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中学生編
閑話 バレンタインはきみと【前編】※
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バレンタインの小話…。
小話のレベルを超えて合計で20,000文字超えてしまいました。
長いですがお付き合いください…。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
明日は2月の14日。
そう、バレンタインデー。
カナダにいた頃バレンタインは男性から女性へプレゼントを渡すことが多かった。
花束やスイーツやアクセサリーやコンサートのチケットなどを送るのが一般的で、一緒にメッセージカードを添えたりする。
自分の父親も母親へコンサートのチケットを取ってふたりでディナー付きのデートをしていた。
日本では「チョコレート」を女性から男性へ渡す文化だと聞いていた。
でも大翔は甘いものが苦手だから、お菓子じゃなくてディナーを作ってご馳走しようかなって…前に大翔の家に泊まった時にママさんや未亜さんとシェフさんに相談したんだ。
僕が作る料理は何だって喜んでくれるんだけど、何がいいかずっとメニューを考えてた。
ディナーっぽくて、ちょっとスペシャルなメニュー。
カナダ料理…と思ったけど、僕が向こうで食べてたのってプルドポークとホットドックとかプーティーンとかジャンクなBBQのメニューって感じで全然ディナーっぽくない。
昨夜もずっと悩んでた。
前菜はサーモンのマリネ、鶏レバーのパテとドライいちじく、コンソメで煮た根菜とトマトをキャベツで巻いてハニーマスタードで食べたらどうだろうか…。
スープはかぼちゃとにんじんのポタージュにしようかな。
魚料理は白身魚のソテーでバターとヴィネガーのソース。
肉料理はステーキかなぁ。赤ワインのソースで。
デザートは入るかなぁ…昨日から用意しておいた手作りのイチゴのソルベを使って、あとはパイ生地を大翔の家で焼いてもらってミルフィーユっぽくしようかな。
メニューを考えるのはすごく好き。
一つ一つの味を頭の中で構築してバランスよく組み立てる。甘いの酸っぱいの濃厚なの。
どうやったら最後まで美味しく食べられるか。
大方メニューも決まったので、マリネとパテは家で準備することにした。
今日大翔は学校に行っているから、その間におうちにお邪魔させてもらうことになっている。
もちろん大翔には連絡済み。
連絡しないと怒られちゃうから。
今日はママさんも未亜さんも家にいるらしいので、一緒に料理を作ろうってことになった。
ママさんはパパさんに。
未亜さんは彼女のいない理人さんに作ってあげるらしい。
もうすぐ柴田さんが迎えに来てくれるはずなので、昨日の夜作っておいたものをタッパーに詰めて準備しておく。
チャイムが鳴って、インターホンに応じると柴田さんが着いたらしい。
僕は荷物を持って急いで1階へと向かった。
「柴田さん、ありがとうございます。」
「いえ、今日は大翔さんの送迎以外仕事がありませんので問題ありませんよ。」
柴田さんは相変わらずの良い笑顔で後部座席の扉を開けて待っていてくれた。
僕はペコリとお辞儀をして後部座席に乗り込む。
僕だけでこうやって送迎されるのは初めてではないけど実際数える程度しかないので、実はまだちょっと後ろでどうやって座っていたらいいか分からずソワソワしてしまう。
「今日も相変わらず緊張されていますね。」
「うっ…カナダでは送り迎えなんてなかったんで…。」
「でも凛様のご実家ってあの芦屋貿易ですよね?」
「あ、知ってますか?叔父さんがやってる会社なんですけど、僕の父親は芦屋家の四男で結構自由人なんで、カナダに行きたいって言って半ば無理やりカナダ支社長なんてやってますよ。」
「へぇ、面白いお父様ですね。」
「えぇ、向こうで日本食の輸入販売や日本食レストランとか抹茶カフェやったりしてます。でも別に大きい会社の社長って感じじゃないんで、僕たちには送迎なんて付いてませんでしたよ。」
「そうだったんですね。」
「学校はスクールバスがありましたし。そもそも出かける時は家族と一緒だったので。」
そういえば僕って向こうにいる頃、1人でどっかに出かけたことなかったかもなぁ。
近所のお店に行くのも必ず家の人が付いてくるかお手伝いさんがついて来てくれたし。
「そういえば、柴田さんは奥様からチョコレートって貰いますか?」
「え?うちですか?あぁ、そうですね。まぁ貰ってますね…。」
「柴田さんのお返しはやっぱりホワイトデー?」
「いえ、うちは互いにプレゼント交換みたいになってますね。と言っても向こうはチョコ、私は花束ですけど。」
「へぇ、そうなんですね。素敵だなぁ~。」
「まぁ、クリスマスにプレゼントの交換してますからね。バレンタインは結構簡単に終わらせてます。」
「そっかぁ。」
じゃああんまりバレンタインに張り切らない方がいいのかなぁ…。
でもクリスマスは確かにプレゼントあげたけど、ケーキとかはシェフさんが作ったやつだったし。
受験も終わってあとは大翔は卒業を残すだけだし。来年は高校に入ったらあんまり凝った料理作れないかもしれないし…。
「さぁ、着きましたよ。」
六浦家に到着したので、保冷バッグを片手に玄関のインターホンを鳴らすと、そのまま玄関の扉が開いてお手伝いさんが僕を迎え入れてくれた。
「お待ちしておりました。奥様がお待ちですのでリビングへどうぞ。」
「はい、ありがとうございます。あ、これ冷蔵庫にしまって欲しいのでシェフさんに渡してもらって良いですか?」
「承知いたしました。」
保冷バッグを受け取り僕をリビングへ通すと、お手伝いさんはそのまま厨房へと保冷バッグを持って行ってくれた。
「凛ちゃんいらっしゃ~い!」
「ママさん、未亜さんこんにちは、今日はよろしくお願いします。」
挨拶もそこそこにソファでお茶を一杯ご馳走になる。
昨晩考えたディナーコースのメニューを話すとママさんも未亜さんも乗り気だった。
「いいわねぇ!」
「高校卒業してから大した料理してなかったから楽しみ~!」
ママさんの料理の腕は知らないんだけど、未亜さんは礼央くんと同じ『料理研究部』に入っていたらしい。
「ママさんってお料理今まで作られることってあったんですか?」
ママさんは確か旧家の出だったはず。旧華族とかなんとか…でも本人から聞いたわけじゃないから噂でしか知らないんだけど。
「まぁ知ってるかどうか分からないのだけど、うちって名前だけは有名な家だったのよねぇ~。でも両親の教育方針で自分である程度の事はこなせるようにならないとダメだったから一応叩き込まれたのよ?」
「そうだったんですか?」
「掃除洗濯と炊事ね。まぁ私がオメガだったのもあって、どんな家に嫁ぐか分からないじゃない?もちろん一般家庭に嫁ぐ可能性もあったから…それで親が教えてくれてたのよねぇ~ありがたいわ。」
へぇ~すごい。なんか旧家って聞くとすごいドロドロと因縁めいた骨肉の争いみたいなのがありそうなイメージだったけど…2時間ドラマの見過ぎかな…?
「あぁ、凛ちゃんが思ってるようなドロドロも勿論あるわよ!」
なんて軽く言われてしまったけど、みんなどうして僕の思考を読めるの?
「それで!私たちは今日何をするのかしら?」
「そうそう、本番は明日でしょ?」
「えぇ、明日は日中…その大翔を…デートに誘ってて…。」
「あら!」
「へぇ!やるわね凛ちゃん!」
「えへへ。それで明日は仕上げるだけにして今日色々準備しておこうと思いまして。」
「なるほどね!」
3人で厨房に行きエプロンを借りて下準備をすることにした。
サーモンのマリネとレバーパテはすでに作ってあるので、明日まで冷蔵庫で冷やしててもらう。
いちごのソルベも冷凍庫にしまっておいてもらった。
今日何時間かおきにかき混ぜておけば問題ないと思う。
まず根菜を茹でてキャベツで巻いてコンソメに浸してこれもバットに入れて冷蔵庫へ。
魚は明日下処理だけシェフさん達にお願いした。
付け合わせの野菜も明日茹でてもらう。
お肉は明日焼くためにニンニクとローズマリー、塩胡椒を振ってオリーブオイルに入れて真空パックに入れてマリネにしておく。こうすればあとは明日焼くだけだ。
スープは野菜をコンソメで煮て粗熱を取ったらミキサーにかける。あとは生クリームとバターで調整するだけにして、これも深めの容器に入れて冷蔵庫で保存しておいてもらう。
パイ生地は明日焼くので生地だけ作って冷蔵庫で寝かしておいてもらう。
これも明日はシェフさん達にお願いして板状に焼いてもらってデザートに使う予定!
ママさんも未亜さんも基礎はできてるって言ってた通り、多少ブランクは感じるものの問題なくこなして行ってくれてる。
ママさんは手の温度が高いからパイ生地を作るのに苦労していて、冷たい水で手を冷やしながらじゃないとパイ生地を触れないから大変そうだ。
手の温度が高いと織り込んでいくバターが手の温度で溶けてしまうので、これだけはどうしようもない。
「ひゃあ!冷たいわぁ、パイ生地作るのって大変なのねぇ…。」
「ママさん大丈夫ですか?」
「信人さんのためだもの頑張るわよ!」
そう笑ったママさんはすごく楽しそうだった。
未亜さんもシェフさんに手伝ってもらいながらパイ生地を練っている。
「そもそもまさ兄が彼女をさっさと作れば私はこんなことしなくても良かったのよね…。」
そう軽口を叩きながらもなんだか楽しそうだった。
なんだかんだ言っても兄弟仲良いし。
パイ生地ができたらラップをして冷蔵庫で冷やしておく。
これであとは明日焼くだけだ!
「ふぅ、やっと終わったわねぇ~。」
「本番は明日ですけど…。」
「そういえば今日凛ちゃんはお泊まりするの?」
「え、いや今日は帰ろうと思ってました。何も持ってきてないですし。」
「え~泊まって行けば良いのに。どうせヒロが服は買い込んでるんだし。」
服買い込んでるのバレてたんですね、まぁそうか…あんだけ買ってれば。
初めて泊まった日に服買ってきてくれてたけど、実はあの後に結構買ったらしくってウォークインクローゼットの中に僕のエリアが出来ていた。
来るたびに服が増えているので、流石に止めたんだけど、それでもちょっとずつ何かが増えている気がしてる。
「あら、そろそろヒロくん帰って来るんじゃない?」
「あ、こんな時間か。私この後用事があるからもう行くわね!じゃあ明日ね!凛ちゃん!」
「はい。未亜さんありがとうございました!」
「はは、それはこっちのセリフよ!じゃあね~!」
元気よく未亜さんがリビングを出てちょっとした後、リビングの扉が勢いよく開いた。
「凛!」
「大翔!お帰りなさい。」
「ただいま…。」
制服のままリビングに入ってきた大翔と僕はおかえりなさいのハグをした。
ふふっちょっとね新婚さんみたいだなぁって思ったんだ。
いつか、大翔と暮らせる時が来たらこうやって出迎えたりするのかなぁなんて思って、ちょっと嬉しくなったんだ。
「へへへ。」
抱きついたまま変な風に笑う僕を大翔が目を細めて微笑みながら見るから、さらに嬉しくなってしまった。
「やぁねぇ、ほんとラブラブで私も信人さんに会いたくなっちゃったわ~。」
あ、ママさんいたんだった。
ちょっと僕は恥ずかしくなって大翔から離れようとしたんだけど、大翔は僕を離してくれなかった。
「いつも母さんたちだって見せつけてくるんだから、たまには良いだろ?」
そんな事をママさんに言ってさらに僕をぎゅっと抱きしめてくるから、僕はまたへへへって笑った。
「凛、今日は泊まっていくだろ?」
「さっきママさんと未亜さんにも言われたんだけど、僕なんも用意してないよ?」
「用意しなくても全部あるだろ?」
「そうなんだけど…。」
「嫌?」
「ううん、嫌じゃないよ!」
僕はブンブンと横に首を振って否定する。
嫌なんじゃないんだけど、なんかちょっと待ち合わせとかしたかったなぁって思っただけだったんだ。
でもきっと大翔のことだから待ち合わせなんてさせてくれなくて、家まで迎えにくるだろうからあんまり変わらないかも…。
そう思い至ったので僕は今日泊まらせてもらうことにした。
++++
今日の晩御飯はパパさんとママさんと大翔と僕の4人だった。理人さんは今日会食なんだって。
パパさんのリクエストでメニューはおでんだった。
おでんと白米が苦手なんだけど、今日は白米じゃなくて味噌味の焼きおにぎりだった。
焼きおにぎりがおいしくってモグモグと食べてたら、みんなにすごい見られていた。
うぅ、がっついてると思われたかなぁ。
でも美味しかったんだもんしょうがないよね!
味付ける前のおでん出汁をシェフさんに貰って、2個目の焼きおにぎりにかけてもらってお茶漬けにして食べてしまった。
大翔は相変わらず美味しいとは言わなかったけど、食べてる僕を見るだけで十分だって言ってた。
明日は料理おいしいって言ってくれると良いなぁ。
++++
晩御飯も食べ終えて、みんなでリビングで寛いだ後にお風呂に入らせてもらうことに。
いつもは大翔の部屋についているお風呂なんだけど、今日は2階にある共用のお風呂。
部屋についてるお風呂はやっぱり少し小さいらしくって、それでも僕にとっては大きいんだけど…今日は共用のお風呂を使おうってことになった。
大翔の部屋で寝間着と下着とかを用意してると、大翔も用意している。
「大翔先入る?」
「いや、今日は一緒に入ろう。」
…?
……??
ん?一緒に?
今一緒にって言ってましたかね??
聞き間違い…じゃなさそうな満面な笑みで僕を見ているな…。
「一緒?」
「そ、一緒。」
「…それってどうしても?」
「…どうしても…かな?いや?」
うーーーん、またそうやって…子犬がキューンって甘えて鳴く時みたいな顔するんだよねぇ…。
知ってるこれはわかっててやってるんだ。
僕がこの顔に弱いって知ってるくせに…。
でも…
「凛ダメ?」
うーん
「俺と入りたくない?」
ぐぅ…
「凛?」
「…良いよ…。」
チョロいんだよね、わかってる。
わかってるんだけど…。
「ありがとう凛。」
そう言って満面の笑みで見られると…断れない。
むしろ聞きたい、こんな笑顔をで言われて断れる人いるのかな?
