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蝶竜
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両腕の隙間から前を除くと、
― 七色に光る竜のような身体、粒子を散らす蝶の羽根
その"謎の何か?"が私の前に立っていた。
私の首に突き刺さるはずだった"あの強烈な黒い閃光矢"を、片手でいとも簡単に掴んでいる。
「アァァァ...ァァァァァア?」
"蝶竜?"はその矢を、なんと自分の銃剣に装填し始めた。
そのたった一撃を放っただけで、アイツを奥へとねじ込んでしまい、その異常な強さが垣間見えた。
「あなた...は...?」
"蝶竜?"は一瞬こっちを振り返ると、ヤツへと飛んで行った。
まだはっきり分からない。
敵なのかどうか。
でも、"あの動き"を私は知っている。
何度も傍で、何度も何度も見てきた。
...意識が薄れてきた
目が霞んでいく。
あの"七色の蝶竜"が全てを薙ぎ払っていく。
動く度に弾ける"虹の粒子"。
私が起きている間に最後に見たもの。
"あの蝶竜"が私に近付いてくる様だった。
###
「良かった、ユキ姉起きたッ!!」
「周りのヤツらがしつこくて、遅れてすみません」
「ユキちゃん、血を流して倒れてるから、心臓に悪かったよぉ...」
起きると、みんなに心配されていた。
誰一人ケガをしてる様子は無い。
周りを見ると、もう何もいなくなっていた。
さっきのは夢じゃなかったってこと...?
だったらあの蝶竜は?
蝶竜は、どこに。
どこを見てもいない。
後ろにも上にも。
「あんまり動かない方がいいよ、また血がで...あれ?」
「?」
ヒナが血を辿って、私の右脇腹を見る。
「ユキちゃんって、医療の知識詳しいの?」
「いや、そんなには」
「もう傷口塞がってるけど...」
「え?」
すぐに確認すると、確かに塞がっていた。
ほとんど後が無いくらいに。
「もう痛くない?」
「うん、むしろ身体も調子いいくらいで」
...私じゃない
誰のおかげなのか、すぐにはっきりした。
「ルイは...ルイはどこにっ!!」
思わずヒナを掴んで言うと、
「!? ど、どしたの!? ルイさんがいたの?!」
「いた! いたのっ!! ついさっきここにっ!!」
その声に一気に周りが反応する。
私には分かる。
あれは絶対にそう。
生きてたんだ、やっぱり。
信じてたよ、ずっと。
早く謝らなきゃいけないのに。
一人にしてごめんって、早く。
「誰も見てないの!?」
それぞれが首を横へ振る。
なんで...
絶対いたのに...!!
「そのルイ様は、どんな格好をしていましたか?」
不意にニイナが質問する。
「え...蝶の羽根が生えた人型の竜のような...」
「私が一瞬見えたのは、"光った何か"がユキ先輩に近付くのは見えたんです。ですが近付くと消えて、隠れていた敵だと思って急いだんですが」
「それ...それがたぶん」
「ルイ様だったと?」
「た...ぶん」
確証が無かった。
"あの姿"でもルイだと、断定できるのはきっと私しかいない。
でも、必死に話す私の姿を見て、カレンさんたちが先にこの階の捜索へと行ってくれた。
ここにまだ、ルイがいるかもしれない。
代わりに、ヒナ、ニイナ、ノノの3人が、私の様子を見るために残った。
「ユキ先輩、右のポケットが何か光ってませんか?」
ほんとだ、光ってる。
何かが右のポケットにある。
「?」
取り出すと、小さな"金のフィギュア"だった。
金の弓を持つ、"あの白いヤツ"の。
「なんだろ、これ」
「...あー! これって!!」
「それ! あの時のに似てる!!」
ノノとヒナが急に大声を出す。
「あの時の?」
「うん、そんな感じなのをルイさんに使ってもらって、この槍が出来たから!!」
「こっちは代表に使ってもらって、これになった!!」
聞くに、"A.EL"になれるアイテムらしい。
なんで私が持って?
...そっか
入れて行って...
