上 下
69 / 73

鬼鎌

しおりを挟む
 鎌で防いだと思った瞬間、全身から尋常じゃない熱さを感じた。
 口中が気持ち悪く、少し吐き出すと、

「ん、はぁ...」

 ...血?

 ...え...?

 一瞬、自分の右脇腹を見ると、血だらけになっていた。
 気付いた瞬間、全身に激痛が走る。

「うぅぅッ」

 痛みでうずくまる暇など無く、ヤツの左手に用意された"黄金の弓"が私へ向けられる。
 
 死ぬ。

 ... シ ヌ ?

 ― 何もかも投げやりになった時

 鎌が姿を変え、鬼の顔が露わになった。
 この〈白雪鬼の死神鎌(スノーホワイトデーモン・デスサイズ)〉は本当はこうなんだと、言い聞かせられるかのように。

 この一撃がとうとうアイツを一歩引かせた。
 でも、まだみんなは戻ってこない。

 この研究室のような場所。
 いるのはコイツだけじゃない。

 ただ、切れていた〈天魔神の超重力〉がもう一度張られたのが分かった。
 向こう側からヒナがどうにか張ってくれたんだ。
 さっきの零距離レーザーは、ヒナがいなくなった事で直撃した事に気付いた。

「はぁ...はぁ...ぐっ!!!」

 歯を食いしばれ。
 ここで倒れたら全部が終わる。

 会えなくなる。
 会うまでは、倒れ...ない...!!

「んぁぁぁぁぁぁッ!!!」

 身体の底から叫んだ。
 残り全てを振り絞る様に。

 私は進む。
 この先も、その後も。

 白雪鬼の目が青く光った瞬間、新たなズノウが解放された。
 "シロイズノウ"の一覧が解禁され、その中の一つを即座に選ぶ。

「これで、お前を...!!」



 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 ...

 ......は?
 
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 な...んで...

 なんで...どれも...つかえな...

 もうヤツが...!!
 早く...早く...!!!

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉
 

 私の首は飛んだ。

 ヒナとニイナの顔が最期に見えた。

「ユ...キ...ちゃん...? いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「先...輩...」

 二人の大声が周りに響く。
 私はもうこの世にいない。

 ...

 ......

















 そんな妄想が、霞む現実から見えてしまった。
 必死に両手で覆った私に、なんと傷一つなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

闇に飲まれた謎のメトロノーム

八戸三春
SF
[あらすじ:近未来の荒廃した都市、ノヴァシティ。特殊な能力を持つ人々が存在し、「エレメントホルダー」と呼ばれている。彼らは神のような組織によって管理されているが、組織には闇の部分が存在する。 主人公は記憶を失った少年で、ノヴァシティの片隅で孤独に暮らしていた。ある日、彼は自分の名前を求めて旅に出る。途中で彼は記憶を操作する能力を持つ少女、アリスと出会う。 アリスは「シンフォニア」と呼ばれる組織の一員であり、彼女の任務は特殊な能力を持つ人々を見つけ出し、組織に連れ戻すことだった。彼女は主人公に協力を求め、共に行動することを提案する。 旅の中で、主人公とアリスは組織の闇の部分や謎の指導者に迫る。彼らは他のエレメントホルダーたちと出会い、それぞれの過去や思いを知ることで、彼らの内面や苦悩に触れていく。 彼らは力を合わせて組織に立ち向かい、真実を追求していく。だが、組織との戦いの中で、主人公とアリスは道徳的なジレンマに直面する。正義と犠牲の間で葛藤しながら、彼らは自分たちの信念を貫こうとする。 ノヴァシティの外に広がる未知の領域や他の都市を探索しながら、彼らの旅はさらなる展開を迎える。新たな組織やキャラクターとの出会い、音楽の力や道具・技術の活用が物語に絡んでくる。 主人公とアリスは、組織との最終決戦に挑む。エレメントホルダーたちと共に立ち上がり、自身の運命と存在意義を見つけるために奮闘する。彼らの絆と信じる心が、世界を救う力となる。 キャラクターの掘り下げや世界の探索、道具や技術の紹介、モラルディレンマなどを盛り込んだ、読者を悲しみや感動、熱い展開に引き込む荒廃SF小説となる。]

やる気が出る3つのDADAスピンアウト

Jack Seisex
SF
摩訶不思議な冒険SFダダ小説。

ワークロボット社

シュレディンガーのうさぎ
SF
舞台は2180年で、人間そっくりなアンドロイドが世界に普及しているという設定です。 そんな世界でアンドロイド業界を支配する会社『ワークロボット社』に秘書(セクレ)として勤めることになった人間、サラがその会社のCEOや従業員たちと絆を深めながら、アンドロイドと人間がどのような関係であるべきかを模索していきます。 *気が向いたら続きを書くという感じになります。

どうぶつたちのキャンプ

葵むらさき
SF
何らかの理由により宇宙各地に散らばってしまった動物たちを捜索するのがレイヴン=ガスファルトの仕事である。 今回彼はその任務を負い、不承々々ながらも地球へと旅立った。 捜索対象は三頭の予定で、レイヴンは手早く手際よく探し出していく。 だが彼はこの地球で、あまり遭遇したくない組織の所属員に出遭ってしまう。 さっさと帰ろう──そうして地球から脱出する寸前、不可解で不気味で嬉しくもなければ面白くもない、にも関わらず無視のできないメッセージが届いた。 なんとここにはもう一頭、予定外の『捜索対象動物』が存在しているというのだ。 レイヴンは困惑の極みに立たされた──

「メジャー・インフラトン」序章5/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 JUMP! JUMP! JUMP! No2.

あおっち
SF
 海を埋め尽くすAXISの艦隊。 飽和攻撃が始まる台湾、金門県。  海岸の空を埋め尽くすAXISの巨大なロボ、HARMARの大群。 同時に始まる苫小牧市へ着上陸作戦。 苫小牧市を守るシーラス防衛軍。 そこで、先に上陸した砲撃部隊の砲弾が千歳市を襲った! SF大河小説の前章譚、第5部作。 是非ご覧ください。 ※加筆や修正が予告なしにあります。

天使の歌声を追って俺はVtuberになることを決意する!

菅原みやび
SF
【これは戦う、近未来のVtuber達の物語……】 20XX年の近未来、全人類は、とある理由により地下に潜伏することになる。 昔日本だった場所の地下にある一つ【地下未来都市 天神】。 そこに住むゲーム大好き少年【白野 無紅(しらの むく)】はネットで知り合った知人【黒野 瑠璃(くろの るり)】と友人の【青井 優(あおい ゆう)】のアドバイスを受けVtuberのオーディションを受けることに。 無紅がVtuberを受ける一番の理由はオーディション事務所【国津アルカディア】が運営していた旧作のVRゲームで一人の天使と出会った事……。そう、無紅はその天使にもう一度会うために国津アルカディアのVtuberになることを決意したのだ。 オーディションの結果は驚いたことになんと合格‼ その結果に素直に喜ぶ無紅。 実はこの事務所、新しいVRゲーム【アルカディアアドベンチャー】のシンガー枠のテスターを探しており、社員の一人である瑠璃が無紅を予め候補選定していたからだったのだ! 候補選定理由は『無紅が無類のゲーム好きであり、その熱意と様々な実績がゲーム業界に貢献している。そして貢献していく』と面接官一同に伝わったこと。更には特殊能力【フィーリングコピー】を持っていたから。 フィーリングコピー。それは、無紅が無意識に良いと思った対象人物の特技をそっくり自分のものにしてしまうというもの。実は無紅は無意識に昔聴いた【天使の歌声】をフィーリングコピーしていたのだった。 また、それとは別に無紅には驚くべき秘密が隠されているのだが、当の本人は気づいていない。 こうして、無紅は高校の学園生活をしながら、Vtuberとして成長しつつ、VRゲーム【アルカディアアドベンチャー】の世界を冒険していくことになるのだが……。 実は、このアルカディアアドベンチャーは、ただのVRオンラインゲームでは無くて……。 近未来地下都市で繰り広げられる、無紅と友人達のVtuber活動兼、思い人である天使を探す、【笑いあり、感動あり、複雑に絡んだ色恋沙汰あり、そして涙あり】の冒険活劇が今スタートする! ※この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

処理中です...