もうこのやり取りだけで僕の心の中がキュンキュンと、それこそこっちが子犬かっていうぐらい鳴いちゃってる。
もうウサギは飛び跳ねてるし、子犬は鳴いてるしで僕の心の中は大忙しだった。
共有のお風呂場は脱衣所も広かった。
籐の椅子が二つあって、洗濯物用の籠も二つ用意されてた。
「ねぇ、大翔…?」
「ん?何凛、脱がす?」
「ち!違う!ちょ、ちょっとこれってもうちょい薄暗く出来たりする?」
「ん?なんで?」
なんでって…恥ずかしいからに決まってるじゃん!!!
「は、恥ずかしい…。」
「…?もう凛の裸見てるのに?」
そうだけど!!でも全部じゃないし!
あれはちょっとテンションが上がりすぎて、こう前後不覚っていうかなんていうか正常な状況じゃなかったわけで…。
今はその意識が確かな状態な訳で…。
「良いよ。ちょっとだけ暗くしようか、あんまり暗くすると足元危ないから。」
「ほんと?」
「あんまり暗くしちゃうと凛の顔見れなくなっちゃうしね。」
そいうって、大翔は僕のシャツのボタンに手をかける。
ん?
「ぬ、脱げる!自分で脱げるよ。」
「わかってるよ。でも、俺が脱がしたいの。」
えぇ…。
戸惑う僕を尻目にシャツのボタンを全て外して、インナーも含めて上半身から脱がしていく。
ズボンのボタンに手がかかったところで、僕は大翔の手を止めようと試みるも満面の笑みしか返ってこない。
「ちょ、ちょっと大翔!待って!!下は自分で脱ぐから!!」
「だーめ!」
ひぇっ!
お風呂場の中は電気を少し暗くしてもらったけど、脱衣所は煌々と灯りがついているし、なんならでっかい鏡があるから今まさに脱がされてる状態の僕が写ってて尚のこと恥ずかしい。
「凛、恥ずかしいなら目瞑ってて。」
「ぅ、う??それって大翔は見えてるじゃん。」
「ん?見えてないと脱がせないだろ?」
そういう事じゃなくない??
「俺に見られてるのが恥ずかしいなら、目を瞑ってれば俺に見られてるかわからないでしょ?」
「…???そういう事なの???」
「そういう事じゃないの?」
…?そういう事なのかな??
よく分かんなくなってきたし、大翔は止まってくれなさそうだし、よくわからないままとりあえず目を閉じる事にした。
やっぱりこう言うことじゃなさそうなんだけどな…。
僕の前に屈んだ大翔の肩に手を置いて、片足ずつズボンと下着を脱いだ。
これってやっぱ全部見られているんじゃ?
でも不思議と目を開けている時より恥ずかしくない気がするんだけど、混乱してるだけなのかどうなのかが判別つかなかった。
何度か目を開けそうになるものの、なんとか服を全部脱がせてもらって大翔が立ち上がる気配を感じて僕も目を開けた。
目の前にいる大翔が服を脱ぎ始める。
そういえば僕の裸は見られてるけど、大翔の裸見たことないかも…。
上半身裸になった大翔の体を見ると、細いとは思っていたけど実際は筋肉がついていて二の腕はがっちりとした筋肉に覆われていた。
腹筋だって六つに割れているし、腹斜筋から腸腰筋にかけてのラインとか、広背筋もすごく綺麗に筋肉がついてて羨ましい。
それに男の僕が見てもドキドキしてしまう。
「凛顔真っ赤だけど…どうした?」
「な、なんでもない…先に入ってるね!」
そう言って僕はそそくさと浴用タオル一枚を持ってお風呂場へと逃げ込んだ。
お風呂場に入って僕は自分の体を見るけど、体の色は真っ白だし筋肉は付きづらいからしょうがないとしても、生っ白いといった感じ。
と言っても日に焼けないし、焼いても真っ赤になって終わっちゃうからなぁ…。
シャワーを出して髪の毛を洗っていると扉が開く音がして、大翔がお風呂場に入ってきた。
急いでシャワーでシャンプーを流すと、僕の後ろに大翔が座る。
「凛、ちょっと泡残ってるからシャワー貸して?」
「え、自分でできるよ…。」
「良いから。」
そう言って大翔は僕の手からシャワーを取り上げて、後ろから髪の毛の泡を落としていく。
流し終わると、大翔はトリートメントを取り、僕の髪に塗布していく。
その間に僕は浴用タオルにボディーソープを出すと泡立てて体を洗っていく。
大翔がヘッドマッサージをするように僕の地肌を揉みながら、トリートメントを浸透させていく。
大きい手でゆっくりとちょうどいい力の強さでマッサージされると、トロンと脳がリラックスしていく。
すごい気持ち良い。
体の前側を洗っていると、今度はそのタオルも大翔に取り上げられてしまった。
「大翔?…それがないと僕洗えないんだけど。」
「背中流してやるから。」
そう言ってタオルを洗面器に入れると手に直接ボディソープをとり、器用に泡立て、こんもりと作った泡を背中に乗せて素手で滑らせていく。
「んっ、大翔…?」
「体を洗うときは素手を使って泡で洗うのが良いんだよ。」
そう言って首から肩、背中から腰へと手を滑らせる。
きめの細かい泡が肌の上を撫でるのが気持ちいい。目をそっと閉じていると、再び泡と一緒に大翔の手が前に回ってきた。
脇腹から前に来た手はそっと上に登ってくると僕の薄い腹を撫で、胸の蕾へと辿り着く。
泡だけじゃなく僕の蕾を人差し指でぎゅっと押しつぶす。
「んっ、やぁ、大翔…!」
「何?」
「洗うって言ったのに…。」
「洗ってるよ。凛の可愛いところちゃんと洗ってあげないと。」
そう言って人差し指と親指で摘もうとするのに泡で滑って摘めずに掠るばかりで、より胸の突起に意識が集中してしまう。
「んっ、待って、大翔ダメ…。」
「なんで?ほらここ、硬くなってぷっくりしてきた。」
大翔が乳輪をそっと撫でるようにしてたまに突起を掠めるだけで、いつの間にかピンと硬く尖っている。
手のひらで胸を撫で上げて、今度は下に手が降りていく時も蕾を掠め鳩尾からお腹へ降りてきた指がおへその中をくるくると撫ぜると擽ったさの中に仄かに感じる快感が背中に響く。
そのまま僕の薄い下生えをゆっくりと撫でて緩く勃ち上がった僕の中心をそっと手で掴む。
「ンァっ、はぁ…だめ、大翔…そこ、だめ…んっ」
「勃ってきたな…。」
いつの間にか僕の背中にピッタリと胸をつけるようにして後ろに座っていた大翔が、ゆっくりと僕の耳たぶを口に含んで、吸い上げて離した。
「ふぁ、っんん、はぁ…や…」
「ビクビク震えて、可愛い…凛、嫌じゃなくて気持ち良いでしょ?」
「ふ、んぁ、はぁ…んっダメ、耳だめなの…。」
耳元で呼ばれて、僕より少し低い声で、左手で僕のペニスをやわやわと扱きながら、右手の爪で僕の蕾をカリカリと引っ掻く。
自分の体すら支えられない僕は大翔の胸に背中を預けて、与えられる快感を逃がそうと必死になるけどうまくいかない。
耳輪を舐め上げられ、舌を耳の穴に突っ込まれてグチュグチュと淫らな水音が直接脳内に流れ込む。
もう体の中からも外からも犯されてるみたいで、いつの間にか脳がぐずぐずに蕩けてる。