見つけるから、絶対に。
あなたがいるから、私が生きてるんだから。
― 七色に光る竜のような身体、粒子を散らす蝶の羽根
その"謎の何か?"が私の前に立っていた。
私の首に突き刺さるはずだった"あの強烈な黒い閃光矢"を、片手でいとも簡単に掴んでいる。
「アァァァ...ァァァァァア?」
"蝶竜?"はその矢を、なんと自分の銃剣に装填し始めた。
そのたった一撃を放っただけで、アイツを奥へとねじ込んでしまい、その異常な強さが垣間見えた。
「あなた...は...?」
"蝶竜?"は一瞬こっちを振り返ると、ヤツへと飛んで行った。
まだはっきり分からない。
敵なのかどうか。
でも、"あの動き"を私は知っている。
何度も傍で、何度も何度も見てきた。
...意識が薄れてきた
目が霞んでいく。
あの"七色の蝶竜"が全てを薙ぎ払っていく。
動く度に弾ける"虹の粒子"。
私が起きている間に最後に見たもの。
"あの蝶竜"が私に近付いてくる様だった。
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「良かった、ユキ姉起きたッ!!」
「周りのヤツらがしつこくて、遅れてすみません」
「ユキちゃん、血を流して倒れてるから、心臓に悪かったよぉ...」
起きると、みんなに心配されていた。
誰一人ケガをしてる様子は無い。
周りを見ると、もう何もいなくなっていた。
さっきのは夢じゃなかったってこと...?
だったらあの蝶竜は?
蝶竜は、どこに。
どこを見てもいない。
後ろにも上にも。
「あんまり動かない方がいいよ、また血がで...あれ?」
「?」
ヒナが血を辿って、私の右脇腹を見る。
「ユキちゃんって、医療の知識詳しいの?」
「いや、そんなには」
「もう傷口塞がってるけど...」
「え?」
すぐに確認すると、確かに塞がっていた。
ほとんど後が無いくらいに。
「もう痛くない?」
「うん、むしろ身体も調子いいくらいで」
...私じゃない
誰のおかげなのか、すぐにはっきりした。
「ルイは...ルイはどこにっ!!」
思わずヒナを掴んで言うと、
「!? ど、どしたの!? ルイさんがいたの?!」
「いた! いたのっ!! ついさっきここにっ!!」
その声に一気に周りが反応する。
私には分かる。
あれは絶対にそう。
生きてたんだ、やっぱり。
信じてたよ、ずっと。
早く謝らなきゃいけないのに。
一人にしてごめんって、早く。
「誰も見てないの!?」
それぞれが首を横へ振る。
なんで...
絶対いたのに...!!
「そのルイ様は、どんな格好をしていましたか?」
不意にニイナが質問する。
「え...蝶の羽根が生えた人型の竜のような...」
「私が一瞬見えたのは、"光った何か"がユキ先輩に近付くのは見えたんです。ですが近付くと消えて、隠れていた敵だと思って急いだんですが」
「それ...それがたぶん」
「ルイ様だったと?」
「た...ぶん」
確証が無かった。
"あの姿"でもルイだと、断定できるのはきっと私しかいない。
でも、必死に話す私の姿を見て、カレンさんたちが先にこの階の捜索へと行ってくれた。
ここにまだ、ルイがいるかもしれない。
代わりに、ヒナ、ニイナ、ノノの3人が、私の様子を見るために残った。
「ユキ先輩、右のポケットが何か光ってませんか?」
ほんとだ、光ってる。
何かが右のポケットにある。
「?」
取り出すと、小さな"金のフィギュア"だった。
金の弓を持つ、"あの白いヤツ"の。
「なんだろ、これ」
「...あー! これって!!」
「それ! あの時のに似てる!!」
ノノとヒナが急に大声を出す。
「あの時の?」
「うん、そんな感じなのをルイさんに使ってもらって、この槍が出来たから!!」
「こっちは代表に使ってもらって、これになった!!」
聞くに、"A.EL"になれるアイテムらしい。
なんで私が持って?
...そっか
入れて行って...
見つけるから、絶対に。
あなたがいるから、私が生きてるんだから。
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