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第5章

詩絵美との一夜 ベーカリーカフェ

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途中で先に詩絵美の家に寄って、詩絵美の荷物を置くと、2人は昨日恵子がオナニーをした休耕田に入っていきました。
「ここよ、詩絵美。ここなら誰も気づかないわ。」
「ここでオナニーはかなり勇気がいるよ。」
「詩絵美、今朝何をしたか忘れたの?草原でセックスしたでしょ。」
今朝のセックスと環境は変わりません。
むしろ、今朝の草原の方が周りからよく見えます。
「確かにそうだけど‥」
「私、昨日ここでオナニーしたのよ。」
「え?」
「制服にタイツだったから学校にいる時から興奮しちゃって。それで家まで我慢できなくて、ここでオナニーしたのよ。声が漏れないようにハンカチを咥えたけど、すっごく気持ちよかったよ。」
「さすがオナニスト恵子だわ。」
「変に感心しないでよ、詩絵美」
「褒めてるんだよ、恵子。じゃあ今度1人でやってみるわ。」

再び手をつなぎ休耕田から出てきた2人は、ベーカリーカフェに向かいました。
ドアの向こうに手をつないでやってくる恵子と詩絵美を認めた頼子はかなり焦っていました。
(え?まさか、うそよね。イヤよ、こんなの。ちがうよね?)
「今日は。」
2人が声を揃えて入ってきました。
「いらっしゃい、恵子ちゃん、詩絵美ちゃん。」
マスターの坂上の声が響きます。
「い、いらっしゃい。詩絵美ちゃん、久しぶりね。」
頼子の声に少しトゲがあるように恵子は感じましたが、詩絵美は気にしていないようです。
「頼子さん、ご無沙汰してごめんなさい。これからはちゃんと通いますね。」
「おっ、詩絵美ちゃん、待ってるよ!」
ぎこちない頼子に代わって坂上が答えます。

「そう言えば2人一緒って珍しいわね。」
やはり何か頼子の言い方が気になる恵子です。
「昨夜詩絵美が泊まりに来たんですよ。」
恵子は正直に答えます。
「おっ、そうすると昨夜は1つのベッドで2人は熱い夜を過ごしたんだな?」
坂上の言葉に頼子がビクッと反応しています。

「は?私たち何もエッチなことなんかしてませんよ!」
詩絵美がややムキになって答えます。
「え?そんなことなんにも言ってないよ。ベッドの上であっち向いてホイに熱く燃えたんだろうなって思っただけだよ。」
坂上のすっとぼけた返事に恵子は思わず笑ってしまいました。
「詩絵美、今度のお泊まり会はあっち向いてホイで熱く戦おうよ!」
「もう恵子まで変だよ!」

「さあさあ、そろそろ注文はどうするの?いつも通りで恵子ちゃんはたまごサンドとアイスミルクで、詩絵美ちゃんはエビピラフとアイスティーでよかった?」
頼子が落ち着かない素振りで聞きました。
「頼子さん、おすすめメニューを忘れてますよ。」
「ああ、プリンもね。」
「プリンのアタマの大盛りを一つ忘れないでくださいよ。」
思わず坂上と頼子が顔を見合わせます。
「恵子、何それ?プリンのアタマの大盛りなんてあるの?」
「詩絵美、あなたが来ないうちに頼子さんが新しく作ったメニューよ。プリンの大盛りや特盛もあるのよ。」
「へえ、知らなかったよ。私もプリンのアタマの大盛りを追加でお願いしますね、頼子さん。」
今更恵子を揶揄うために言っただけとは言えなくなってしまった坂上と頼子です。
「まさか本当に注文してくるとは思わなかったなあ。」
坂上が困った顔です。
「まあ、ホイップと果物を増やしておきましょう。」
頼子の提案通りにするしかなさそうです。

出来上がった料理を頼子が運んでくれました。
「そう言えば頼子さん、今日は白いタイツじゃないですか?」
恵子が嬉しそうに頼子に尋ねます。
「この前の恵子ちゃんの白いタイツを見てから、私も履いてみたいなって思って。でも恵子ちゃんと違って全然似合わないけどね。」
恵子の目がすごく輝いているのが頼子には意外でした。
恵子の気を引きたくて白いタイツを履いているのですが、詩絵美との仲が出来上がっていそうなのに、頼子の白いタイツにここまで関心を示すのが想定外でした。
「そんなことないですよ。頼子さんの白いタイツ、すごく似合ってますよ。私、頼子さんが白いタイツ履いてくれてすごく嬉しいです!」
なんと言っても頼子に恵子は憧れています。
その憧れの頼子が、恵子に触発されて白いタイツを履いてくれたことが、恵子はすごく嬉しかったのでした。

「頼子さんっていつもはグレーのタイツがトレードマークでしたよね?」
何気なく詩絵美が聞きました。
「ああそうね、確かにいつもはグレーのタイツだわ。あれは貴浩の趣味なのよ。私にグレーが似合うからってね。私も満更でもないなって思ってグレーのタイツをいつも履いているのよ。」
「貴浩くんはグレーが好きなんですか?」
詩絵美が興味津々で聞きます。
(どういうこと?詩絵美ちゃんは貴浩に興味あるの?恵子ちゃんとできたんじゃないの?)
頼子はかなり混乱しています。
「貴浩が好きな色はグレーよ。S女子学院のグレーのセーラー服も気に入ってるみたいだし、何よりグレーのタイツやサイハイソックスがお気に入りみたいだよ。」
「そっかあ、グレーか。」
(詩絵美、やっぱり貴浩くんを好きなのね。)

恵子は微笑ましさと寂しさの両方を感じていました。
恵子は詩絵美を愛し、詩絵美は貴浩を愛し、貴浩は恵子を愛しています。 
この矢印のどれかの向きが変わることがあるのだろうかと、ふと考えてしまいました。

「頼子さん、私、しばらく貴浩くんに会っていないから、久しぶりに会いたいなって思ってるんです。」
唐突に詩絵美が話しました。
「えっ、ああ、貴浩に伝えておくわね。貴浩も喜ぶわ。」
「頼子さん、お願いします!」
詩絵美は満面の笑みでエビピラフを食べ始めました。





















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