「やぁ、だめ…全部、や、ぁあん…ひろ、と」
「気持ちいい?前から先走りでてグチュグチュだよ。」
泡と透明な液体が絡んでグチュグチュと音を鳴らしながら、僕のペニスを扱いて、泡で滑る胸の突起を掴んだり弾いたり押しつぶしたりされるとどんどんと快感の種が膨らんで腰のあたりを重くさせる。
「んぁ、はぁ、ふ、んんっ、だめぁ、でちゃう…ひろ、でちゃう。」
「ん、凛、良いよ出して?」
「はぁ、あぁん、だめはやくしちゃ、っあぁ」
ダメだとどんなに言っても大翔はその左手を緩めることなく力を込めてスピードを上げていく。
「はぁっ、やぁでちゃ…んぁっ。ーーーーーあぁあっ!!」
僕は体をビクビクと振るわせながら、白濁した液を先端の穴から溢れさせた。
荒く乱れる息をどうにかして整えようとしていると、大翔がシャワーで僕の体についた泡と白を洗い流していく。
「凛…可愛かった…。」
「も、やだって言ったのに…。」
「ごめんね。」
そう言って大翔は丁寧に僕の泡を洗い流しながら僕のこめかみにキスをする。
僕を湯船へと入れて、その間に大翔はサッと髪の毛と体を洗い湯船へと入ってくる。
僕を抱えるようにして湯船に浸かると一つ大きく息を吐いた。
「大翔?」
「何?」
「大翔のは?しなくていいの?」
「大丈夫だよ。」
でも僕のお尻に硬いのが当たってる。
それに昂った僕の気持ちは、大翔のを気持ちよくしたいなって、そう思ってる。
「ねぇ、大翔…?」
「ん?」
「僕…しちゃだめ?」
「何を?」
「…その、大翔のを…く、口で…。」
「…。」
大翔は黙ってしまった。嫌だったかなぁ、急に口でしたいって言われても困るよね…。
「凛、したいの?」
「ん、したい。大翔の…口でしたいなって思ったんだけど…いや?」
「嫌なわけないだろ。でも…すぐ出たらどうしようかと思って…。」
「…でもしたい。」
嫌じゃないならさせて?ってお願いして、大翔に浴槽の淵に腰をかけてもらう。
僕は浴槽の中に入ったまま、大翔の膝の間に座ってお腹につきそうなぐらいそそり勃つ屹立にそっと手を這わせる。
僕のよりも太くて長くて大きいそれを前にすると、口に入らなさそうだなってちょっと思ってしまった。
ゆっくりと先端の鈴口に口付けて、おずおずと舌ですべすべとした先端の部分を舐めると溢れていた透明な液体を舐めとる。
少ししょっぱくて苦い。柔らかくってベルベッドみたいな触り心地で、張り出した部分に舌先を固くしてぐるりと這わしてから先端から口に含む。
先端だけでも口いっぱいになりそうなぐらいの質量なのに、もっと奥に入れたい。
歯に当たらないように気をつけつつ、少しだけ奥へと進めていく。
先っぽが上顎に触れると続々と肌が粟立つ。
気持ちよくしたいのに、僕の方が気持ちよくなってしまいそうになって鼻で息をしながらもう少し奥へと押し込む。
口の中が大翔のでいっぱいになって、すごく嬉しい。
結局全部は入らなそうだから指を親指と人差し指で輪っかにして根本をしごいていく。
頭を上下に動かして、舌も使うようにして、きっと下手くそだと思う。
でも大翔は時折色っぽい息を吐きながら、僕の濡れた襟足を漉くように撫でる。
口に咥えたまま、頭を上げて大翔の顔を見ると目元が赤く染まった大翔の顔がそこにあって、少しでも気持ち良いって思ってくれてるのかな。
僕の頬を優しく撫でてくれる。
「ん、んんっ、ふっぁ、ぅんっ」
「凛、気持ちいいよ。」
気持ちいいって、言われるとすごく嬉しい。
もっと良くなって欲しくて、扱く手を少し強めてみる。
「んっ、凛…はぁ…。」
「ふっ、んん、んぐっ、ふ。」
出して欲しい、口にいっぱい。
大翔のやついっぱい口に入れて、僕の中で出して欲しい。
「凛、もう良いよ。」
「ふ、んっ、あっ…んっ、んんっ」
少し無理矢理引き抜かれると、顎を掴まれて上を向かされる。
大翔は少し濡れた僕の唇を舌で舐めてそのまま深いキスを落とす。
舌を絡められて、吸われて、上顎を大翔の舌先でくすぐられるように触れられると体が勝手にビクビクと揺れてしまう。
「ふぁっ、ん…最後までしたかった。」
「それは今度ね、今日はこっちでいい?」
そう言って僕を立たせると、湯船から洗い場へと出る。
「しっかり足を閉じてて。」
「ん…。」
僕は壁を向って立つと、大翔が僕の太ももをぴっちりと閉じる。
すると太ももの間に大翔の屹立を忍び込ませた。
これ、って…。
大翔は後ろからまるで僕を犯すように腰を打ちつけてくる。
大翔の屹立が僕のペニスの裏側を擦れていくのが気持ちよくてうまく立てない。
「はぁ、んぁ、ひ、ひろと…これ、あぁ、んっ。」
「はぁっはぁつ、凛…。」
2人の先端から溢れ出した透明な液体が滑りを良くさせて、グチュグチュと卑猥な音が浴室の中で響く。
肌を打ち付ける音と水音、そして大翔の荒い息と僕の溢れでる嬌声が混ざって、反響して…とてつもなくいやらしいことをしている気分になる。
もう、これえっちしてるの一緒じゃないかな…。
背中をゾクゾクと快感が走って、大翔の打ち付けられる腰のスピードが早まっていく。
擦れて、掴まれた腰にすら快感を覚えるみたい。
僕はうまく立っていられずに壁にしがみつく。
抽送のスピードが上がると、さらに激しいぶつかり合う肌の音と水音が耳を支配するみたい。
「はぁ、んぁっ…あぁあ、はぁ、ひ、ひろ…んっでちゃ」
「はぁ、凛、も、ぅ。」
「ん、ひろ、キスして…はぁ、んっ」
僕は精一杯背中を反らせて大翔にキスをねだる。
大翔は上半身を少し倒して僕に深いキスをしながらも、抽送を止めることはない。
「はぁっ、んふっ、イッ…」
「凛…はぁっ、出すぞ…。」
「はぁ、んっぁあ、ふぁ、んぁぁあーーーーーッ!!」
大翔の先端から勢いよく放たれた白が、僕から溢れ出た白と合わさって浴室の壁を汚していく。
僕の股の間から抜かれたすこし硬さを無くした屹立を扱いて、残ったものを僕の双丘へ吐き出していく。
後ろから僕を抱きこんで、ぎゅっと抱きしめて。
こめかみ、耳、頬に軽く音をさせながらキスをする。
僕はくるっと体を回して、大翔と向かい合うとぎゅっと抱きつきキスを強請る。
濡れた前髪を避けるようにして、額、瞼、鼻頭にキスをして、ゆっくりと唇に口付けた。
深く混ざり合うようなキス。
まだ荒い息を呑み込むように、舌を絡ませながら2人の唾液が溶け合い、口の端から溢れる。
とろりと蕩けた僕の目を、愛おしそうに見つめる大翔の頬を撫でる。
ああ、この顔。
すごく好き。
僕のこと、好きって言ってる顔。
僕も大翔のことが大好きって、言葉には出さないけど伝わるかな。
伝わると良いな…。
少し冷えた体をシャワーで温めながら、僕らはぎゅっと裸のまま抱き合った。
小話のレベルを超えて合計で20,000文字超えてしまいました。
長いですがお付き合いください…。
