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第二章 おでかけに行きたい
#10 甘えん坊な妹と生意気な後輩
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「おはようございます、お兄様。朝御飯の用意できてますよ」
日曜の朝、台所に行くとそこにはベーコンエッグとサラダに、焼き立てのトーストが並んでいた。
そしてそれを用意してくれた亜麻色髪のゆるふわウェーブロングの少女がエプロン姿で笑顔を浮かべている。
赤いリボンカチューシャを頭につけた愛らしい彼女の名は火神光流。
わけあってウチで預かっている従妹の少女である。
時折、家事を手伝って両親を助けてくれるしっかりした彼女ではあるが、俺の印象を一言で述べさせてもらうのであれば、わんこ、と言うのが相応しい。
今だって俺の朝食を用意しながらも、どこかそわそわした様子である。
褒めて褒めて、と尻尾を振る犬のようにしか見えない。
「美味しそうだ。いつもありがとな、光流」
言いながら彼女のサラサラの髪をくしゃりと撫でる。
「お褒めに預かり光栄です」
くすぐったそうに笑う彼女から手を離し、着席して朝食に手を付ける。
そこで光流が話しかけてきた。
「ところでお兄様、本日のご予定はいかがですか?」
さて、トーストを頬張ったばかりなので返事はちょっと待ってくれと思っていたところで、玄関の方からインターホンの音が響いた。
ピンポーン、ピンポンピンポンピンポン、っとオイこら連打するな。
こんなことする奴は、俺の知る限り一人しかいない。
光流が客人を迎えに玄関へと向かうのを尻目に、俺は食事を続けることにした。
すぐにドタバタと賑やかな足音が廊下の方から近づいてくる。
朝から騒がしい奴が来たもんだ。
「おっはよーございまーっす! 先輩!」
台所に乗り込んできたのは、長い栗色の髪をうなじの辺りで束ねたポニーテール、というより尻尾髪と呼ぶ方が分かりやすいか。
とにかく元気いっぱいに瞳を輝かせた活発な少女がそこにいた。
俺の一つ年下で光流と同い年の幼馴染み、名前は白金琥珀。
「おー、美味しそうっすね。一口もらっていいっすか?」
「お前が餓死寸前になったら、一考してみるよ」
朝飯くらい自分の家で食べてきたろこいつ。
「今日も朝から元気だねお前は」
近所に住んでるこいつがウチに遊びにくるのはいつものことだ。
エネルギーを持て余さんばかりのハイテンションで彼女は声を張り上げる。
「そんなことより、今日こそ逃がさないっすよ先輩。勝負っす、ゲームで勝負! 私が勝ったら先輩にはなんでも言うことをきく召し使いになってもらいまっす!」
要約、ゲームで遊びましょう、と。
成長しても昔と変わらず俺に懐いてくる可愛い後輩だ。
俺にとっては光流同様、もう一人の妹みたいなもんだ。いや、光流も妹じゃなくて従妹だけどな。
「えー、なにそれ。じゃあ俺が勝ったらお前が俺の召し使いになるの?」
そう問い返すと、琥珀は得意気に胸を張り、ふふんと笑って言葉を返す。
「別に構わないっよ、勝つのは私ですから。先輩になんかぜーったい負けません!
私が勝ったら次のお休みは先輩に買い物に付き合ってもらって荷物持ちをしてもらったり、スイーツとか奢ってもらいますから」
要求が可愛いねえ。
「とても面白そうなお話ですね。私も参加していいですか?」
そこに光流も戻ってきて会話に加わる。
彼女はふんわりと微笑みながら、嬉しそうに告げる。
「勝ったらお兄様になんでも我が儘を聞いてもらえるんですよね。楽しみです」
「ほー、言うねえ光流。先輩は譲らないぜ?」
「ふふ、琥珀ちゃんには負けません」
そんな微笑ましいやりとりを横目に、俺は食べ終えた食器を片付けながら告げる。
「折角来てくれたとこ悪いんだけど、俺今日友達と出かけるんだ」
「なっ!」と口をあんぐり開けて驚く琥珀。
「えっ?」と意外そうな顔を見せる光流。
申し訳ないが、今日は二人で遊んでいてもらおう。俺には夜宵との約束がある。
洗い物を終えて、台所を出ようとするとそこに不機嫌そうな顔をした琥珀が立ちはだかった。
「どういうことっすか先輩」
「あー、ホント悪かったよ。この埋め合わせは今度するからさ」
「わかった。女っすね」
おい、なんか鋭いぞこいつ。
「どーりで今日は髪とか服とかオシャレしてると思ったんす。女と出かける約束でもしてるんすね」
「えー、ノーコメントで」
惚けてみるが、全くの無駄だった。
ぐぬぬぬ、と歯軋りする琥珀と呆然とした様子の光流から逃げるように俺は台所を出て自室へ向かう。
「ホント、悪いな。俺もう出かけなきゃ」
