63 / 73
足枷
しおりを挟む
「うわ~きれい~!」
「こんな場所が」
隣の二人が周りを見渡す。
つられて私も。
「これ全部私が植えたの」
しゃがんで彼女が言う。
ケースに入ってる青い花を前にして。
「花も喜んでるように見えますね」
「そう見える? なら頑張って植えた甲斐があるわね」
私の一言に、少し嬉しそうにする。
この数は相当苦労したはず。
下から上まで緑の建物、その一部屋。
ここら一帯は新宿花伝が使っているらしい。
上に"Little Life Garden"とある。
可愛い字で書いてあって、自分で書いたのかな?
こんな壊れた都会の庭園でも咲く花。
小さな命も、頑張って生きてるのね。
「そういや、お互い名前を知らないわね。住吉カレンよ、ここのみんなには"代表"と呼ばれてるわ」
「私は新崎ユキ、こちらが町田ヒナ、それであちらが」
「黒夢ニイナです」
ニイナが一歩出て、代わりに喋った。
「あなたさっき"黒い能面"を付けていたわね。あの速さ、特別な能力が付いてる?」
「身体能力を1.5倍にします。が、"弓の場合のみ1.6倍"です」
ヒナが「そうだったんだ」と呟く。
使用武器に応じて上昇具合が変わるなんてのがあるんだ。
全然知らなかった。
まだまだ知らない事ばかり。
「似てるわね。私のこれの場合は"2倍"、ただし"接近戦の場合だけ"。その黒い能面みたいに常にってわけじゃないわ」
「接近戦だけ、ですか。弓だったら相性最悪です」
「そうね。私が剣じゃなかったら、これは使ってないと思うわ。だから、運命だと思った」
不意にニイナが"花咲く鎧"を指差す。
「それはどうやって手に入れたのですか?」
カレンさんは立ち上がると、
「...覚悟を決めて外に出た日の夜だったわ。それまで、本当はこのまま死のうと思ってたの」
「意外、です」
ヒナが言うと、
「そうでもないわ、強がってるだけだから。未だに怖いもの、"アイツら"に近付く時が」
...同じだった
ルイがいたから強がれた。
きっとそのマヒがまだ続いてるだけ。
どれだけ鎧があっても、怖い物はやっぱり怖い。
安心なんて言葉はどこにもない。
「初めてアイツを見た時、そこにいた人全員が倒れてた。そんな中で、ただ一人がこっちへ叫んだの、"コイツをやれ"って...どうせ死ぬんだったらと思って、走って剣で突っ込んでやった、そしたら」
カレンさんは横に置いた"花のヘルム"を見る。
それで"あれ"が手に入ったのだろう。
「私だけが手に入れて、他の人は死んでしまった。あの人たちのおかげで弱ったところをやれただけなのに。今でも考えてしまうの、ELもこれも、私でよかったのかなって」
その時、ニイナが突然弓を出した。
「弱音はそこまでにしてもらえますか」
「ちょっと、ニイナ!?」
「あなたは"選ばれた人"なんです。それなのに、私でよかったのかなんて、なりたかった人だっているんですよっ! 私のようにっ!」
弓を必死で抑える私を見て、カレンさんは"いいの"と首を横に振った。
「...言う通りね、こんなんだと代表失格よね。みんなには、特にノノには
見せられない顔だわ」
カレンさんの、遠くを見るような悲しそうな顔。
どこか脳裏に焼き付く。
###
ニイナを落ち着かせるため、私たちは他を見て回る事にした。
後でもう一度、新宿花伝の部隊とは合流する予定。
それまでは、この建物内を移動した。
他にも様々な施設がここにはあるみたい。
カラオケ、ボーリング、ビリヤード、バー、最新ゲーム等、まだまだ他にも。
ヒナがカラオケがいいって言うから、今カラオケルームにいるけどね。