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明日は2月の14日。
そう、バレンタインデー。
カナダにいた頃バレンタインは男性から女性へプレゼントを渡すことが多かった。
花束やスイーツやアクセサリーやコンサートのチケットなどを送るのが一般的で、一緒にメッセージカードを添えたりする。
自分の父親も母親へコンサートのチケットを取ってふたりでディナー付きのデートをしていた。
日本では「チョコレート」を女性から男性へ渡す文化だと聞いていた。
でも大翔は甘いものが苦手だから、お菓子じゃなくてディナーを作ってご馳走しようかなって…前に大翔の家に泊まった時にママさんや未亜さんとシェフさんに相談したんだ。
僕が作る料理は何だって喜んでくれるんだけど、何がいいかずっとメニューを考えてた。
ディナーっぽくて、ちょっとスペシャルなメニュー。
カナダ料理…と思ったけど、僕が向こうで食べてたのってプルドポークとホットドックとかプーティーンとかジャンクなBBQのメニューって感じで全然ディナーっぽくない。
昨夜もずっと悩んでた。
前菜はサーモンのマリネ、鶏レバーのパテとドライいちじく、コンソメで煮た根菜とトマトをキャベツで巻いてハニーマスタードで食べたらどうだろうか…。
スープはかぼちゃとにんじんのポタージュにしようかな。
魚料理は白身魚のソテーでバターとヴィネガーのソース。
肉料理はステーキかなぁ。赤ワインのソースで。
デザートは入るかなぁ…昨日から用意しておいた手作りのイチゴのソルベを使って、あとはパイ生地を大翔の家で焼いてもらってミルフィーユっぽくしようかな。
メニューを考えるのはすごく好き。
一つ一つの味を頭の中で構築してバランスよく組み立てる。甘いの酸っぱいの濃厚なの。
どうやったら最後まで美味しく食べられるか。
大方メニューも決まったので、マリネとパテは家で準備することにした。
今日大翔は学校に行っているから、その間におうちにお邪魔させてもらうことになっている。
もちろん大翔には連絡済み。
連絡しないと怒られちゃうから。
今日はママさんも未亜さんも家にいるらしいので、一緒に料理を作ろうってことになった。
ママさんはパパさんに。
未亜さんは彼女のいない理人さんに作ってあげるらしい。
もうすぐ柴田さんが迎えに来てくれるはずなので、昨日の夜作っておいたものをタッパーに詰めて準備しておく。
チャイムが鳴って、インターホンに応じると柴田さんが着いたらしい。
僕は荷物を持って急いで1階へと向かった。
「柴田さん、ありがとうございます。」
「いえ、今日は大翔さんの送迎以外仕事がありませんので問題ありませんよ。」
柴田さんは相変わらずの良い笑顔で後部座席の扉を開けて待っていてくれた。
僕はペコリとお辞儀をして後部座席に乗り込む。
僕だけでこうやって送迎されるのは初めてではないけど実際数える程度しかないので、実はまだちょっと後ろでどうやって座っていたらいいか分からずソワソワしてしまう。
「今日も相変わらず緊張されていますね。」
「うっ…カナダでは送り迎えなんてなかったんで…。」
「でも凛様のご実家ってあの芦屋貿易ですよね?」
「あ、知ってますか?叔父さんがやってる会社なんですけど、僕の父親は芦屋家の四男で結構自由人なんで、カナダに行きたいって言って半ば無理やりカナダ支社長なんてやってますよ。」
「へぇ、面白いお父様ですね。」
「えぇ、向こうで日本食の輸入販売や日本食レストランとか抹茶カフェやったりしてます。でも別に大きい会社の社長って感じじゃないんで、僕たちには送迎なんて付いてませんでしたよ。」
「そうだったんですね。」
「学校はスクールバスがありましたし。そもそも出かける時は家族と一緒だったので。」
そういえば僕って向こうにいる頃、1人でどっかに出かけたことなかったかもなぁ。
近所のお店に行くのも必ず家の人が付いてくるかお手伝いさんがついて来てくれたし。
「そういえば、柴田さんは奥様からチョコレートって貰いますか?」
「え?うちですか?あぁ、そうですね。まぁ貰ってますね…。」
「柴田さんのお返しはやっぱりホワイトデー?」
「いえ、うちは互いにプレゼント交換みたいになってますね。と言っても向こうはチョコ、私は花束ですけど。」
「へぇ、そうなんですね。素敵だなぁ~。」
「まぁ、クリスマスにプレゼントの交換してますからね。バレンタインは結構簡単に終わらせてます。」
「そっかぁ。」
じゃああんまりバレンタインに張り切らない方がいいのかなぁ…。
でもクリスマスは確かにプレゼントあげたけど、ケーキとかはシェフさんが作ったやつだったし。
受験も終わってあとは大翔は卒業を残すだけだし。来年は高校に入ったらあんまり凝った料理作れないかもしれないし…。
「さぁ、着きましたよ。」
六浦家に到着したので、保冷バッグを片手に玄関のインターホンを鳴らすと、そのまま玄関の扉が開いてお手伝いさんが僕を迎え入れてくれた。
「お待ちしておりました。奥様がお待ちですのでリビングへどうぞ。」
「はい、ありがとうございます。あ、これ冷蔵庫にしまって欲しいのでシェフさんに渡してもらって良いですか?」
「承知いたしました。」
保冷バッグを受け取り僕をリビングへ通すと、お手伝いさんはそのまま厨房へと保冷バッグを持って行ってくれた。
「凛ちゃんいらっしゃ~い!」
「ママさん、未亜さんこんにちは、今日はよろしくお願いします。」
挨拶もそこそこにソファでお茶を一杯ご馳走になる。
昨晩考えたディナーコースのメニューを話すとママさんも未亜さんも乗り気だった。
「いいわねぇ!」
「高校卒業してから大した料理してなかったから楽しみ~!」
ママさんの料理の腕は知らないんだけど、未亜さんは礼央くんと同じ『料理研究部』に入っていたらしい。
「ママさんってお料理今まで作られることってあったんですか?」
ママさんは確か旧家の出だったはず。旧華族とかなんとか…でも本人から聞いたわけじゃないから噂でしか知らないんだけど。
「まぁ知ってるかどうか分からないのだけど、うちって名前だけは有名な家だったのよねぇ~。でも両親の教育方針で自分である程度の事はこなせるようにならないとダメだったから一応叩き込まれたのよ?」
「そうだったんですか?」
「掃除洗濯と炊事ね。まぁ私がオメガだったのもあって、どんな家に嫁ぐか分からないじゃない?もちろん一般家庭に嫁ぐ可能性もあったから…それで親が教えてくれてたのよねぇ~ありがたいわ。」
へぇ~すごい。なんか旧家って聞くとすごいドロドロと因縁めいた骨肉の争いみたいなのがありそうなイメージだったけど…2時間ドラマの見過ぎかな…?
「あぁ、凛ちゃんが思ってるようなドロドロも勿論あるわよ!」
なんて軽く言われてしまったけど、みんなどうして僕の思考を読めるの?
