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高校生編

29 春の海で(7)

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調理場まで行くと礼央くんはもうきていた。
僕もエプロンを借りて、手を洗って準備万端。

お昼はソーキそば、ミニタコライスとモリモリ!
僕のたっての要望でシークァーサードレッシングが知りたかったのでシークァーサードレッシングを使ってチョップドサラダを作ってもらうことにした。
チョップドサラダには青パパイヤを使うらしい。

ソーキそば用のソーキを煮込む。
黒糖と泡盛を使って醤油と生姜を入れて臭み消しに長ネギの頭も入れておく。
ダシはカツオと鶏ガラ。
麺は出来合いのもので与那覇さんの知り合いの製麺所から取り寄せてるらしい。

タコライス用のお肉はウスターソースとケチャップにチリパウダーを混ぜるのが基本らしい。あとは醤油とお砂糖とお酒。

これなら寮でも作れそう。

ソーキも角煮で作れば沖縄そばって名前になって簡単だと教えてもらった。

料理を作りながら礼央くんと僕は与那覇さんに色々と質問していく。
豚肉を使った料理が多くて、あとはランチョンミートもよく使うらしい。
南国特有の野菜なんかも使うけど、今の時代なら普通にスーパーや通販で手に入るから帰ってからも作れそう。

「そういえば与那覇さんも番持ちなんですよね?」
「お?ああ、ここで働く条件として番持ちのアルファかオメガと決まってるからな。俺んとこは『運命の番』じゃないけどな。」

「へぇ。」
「まぁ、凛様も居るし、未央様も番無しだから。都築さん…って本家の料理長からの紹介で今回来たんだけど、俺に声かけたのもそもそも俺が番持ちだったからな。」

あ、シェフさんって都築さんっていうのか…。
そうか僕も未亜さんも番がまだいないから、なんかあったらたいへんだもんな。

「そういえば凛連絡したの?」
「あ、うん。唯にも連絡したんだけど…ものすごい肉食系女子みたいな提案されて困っちゃった。」
「はは、唯っぽいね。なんとかなりそう?」
「うーん。頑張ってみる。」

「凛様誘惑でもするんですか?」
「あ!え…っとはい…。」
「ははは、凛様に言われれば大翔様も喜ばれるんじゃないですか?」
「そ、そうですかね…?与那覇さんも番のお相手に、その…誘惑されたら嬉しいですか?」

「うちのにですか?そら嬉しいですよ。尻尾振って頑張っちゃいますね。」

が!!!頑張っちゃうのか…そうか…大翔も嬉しいって思ってくれるかな…。

「男は単純な生き物ですからね、そら大好きな相手に言われて嫌になんてなりませんよ。シャツの裾でもちょっと握って上目遣いでお願いすれば100%ですよ。」

ふむふむ…シャツの裾をちょんと握って上目遣い…。
上に乗っかれっていう唯の提案よりは実行できそうかも…。

「それならできるかな…。」
「何かあれば相談に乗りますよ。」
「うん、ありがとうございます。」

「凛、ヒロくんにあんまり心配させないようにね。」
「わかってるよ!」

礼央くんは心配性だな、大丈夫!…だと思う…。

料理も準備できた。
作りたいと思ってたシークァーサードレッシングもレシピを教えてもらえたから寮でも作ろう!

気づけば時計の針はてっぺんを少し過ぎた頃、与那覇さんにお礼を言って礼央くんと僕は食堂へ戻るとみんな既に揃っていた。

「大翔!お仕事終わった?」
「ああ、終わったよ。凛はどうだった?」
「うん、いろいろ教えてもらった!」

そう、色々教えてもらった。料理のこともだけど、今一番の課題である大翔を誘惑する作戦についても助言貰えたし。がんばるぞ!

