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第六章 布教に行きたい
#99 命名! 新チーム!
しおりを挟む「うーんでも、百獣の王って言えば虎よりもライオンよね」
「そうだな。ならライオンの方向性で考えてみるか」
水零の言葉に俺も同意を示す。
このまま方向性すら決まらないよりかは、野生動物の名を冠するというコンセプトに沿った方がいいだろう。
そこで涙を拭いて席に戻った光流が発言する。
「ではライオンズにしましょう」
「もうちょっと捻ろうよキミ。ストレートすぎて彩の国の野球チームになっちゃうよ」
「じゃあ、リーダーであるお兄様の名前からとって太陽ライオンズにします」
「どうしてそうやってキミはお兄ちゃんの本名をインターネットに流したがるの?」
そこで水零が口を挟む。
「でも太陽くん。私達ってライオンじゃなくて人間よね? あくまでライオンのような勇敢な魂を胸に戦うとか、そんな意味合いの名前がいいんじゃないかしら」
「ライオンの魂か、そうだな」
魂から連想される言葉って何だろう。
「魂、誇り、勇気、心」と俺。
「英語にするとソウルとかプライドとかっすかね」と琥珀。
「心、心臓、ハートとかでしょうか?」と光流。
「あら、いいじゃないそれ」と、水零が微笑んで見せた。
「ライオンハート、いい名前だと思うわ」
その言葉にチーム全員の顔に光が差す。
「ライオンハートか、確かいいかもな」
「はい、いい名前だと思います」
「私も賛成っす。文句なしに強そうっすよ」
「夜宵はどう思う?」
俺は彼女に意見を求める。
「あっ、うん。いいと思うよ。私も賛成」
これで、全員の賛成は得られた。
ただ夜宵が言い淀んだのが少し気になった。
「よし、決定ね。私達のチーム名はライオンハートに決まり!」
「わーわー」
「パチパチ」
水零が宣言し、光流と琥珀が拍手する中、俺は席を立ち夜宵へと近寄る。
「どうした夜宵、意見があるならちゃんと言った方がいいぞ」
「ん、いやそういうのじゃなくてさ」
少し困った顔を浮かべる夜宵。
そして軽く落ち込んだ顔で言葉を吐き出した。
「みんなが色々話し合ってるのに、私全然喋れなかったなーって」
あー、うん。そうだね。
夜宵は自分のコミュ障な部分に劣等感を持っている、と同時に克服したいとも思っていることを俺は知ってる。
「駄目だよねこんなんじゃ。折角友達が増えても根本的にコミュ障なところは全然変わってない」
「ああ、まあそんな重く考えるなよ。そのうち慣れていくさ」
励ますように言いながら俺は夜宵の髪を撫でてやる。
夜宵も照れくさそうにしながら力なく笑った。
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