「それで!私たちは今日何をするのかしら?」
「そうそう、本番は明日でしょ?」
「えぇ、明日は日中…その大翔を…デートに誘ってて…。」
「あら!」
「へぇ!やるわね凛ちゃん!」
「えへへ。それで明日は仕上げるだけにして今日色々準備しておこうと思いまして。」
「なるほどね!」
3人で厨房に行きエプロンを借りて下準備をすることにした。
サーモンのマリネとレバーパテはすでに作ってあるので、明日まで冷蔵庫で冷やしててもらう。
いちごのソルベも冷凍庫にしまっておいてもらった。
今日何時間かおきにかき混ぜておけば問題ないと思う。
まず根菜を茹でてキャベツで巻いてコンソメに浸してこれもバットに入れて冷蔵庫へ。
魚は明日下処理だけシェフさん達にお願いした。
付け合わせの野菜も明日茹でてもらう。
お肉は明日焼くためにニンニクとローズマリー、塩胡椒を振ってオリーブオイルに入れて真空パックに入れてマリネにしておく。こうすればあとは明日焼くだけだ。
スープは野菜をコンソメで煮て粗熱を取ったらミキサーにかける。あとは生クリームとバターで調整するだけにして、これも深めの容器に入れて冷蔵庫で保存しておいてもらう。
パイ生地は明日焼くので生地だけ作って冷蔵庫で寝かしておいてもらう。
これも明日はシェフさん達にお願いして板状に焼いてもらってデザートに使う予定!
ママさんも未亜さんも基礎はできてるって言ってた通り、多少ブランクは感じるものの問題なくこなして行ってくれてる。
ママさんは手の温度が高いからパイ生地を作るのに苦労していて、冷たい水で手を冷やしながらじゃないとパイ生地を触れないから大変そうだ。
手の温度が高いと織り込んでいくバターが手の温度で溶けてしまうので、これだけはどうしようもない。
「ひゃあ!冷たいわぁ、パイ生地作るのって大変なのねぇ…。」
「ママさん大丈夫ですか?」
「信人さんのためだもの頑張るわよ!」
そう笑ったママさんはすごく楽しそうだった。
未亜さんもシェフさんに手伝ってもらいながらパイ生地を練っている。
「そもそもまさ兄が彼女をさっさと作れば私はこんなことしなくても良かったのよね…。」
そう軽口を叩きながらもなんだか楽しそうだった。
なんだかんだ言っても兄弟仲良いし。
パイ生地ができたらラップをして冷蔵庫で冷やしておく。
これであとは明日焼くだけだ!
「ふぅ、やっと終わったわねぇ~。」
「本番は明日ですけど…。」
「そういえば今日凛ちゃんはお泊まりするの?」
「え、いや今日は帰ろうと思ってました。何も持ってきてないですし。」
「え~泊まって行けば良いのに。どうせヒロが服は買い込んでるんだし。」
服買い込んでるのバレてたんですね、まぁそうか…あんだけ買ってれば。
初めて泊まった日に服買ってきてくれてたけど、実はあの後に結構買ったらしくってウォークインクローゼットの中に僕のエリアが出来ていた。
来るたびに服が増えているので、流石に止めたんだけど、それでもちょっとずつ何かが増えている気がしてる。
「あら、そろそろヒロくん帰って来るんじゃない?」
「あ、こんな時間か。私この後用事があるからもう行くわね!じゃあ明日ね!凛ちゃん!」
「はい。未亜さんありがとうございました!」
「はは、それはこっちのセリフよ!じゃあね~!」
元気よく未亜さんがリビングを出てちょっとした後、リビングの扉が勢いよく開いた。
「凛!」
「大翔!お帰りなさい。」
「ただいま…。」
制服のままリビングに入ってきた大翔と僕はおかえりなさいのハグをした。
ふふっちょっとね新婚さんみたいだなぁって思ったんだ。
いつか、大翔と暮らせる時が来たらこうやって出迎えたりするのかなぁなんて思って、ちょっと嬉しくなったんだ。
「へへへ。」
抱きついたまま変な風に笑う僕を大翔が目を細めて微笑みながら見るから、さらに嬉しくなってしまった。
「やぁねぇ、ほんとラブラブで私も信人さんに会いたくなっちゃったわ~。」
あ、ママさんいたんだった。
ちょっと僕は恥ずかしくなって大翔から離れようとしたんだけど、大翔は僕を離してくれなかった。
「いつも母さんたちだって見せつけてくるんだから、たまには良いだろ?」
そんな事をママさんに言ってさらに僕をぎゅっと抱きしめてくるから、僕はまたへへへって笑った。
「凛、今日は泊まっていくだろ?」
「さっきママさんと未亜さんにも言われたんだけど、僕なんも用意してないよ?」
「用意しなくても全部あるだろ?」
「そうなんだけど…。」
「嫌?」
「ううん、嫌じゃないよ!」
僕はブンブンと横に首を振って否定する。
嫌なんじゃないんだけど、なんかちょっと待ち合わせとかしたかったなぁって思っただけだったんだ。
でもきっと大翔のことだから待ち合わせなんてさせてくれなくて、家まで迎えにくるだろうからあんまり変わらないかも…。
そう思い至ったので僕は今日泊まらせてもらうことにした。
++++
今日の晩御飯はパパさんとママさんと大翔と僕の4人だった。理人さんは今日会食なんだって。
パパさんのリクエストでメニューはおでんだった。
おでんと白米が苦手なんだけど、今日は白米じゃなくて味噌味の焼きおにぎりだった。
焼きおにぎりがおいしくってモグモグと食べてたら、みんなにすごい見られていた。
うぅ、がっついてると思われたかなぁ。
でも美味しかったんだもんしょうがないよね!
味付ける前のおでん出汁をシェフさんに貰って、2個目の焼きおにぎりにかけてもらってお茶漬けにして食べてしまった。
大翔は相変わらず美味しいとは言わなかったけど、食べてる僕を見るだけで十分だって言ってた。
明日は料理おいしいって言ってくれると良いなぁ。
++++
晩御飯も食べ終えて、みんなでリビングで寛いだ後にお風呂に入らせてもらうことに。
いつもは大翔の部屋についているお風呂なんだけど、今日は2階にある共用のお風呂。
部屋についてるお風呂はやっぱり少し小さいらしくって、それでも僕にとっては大きいんだけど…今日は共用のお風呂を使おうってことになった。
大翔の部屋で寝間着と下着とかを用意してると、大翔も用意している。
「大翔先入る?」
「いや、今日は一緒に入ろう。」
…?
……??
ん?一緒に?
今一緒にって言ってましたかね??
聞き間違い…じゃなさそうな満面な笑みで僕を見ているな…。
「一緒?」
「そ、一緒。」
「…それってどうしても?」
「…どうしても…かな?いや?」
うーーーん、またそうやって…子犬がキューンって甘えて鳴く時みたいな顔するんだよねぇ…。
知ってるこれはわかっててやってるんだ。
僕がこの顔に弱いって知ってるくせに…。
でも…
「凛ダメ?」
うーん
「俺と入りたくない?」
ぐぅ…
「凛?」
「…良いよ…。」
チョロいんだよね、わかってる。
わかってるんだけど…。
「ありがとう凛。」
そう言って満面の笑みで見られると…断れない。
むしろ聞きたい、こんな笑顔をで言われて断れる人いるのかな?
もうこのやり取りだけで僕の心の中がキュンキュンと、それこそこっちが子犬かっていうぐらい鳴いちゃってる。
もうウサギは飛び跳ねてるし、子犬は鳴いてるしで僕の心の中は大忙しだった。
共有のお風呂場は脱衣所も広かった。
籐の椅子が二つあって、洗濯物用の籠も二つ用意されてた。
「ねぇ、大翔…?」
「ん?何凛、脱がす?」
「ち!違う!ちょ、ちょっとこれってもうちょい薄暗く出来たりする?」
「ん?なんで?」
なんでって…恥ずかしいからに決まってるじゃん!!!