「ふふ、なんか楽しそう。」
「うん。がんばるね!」
「…何を?」
「ないしょ!」

ふふふ!何となくできそうなことが見つかったら急にやる気が出てきてしまった!
この時大翔がちょっと不満そうな顔をしていた事に、僕は気付いていなかった。

「大翔、これ礼央くんと僕が作ったんだけどどう?」
「ん、美味しいよ。」

「良かった!寮でも作るね。」
「ああ。」

みんなでご飯を食べて、コーヒーをのんでリビングでまったり過ごす。
この島に来た時はみんなゆったり過ごすんだって。
夏場に来た時は泳いだりするらしいけど、海開きは終わってるらしいけど今日は少し涼しいから泳ぐことは出来ない。

ゴールデンウィークの時期でも暖かい日はシュノーケリングなら出来るらしいから居る間に出来たらいいな。

そんな話をしながらまた各自ヴィラに戻っていく。
未亜さんは今日は一番近くの島に友達を迎えに行くらしい。

僕たちもヴィラに戻る前に少し浜辺を散歩しようとリビングを出ようとすると、与那覇さんに話しかけられた。

「凛様。」
「あ、与那覇さん。」
「これ、今日のランチのレシピです。礼央様の分もあるので後でお渡しいただけますか?」
「ありがとうございます!」

レシピだ!よかった!頭では覚えてたから後でまとめようと思ってたんだけど、これがあればまとめる必要はなさそう。

「頑張ってくださいね。」
「ふふ、ありがとうございます。がんばりますね。」

コソッと小声で応援されてしまった。
僕は笑顔で頷いて大翔の元に戻る。

「どうしたの?」
「今日のレシピ貰ったんだ。」
「…随分仲良くなったんだね。」

「そ、そうかな?」

あの相談の件は大翔に話せないから、なんとなく誤魔化して見たけど…大翔は納得してなさそうな顔だ。

僕は大翔の腕をとって散歩に行こうと促すと、ちょっと憮然とした態度だけど歩き出してくれた。

木製のアプローチを歩いて浜辺に出る。
昨晩のハンモックはすでに片付けられてた。僕はサンダルを脱いで裸足で砂浜を歩く。

すごく細かい白浜の砂は柔らかくて裸足で歩くと気持ちがいい。
さっきもらったレシピは封筒に入れられていたので持ってきていたサコッシュにしまって、片手にサンダル。空いた方の手で大翔と手を繋いで砂浜を歩く。

「ねえ、凛?」
「なぁに?」

「…さっき与那覇さんと何話してたの?」
「ん?あーーー、料理のこと相談してたんだ。」

「ふーん。」

「大翔?」

僕が歩こうとすると大翔はその場に立ち止まってしまった。

大翔は僕の手を引き寄せて僕を腕の中に閉じ込める。

「大翔?」

大翔が正面から僕の体をぎゅっと抱きしめる。
僕の肩に額を乗せているから表情は見えない。
そっと大翔の背中に手を回してポンポンと優しく叩いてみるけど、大翔は全然動かない。

大翔の首筋に鼻を寄せると、少しだけ大翔の香りがする。でもいつもみたいに甘くなくって、少し不安を感じる香り。

昔何かの本で読んだ、『運命の番』の場合番う前でも相手の香りで感情を読めることがあるらしい。
相手のフェロモンに混じる汗の成分が微妙に変化するのを感じることができるとか。

だから今この大翔から感じる、香りに混じる少しの違和感。
大翔は不安なの…?

「大翔…部屋、もどろ?」
「…りん。」

「なに?」

「何隠してるの?」

…僕が感じてるってことは、大翔も勿論この匂いの違いを感じてるって事だ。
僕は人よりフェロモンの量が少ないって言われてるし、今だってヒートをできるだけ遅らせるために少しだけ強い薬を処方してもらってる。
だから本当に少ししか香っていない筈。

香りじゃなくて、僕の表情とかでも直ぐバレちゃうんだった。

「…凛…、あの人には話すのに俺には話してくれないの?」

あの人って、与那覇さんの事?かな?…話せないのは大翔との事だからなんだけど…。
今言ってもいいかな…。

これ以上隠そうとしても多分…大翔のこと不安にさせちゃうばかりな気がする。

「…あのね、相談してたの。でも、与那覇さんだけじゃなくて、礼央くんとか、明くんとか…あと姉の唯にも。」

「…うん。」

「今日午前中に電話してたのをたまたま与那覇さんが聞いてて、それで…ちょっとだけ話しただけ。」
「それは俺には相談できない事?」

「…う、うん。」

「…。」

「大翔との事だから、大翔には相談できなかったの。ごめんね。」
「俺との事?」

肩に額をくっつけたまま話を聞いてた大翔が勢いよく顔を上げると、僕の顔を覗き込む。

「…それって悪い事?良い事?」

…良い事…なのかな…?
悪い事…ではないと思うけど…。なんて言ったら良いんだ?

