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(41)イブの夜
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仙台空港に降り立つと、一稀さんが手配してたリムジンに乗って市内のホテルまで移動する。
ユーグリアホテルは、日本でもトップクラスのレジャー産業の担い手である城之内グループが経営する、ラグジュアリーを売りにした高級ホテルだ。
「なーたんは好きじゃないだろうけど、俺の立場上、あまりグレードの低い部屋は押さえられないんだ」
最上階の客室に上がるエレベーターの中で、一稀さんは苦笑すると、これでも経済誌に取り上げられたりして顔が知れてるからねと付け加えた。
一稀さんが言った通り、クリスマスシーズンのこの時期になのに、今夜泊まる部屋はいわゆるスイートルームで、二人きりで一泊するには大袈裟なほど広い部屋だった。
「凄いね、こんな素敵な部屋に泊まれるなんて夢みたい。ありがとう、一稀さん」
「そう?気に入ってくれたならいいけど」
コートを脱いでクローゼットに掛けると、私のコートを脱がせて同じようにそれをハンガーに掛けてクローゼットを閉じる。
「ねえ一稀さん凄いよ、バーカウンターとかある」
「ふふ、そうだね」
「見てよ!ウェルカムドリンクだって。これ一稀さんが頼んだの?」
リビングのローテーブルに置かれたワインクーラーには、多分シャンパンだろうボトルが冷やされてる。
「これはサービスだろうね。急に手配をお願いしたのに気の利いたサービスだよね」
「なんか今日はめちゃくちゃシャンパン呑んでるよ私」
「なーたんはお酒強いからね。どうする?シャンパン開けようか」
「うん、せっかくだしいただこうよ」
ふかふかのソファーに座ると、クッションを抱えて一稀さんがシャンパンを注いでくれるのを横で見つめる。
正直に言えば、一稀さんの人生や価値観を理解できるなんて、今の私には言えない。それはあまりにも無責任でいい加減な言葉でしかないから。
それに、私が一稀さんに合わせる必要はないと思うし、私が変わらないといけないなんてことも思わない。
ただ、そのあまりにも違う価値観の中でもがいてるように見える一稀さんに、私は手を差し伸べ続けたいと思うし、その手を絶対に離したくないと思う。
「ルイロデレールだね。なーたん結構好きだと思うよ」
透き通るシャンパンゴールドが、細いグラスの中で弾ける様子に心が躍る。
「どうしよう。発泡酒の生活に戻れなくなりそう」
私が冗談めかして笑うと、一稀さんは可笑しそうに肩を揺らしてそれは困るねと楽しげに口角を上げた。
「たまにだからイイんじゃないかな」
「じゃあ一稀さんに感謝しないとね」
グラスを掲げて小さく鳴らすと、今日何杯目か分からないシャンパンが喉をくすぐってお腹に降りていく。
柑橘系のような爽やかさの後に、果実の甘味、その後に林檎のようなさっぱりした爽やかな香りが残って呑みやすい。
「今日飲んだどれとも違うね。凄く好きかも知れない」
「やっぱり。辛口ですっきりしてて呑みやすいけど、香りの膨らみが良いんだよね」
「高いものを知るのも大事かもね」
「なーたんがそう言ってくれると、今日の反省も少なくて済むかな」
「一稀さんが私を思ってしてくれたことだもん。嬉しくないわけないよ、でも流石にちょっとふわふわしてきたかな」
隣に座る一稀さんの肩に頭を乗せるようにもたれかかると、腰を抱かれて髪にキスを落とされる。
「可愛いお姫様。そんなに甘えて、もしかして俺のこと誘ってるの」
「どうだろうね」
そう言って顔を見上げながら、ベストとシャツの間に手を忍ばせると、シャツの上から一稀さんの逞しい胸を弄る。
「ちょっと、なーたん」
「あ。硬くなってきた」
僅かな摩擦に反応するように隆起し始めた尖端を指で擦り続けると、一稀さんが困ったように小さく息を吐く。
「悪戯好きな子にはお仕置きしないとね」
「あら、どんな風に?」
片足を上げて一稀さんの太腿の上に乗せると、驚いた様子の一稀さんに余裕ぶった笑みを浮かべて、挑発するように内腿を撫でるように指を滑らせる。
「いけない子だね」
「たまにはイタズラしたいからね」
一稀さんのバックルに手を掛けてベルトを外すと、スラックスのジッパーをゆっくり下げて、奥に潜んでる膨らみにそっと指を添える。
「なーたん」
「いっくんに気持ちよくなって欲しいんだけど、お口でご奉仕したらダメ?」
「あーダメ。そんな可愛い顔でエロいこと言わないで。めっちゃチンコ痛い」
「あはは。じゃあ可愛がってあげる」