予定より大分早くなったが、これ以上家に留まって琥珀に絡まれたくないので俺は鞄を持ってとっとと出かけることにした。
日曜の朝、台所に行くとそこにはベーコンエッグとサラダに、焼き立てのトーストが並んでいた。
そしてそれを用意してくれた亜麻色髪のゆるふわウェーブロングの少女がエプロン姿で笑顔を浮かべている。
赤いリボンカチューシャを頭につけた愛らしい彼女の名は火神光流。
わけあってウチで預かっている従妹の少女である。
時折、家事を手伝って両親を助けてくれるしっかりした彼女ではあるが、俺の印象を一言で述べさせてもらうのであれば、わんこ、と言うのが相応しい。
今だって俺の朝食を用意しながらも、どこかそわそわした様子である。
褒めて褒めて、と尻尾を振る犬のようにしか見えない。
「美味しそうだ。いつもありがとな、光流」
言いながら彼女のサラサラの髪をくしゃりと撫でる。
「お褒めに預かり光栄です」
くすぐったそうに笑う彼女から手を離し、着席して朝食に手を付ける。
そこで光流が話しかけてきた。
「ところでお兄様、本日のご予定はいかがですか?」
さて、トーストを頬張ったばかりなので返事はちょっと待ってくれと思っていたところで、玄関の方からインターホンの音が響いた。
ピンポーン、ピンポンピンポンピンポン、っとオイこら連打するな。
こんなことする奴は、俺の知る限り一人しかいない。
光流が客人を迎えに玄関へと向かうのを尻目に、俺は食事を続けることにした。
すぐにドタバタと賑やかな足音が廊下の方から近づいてくる。
朝から騒がしい奴が来たもんだ。
「おっはよーございまーっす! 先輩!」
台所に乗り込んできたのは、長い栗色の髪をうなじの辺りで束ねたポニーテール、というより尻尾髪と呼ぶ方が分かりやすいか。
とにかく元気いっぱいに瞳を輝かせた活発な少女がそこにいた。
俺の一つ年下で光流と同い年の幼馴染み、名前は白金琥珀。
「おー、美味しそうっすね。一口もらっていいっすか?」
「お前が餓死寸前になったら、一考してみるよ」
朝飯くらい自分の家で食べてきたろこいつ。
「今日も朝から元気だねお前は」
近所に住んでるこいつがウチに遊びにくるのはいつものことだ。
エネルギーを持て余さんばかりのハイテンションで彼女は声を張り上げる。
「そんなことより、今日こそ逃がさないっすよ先輩。勝負っす、ゲームで勝負! 私が勝ったら先輩にはなんでも言うことをきく召し使いになってもらいまっす!」
要約、ゲームで遊びましょう、と。
成長しても昔と変わらず俺に懐いてくる可愛い後輩だ。
俺にとっては光流同様、もう一人の妹みたいなもんだ。いや、光流も妹じゃなくて従妹だけどな。
「えー、なにそれ。じゃあ俺が勝ったらお前が俺の召し使いになるの?」
そう問い返すと、琥珀は得意気に胸を張り、ふふんと笑って言葉を返す。
「別に構わないっよ、勝つのは私ですから。先輩になんかぜーったい負けません!
私が勝ったら次のお休みは先輩に買い物に付き合ってもらって荷物持ちをしてもらったり、スイーツとか奢ってもらいますから」
要求が可愛いねえ。
「とても面白そうなお話ですね。私も参加していいですか?」
そこに光流も戻ってきて会話に加わる。
彼女はふんわりと微笑みながら、嬉しそうに告げる。
「勝ったらお兄様になんでも我が儘を聞いてもらえるんですよね。楽しみです」
「ほー、言うねえ光流。先輩は譲らないぜ?」
「ふふ、琥珀ちゃんには負けません」
そんな微笑ましいやりとりを横目に、俺は食べ終えた食器を片付けながら告げる。
「折角来てくれたとこ悪いんだけど、俺今日友達と出かけるんだ」
「なっ!」と口をあんぐり開けて驚く琥珀。
「えっ?」と意外そうな顔を見せる光流。
申し訳ないが、今日は二人で遊んでいてもらおう。俺には夜宵との約束がある。
洗い物を終えて、台所を出ようとするとそこに不機嫌そうな顔をした琥珀が立ちはだかった。
「どういうことっすか先輩」
「あー、ホント悪かったよ。この埋め合わせは今度するからさ」
「わかった。女っすね」
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「どーりで今日は髪とか服とかオシャレしてると思ったんす。女と出かける約束でもしてるんすね」
「えー、ノーコメントで」
惚けてみるが、全くの無駄だった。
ぐぬぬぬ、と歯軋りする琥珀と呆然とした様子の光流から逃げるように俺は台所を出て自室へ向かう。
「ホント、悪いな。俺もう出かけなきゃ」
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