「は、恥ずかしい…。」
「…?もう凛の裸見てるのに?」
そうだけど!!でも全部じゃないし!
あれはちょっとテンションが上がりすぎて、こう前後不覚っていうかなんていうか正常な状況じゃなかったわけで…。
今はその意識が確かな状態な訳で…。
「良いよ。ちょっとだけ暗くしようか、あんまり暗くすると足元危ないから。」
「ほんと?」
「あんまり暗くしちゃうと凛の顔見れなくなっちゃうしね。」
そいうって、大翔は僕のシャツのボタンに手をかける。
ん?
「ぬ、脱げる!自分で脱げるよ。」
「わかってるよ。でも、俺が脱がしたいの。」
えぇ…。
戸惑う僕を尻目にシャツのボタンを全て外して、インナーも含めて上半身から脱がしていく。
ズボンのボタンに手がかかったところで、僕は大翔の手を止めようと試みるも満面の笑みしか返ってこない。
「ちょ、ちょっと大翔!待って!!下は自分で脱ぐから!!」
「だーめ!」
ひぇっ!
お風呂場の中は電気を少し暗くしてもらったけど、脱衣所は煌々と灯りがついているし、なんならでっかい鏡があるから今まさに脱がされてる状態の僕が写ってて尚のこと恥ずかしい。
「凛、恥ずかしいなら目瞑ってて。」
「ぅ、う??それって大翔は見えてるじゃん。」
「ん?見えてないと脱がせないだろ?」
そういう事じゃなくない??
「俺に見られてるのが恥ずかしいなら、目を瞑ってれば俺に見られてるかわからないでしょ?」
「…???そういう事なの???」
「そういう事じゃないの?」
…?そういう事なのかな??
よく分かんなくなってきたし、大翔は止まってくれなさそうだし、よくわからないままとりあえず目を閉じる事にした。
やっぱりこう言うことじゃなさそうなんだけどな…。
僕の前に屈んだ大翔の肩に手を置いて、片足ずつズボンと下着を脱いだ。
これってやっぱ全部見られているんじゃ?
でも不思議と目を開けている時より恥ずかしくない気がするんだけど、混乱してるだけなのかどうなのかが判別つかなかった。
何度か目を開けそうになるものの、なんとか服を全部脱がせてもらって大翔が立ち上がる気配を感じて僕も目を開けた。
目の前にいる大翔が服を脱ぎ始める。
そういえば僕の裸は見られてるけど、大翔の裸見たことないかも…。
上半身裸になった大翔の体を見ると、細いとは思っていたけど実際は筋肉がついていて二の腕はがっちりとした筋肉に覆われていた。
腹筋だって六つに割れているし、腹斜筋から腸腰筋にかけてのラインとか、広背筋もすごく綺麗に筋肉がついてて羨ましい。
それに男の僕が見てもドキドキしてしまう。
「凛顔真っ赤だけど…どうした?」
「な、なんでもない…先に入ってるね!」
そう言って僕はそそくさと浴用タオル一枚を持ってお風呂場へと逃げ込んだ。
お風呂場に入って僕は自分の体を見るけど、体の色は真っ白だし筋肉は付きづらいからしょうがないとしても、生っ白いといった感じ。
と言っても日に焼けないし、焼いても真っ赤になって終わっちゃうからなぁ…。
シャワーを出して髪の毛を洗っていると扉が開く音がして、大翔がお風呂場に入ってきた。
急いでシャワーでシャンプーを流すと、僕の後ろに大翔が座る。
「凛、ちょっと泡残ってるからシャワー貸して?」
「え、自分でできるよ…。」
「良いから。」
そう言って大翔は僕の手からシャワーを取り上げて、後ろから髪の毛の泡を落としていく。
流し終わると、大翔はトリートメントを取り、僕の髪に塗布していく。
その間に僕は浴用タオルにボディーソープを出すと泡立てて体を洗っていく。
大翔がヘッドマッサージをするように僕の地肌を揉みながら、トリートメントを浸透させていく。
大きい手でゆっくりとちょうどいい力の強さでマッサージされると、トロンと脳がリラックスしていく。
すごい気持ち良い。
体の前側を洗っていると、今度はそのタオルも大翔に取り上げられてしまった。
「大翔?…それがないと僕洗えないんだけど。」
「背中流してやるから。」
そう言ってタオルを洗面器に入れると手に直接ボディソープをとり、器用に泡立て、こんもりと作った泡を背中に乗せて素手で滑らせていく。
「んっ、大翔…?」
「体を洗うときは素手を使って泡で洗うのが良いんだよ。」
そう言って首から肩、背中から腰へと手を滑らせる。
きめの細かい泡が肌の上を撫でるのが気持ちいい。目をそっと閉じていると、再び泡と一緒に大翔の手が前に回ってきた。
脇腹から前に来た手はそっと上に登ってくると僕の薄い腹を撫で、胸の蕾へと辿り着く。
泡だけじゃなく僕の蕾を人差し指でぎゅっと押しつぶす。
「んっ、やぁ、大翔…!」
「何?」
「洗うって言ったのに…。」
「洗ってるよ。凛の可愛いところちゃんと洗ってあげないと。」
そう言って人差し指と親指で摘もうとするのに泡で滑って摘めずに掠るばかりで、より胸の突起に意識が集中してしまう。
「んっ、待って、大翔ダメ…。」
「なんで?ほらここ、硬くなってぷっくりしてきた。」
大翔が乳輪をそっと撫でるようにしてたまに突起を掠めるだけで、いつの間にかピンと硬く尖っている。
手のひらで胸を撫で上げて、今度は下に手が降りていく時も蕾を掠め鳩尾からお腹へ降りてきた指がおへその中をくるくると撫ぜると擽ったさの中に仄かに感じる快感が背中に響く。
そのまま僕の薄い下生えをゆっくりと撫でて緩く勃ち上がった僕の中心をそっと手で掴む。
「ンァっ、はぁ…だめ、大翔…そこ、だめ…んっ」
「勃ってきたな…。」
いつの間にか僕の背中にピッタリと胸をつけるようにして後ろに座っていた大翔が、ゆっくりと僕の耳たぶを口に含んで、吸い上げて離した。
「ふぁ、っんん、はぁ…や…」
「ビクビク震えて、可愛い…凛、嫌じゃなくて気持ち良いでしょ?」
「ふ、んぁ、はぁ…んっダメ、耳だめなの…。」
耳元で呼ばれて、僕より少し低い声で、左手で僕のペニスをやわやわと扱きながら、右手の爪で僕の蕾をカリカリと引っ掻く。
自分の体すら支えられない僕は大翔の胸に背中を預けて、与えられる快感を逃がそうと必死になるけどうまくいかない。
耳輪を舐め上げられ、舌を耳の穴に突っ込まれてグチュグチュと淫らな水音が直接脳内に流れ込む。
もう体の中からも外からも犯されてるみたいで、いつの間にか脳がぐずぐずに蕩けてる。
「やぁ、だめ…全部、や、ぁあん…ひろ、と」
「気持ちいい?前から先走りでてグチュグチュだよ。」
泡と透明な液体が絡んでグチュグチュと音を鳴らしながら、僕のペニスを扱いて、泡で滑る胸の突起を掴んだり弾いたり押しつぶしたりされるとどんどんと快感の種が膨らんで腰のあたりを重くさせる。