こんなことを言う日が自分の人生に訪れるとは思いもしなかった。
私はソファーから立ち上がると、跪いて一稀さんの正面に座り込んだ。
ユーグリアホテルは、日本でもトップクラスのレジャー産業の担い手である城之内グループが経営する、ラグジュアリーを売りにした高級ホテルだ。
「なーたんは好きじゃないだろうけど、俺の立場上、あまりグレードの低い部屋は押さえられないんだ」
最上階の客室に上がるエレベーターの中で、一稀さんは苦笑すると、これでも経済誌に取り上げられたりして顔が知れてるからねと付け加えた。
一稀さんが言った通り、クリスマスシーズンのこの時期になのに、今夜泊まる部屋はいわゆるスイートルームで、二人きりで一泊するには大袈裟なほど広い部屋だった。
「凄いね、こんな素敵な部屋に泊まれるなんて夢みたい。ありがとう、一稀さん」
「そう?気に入ってくれたならいいけど」
コートを脱いでクローゼットに掛けると、私のコートを脱がせて同じようにそれをハンガーに掛けてクローゼットを閉じる。
「ねえ一稀さん凄いよ、バーカウンターとかある」
「ふふ、そうだね」
「見てよ!ウェルカムドリンクだって。これ一稀さんが頼んだの?」
リビングのローテーブルに置かれたワインクーラーには、多分シャンパンだろうボトルが冷やされてる。
「これはサービスだろうね。急に手配をお願いしたのに気の利いたサービスだよね」
「なんか今日はめちゃくちゃシャンパン呑んでるよ私」
「なーたんはお酒強いからね。どうする?シャンパン開けようか」
「うん、せっかくだしいただこうよ」
ふかふかのソファーに座ると、クッションを抱えて一稀さんがシャンパンを注いでくれるのを横で見つめる。
正直に言えば、一稀さんの人生や価値観を理解できるなんて、今の私には言えない。それはあまりにも無責任でいい加減な言葉でしかないから。
それに、私が一稀さんに合わせる必要はないと思うし、私が変わらないといけないなんてことも思わない。
ただ、そのあまりにも違う価値観の中でもがいてるように見える一稀さんに、私は手を差し伸べ続けたいと思うし、その手を絶対に離したくないと思う。
「ルイロデレールだね。なーたん結構好きだと思うよ」
透き通るシャンパンゴールドが、細いグラスの中で弾ける様子に心が躍る。
「どうしよう。発泡酒の生活に戻れなくなりそう」
私が冗談めかして笑うと、一稀さんは可笑しそうに肩を揺らしてそれは困るねと楽しげに口角を上げた。
「たまにだからイイんじゃないかな」
「じゃあ一稀さんに感謝しないとね」
グラスを掲げて小さく鳴らすと、今日何杯目か分からないシャンパンが喉をくすぐってお腹に降りていく。
柑橘系のような爽やかさの後に、果実の甘味、その後に林檎のようなさっぱりした爽やかな香りが残って呑みやすい。
「今日飲んだどれとも違うね。凄く好きかも知れない」
「やっぱり。辛口ですっきりしてて呑みやすいけど、香りの膨らみが良いんだよね」
「高いものを知るのも大事かもね」
「なーたんがそう言ってくれると、今日の反省も少なくて済むかな」
「一稀さんが私を思ってしてくれたことだもん。嬉しくないわけないよ、でも流石にちょっとふわふわしてきたかな」
隣に座る一稀さんの肩に頭を乗せるようにもたれかかると、腰を抱かれて髪にキスを落とされる。
「可愛いお姫様。そんなに甘えて、もしかして俺のこと誘ってるの」
「どうだろうね」
そう言って顔を見上げながら、ベストとシャツの間に手を忍ばせると、シャツの上から一稀さんの逞しい胸を弄る。
「ちょっと、なーたん」
「あ。硬くなってきた」
僅かな摩擦に反応するように隆起し始めた尖端を指で擦り続けると、一稀さんが困ったように小さく息を吐く。
「悪戯好きな子にはお仕置きしないとね」
「あら、どんな風に?」
片足を上げて一稀さんの太腿の上に乗せると、驚いた様子の一稀さんに余裕ぶった笑みを浮かべて、挑発するように内腿を撫でるように指を滑らせる。
「いけない子だね」
「たまにはイタズラしたいからね」
一稀さんのバックルに手を掛けてベルトを外すと、スラックスのジッパーをゆっくり下げて、奥に潜んでる膨らみにそっと指を添える。
「なーたん」
「いっくんに気持ちよくなって欲しいんだけど、お口でご奉仕したらダメ?」
「あーダメ。そんな可愛い顔でエロいこと言わないで。めっちゃチンコ痛い」
「あはは。じゃあ可愛がってあげる」
こんなことを言う日が自分の人生に訪れるとは思いもしなかった。
私はソファーから立ち上がると、跪いて一稀さんの正面に座り込んだ。
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