「悪い…事じゃないと思うけど…その…。」
「じゃあ良い事?」

「良い事…なのかなぁ…。難しいな…。」
「…。」

だめだ、このままのらりくらり話してても良い事なさそう。
…こ、ここで…使うべきなのか…さっき伝授されたやつ…。
今大翔と僕の間には少しだけ隙間ができてる。
今ならできるんじゃないかな…。よし!!やるぞ!

「あ、あのね…。」

僕は大翔のシャツの裾をキュッと小さく引っ張る。
僕が少し目線だけ大翔の方に向けると、僕をみる大翔の視線と交差した。

「…さ、さいごまでして欲しいなって…。思って…。ヒートの時までしないって言われたけど…。」

「でも、僕…大翔と…し、したいなって…大事にしてくれてるのは、わかってる、んだけど。」

「…だめ…?」

途中恥ずかし過ぎて目線を外してしまったけど、何とか最後だけは大翔の目を見れた気がする。
裾を掴む手が少しだけ震えてる。

大翔は固まったまま何も言ってくれない。

やっぱだめだった?
はしたないって…思われちゃったかな。

あまりにも大翔が動かないので、僕は大翔の目を見ながら首を傾げる。
あれ?大翔?どうしちゃったんだろ。

「ぐっ…。」

「ん?」

大翔は再び僕のことを抱きしめると頭の上からため息が聞こえた。
やっぱり呆れられちゃったかな、せっかく大翔が我慢するって言ってくれてるのに、僕がそれを覆すのってダメだよね。

「…大翔、だ、ダメならいいんだ…気にしないで。あの、僕も…その、我慢する…。」

ちょっとだけ声が震えそうだった。
なんとか平気な感じで言えそうだなって思ってたら僕の唇に柔らかいものが当たった。
目を開くと目の前に大翔の顔があって、それがキスだと気付いた。

「え、ひろ…んっ、ふぁっ。」

大翔の名前を呼ぼうとすると再び大翔の唇に塞がれてしまった。
今度は触れるだけじゃなくて、少し空いた隙間から舌をねじ込まれて口の中を暴かれていく。
大翔の厚い舌に絡め取られ、上顎を擦るように刺激させると僕の口から吐息が溢れる。

「ンッ、ぁ、んむっ、ひろ、んンッ」

口から溢れる吐息ごと飲み込まれて、舌先を擦り合わせ、絡めて、吸われる。僕の下唇に溢れた涎を舐めらて軽く甘噛みされると、少しだけ体が震えた。

大翔は僕の体を抱き上げると、そのままキスを繰り返しながら歩き出す。

「ん、ァ、、ひろと?」

「凛、あんまり可愛いこと言わないで。」
「え、あ…あの。」

「部屋に戻る。」

「え、あ、うん。」

「戻ったら抱くから。」
「あ、あの。」

「抱いて欲しいんでしょ?お望み通り抱いてあげる。中には出せないけど、いっぱい奥を突いて…ちょっと余裕ないから立てなくしちゃうかも。」

縦抱きにしたぼくの双丘の割れ目にそっと手を当てて服の下に隠れた蕾を指先で刺激する。

宣言をされて、蕾を刺激されると僕の腰のあたりがズクンと鈍く響く。
抱いて貰えると思った途端に僕の蕾から少しだけ蜜が溢れるような気がした。

「俺以外のアルファに相談したり、俺に隠し事した事は納得いってないから。」
「大翔?」

「凛の体にわからせてあげるよ。そんな事したくなくなるようにね。」


…耳元で囁く大翔は満面の笑みなんだけど、なぜだか背中がゾクゾクした。











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次回R18回です。

初めての…。なのにお仕置き分からセ…。
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