「んぁ、はぁ、ふ、んんっ、だめぁ、でちゃう…ひろ、でちゃう。」
「ん、凛、良いよ出して?」
「はぁ、あぁん、だめはやくしちゃ、っあぁ」
ダメだとどんなに言っても大翔はその左手を緩めることなく力を込めてスピードを上げていく。
「はぁっ、やぁでちゃ…んぁっ。ーーーーーあぁあっ!!」
僕は体をビクビクと振るわせながら、白濁した液を先端の穴から溢れさせた。
荒く乱れる息をどうにかして整えようとしていると、大翔がシャワーで僕の体についた泡と白を洗い流していく。
「凛…可愛かった…。」
「も、やだって言ったのに…。」
「ごめんね。」
そう言って大翔は丁寧に僕の泡を洗い流しながら僕のこめかみにキスをする。
僕を湯船へと入れて、その間に大翔はサッと髪の毛と体を洗い湯船へと入ってくる。
僕を抱えるようにして湯船に浸かると一つ大きく息を吐いた。
「大翔?」
「何?」
「大翔のは?しなくていいの?」
「大丈夫だよ。」
でも僕のお尻に硬いのが当たってる。
それに昂った僕の気持ちは、大翔のを気持ちよくしたいなって、そう思ってる。
「ねぇ、大翔…?」
「ん?」
「僕…しちゃだめ?」
「何を?」
「…その、大翔のを…く、口で…。」
「…。」
大翔は黙ってしまった。嫌だったかなぁ、急に口でしたいって言われても困るよね…。
「凛、したいの?」
「ん、したい。大翔の…口でしたいなって思ったんだけど…いや?」
「嫌なわけないだろ。でも…すぐ出たらどうしようかと思って…。」
「…でもしたい。」
嫌じゃないならさせて?ってお願いして、大翔に浴槽の淵に腰をかけてもらう。
僕は浴槽の中に入ったまま、大翔の膝の間に座ってお腹につきそうなぐらいそそり勃つ屹立にそっと手を這わせる。
僕のよりも太くて長くて大きいそれを前にすると、口に入らなさそうだなってちょっと思ってしまった。
ゆっくりと先端の鈴口に口付けて、おずおずと舌ですべすべとした先端の部分を舐めると溢れていた透明な液体を舐めとる。
少ししょっぱくて苦い。柔らかくってベルベッドみたいな触り心地で、張り出した部分に舌先を固くしてぐるりと這わしてから先端から口に含む。
先端だけでも口いっぱいになりそうなぐらいの質量なのに、もっと奥に入れたい。
歯に当たらないように気をつけつつ、少しだけ奥へと進めていく。
先っぽが上顎に触れると続々と肌が粟立つ。
気持ちよくしたいのに、僕の方が気持ちよくなってしまいそうになって鼻で息をしながらもう少し奥へと押し込む。
口の中が大翔のでいっぱいになって、すごく嬉しい。
結局全部は入らなそうだから指を親指と人差し指で輪っかにして根本をしごいていく。
頭を上下に動かして、舌も使うようにして、きっと下手くそだと思う。
でも大翔は時折色っぽい息を吐きながら、僕の濡れた襟足を漉くように撫でる。
口に咥えたまま、頭を上げて大翔の顔を見ると目元が赤く染まった大翔の顔がそこにあって、少しでも気持ち良いって思ってくれてるのかな。
僕の頬を優しく撫でてくれる。
「ん、んんっ、ふっぁ、ぅんっ」
「凛、気持ちいいよ。」
気持ちいいって、言われるとすごく嬉しい。
もっと良くなって欲しくて、扱く手を少し強めてみる。
「んっ、凛…はぁ…。」
「ふっ、んん、んぐっ、ふ。」
出して欲しい、口にいっぱい。
大翔のやついっぱい口に入れて、僕の中で出して欲しい。
「凛、もう良いよ。」
「ふ、んっ、あっ…んっ、んんっ」
少し無理矢理引き抜かれると、顎を掴まれて上を向かされる。
大翔は少し濡れた僕の唇を舌で舐めてそのまま深いキスを落とす。
舌を絡められて、吸われて、上顎を大翔の舌先でくすぐられるように触れられると体が勝手にビクビクと揺れてしまう。
「ふぁっ、ん…最後までしたかった。」
「それは今度ね、今日はこっちでいい?」
そう言って僕を立たせると、湯船から洗い場へと出る。
「しっかり足を閉じてて。」
「ん…。」
僕は壁を向って立つと、大翔が僕の太ももをぴっちりと閉じる。
すると太ももの間に大翔の屹立を忍び込ませた。
これ、って…。
大翔は後ろからまるで僕を犯すように腰を打ちつけてくる。
大翔の屹立が僕のペニスの裏側を擦れていくのが気持ちよくてうまく立てない。
「はぁ、んぁ、ひ、ひろと…これ、あぁ、んっ。」
「はぁっはぁつ、凛…。」
2人の先端から溢れ出した透明な液体が滑りを良くさせて、グチュグチュと卑猥な音が浴室の中で響く。
肌を打ち付ける音と水音、そして大翔の荒い息と僕の溢れでる嬌声が混ざって、反響して…とてつもなくいやらしいことをしている気分になる。
もう、これえっちしてるの一緒じゃないかな…。
背中をゾクゾクと快感が走って、大翔の打ち付けられる腰のスピードが早まっていく。
擦れて、掴まれた腰にすら快感を覚えるみたい。
僕はうまく立っていられずに壁にしがみつく。
抽送のスピードが上がると、さらに激しいぶつかり合う肌の音と水音が耳を支配するみたい。
「はぁ、んぁっ…あぁあ、はぁ、ひ、ひろ…んっでちゃ」
「はぁ、凛、も、ぅ。」
「ん、ひろ、キスして…はぁ、んっ」
僕は精一杯背中を反らせて大翔にキスをねだる。
大翔は上半身を少し倒して僕に深いキスをしながらも、抽送を止めることはない。
「はぁっ、んふっ、イッ…」
「凛…はぁっ、出すぞ…。」
「はぁ、んっぁあ、ふぁ、んぁぁあーーーーーッ!!」
大翔の先端から勢いよく放たれた白が、僕から溢れ出た白と合わさって浴室の壁を汚していく。
僕の股の間から抜かれたすこし硬さを無くした屹立を扱いて、残ったものを僕の双丘へ吐き出していく。
後ろから僕を抱きこんで、ぎゅっと抱きしめて。
こめかみ、耳、頬に軽く音をさせながらキスをする。
僕はくるっと体を回して、大翔と向かい合うとぎゅっと抱きつきキスを強請る。
濡れた前髪を避けるようにして、額、瞼、鼻頭にキスをして、ゆっくりと唇に口付けた。
深く混ざり合うようなキス。
まだ荒い息を呑み込むように、舌を絡ませながら2人の唾液が溶け合い、口の端から溢れる。
とろりと蕩けた僕の目を、愛おしそうに見つめる大翔の頬を撫でる。
ああ、この顔。
すごく好き。
僕のこと、好きって言ってる顔。
僕も大翔のことが大好きって、言葉には出さないけど伝わるかな。
伝わると良いな…。
少し冷えた体をシャワーで温めながら、僕らはぎゅっと裸のまま抱き合った。
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