19 / 41
嫉妬と甘い事情聴取と(一)
しおりを挟む
ルドはゆっくりと、私をベッドの上に下ろした。
考えなければいけないことはたくさんあったが、久しぶりの来客で先ほどルドに告げたように少し疲れた。
まだ昼を少し回ったところだが、少し眠ってしまいたい。
「ルド様、私……」
「ユイナ令嬢となにを話していたんだ」
「え、なにを? 特に他愛のない話でしたが」
「彼女がココまでわざわざ押しかけて来たんだ。他愛のない話だけではないだろう」
それはどういう意味だろうか。
事情を知っていてということなのか、私の耳に入れたくないことがあるのか。
確かに今の時点では、ユイナ令嬢が悪役令嬢でアーシエがヒロインだったというのは私の中での憶測でしかない。
そしてそれよりも、なぜだろう。
ルドの口からユイナ令嬢の名前が出て来るだけで、胸の中がもやもやしてくるのは。
「私が、なにかユイナ様とお話することで、ルド様にご都合の悪いことなどあるのですか?」
「どうしてそうなる。先に質問をしたのは僕のはずだよ、アーシエ。質問に質問で返すのは、よくないな」
「そうかもしれませんが、私にもイロイロ聞く権利はあると思うのですよ」
「ユイナ令嬢のことは、君は知る必要性があるとは僕は思わない」
「それでしから、私もこれ以上、なにもお話することはありません」
すでに売り言葉に買い言葉だということは分かっている。
それでも、もやもやした感情は、だんだんとイライラに変わっていった。
「まったく、いつから僕のアーシエはそんなに可愛くなくなってしまったんだい?」
「私は元からこういう性格です」
私はアーシエではないから。
悪かったわね。
そう言ってしまえれば、どれほど楽なのか。
でもそれよりも、ユイナ令嬢とルドの関係を知りたいと思う自分がいた。
そう嫉妬だ。
彼の口からユイナ令嬢の名前が出るだけで、苦しくなる。
それほどまでに私はルドのことを……。
「まったく……。言うことを聞かないコには、お仕置きが必要かな」
ルドのその言葉に、思わずひゅーっと喉が鳴る。
ココへ来てから、その言葉を幾度聞いただろうか。
そしてその言葉の意味を、頭よりも体がよく理解している。
「おし……おき……」
その言葉だけでぞくそくとしたものが背中を駆け抜け、下半身が熱を帯びてくる。
確認などしなくても、すでに秘部からが蜜が溢れ出しているだろう。
「お仕置き、やだぁ」
こんな日も高いうちに、いくら侍女たちがいない部屋とはいえ声を聞かれたくなどなかった。
必死に首を横に振るも、ルドの目はまるで私のことなど子ウサギ程度にしか見えていない。
「ダメだね。そんな反抗的な態度はきちんと直していかないとね」
ベッドの上になど逃げ場はなく、ルドの腕に絡めとられるとそのままドレスを脱がされ、そのドレスで手を縛り上げられる。
「ルド様、いやです。お仕置きやだ」
ルドに縛られてもなお抵抗する私に、ルドはなにかを思いついたかのようにバスルームに入っていくと、一枚のタオルを手にして戻って来た。
「なに、それ……」
「アーシエ、君がもっと素直になってくれるようにね」
ルドはそのタオルで、今度は私に目隠しをした。
なにも見えない。
真っ暗な世界。
ただそれだけで、いつもと違った恐怖の様なものがこみ上げてくる。
考えなければいけないことはたくさんあったが、久しぶりの来客で先ほどルドに告げたように少し疲れた。
まだ昼を少し回ったところだが、少し眠ってしまいたい。
「ルド様、私……」
「ユイナ令嬢となにを話していたんだ」
「え、なにを? 特に他愛のない話でしたが」
「彼女がココまでわざわざ押しかけて来たんだ。他愛のない話だけではないだろう」
それはどういう意味だろうか。
事情を知っていてということなのか、私の耳に入れたくないことがあるのか。
確かに今の時点では、ユイナ令嬢が悪役令嬢でアーシエがヒロインだったというのは私の中での憶測でしかない。
そしてそれよりも、なぜだろう。
ルドの口からユイナ令嬢の名前が出て来るだけで、胸の中がもやもやしてくるのは。
「私が、なにかユイナ様とお話することで、ルド様にご都合の悪いことなどあるのですか?」
「どうしてそうなる。先に質問をしたのは僕のはずだよ、アーシエ。質問に質問で返すのは、よくないな」
「そうかもしれませんが、私にもイロイロ聞く権利はあると思うのですよ」
「ユイナ令嬢のことは、君は知る必要性があるとは僕は思わない」
「それでしから、私もこれ以上、なにもお話することはありません」
すでに売り言葉に買い言葉だということは分かっている。
それでも、もやもやした感情は、だんだんとイライラに変わっていった。
「まったく、いつから僕のアーシエはそんなに可愛くなくなってしまったんだい?」
「私は元からこういう性格です」
私はアーシエではないから。
悪かったわね。
そう言ってしまえれば、どれほど楽なのか。
でもそれよりも、ユイナ令嬢とルドの関係を知りたいと思う自分がいた。
そう嫉妬だ。
彼の口からユイナ令嬢の名前が出るだけで、苦しくなる。
それほどまでに私はルドのことを……。
「まったく……。言うことを聞かないコには、お仕置きが必要かな」
ルドのその言葉に、思わずひゅーっと喉が鳴る。
ココへ来てから、その言葉を幾度聞いただろうか。
