上 下
31 / 67

(31)禁則事項のその先へ※

しおりを挟む
 鈍い水音を立てて口の外で舌を絡めると、パーカーのジッパーが下げられて、キャミソールの中に一稀さんの手が入ってきた。
 触れられた瞬間に肌は粟立ち、久しく味わうことのなかった人の熱の感触に、自然とその先の刺激を求めて腰が揺れる。
「厭らしいね、腰動いてる」
「気持ちいいから」
「光栄だけど、癪に触る」
 背中に回された一稀さんの手がブラのホックを外すと、隙間に滑り込むように背中からゆっくりと指先が胸元に近付き、キスだけで敏感に立ち上がった乳首ごと乳房を掴まれて、ふるふると揺さぶられる。
「おっぱいも可愛いね」
「どうせちっさいよ」
「どこが、めちゃくちゃ可愛い。質量より感度じゃないの」
 キャミソールを捲られて、ホックが外れて浮いたブラを手で避けると、一稀さんの唇が乳首を甘噛みして舌先が押し当てられる。
「ぁあんっ」
「きもちいんだ。かーわいー」
 舌先で翻弄されて甘い刺激に堪らず声を漏らすと、のけぞった腰を支えてた一稀さんの手が反対の乳房を掴んで指先でも翻弄してくる。
 私は咄嗟に倒れないように、一稀さんの首に腕を絡ませて後ろで手を組んだ。
「なーたんも大人だから分かってるけど、動きがスムーズだとイラつく」
 乳房にチリッとした痛みが走ると、赤い痕が浮かび上がる。
「いっ」
「男の影がチラつくの本気で腹立たしい」
 まるで私が浮気したみたいに理不尽な怒りをぶつけられると、こっちもついつい言葉が出る。
「あのね。一稀さんだってモテないワケないんだから。どうせ数えきれないくらい色んな穴に突っ込んできたクセに、そういう嫉妬はどうかと思うよ」
「なーたん、言い方」
「綺麗なお姉さんとたくさんエッチなこと楽しんで生きてきたんでしょ」
「俺はそこに愛なんかなかったから良いの」
「既に壊れた愛にやきもち妬かれてもね」
「ヤなもんはヤなの」
「じゃあ止めるの、いっくん?」
 一稀さんの耳朶を甘噛みして囁くと、お腹に当たる昂りがビクッと反応した。
「あーもう。そういうのズルい」
 ギュッと抱き寄せられて顔が離れたと思ったら、襟足から髪を搔き上げるように後頭部に掌が移動して、唇が重なった。
「んんっ」
 忙しなく水音を跳ねさせて甘噛みのようなキスが続くと、そのまま押し倒されて、着乱れた服を一気に脱がされた名残で、両手を頭の上にバンザイしたままシーツに縫い止められる。
「あぁ、最高の眺めだね」
「本当に、口だけは上手いんだから」
「俺は本心しか言わないよ。照れるとツンツンするから分かりやすいね、なーたん」
 そう言って口角を上げ、一稀さんは空いた手を私の下腹部に添えておへその周りでくるりと円を描くと、指を3本に増やして逆撫でするように脇腹を撫でながら、目線を決して離さない。 
「感じてる顔、めちゃくちゃ唆る」
「喋る余裕があるならキスして」
「ヤダ。舐めたい」
 一稀さんは悪戯っぽく笑うと、その腕に捕まって固定され、剥き出しになった私の脇の下に舌を這わせる。
「やぁっ、そんなとこ、やだぁ」
「そんな顔しながら言うのって誘ってる?」
「あぁん、ダメって。本当にっ」
 くぼみに沿って味わうように舌を這わされるとゾクゾクして、堪え切れずに奥が潤んだのが分かると、無意識のうちに羞恥で足を交差させる。
 当然のようにそれに気付いた一稀さんは、片膝でその隙間を埋めると、私が足を交差できないようにしながら、脇から胸元を舌先で翻弄する。
「濡れちゃった?」
「わざわざ言わないで」
「なんで、感じてるなーたん見せてよ」
 一稀さんは、挑発するような視線を向けたまま尖った乳首を口に含むと、厭らしく口の中で舐り倒して、私が堪えられずに漏らす甘い吐息を楽しそうに聞いている。
「あぁあんっ、ん、んん」
 迫り上がる痺れに、堪らず腰を揺らして一稀さんの太腿を擦り上げると、満足そうに笑って膝頭を熱く熟れた足の間に押し当てて顔を上げる。
「そんなに触って欲しいの?」
「だって」
「かわいーね。おねだりできる?」
「やだぁ、恥ずかしいよ」
「どこ触って欲しいの?」
 口の中から解放された乳首の周りを、一稀さんの指が円を描くようになぞって、じれったい刺激に背をしならせると、ひんやりとした空気に触れて身体がビクビク震える。
「なーたん、どこ触られたいの」
「意地悪言わないでよ」
「えー。じゃあずっとこうしてる?」
 フェザータッチの指先が乳首の周りで円を描いて、欲しいのに物足りないじれったい動きに、いよいよ我慢が羞恥を乗り越えて、一稀さんの手を掴んで誘導する。
「ここ」
「ここをどうするのか教えてよ」
「掻き回して」
「エロいね、なーたん」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

溺愛ダーリンと逆シークレットベビー

葉月とに
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。 立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。 優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?

冷徹御曹司と極上の一夜に溺れたら愛を孕みました

せいとも
恋愛
旧題:運命の一夜と愛の結晶〜裏切られた絶望がもたらす奇跡〜 神楽坂グループ傘下『田崎ホールディングス』の創業50周年パーティーが開催された。 舞台で挨拶するのは、専務の田崎悠太だ。 専務の秘書で彼女の月島さくらは、会場で挨拶を聞いていた。 そこで、今の瞬間まで彼氏だと思っていた悠太の口から、別の女性との婚約が発表された。 さくらは、訳が分からずショックを受け会場を後にする。 その様子を見ていたのが、神楽坂グループの御曹司で、社長の怜だった。 海外出張から一時帰国して、パーティーに出席していたのだ。 会場から出たさくらを追いかけ、忘れさせてやると一夜の関係をもつ。 一生をさくらと共にしようと考えていた怜と、怜とは一夜の関係だと割り切り前に進むさくらとの、長い長いすれ違いが始まる。 再会の日は……。

【完結】やさしい嘘のその先に

鷹槻れん
恋愛
妊娠初期でつわり真っ只中の永田美千花(ながたみちか・24歳)は、街で偶然夫の律顕(りつあき・28歳)が、会社の元先輩で律顕の同期の女性・西園稀更(にしぞのきさら・28歳)と仲睦まじくデートしている姿を見かけてしまい。 妊娠してから律顕に冷たくあたっていた自覚があった美千花は、自分に優しく接してくれる律顕に真相を問う事ができなくて、一人悶々と悩みを抱えてしまう。 ※30,000字程度で完結します。 (執筆期間:2022/05/03〜05/24) ✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼ 2022/05/30、エタニティブックスにて一位、本当に有難うございます! ✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼ --------------------- ○表紙絵は市瀬雪さまに依頼しました。  (作品シェア以外での無断転載など固くお断りします) ○雪さま (Twitter)https://twitter.com/yukiyukisnow7?s=21 (pixiv)https://www.pixiv.net/users/2362274 ---------------------

イケメンエリート軍団の籠の中

便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC” 謎多き噂の飛び交う外資系一流企業 日本内外のイケメンエリートが 集まる男のみの会社 唯一の女子、受付兼秘書係が定年退職となり 女子社員募集要項がネットを賑わした 1名の採用に300人以上が殺到する 松村舞衣(24歳) 友達につき合って応募しただけなのに 何故かその超難関を突破する 凪さん、映司さん、謙人さん、 トオルさん、ジャスティン イケメンでエリートで華麗なる超一流の人々 でも、なんか、なんだか、息苦しい~~ イケメンエリート軍団の鳥かごの中に 私、飼われてしまったみたい… 「俺がお前に極上の恋愛を教えてやる 他の奴とか? そんなの無視すればいいんだよ」

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

【完結】獣欲な副社長はドライな秘書を捕まえたい。

花澤凛
恋愛
第17回 恋愛小説大賞 エタニティ賞受賞 皆さまのおかげで賞をいただくことになりました。 ありがとうございます。 越智美琴(おちみこと)は元彼に「お前とのセックス、気持ちよくない」と言われたことをきっかけにセックスを探求し続けていた。とはいえ、相手はいないので玩具を使った一人エッチ。おまけに探求しすぎた結果、玩具でしか快感を得られない身体になってしまった。 そんなある日美琴は大事な玩具の入ったポーチを会社に忘れてしまう。慌てて取りに戻ったものの、副社長であり美琴の上司である蓮見慧士(はすみさとし)にポーチの中身がバレてしまった。 「黙っててやるから俺にも見せろよ」 そこからはじまった二人のオトナの関係。 昼間は上司と部下。 夜はセフレ。 しかし、セフレにしては距離感が近いような気がする。 「俺たちは俺たちの関係を作ればいい」 ドライな秘書×欲深な副社長 カラダから始まる愛欲強めのラブストーリー。

ヤクザの若頭は、年の離れた婚約者が可愛くて仕方がない

絹乃
恋愛
ヤクザの若頭の花隈(はなくま)には、婚約者がいる。十七歳下の少女で組長の一人娘である月葉(つきは)だ。保護者代わりの花隈は月葉のことをとても可愛がっているが、もちろん恋ではない。強面ヤクザと年の離れたお嬢さまの、恋に発展する前の、もどかしくドキドキするお話。

セカンドラブ ー30歳目前に初めての彼が7年ぶりに現れてあの時よりちゃんと抱いてやるって⁉ 【完結】

remo
恋愛
橘 あおい、30歳目前。 干からびた生活が長すぎて、化石になりそう。このまま一生1人で生きていくのかな。 と思っていたら、 初めての相手に再会した。 柚木 紘弥。 忘れられない、初めての1度だけの彼。 【完結】ありがとうございました‼

処理中です...