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15.⑥
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でもそこまで考えてから、凌さんが口にした言葉の意味を改めて考えて、急に頬が熱くなった。
サラッと言われたからそうですかなんて聞き流してしまったけれど、凌さんが言う付き合うって言うのは、私が彼の恋人になるということだ。
「えっと、あの、お付き合いっていうのは、そういう?」
「そうだよ。彼氏にしてもらえないかなって」
「あっ、あ、そ、そうなんですね」
凄い変な上擦った声が出てしまった。
「こんなタイミングになっちゃったし、母のこともまだ落ち着いてないけど……秋菜ちゃん」
「はいっ」
「俺と付き合うこと、ちょっと前向きに考えてもらえないかな」
「分かりました」
「ありがとう」
「あの、凌さん。辛い時こそ誰かに寄りかかるってすごく大事だと思います。私で良ければ、いつでも大丈夫ですし、しんどいなら辛いって言わないと疲れちゃいますから」
「それって、さっきの話に対しての返事だと思っていいのかな」
「や、えっと……はい。私で良ければ、お願いします」
「キミは、やっぱり凄く人が良いね」
「人が良いとか、そんなんじゃないです。凌さんだから支えたいと思うだけなので、その、そういうことです」
いざ告白の瞬間を迎えると、恥ずかしさで顔から火が出そうだ。
イエスのつもりで答えたものの、どんな顔をしたら良いのか分からなくて、俯いて爪をいじるように指先を弾くと、その手に凌さんの大きな手が重なった。
「じゃあ早速、甘えちゃおうかな」
「えっ、と?」
「この後まだ大丈夫かな」
「はい、特に予定はないので」
「良かった。じゃあちょっと待ってね」
凌さんはにっこり笑うと、断りを入れてからスマホを取り出して、その間も片手は重なったままで、なんとなくずっとドキドキしてしまう。
どこかに電話をかけてるみたいだけど、どうやら相手は美鳥のようで、お母様を一人にさせないように、家に留まって欲しいという話をしているようだ。
なんだかそれが申し訳なくて、酷いことをしようとしてる気になってしまうけれど、電話を終えた凌さんは逆に晴れやかな顔をして私の顔を覗き込んだ。
「美鳥ちゃん、今日は泊まってくれるって。お袋もゆっくりして来いって言ってくれたし、俺の方は時間空きました」
「そ、そうですか」
「ごめん、一人で浮かれちゃって。なんていうか言い方が悪いけど、お袋と離れて過ごせるのは久々だから。肩の荷が降りたっていうか。こんなこと言うなんて、ダメな息子だよね」
「そんなことはないです。いくら家族でも、大変なことはあると思いますから」
「うん。ありがとう」
重なった手が、改めて握り締めるようにギュッと私の手を掴む。
ドキドキしてるのが手から伝わってしまうんじゃないかと思って、握り締めた手に力が入るけど、それを優しく解くようにして、凌さんは私と手を繋いだ。
「せっかくだから、買い物でもして回る?」
「そうですね」
「よし、じゃあ行こうか」
手を繋いだまま立ち上がった凌さんは、私の手を引いて立ち上がらせ、ちょっと照れるねと楽しそうに笑った。
サラッと言われたからそうですかなんて聞き流してしまったけれど、凌さんが言う付き合うって言うのは、私が彼の恋人になるということだ。
「えっと、あの、お付き合いっていうのは、そういう?」
「そうだよ。彼氏にしてもらえないかなって」
「あっ、あ、そ、そうなんですね」
凄い変な上擦った声が出てしまった。
「こんなタイミングになっちゃったし、母のこともまだ落ち着いてないけど……秋菜ちゃん」
「はいっ」
「俺と付き合うこと、ちょっと前向きに考えてもらえないかな」
「分かりました」
「ありがとう」
「あの、凌さん。辛い時こそ誰かに寄りかかるってすごく大事だと思います。私で良ければ、いつでも大丈夫ですし、しんどいなら辛いって言わないと疲れちゃいますから」
「それって、さっきの話に対しての返事だと思っていいのかな」
「や、えっと……はい。私で良ければ、お願いします」
「キミは、やっぱり凄く人が良いね」
「人が良いとか、そんなんじゃないです。凌さんだから支えたいと思うだけなので、その、そういうことです」
いざ告白の瞬間を迎えると、恥ずかしさで顔から火が出そうだ。
イエスのつもりで答えたものの、どんな顔をしたら良いのか分からなくて、俯いて爪をいじるように指先を弾くと、その手に凌さんの大きな手が重なった。
「じゃあ早速、甘えちゃおうかな」
「えっ、と?」
「この後まだ大丈夫かな」
「はい、特に予定はないので」
「良かった。じゃあちょっと待ってね」
凌さんはにっこり笑うと、断りを入れてからスマホを取り出して、その間も片手は重なったままで、なんとなくずっとドキドキしてしまう。
どこかに電話をかけてるみたいだけど、どうやら相手は美鳥のようで、お母様を一人にさせないように、家に留まって欲しいという話をしているようだ。
なんだかそれが申し訳なくて、酷いことをしようとしてる気になってしまうけれど、電話を終えた凌さんは逆に晴れやかな顔をして私の顔を覗き込んだ。
「美鳥ちゃん、今日は泊まってくれるって。お袋もゆっくりして来いって言ってくれたし、俺の方は時間空きました」
「そ、そうですか」
「ごめん、一人で浮かれちゃって。なんていうか言い方が悪いけど、お袋と離れて過ごせるのは久々だから。肩の荷が降りたっていうか。こんなこと言うなんて、ダメな息子だよね」
「そんなことはないです。いくら家族でも、大変なことはあると思いますから」
「うん。ありがとう」
重なった手が、改めて握り締めるようにギュッと私の手を掴む。
ドキドキしてるのが手から伝わってしまうんじゃないかと思って、握り締めた手に力が入るけど、それを優しく解くようにして、凌さんは私と手を繋いだ。
「せっかくだから、買い物でもして回る?」
「そうですね」
「よし、じゃあ行こうか」
手を繋いだまま立ち上がった凌さんは、私の手を引いて立ち上がらせ、ちょっと照れるねと楽しそうに笑った。
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