そしてその言葉の意味を、頭よりも体がよく理解している。
「おし……おき……」
その言葉だけでぞくそくとしたものが背中を駆け抜け、下半身が熱を帯びてくる。
確認などしなくても、すでに秘部からが蜜が溢れ出しているだろう。
「お仕置き、やだぁ」
こんな日も高いうちに、いくら侍女たちがいない部屋とはいえ声を聞かれたくなどなかった。
必死に首を横に振るも、ルドの目はまるで私のことなど子ウサギ程度にしか見えていない。
「ダメだね。そんな反抗的な態度はきちんと直していかないとね」
ベッドの上になど逃げ場はなく、ルドの腕に絡めとられるとそのままドレスを脱がされ、そのドレスで手を縛り上げられる。
「ルド様、いやです。お仕置きやだ」
ルドに縛られてもなお抵抗する私に、ルドはなにかを思いついたかのようにバスルームに入っていくと、一枚のタオルを手にして戻って来た。
「なに、それ……」
「アーシエ、君がもっと素直になってくれるようにね」
ルドはそのタオルで、今度は私に目隠しをした。
なにも見えない。
真っ暗な世界。
ただそれだけで、いつもと違った恐怖の様なものがこみ上げてくる。
10
お気に入りに追加
530
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されまして・裏
竹本 芳生
恋愛
婚約破棄されまして(笑)の主人公以外の視点での話。
主人公の見えない所での話になりますよ。多分。
基本的には本編に絡む、過去の話や裏側等を書いていこうと思ってます。
後は……後はノリで、ポロッと何か裏話とか何か書いちゃうかも( ´艸`)
転生したらやられ役の悪役貴族だったので、死なないように頑張っていたらなぜかモテました
平山和人
ファンタジー
事故で死んだはずの俺は、生前やりこんでいたゲーム『エリシオンサーガ』の世界に転生していた。
しかし、転生先は不細工、クズ、無能、と負の三拍子が揃った悪役貴族、ゲルドフ・インペラートルであり、このままでは破滅は避けられない。
だが、前世の記憶とゲームの知識を活かせば、俺は『エリシオンサーガ』の世界で成り上がることができる! そう考えた俺は早速行動を開始する。
まずは強くなるために魔物を倒しまくってレベルを上げまくる。そうしていたら痩せたイケメンになり、なぜか美少女からモテまくることに。
【完結】よくある婚約破棄なので
おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。
その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。
言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。
「よくある婚約破棄なので」
・すれ違う二人をめぐる短い話
・前編は各自の証言になります
・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド
・全25話完結
あなたが浮気して離婚したのに2年経って復縁を望むなんてありえません!
ヘロディア
恋愛
貴族の娘である主人公・マリアは嫁いだ夫との新婚生活を順風満帆に過ごしていた。深い愛で愛し合う二人だったが、その日々は夫の浮気によって唐突に終焉を告げる。しかも相手はマリアの生家よりも高い権力の家柄の女性だった。
彼女は離婚して自由な生活を送るようになったが、なぜか突然、元夫から手紙が届く。
手紙には『復縁してほしい』と書いており…
私はあなたの何番目ですか?
ましろ
恋愛
医療魔法士ルシアの恋人セシリオは王女の専属護衛騎士。王女はひと月後には隣国の王子のもとへ嫁ぐ。無事輿入れが終わったら結婚しようと約束していた。
しかし、隣国の情勢不安が騒がれだした。不安に怯える王女は、セシリオに1年だけ一緒に来てほしいと懇願した。
基本ご都合主義。R15は保険です。
暗黒騎士物語
根崎タケル
ファンタジー
召喚された主人公が暗黒騎士となって、勇者から魔王を守るお話です。
突然異世界に召喚されたクロキ。クロキを召喚したのは魔王モデス。そして、現在魔王の支配する国は勇者によって滅ぼされようとしていた。
凶悪な外見をした魔王モデスがクロキに頭を下げる。
「お願い助けて! 救世主殿!!」
クロキは成り行きで暗黒騎士となって魔王を助ける事になるのだった。
死に役はごめんなので好きにさせてもらいます
橋本彩里(Ayari)
恋愛
フェリシアは幼馴染で婚約者のデュークのことが好きで健気に尽くしてきた。
前世の記憶が蘇り、物語冒頭で死ぬ役目の主人公たちのただの盛り上げ要員であると知ったフェリシアは、死んでたまるかと物語のヒーロー枠であるデュークへの恋心を捨てることを決意する。
愛を返されない、いつか違う人とくっつく予定の婚約者なんてごめんだ。しかも自分は死に役。
フェリシアはデューク中心の生活をやめ、なんなら婚約破棄を目指して自分のために好きなことをしようと決める。
どうせ何をしていても気にしないだろうとデュークと距離を置こうとするが……
お付き合いいただけたら幸いです。
たくさんのいいね、エール、感想、誤字報告をありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる