンツェは、ユーファからネロリの茶葉や入眠剤などを処方してもらい、久し振りに戻った自身の居室で、ベッドの上に仰向けに倒れ込むようにして、ひとつ息をついた。
最低限必要なものしか置かれていない、簡素な部屋。しばらく留守にしていた為、室内は少し空気がこもった感じがした。
先程開けた窓から、いつの間にかだいぶ秋めいてきた涼やかな風が入り込んできて、緩やかなクセのある彼の黒髪を優しく揺らす。窓越しに見上げた青い空に浮かぶ雲は、すっかり秋のそれになっていた。
宮廷内に居室を与えられた皇子付きの他の側用人達とは明確に区分された彼の部屋は、宮廷の主要な箇所へ行き来するには不便な場所にあり、日中でも人通りが少なく静かだ。そんな環境下にある場所で、壁を隔てた隣の部屋から時折聞こえてくるのは、エレオラが掃除をする音である。
スレンツェの隣の空き部屋を居室として与えられた彼女は、長い間使われていなかった部屋を掃除しながら自分用に整えているのだ。
気にしなくていいと言ったのだが、スレンツェが休んでいることを知っている彼女は、なるべく音を立てないように作業してくれている。
こんなふうに何もせずに過ごすのは、いったいいつ以来だろう―――?
エレオラが掃除をする気配と風に乗って聞こえてくる鳥のさえずりに耳を傾けながら、瞼を閉じたスレンツェの意識はいつの間にかまどろみの中へと沈んでいった―――。
これはまた―――あの夢、か……。
見覚えのある赤と黒と白に彩られた景色の中、スレンツェは髑髏の山で亡者達に囚われた自分の姿を、どこか遠いところから見下ろしている。
夢だと分かっているのに、止められない。胸を灼かれるような光景が繰り返されるのを見たくなどないのに、この悪夢から覚められない。
意識の底でもがくスレンツェの前に再び現れたカルロが血の涙を流し、これまでと同じ言葉で彼を糾弾した。
『何故、我々を裏切ったのだ! 貴方のせいでまた死んだ、アズール王国を守ろうとする同胞達がまた死んだ! 我らをどれほど落胆させ失望させたら気が済むのだ、貴方は!?』
現実のカルロの言葉ではないのだと、夢なのだと分かってはいても、放たれた言葉はスレンツェの心に再び深く突き刺さり、癒えることのない傷を開けていく。
その時だった。そんな環境に変化が起こったのは―――。
大気が一瞬、震えたような気がして、スレンツェは憔悴しきった顔をのろのろと上げた。
そんな彼の眼前でもう一度大気が震え、どこからともなく青色に輝く音符が忽然と目の前に現れた。赤と黒と白の三色で彩られた世界に、初めて違う色が出現した。
これまでにない展開に目を凝らしていると、空から音が降ってきた。音は次第に声となり、声はやがて歌となって、赤と黒と白の世界に降り注いだ。
スレンツェは息を飲んで、世界に歌が降り注ぐその光景を見つめていた。
どこか懐かしい旋律―――悪夢の世界に響く、儚くて美しい、澄んだ声音―――……。
胸に染み入るようなその歌声は、疲弊しきったスレンツェの心に優しく沁み渡り、脳裏に懐かしい故郷の景色を咲かせて、彼の中に眠っていた大切な記憶を揺り起こした。
ああ―――……。
空を見上げたスレンツェは瞼を閉じ、喉を震わせて、深く深く息を吐き出した。
過酷な現実に直面するあまり、頭の片隅に追いやられて思い出せなくなっていた温かな思い出達が瞼の裏にめくるめき、色鮮やかに甦って、ひび割れた心の空洞を埋めていく。
辛いことばかりがあったわけじゃない。今は亡き人達と穏やかに笑って過ごした時間も、ささやかな幸せを見出して喜びを共有した時間も、確かにあった。
犠牲にしてきたものの数があまりにも多すぎて、いつの間にかそれを見失ってしまっていた。自分が立っているのはただの骸の山ではなく、その根源には彼らと共に過ごしたこの幸せな記憶があったはずだったのに。
スレンツェは唐突にそれを思い出した。
そうだ―――自分が立つ土台となっているものは、根本にあるものはこれだったはずなのだ。
それを失ってしまった悲しみが大きすぎて、一人で抱えるにはあまりにも重たすぎて、苦しくて、切なくて、どうしようもなくて―――処理しきれない憤りの矛先が、ただ一人生き残ってしまった自分自身へと向いた。
大切なものを守れなかった自分は彼らに恨まれて当然なのだと、罰せられて当然なのだと、自分で自分をがんじがらめにした。悲しみに目を向けるよりその方が楽だったし、そうでもしなければ許されないと思った。