1時間ちょっと歌った後かな、それくらいでヒナは寝てしまった。
さすがに昨日から寝てない分の疲れがどっと来たんだろう。
ヒナをベッドルームへ運んで、私たち二人になる。
「...すみません、気を遣ってもらって」
「何もしてないわ、私は」
「...先輩方がいなかったら、もっと抑えられなかったと思うので」
私は近くのイスへ座った。
「言えた立場じゃないけど、ニイナと同じ状況だったら、私もそうしてたかもしれないなって、さっき思った。ELになれれば、一般人とは違う特殊な力が手に入って立ち向かえる、上の立場になって言う事を聞かせる事だってできる、100人のうちの一人なんだって自慢だってできる、だけど」
少し水を飲んで私は続けた。
「なって分かった、それだけでしかないの。ELだろうと結局は人それぞれ。悪く使う人間もいれば、逃げる選択をする人間もいる。そして、上手く使ってやったとしても、誰もが総理まで行けるわけじゃない。行けたとしても、総理に勝てるのは...」
口を紡ぐと、ニイナは静かに「ルイ様、なんですよね?」と。
私はゆっくり頷いた。
「アスタ様がやると思っていました。でも、アスタ様から"イーリス・マザー構想の成功者"だと聞いて...あぁ、もうこの人なんだなと直感しました」
「...どんな状況でも、ルイなら何とかしてしまう、この人といれば何でもできるんだろうなって、いつも思うの。だけどそれはどこか、"幼馴染っていう贔屓してるのかも"ってあったんだけど、それを知って全部納得したわ」
「...生きています、絶対に。ルイ様もアスタ様もカイも」
「それとシンヤ君もね」
「あの一緒にいた"チャラそうな方"ですよね?」
「うん。彼も実は凄いの、今や"eスポーツAR部門の日本代表"になっちゃって、まだあまり報道はされてないけど、アスタ君に引けを取らないかもよ?」
「でもあの方って、ELに選ばれてないですよね?」
「...言われてみれば」
シンヤ君はなんで選ばれなかったんだろう。
言われてみれば、しっくりくる。
なんでなんだろう?
それでもELの私たちに負けず劣らず強い。
あの法務大臣の攻撃だって耐えていた。
シンヤ君も、すぐに帰ってくる。
その後もニイナとの会話は続いた。
ニイナは自分の事を足枷だと思ってたみたいだけど、私はとにかく否定した。
ノノと戦って、特にそれを証明したと思う。
EL相手に、一般武器で同等の戦いが出来る者はそうそうにいない。
例え、黒能面を活かそうとも。
「あなたなら"Another ELECTIONNER"になれるチャンスが来る、ヒナやノノみたいに。二人ともアイテム貰ってなったみたいだし、ニイナも不意に貰えるかも?」
「...ありますかね」
「あるある!」
ニイナはちょっと喜んだ。
私の言葉で、希望が湧いたのかな。
なんか年の近い妹ができたみたい。
この後、ヒナが起きてきて、新宿花伝と捜索開始となった。
絶対に見つけるから、みんなもう少しだけ辛抱していて。
「こんな場所が」
隣の二人が周りを見渡す。
つられて私も。
「これ全部私が植えたの」
しゃがんで彼女が言う。
ケースに入ってる青い花を前にして。
「花も喜んでるように見えますね」
「そう見える? なら頑張って植えた甲斐があるわね」
私の一言に、少し嬉しそうにする。
この数は相当苦労したはず。
下から上まで緑の建物、その一部屋。
ここら一帯は新宿花伝が使っているらしい。
上に"Little Life Garden"とある。
可愛い字で書いてあって、自分で書いたのかな?
こんな壊れた都会の庭園でも咲く花。
小さな命も、頑張って生きてるのね。
「そういや、お互い名前を知らないわね。住吉カレンよ、ここのみんなには"代表"と呼ばれてるわ」
「私は新崎ユキ、こちらが町田ヒナ、それであちらが」
「黒夢ニイナです」
ニイナが一歩出て、代わりに喋った。
「あなたさっき"黒い能面"を付けていたわね。あの速さ、特別な能力が付いてる?」
「身体能力を1.5倍にします。が、"弓の場合のみ1.6倍"です」
ヒナが「そうだったんだ」と呟く。
使用武器に応じて上昇具合が変わるなんてのがあるんだ。
全然知らなかった。
まだまだ知らない事ばかり。
「似てるわね。私のこれの場合は"2倍"、ただし"接近戦の場合だけ"。その黒い能面みたいに常にってわけじゃないわ」
「接近戦だけ、ですか。弓だったら相性最悪です」
「そうね。私が剣じゃなかったら、これは使ってないと思うわ。だから、運命だと思った」
不意にニイナが"花咲く鎧"を指差す。
「それはどうやって手に入れたのですか?」
カレンさんは立ち上がると、
「...覚悟を決めて外に出た日の夜だったわ。それまで、本当はこのまま死のうと思ってたの」
「意外、です」
ヒナが言うと、
「そうでもないわ、強がってるだけだから。未だに怖いもの、"アイツら"に近付く時が」
...同じだった
ルイがいたから強がれた。
きっとそのマヒがまだ続いてるだけ。
どれだけ鎧があっても、怖い物はやっぱり怖い。
安心なんて言葉はどこにもない。
「初めてアイツを見た時、そこにいた人全員が倒れてた。そんな中で、ただ一人がこっちへ叫んだの、"コイツをやれ"って...どうせ死ぬんだったらと思って、走って剣で突っ込んでやった、そしたら」
カレンさんは横に置いた"花のヘルム"を見る。
それで"あれ"が手に入ったのだろう。
「私だけが手に入れて、他の人は死んでしまった。あの人たちのおかげで弱ったところをやれただけなのに。今でも考えてしまうの、ELもこれも、私でよかったのかなって」
その時、ニイナが突然弓を出した。
「弱音はそこまでにしてもらえますか」
「ちょっと、ニイナ!?」
「あなたは"選ばれた人"なんです。それなのに、私でよかったのかなんて、なりたかった人だっているんですよっ! 私のようにっ!」
弓を必死で抑える私を見て、カレンさんは"いいの"と首を横に振った。
「...言う通りね、こんなんだと代表失格よね。みんなには、特にノノには
見せられない顔だわ」
カレンさんの、遠くを見るような悲しそうな顔。
どこか脳裏に焼き付く。
###
ニイナを落ち着かせるため、私たちは他を見て回る事にした。
後でもう一度、新宿花伝の部隊とは合流する予定。
それまでは、この建物内を移動した。
他にも様々な施設がここにはあるみたい。
カラオケ、ボーリング、ビリヤード、バー、最新ゲーム等、まだまだ他にも。
ヒナがカラオケがいいって言うから、今カラオケルームにいるけどね。
1時間ちょっと歌った後かな、それくらいでヒナは寝てしまった。
さすがに昨日から寝てない分の疲れがどっと来たんだろう。
ヒナをベッドルームへ運んで、私たち二人になる。
「...すみません、気を遣ってもらって」
「何もしてないわ、私は」
「...先輩方がいなかったら、もっと抑えられなかったと思うので」
私は近くのイスへ座った。
「言えた立場じゃないけど、ニイナと同じ状況だったら、私もそうしてたかもしれないなって、さっき思った。ELになれれば、一般人とは違う特殊な力が手に入って立ち向かえる、上の立場になって言う事を聞かせる事だってできる、100人のうちの一人なんだって自慢だってできる、だけど」
少し水を飲んで私は続けた。
「なって分かった、それだけでしかないの。ELだろうと結局は人それぞれ。悪く使う人間もいれば、逃げる選択をする人間もいる。そして、上手く使ってやったとしても、誰もが総理まで行けるわけじゃない。行けたとしても、総理に勝てるのは...」
口を紡ぐと、ニイナは静かに「ルイ様、なんですよね?」と。
私はゆっくり頷いた。
「アスタ様がやると思っていました。でも、アスタ様から"イーリス・マザー構想の成功者"だと聞いて...あぁ、もうこの人なんだなと直感しました」
「...どんな状況でも、ルイなら何とかしてしまう、この人といれば何でもできるんだろうなって、いつも思うの。だけどそれはどこか、"幼馴染っていう贔屓してるのかも"ってあったんだけど、それを知って全部納得したわ」
「...生きています、絶対に。ルイ様もアスタ様もカイも」
「それとシンヤ君もね」
「あの一緒にいた"チャラそうな方"ですよね?」
「うん。彼も実は凄いの、今や"eスポーツAR部門の日本代表"になっちゃって、まだあまり報道はされてないけど、アスタ君に引けを取らないかもよ?」
「でもあの方って、ELに選ばれてないですよね?」
「...言われてみれば」
シンヤ君はなんで選ばれなかったんだろう。
言われてみれば、しっくりくる。
なんでなんだろう?
