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第五章 お泊りに行きたい
#79 うちの妹は甘えん坊で可愛い7
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暑い。
腰にタオルを巻き、バスチェアに座りながら、見慣れた我が家の浴室のタイルを眺める。
この暑さは風呂の熱気のせいか、それとも。
「そ、それではお兄様、お背中流しますね」
緊張した様子の光流の声が背後から聞こえる。
「ああ」と俺は返事を返した。
「あの、お兄様」
「なんでしょうか? 妹様」
遠慮がちに切り出す光流の言葉の先を促す。
「あの、絶対にこっちを向かないでくださいね。その、裸ですので」
「そ、そうだな」
どうしてこうなったのだろう。
ノリノリで俺を風呂に連れ込んだはいいものの、光流も年頃の乙女である。
脱衣所では俺に先に服を脱いで風呂に入るように促し、後から入ってきた彼女は俺の背後に隠れ、自分の裸を見せないというガード体勢をとっていた。
いや、そんな恥ずかしいならそもそも一緒に風呂に入るなんて言い出さなければいいのでは、とお兄ちゃんは思うのですよ。
しかし俺のそんな内心を知ってか知らずか、背中にスポンジの感触が触れ、ゴシゴシと擦り始める。
「お兄様、どうですか? 疲れはとれますか?」
「ああ、いいぞ光流。上手上手」
背中全体にボディソープを馴染ませるようにスポンジで広げ終えると、「じゃあ流しますねー」という言葉とともに、背中に温かいシャワーが浴びせられる。
誰かに背中を洗われるなんてどれくらいぶりだろうな。
その相手が光流だと思うと、なんだかむず痒いというか気恥ずかしい。
やがてシャワーを止めると、光流の爆弾発言が飛び込んできた。
「では、次は前を洗いますね」
「はい!?」
前? そこは男の子のデリケートゾーンではないでしょうか妹様!?
「あっ、ちょ、ちょっと待ってください。準備します」
何やら背後でごそごそやってる気配があり、「よし、準備できました」と言って光流が俺の正面へと回り込んでくる。
その姿は胸から腰までを真っ白な泡で覆い隠していた。
どうやら俺がお土産に買ってきた泡の出る入浴剤を使ったようだ。
「なるほど、泡で隠してるから恥ずかしくないよってことか」
「いえ、その」
躊躇いがちに彼女は言い淀む。
「そう思ったのですが、泡をつけてても結局裸には違いないのでやっぱり恥ずかしいと言いますか。その、あんまり見ないでいただけると助かります」
頬を朱に染めながら彼女は自分の体を腕で庇おうとする。
確かに泡で肌を隠しても彼女のボディーラインが完全に隠れるわけではない。
胸元から腰にかけての曲線美は息を呑むほど美しく、幼い頃から一緒に過ごしてきた少女の成長した姿をこんな形で見ること背徳感と同時に興奮を覚えるのだった。
光流は小柄で胸も大きくないと思っていたが、こうしてみると小ぶりながら美しい形をしている。
少しでも泡が下にずれてしまえば、あと少しで見えそうでドキドキしてしまう。
「ですからお兄様、そんなにガン見しないでくださいって」
困った様子で光流がそう懇願する。
しかしここは彼女を説得するいいチャンスだと思った。
「あのね光流ちゃん。キミがそうやって恥ずかしがるようにお兄ちゃんだって恥ずかしいんだよ。だから自分の体は自分で洗うからここは手を引いてくれるかね?」
「う、うむむ」
悩まし気に眉を顰め、光流は俺の方を見る。
より正確に言うと俺の下半身、タオルで隠した部分を。
「ではせめてタオルの下の部分だけでも洗わせてください」
「何がせめてなの!? 一番駄目だよ!」
仕方ないですねー、と口を尖らせながら光流は引き下がる。
その後お互い体を洗い終えると、泡で溢れかえった湯船に浸かるのだった。
腰にタオルを巻き、バスチェアに座りながら、見慣れた我が家の浴室のタイルを眺める。
この暑さは風呂の熱気のせいか、それとも。
「そ、それではお兄様、お背中流しますね」
緊張した様子の光流の声が背後から聞こえる。
「ああ」と俺は返事を返した。
「あの、お兄様」
「なんでしょうか? 妹様」
遠慮がちに切り出す光流の言葉の先を促す。
「あの、絶対にこっちを向かないでくださいね。その、裸ですので」
「そ、そうだな」
どうしてこうなったのだろう。
ノリノリで俺を風呂に連れ込んだはいいものの、光流も年頃の乙女である。
脱衣所では俺に先に服を脱いで風呂に入るように促し、後から入ってきた彼女は俺の背後に隠れ、自分の裸を見せないというガード体勢をとっていた。
いや、そんな恥ずかしいならそもそも一緒に風呂に入るなんて言い出さなければいいのでは、とお兄ちゃんは思うのですよ。
しかし俺のそんな内心を知ってか知らずか、背中にスポンジの感触が触れ、ゴシゴシと擦り始める。
「お兄様、どうですか? 疲れはとれますか?」
「ああ、いいぞ光流。上手上手」
背中全体にボディソープを馴染ませるようにスポンジで広げ終えると、「じゃあ流しますねー」という言葉とともに、背中に温かいシャワーが浴びせられる。
誰かに背中を洗われるなんてどれくらいぶりだろうな。
その相手が光流だと思うと、なんだかむず痒いというか気恥ずかしい。
やがてシャワーを止めると、光流の爆弾発言が飛び込んできた。
「では、次は前を洗いますね」
「はい!?」
前? そこは男の子のデリケートゾーンではないでしょうか妹様!?
「あっ、ちょ、ちょっと待ってください。準備します」
何やら背後でごそごそやってる気配があり、「よし、準備できました」と言って光流が俺の正面へと回り込んでくる。
その姿は胸から腰までを真っ白な泡で覆い隠していた。
どうやら俺がお土産に買ってきた泡の出る入浴剤を使ったようだ。
「なるほど、泡で隠してるから恥ずかしくないよってことか」
「いえ、その」
躊躇いがちに彼女は言い淀む。
「そう思ったのですが、泡をつけてても結局裸には違いないのでやっぱり恥ずかしいと言いますか。その、あんまり見ないでいただけると助かります」
頬を朱に染めながら彼女は自分の体を腕で庇おうとする。
確かに泡で肌を隠しても彼女のボディーラインが完全に隠れるわけではない。
胸元から腰にかけての曲線美は息を呑むほど美しく、幼い頃から一緒に過ごしてきた少女の成長した姿をこんな形で見ること背徳感と同時に興奮を覚えるのだった。
光流は小柄で胸も大きくないと思っていたが、こうしてみると小ぶりながら美しい形をしている。
少しでも泡が下にずれてしまえば、あと少しで見えそうでドキドキしてしまう。
「ですからお兄様、そんなにガン見しないでくださいって」
困った様子で光流がそう懇願する。
しかしここは彼女を説得するいいチャンスだと思った。
「あのね光流ちゃん。キミがそうやって恥ずかしがるようにお兄ちゃんだって恥ずかしいんだよ。だから自分の体は自分で洗うからここは手を引いてくれるかね?」
「う、うむむ」
悩まし気に眉を顰め、光流は俺の方を見る。
より正確に言うと俺の下半身、タオルで隠した部分を。
「ではせめてタオルの下の部分だけでも洗わせてください」
「何がせめてなの!? 一番駄目だよ!」
仕方ないですねー、と口を尖らせながら光流は引き下がる。
その後お互い体を洗い終えると、泡で溢れかえった湯船に浸かるのだった。
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