その心象が現れたのが、この世界だ。
だが、突如としてその世界に響いた歌声は、そんな彼の心に寄り添いながら、優しい旋律で行き過ぎた自責の念を押しなだめ、頑なな心の檻をほころばせていく。
気が付けば亡者達もカルロも、その優しい歌声に聞き入っていた。
悪夢の世界に満ちていた呪詛が、怒りが、消えていく。空から降り注ぐ歌声に浄化されて、清らかな青い光に包まれて、亡者達の輪郭もカルロの輪郭も、その光の中に溶け消えていく―――。
その光景に知らず涙が溢れて、スレンツェの頬を伝い流れ落ちた。
茫然と立ち尽くし涙する彼の上にも眩い光は降り注ぎ、優しい音色で包み込んだ。
全ての罪が掬い上げられていくかのような錯覚―――。
どこか母親の胎内を彷彿とさせる、安らぎに満ちたぬくもりのようなものに満たされていくのを感じた瞬間、自らを縛り続ける呪いと化していた、行き過ぎた自責の念から解放されていく自分をスレンツェは感じた。
ああ、そうか―――オレは自らを責めながら、その実、許されたくてたまらなかったんだな―――。
深層意識の底でそう悟りながら、スレンツェはゆっくりと瞼を閉じた。脳裏に一瞬浮かんで消えたのは、いつかどこか、陽光を反射して煌めいて見えた、穢れのない涙だった。
全てを赦し、凍てついた心の内まで照らしてくれるようなその光と歌声の中で、スレンツェはようやく、穏やかな眠りにつくことが出来たのだ―――……。
目を覚ますと、辺りは黄昏色に染まっていた。
ベッドの上でぼんやりと瞬きを繰り返したスレンツェは、自室の天井を瞳に映しながら、涙に濡れた目元を拭った。
どこかまだ夢現なのは、夢の中とリンクするこの歌声のせいだろうか―――……。
開け放ったままの窓から微かに流れ込んでくるのは、アズールに昔から伝わる星詠みの歌だ。季節によって移り変わる星の位置と、遠く離れた場所にいる大切な人とを重ね合わせて、その幸福と繁栄を祈った歌である。
エレオラ―――……。
掃除が終わって、ひと段落ついたところだろうか。それとも、まだ細々とした作業を続けている最中なのだろうか。
こんなふうにスレンツェが聞き入っているとは夢にも思っていないらしいエレオラは、小さな声で故郷の歌を口ずさんでいる。
彼女が宮廷での生活を始めるにあたって諸々入り用の品は、明日ユーファが一緒に買い出しに行くと言っていた。
荷物持ちについて行こうか、とスレンツェは名乗り出たのだが、重いものは店の者に届けてもらうよう手配するし、特に問題はないから休んでいるようにと、二人に声をそろえて言われてしまったという経緯がある。
それを小耳に挟んだフラムアークが、スレンツェが元気になったらみんなでエレオラの外出着を買いに行こう、と提案して、それを聞いたユーファは喜んでいたが、エレオラ自身はひどく恐縮して戸惑っていた。
その時の様子を思い出して無意識に口元をほころばせながら、スレンツェは窓辺から流れてくる歌声に耳を傾け続けた。
今はただ、許される限りこの優しい歌声を聞いていたいと思った。
彼の厚意を素直に受けることにしたスレンツェは、ユーファからネロリの茶葉や入眠剤などを処方してもらい、久し振りに戻った自身の居室で、ベッドの上に仰向けに倒れ込むようにして、ひとつ息をついた。
最低限必要なものしか置かれていない、簡素な部屋。しばらく留守にしていた為、室内は少し空気がこもった感じがした。
先程開けた窓から、いつの間にかだいぶ秋めいてきた涼やかな風が入り込んできて、緩やかなクセのある彼の黒髪を優しく揺らす。窓越しに見上げた青い空に浮かぶ雲は、すっかり秋のそれになっていた。
宮廷内に居室を与えられた皇子付きの他の側用人達とは明確に区分された彼の部屋は、宮廷の主要な箇所へ行き来するには不便な場所にあり、日中でも人通りが少なく静かだ。そんな環境下にある場所で、壁を隔てた隣の部屋から時折聞こえてくるのは、エレオラが掃除をする音である。
スレンツェの隣の空き部屋を居室として与えられた彼女は、長い間使われていなかった部屋を掃除しながら自分用に整えているのだ。
気にしなくていいと言ったのだが、スレンツェが休んでいることを知っている彼女は、なるべく音を立てないように作業してくれている。
こんなふうに何もせずに過ごすのは、いったいいつ以来だろう―――?
エレオラが掃除をする気配と風に乗って聞こえてくる鳥のさえずりに耳を傾けながら、瞼を閉じたスレンツェの意識はいつの間にかまどろみの中へと沈んでいった―――。
これはまた―――あの夢、か……。
見覚えのある赤と黒と白に彩られた景色の中、スレンツェは髑髏の山で亡者達に囚われた自分の姿を、どこか遠いところから見下ろしている。
夢だと分かっているのに、止められない。胸を灼かれるような光景が繰り返されるのを見たくなどないのに、この悪夢から覚められない。
意識の底でもがくスレンツェの前に再び現れたカルロが血の涙を流し、これまでと同じ言葉で彼を糾弾した。
『何故、我々を裏切ったのだ! 貴方のせいでまた死んだ、アズール王国を守ろうとする同胞達がまた死んだ! 我らをどれほど落胆させ失望させたら気が済むのだ、貴方は!?』
現実のカルロの言葉ではないのだと、夢なのだと分かってはいても、放たれた言葉はスレンツェの心に再び深く突き刺さり、癒えることのない傷を開けていく。
その時だった。そんな環境に変化が起こったのは―――。
大気が一瞬、震えたような気がして、スレンツェは憔悴しきった顔をのろのろと上げた。
そんな彼の眼前でもう一度大気が震え、どこからともなく青色に輝く音符が忽然と目の前に現れた。赤と黒と白の三色で彩られた世界に、初めて違う色が出現した。
これまでにない展開に目を凝らしていると、空から音が降ってきた。音は次第に声となり、声はやがて歌となって、赤と黒と白の世界に降り注いだ。
スレンツェは息を飲んで、世界に歌が降り注ぐその光景を見つめていた。
どこか懐かしい旋律―――悪夢の世界に響く、儚くて美しい、澄んだ声音―――……。
胸に染み入るようなその歌声は、疲弊しきったスレンツェの心に優しく沁み渡り、脳裏に懐かしい故郷の景色を咲かせて、彼の中に眠っていた大切な記憶を揺り起こした。
ああ―――……。
空を見上げたスレンツェは瞼を閉じ、喉を震わせて、深く深く息を吐き出した。
過酷な現実に直面するあまり、頭の片隅に追いやられて思い出せなくなっていた温かな思い出達が瞼の裏にめくるめき、色鮮やかに甦って、ひび割れた心の空洞を埋めていく。
辛いことばかりがあったわけじゃない。今は亡き人達と穏やかに笑って過ごした時間も、ささやかな幸せを見出して喜びを共有した時間も、確かにあった。
犠牲にしてきたものの数があまりにも多すぎて、いつの間にかそれを見失ってしまっていた。自分が立っているのはただの骸の山ではなく、その根源には彼らと共に過ごしたこの幸せな記憶があったはずだったのに。
スレンツェは唐突にそれを思い出した。
そうだ―――自分が立つ土台となっているものは、根本にあるものはこれだったはずなのだ。
それを失ってしまった悲しみが大きすぎて、一人で抱えるにはあまりにも重たすぎて、苦しくて、切なくて、どうしようもなくて―――処理しきれない憤りの矛先が、ただ一人生き残ってしまった自分自身へと向いた。
大切なものを守れなかった自分は彼らに恨まれて当然なのだと、罰せられて当然なのだと、自分で自分をがんじがらめにした。悲しみに目を向けるよりその方が楽だったし、そうでもしなければ許されないと思った。
その心象が現れたのが、この世界だ。
だが、突如としてその世界に響いた歌声は、そんな彼の心に寄り添いながら、優しい旋律で行き過ぎた自責の念を押しなだめ、頑なな心の檻をほころばせていく。
気が付けば亡者達もカルロも、その優しい歌声に聞き入っていた。
悪夢の世界に満ちていた呪詛が、怒りが、消えていく。空から降り注ぐ歌声に浄化されて、清らかな青い光に包まれて、亡者達の輪郭もカルロの輪郭も、その光の中に溶け消えていく―――。
その光景に知らず涙が溢れて、スレンツェの頬を伝い流れ落ちた。
茫然と立ち尽くし涙する彼の上にも眩い光は降り注ぎ、優しい音色で包み込んだ。
全ての罪が掬い上げられていくかのような錯覚―――。
どこか母親の胎内を彷彿とさせる、安らぎに満ちたぬくもりのようなものに満たされていくのを感じた瞬間、自らを縛り続ける呪いと化していた、行き過ぎた自責の念から解放されていく自分をスレンツェは感じた。
ああ、そうか―――オレは自らを責めながら、その実、許されたくてたまらなかったんだな―――。
深層意識の底でそう悟りながら、スレンツェはゆっくりと瞼を閉じた。脳裏に一瞬浮かんで消えたのは、いつかどこか、陽光を反射して煌めいて見えた、穢れのない涙だった。
全てを赦し、凍てついた心の内まで照らしてくれるようなその光と歌声の中で、スレンツェはようやく、穏やかな眠りにつくことが出来たのだ―――……。
目を覚ますと、辺りは黄昏色に染まっていた。