それでもELの私たちに負けず劣らず強い。
あの法務大臣の攻撃だって耐えていた。
シンヤ君も、すぐに帰ってくる。
その後もニイナとの会話は続いた。
ニイナは自分の事を足枷だと思ってたみたいだけど、私はとにかく否定した。
ノノと戦って、特にそれを証明したと思う。
EL相手に、一般武器で同等の戦いが出来る者はそうそうにいない。
例え、黒能面を活かそうとも。
「あなたなら"Another ELECTIONNER"になれるチャンスが来る、ヒナやノノみたいに。二人ともアイテム貰ってなったみたいだし、ニイナも不意に貰えるかも?」
「...ありますかね」
「あるある!」
ニイナはちょっと喜んだ。
私の言葉で、希望が湧いたのかな。
なんか年の近い妹ができたみたい。
この後、ヒナが起きてきて、新宿花伝と捜索開始となった。
絶対に見つけるから、みんなもう少しだけ辛抱していて。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
転生したら猫でした。
わんコロ餅
ファンタジー
世界最強のラスボスである魔王が勇者に敗れ、目を覚すとそこは知らない世界が・・・・!
何故か猫の姿となった元魔王。
前途多難(?)な戦いがはじまる。
※内容的に大丈夫と判断したので、R15を外しました。ご迷惑をお掛けします。2021.08.14
前世で処刑された聖女、今は黒薬師と呼ばれています
矢野りと
恋愛
旧題:前世で処刑された聖女はひっそりと生きていくと決めました〜今世では黒き薬師と呼ばれています〜
――『偽聖女を処刑しろっ!』
民衆がそう叫ぶなか、私の目の前で大切な人達の命が奪われていく。必死で神に祈ったけれど奇跡は起きなかった。……聖女ではない私は無力だった。
何がいけなかったのだろうか。ただ困っている人達を救いたい一心だっただけなのに……。
人々の歓声に包まれながら私は処刑された。
そして、私は前世の記憶を持ったまま、親の顔も知らない孤児として生まれ変わった。周囲から見れば恵まれているとは言い難いその境遇に私はほっとした。大切なものを持つことがなによりも怖かったから。
――持たなければ、失うこともない。
だから森の奥深くでひっそりと暮らしていたのに、ある日二人の騎士が訪ねてきて……。
『黒き薬師と呼ばれている薬師はあなたでしょうか?』
基本はほのぼのですが、シリアスと切なさありのお話です。
※この作品の設定は架空のものです。
※一話目だけ残酷な描写がありますので苦手な方はご自衛くださいませ。
※感想欄のネタバレ配慮はありません(._.)
最強の回復魔法で、レベルアップ無双! 異常な速度でレベルアップで自由に冒険者をして、勇者よりも強くなります
おーちゃん
ファンタジー
俺は勇者パーティーに加入していて、勇者サリオス、大魔導士ジェンティル、剣士ムジカの3人パーティーの雑用係。雑用係で頑張る毎日であったものの、ある日勇者サリオスから殺されそうになる。俺を殺すのかよ!! もう役に立たないので、追放する気だったらしい。ダンジョンで殺される時に運良く命は助かる。ヒール魔法だけで冒険者として成り上がっていく。勇者サリオスに命を狙われつつも、生き延びていき、やがて俺のレベルは異常な速度で上がり、成長する。猫人、エルフ、ドワーフ族の女の子たちを仲間にしていきます。
人生とは九割がたの虚偽と一割のホントから生成されている。
すずりはさくらの本棚
現代文学
「私が述べたのは、九割がたの虚偽と一割のホントだ。」
この言葉を聞いたとき、彼は薄く笑ってブラックコーヒーをすすった。その目はどこか遠く、私には見えない何かを見つめているようだった。カフェの窓際に座る彼の背中は、夕陽に染まっている。影が伸びるたびに、その姿は虚構と現実の境界を曖昧にしていった。
「ブラックコーヒーがおいしいとはホントだが、残りはすべて虚偽である。」彼はそう続けた。
その瞬間、私は理解した。この男は、自分の言葉を完璧に信じているわけではないのだ。何かを隠している。嘘をつくことに慣れきった者だけが持つ、その特有の余裕。だが、その一言の真実が妙に重く響く。彼が嘘をつく理由は、恐らく何かを守るためだろう。
「例えば?」と私は問いかけた。虚偽の部分に興味が湧いたのだ。
「例えば、君に話した私の過去。家族のこと、友人のこと、仕事のこと。すべて作り話だ。」彼は軽い調子で語ったが、その声の奥には微かな寂しさが漂っていた。
「じゃあ、ホントの部分は?」私はその問いを投げかけた。彼の言う「ホント」が一体何であるのか、その一割にどれだけの重みがあるのか知りたかった。
彼はしばらく沈黙し、ゆっくりとカップをテーブルに戻した。そして、小さな笑みを浮かべながら言った。「君にこうして会っていること、それがホントだ。」
その瞬間、彼の目に一瞬の光が宿った。その一割のホントが、九割の虚偽を超える瞬間だったのだ。嘘に囲まれた人生でも、一瞬の真実があるだけで十分だと彼は信じているのだろう。たった一杯のブラックコーヒーが、その証拠となる。
人生は虚偽とホントで成り立っている。九割がたの虚偽が私たちを覆い隠し、一割のホントが私たちを支えている。それでも、その一割のホントが、すべての虚偽を帳消しにするのだと、私は彼の言葉から感じ取った。
彼の物語は、ここで終わるべきか、それともまだ続くのか。私にはわからない。だが、ひとつだけ確かなのは、彼が私に伝えたかったホントの部分――それが、私の胸の中に深く刻まれたということだ。
追い出された妹の幸せ
瀬織董李
恋愛
『聖女の再来』といわれる姉の影で虐げられてきた妹のエルヴィ。
少しでも家の為にとポーション作りに励んできたが、ある時ついに父から『姉が結婚するで出ていけ』と言われてしまう。
追い出された妹の幸せは何処にあるのか。
7/26 姉のスキルに関する記述を変更しました。ストーリーに変化はありません。
所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!
ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。
幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。
婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。
王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。
しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。
貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。
遠回しに二人を注意するも‥
「所詮あなたは他人だもの!」
「部外者がしゃしゃりでるな!」
十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。
「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」
関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが…
一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。
なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…
自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!
ゆずこしょう
恋愛
ティアナ・ノヴァ(15)には1人の変わった友人がいる。
ニーナ・ルルー同じ年で小さい頃からわたしの後ろばかり追ってくる、少しめんどくさい赤毛の少女だ。
そしていつも去り際に一言。
「私はヒロインなの!あなたはモブよ!」
ティアナは思う。
別に物語じゃないのだし、モブでいいのではないだろうか…
そんな一言を言われるのにも飽きてきたので私は学院生活の3年間ニーナから隠れ切ることに決めた。
よくある婚約破棄なので
おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。
その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。
言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。
「よくある婚約破棄なので」
・すれ違う二人をめぐる短い話
・前編は各自の証言になります
・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド
・全25話完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる