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第六章 布教に行きたい

#124 最終決戦! 太陽VS銀河!

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「フレーフレー! お兄様あー!」
「せんぱーい! あのドラゴンをぶっ倒してくださいっす!」

 仲間達の声援を受けて、試合のボルテージは最高潮に上り詰める。
 配信画面に映るコメントもかなりの数が流れていった。

――凄い試合になってきたな。
――チーム戦だからこそできる進化や合体。どっちもレベルが高すぎる。
――これが伝説のチーム、幻想の竜達ファントム・ドラゴニクスのメンバー同士の戦い!

 今、フィールドでは二体のマドールが睨み合っていた。
 太陽竜プロミネンス・ドラコの進化形態エボリューションモード、太陽獅子王プロミネンス・ライオネル。
 銀河竜皇コズミック・ドラグオンの合体形態ユニオンモード、銀河流星皇シューティング・コスモ・ドラグオン。

『行くぞヒナ! 飛び立て、銀河流星皇シューティング・コスモ・ドラグオン!』

 ドラグオンがオーロラの翼をはためかせ、バトルフィールドの上空へと飛び立つ。
 このまま高所を確保してこちらを攻撃するつもりなら、そうはさせない!

「行け! プロミネンス・ライオネル!」

 俺がコントローラーを操作すると、プロミネンス・ライオネルは地面を蹴り、大きく跳躍する。
 白き獅子の体はそのまま重力を無視し、赤く染まった空へと昇っていく。

『なるほど、お前も飛行能力を持っていたか』

 ニヤリとコスモは笑う。
 そして二体のマドールは雲の上で再度対峙した。

「勝負だコスモ! 熱き太陽の炎をその身で味わえ! 太陽獅子王プロミネンス・ライオネルの頭部魔法ヘッドマジック発動!」

 獅子が大きく吠える。
 その咆哮は空気を震わせ、天地を揺るがす。
 そしてプロミネンス・ライオネルの体が燃え上がり、赤い炎が全身を包み込んだ。
 一方でコスモも声を張り上げる。

『銀河流星皇シューティング・コスモ・ドラグオンの頭部機能ヘッドファンクション発動!』

 ドラグオンの全身が青く輝き、その体は青い光に包まれていく。

「いくぞ、コスモおおお!」
『かかってこいヒナあああ!』

「メテオファイアソウル!」
『シューティングスターストライク!』

 お互いが技名を叫ぶとともに、二体のマドールはその場から飛び立つ。
 太陽のように真っ赤に燃える炎と、流れ星のように青く輝く光。
 それらが同時に相手へと接近し、赤と青が衝突した!

「いっけえ、プロミネンス・ライオネル!」
『やれえ、シューティング・コスモ・ドラグオン!』

 赤い炎と青き光は正面からぶつかり合い、押し合う。
 その力は拮抗し、互いに一歩も引かない。
 そこで俺はプロミネンス・ライオネルの能力を語る。

頭部魔法ヘッドマジック、メテオファイアソウルは自分の体を炎で包み、無敵状態となって相手に突撃する!」

 それを聞いて、コスモは口の端を吊り上げた。

『奇遇だな。頭部機能ヘッドファンクション、シューティングスターストライクは自分の体を流れ星へと変え、無敵状態になって全力でぶつかるんだよ』

 ということは!

「お互いに無敵状態ってこと?」

 夜宵が呟く。
 お互いのスキルは攻撃終了まで自身を無敵状態にするもの。
 しかし互いが互いの攻撃を阻んでいるため、どちらも攻撃は成立せず、無敵時間が終わらない。
 そこでコスモはニヤリと笑った。

『ヒナ! 最強の剣と最強の剣をぶつけあっても勝負はつかない。俺達の決着をつける方法はたったひとつしかないようだな!』

 そう言われて俺は気づく。
 タイムリミットか!
 自軍のゴールデンマドールを守るオーロラの中を見る。
 そこで水晶の魔法使いクリスタル・メイジ永久なる聖域エターナルエデンを維持するために自分の命を削っている。
 その余命は十五分。
 その時、聖域の中にいる水晶の魔法使いクリスタル・メイジの頭部装甲がゼロとなり、魔法使いはその場に倒れた。

「ごめんねヒナくん。あとは頼んでいい?」

 申し訳無さそうに水零が言う。
 同時に永久なる聖域エターナルエデンの効果は切れ、オーロラの障壁に亀裂が入り、割れていく。
 コスモは告げる。

『これでクイーンを守っていた永久なる聖域エターナルエデンは消えたな』
「だがお前達のキングを守っていた石化の呪いもすでに無い! 条件はお互いに同じだ」

 プロミネンス・ライオネルとシューティング・コスモ・ドラグオンは攻撃が成立するまで無敵状態のまま、どちらも絶対に倒れることはない。
 ならばこの勝負に決着をつける方法はたったひとつ。

「プロミネンス・ライオネル!」

 赤き炎の塊は、青き流星との押し合いを諦め、相手を避けて敵のゴールデンキングマドールを目指す。

『シューティング・コスモ・ドラグオン!』

 コスモも選択は同じだ。
 ヤツの操る流れ星は真っ直ぐにこちらのクイーンマドールへと向かった。
 赤く燃える太陽が空を滑り、キングへと落下する。
 一方で青く輝く流星も風を切り裂いて疾走し、クイーンを狙う。
 どちらが先に敵のゴールデンマドールを倒すか。勝負はその一点のみ。

「突っ込めええええ! プロミネンス・ライオネル!」

 燃え盛る炎の獅子が敵のキングマドールに近づく。近づく。
 行け、そのまま行け!
 チラリとドラグオンの方を見る。
 ヤツの青い星もまた、クイーンマドールの目前に迫っていた。
 負けて、たまるか!
 コントローラーを操る指先に俺の全神経を集中する。

「頑張れえ! ヒナあ!」
『負けるな! コスモお!』

 夜宵とクロリスの声が交差する。
 そして太陽の炎は、ゴールデンキングマドールに届く!

「メテオファイアソウル!」

 俺が技名を叫んだ瞬間、真紅の炎はキングマドールへ衝突し爆発する。
 炎に呑み込まれ敵のキングは、跡形もなく燃え尽きた。

『シューティングスターストライク!』

 同時に青く輝く流星がクイーンマドールを貫き、粉々に粉砕する。

「こ、これは! お互いのゴールデンマドールが機能停止ダウンしちゃいました!」

 光流が目を見開く。

「ダブルノックアウトっすか!」

 琥珀があんぐりと口を開け、驚きを示す。
 俺はチームメイトを見渡し、問いを発する。

「どっちだ? どっちが早かった?」

 その質問に対し、夜宵も水零も、光流も琥珀も、困惑の顔を浮かべるのだった。

「えっ、と。ごめんね。同時にしか見えなかったわ」

 水零のその感想に、他のメンバーも無言で頷く。
 人間の目では同時にしか見えなくても、勝つのはどちらか一チーム。
 どちらのゴールデンマドールが先に倒れたのか、ゲーム機は公正な判定を下すだろう。
 そしてテーブル上に勝利チームの名前が映し出された。
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