ベッドの上でぼんやりと瞬きを繰り返したスレンツェは、自室の天井を瞳に映しながら、涙に濡れた目元を拭った。
どこかまだ夢現なのは、夢の中とリンクするこの歌声のせいだろうか―――……。
開け放ったままの窓から微かに流れ込んでくるのは、アズールに昔から伝わる星詠みの歌だ。季節によって移り変わる星の位置と、遠く離れた場所にいる大切な人とを重ね合わせて、その幸福と繁栄を祈った歌である。
エレオラ―――……。
掃除が終わって、ひと段落ついたところだろうか。それとも、まだ細々とした作業を続けている最中なのだろうか。
こんなふうにスレンツェが聞き入っているとは夢にも思っていないらしいエレオラは、小さな声で故郷の歌を口ずさんでいる。
彼女が宮廷での生活を始めるにあたって諸々入り用の品は、明日ユーファが一緒に買い出しに行くと言っていた。
荷物持ちについて行こうか、とスレンツェは名乗り出たのだが、重いものは店の者に届けてもらうよう手配するし、特に問題はないから休んでいるようにと、二人に声をそろえて言われてしまったという経緯がある。
それを小耳に挟んだフラムアークが、スレンツェが元気になったらみんなでエレオラの外出着を買いに行こう、と提案して、それを聞いたユーファは喜んでいたが、エレオラ自身はひどく恐縮して戸惑っていた。
その時の様子を思い出して無意識に口元をほころばせながら、スレンツェは窓辺から流れてくる歌声に耳を傾け続けた。
今はただ、許される限りこの優しい歌声を聞いていたいと思った。
1
お気に入りに追加
252
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
婚約者が王子に加担してザマァ婚約破棄したので父親の騎士団長様に責任をとって結婚してもらうことにしました
山田ジギタリス
恋愛
女騎士マリーゴールドには幼馴染で姉弟のように育った婚約者のマックスが居た。
でも、彼は王子の婚約破棄劇の当事者の一人となってしまい、婚約は解消されてしまう。
そこで息子のやらかしは親の責任と婚約者の父親で騎士団長のアレックスに妻にしてくれと頼む。
長いこと男やもめで女っ気のなかったアレックスはぐいぐい来るマリーゴールドに推されっぱなしだけど、先輩騎士でもあるマリーゴールドの母親は一筋縄でいかなくて。
脳筋イノシシ娘の猪突猛進劇です、
「ザマァされるはずのヒロインに転生してしまった」
「なりすましヒロインの娘」
と同じ世界です。
このお話は小説家になろうにも投稿しています
別れてくれない夫は、私を愛していない
abang
恋愛
「私と別れて下さい」
「嫌だ、君と別れる気はない」
誕生パーティー、結婚記念日、大切な約束の日まで……
彼の大切な幼馴染の「セレン」はいつも彼を連れ去ってしまう。
「ごめん、セレンが怪我をしたらしい」
「セレンが熱が出たと……」
そんなに大切ならば、彼女を妻にすれば良かったのでは?
ふと過ぎったその考えに私の妻としての限界に気付いた。
その日から始まる、私を愛さない夫と愛してるからこそ限界な妻の離婚攻防戦。
「あなた、お願いだから別れて頂戴」
「絶対に、別れない」
【本編完結】若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
はづも
恋愛
本編完結済み。番外編がたまに投稿されたりされなかったりします。
伯爵家に生まれたカレン・アーネストは、20歳のとき、幼馴染でもある若き公爵、ジョンズワート・デュライトの妻となった。
しかし、ジョンズワートはカレンを愛しているわけではない。
当時12歳だったカレンの額に傷を負わせた彼は、その責任を取るためにカレンと結婚したのである。
……本当に好きな人を、諦めてまで。
幼い頃からずっと好きだった彼のために、早く身を引かなければ。
そう思っていたのに、初夜の一度でカレンは懐妊。
このままでは、ジョンズワートが一生自分に縛られてしまう。
夫を想うが故に、カレンは妊娠したことを隠して姿を消した。
愛する人を縛りたくないヒロインと、死亡説が流れても好きな人を諦めることができないヒーローの、両片想い・幼馴染・すれ違い・ハッピーエンドなお話です。
家に代々伝わる髪色を受け継いでいないからとずっと虐げられてきていたのですが……。
四季
恋愛
メリア・オフトレスは三姉妹の真ん中。
しかしオフトレス家に代々伝わる緑髪を受け継がず生まれたために母や姉妹らから虐げられていた。
だがある時、トレットという青年が現れて……?
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる