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最期

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 白と黒の羽根は、それぞれ時間を刻み始めた。
 使えば使うほど、1時、2時、3時と進んでいく。

 進む度、"死生刻蝶の銃剣"は威力を増していった。
 コイツが、"微かな生"をもたらしてくれたんだ。

 そして、とうとうを針が"12時"さす時、"隠されていたシンズノウ"から"2つの銃剣"が組み合わさった。
 他の全てが効かないなら...もうコイツに全てを賭けるしかない。
 残りの体力から考えるに、これで決められなければ...俺の負けだ。

 アイツも温存していたのか、"こっちと同様の姿"へと変形させた。
 こっちでも勝てないって、そう言いたいのかよ、お前は。

「...俺は行く、お前も超えて」
「...」
「俺が生きるか、お前が生きるか」

 ― お互いの"大きな銃剣"から、激しい光と共に"3種の粒子"が溢れた

「未来を...超えるッ!!!」

 決着は一撃だった。
 全ては一瞬だった。

 何もかも出し尽くしてしまった。
 何もかも使い果たしてしまった。

 帰ったら皆に、助けてもらわないと。
 また歩けそうに、ないだろうし。

 他の人だって、助けなきゃいけないのに。
 こんなところで、倒れてる場合じゃないのに。

 でも、少し休んだら、頑張るから。
 俺がいなくても、アイツらは凄いんだしな。

 俺はまだユキと、ヒナと、シンヤと、アスタと、皆と先へ進む。
 総理を止めるために、明日を生きるために。
 真犯人を、見つけるために。

 ###

「ねぇルイ、今日で夏休み終わりだって」
「らしいな」
「全然家から出てないよ~。夜だけど、ちょっと出かけない?」
「まぁ、いいけど」
「"渋谷スカイ"行こうよ、久しぶりに」
「夜景見たい気分なのか?」
「そんなとこ。でも、カップルとか多いかなぁ」
「いっつも多いだろ、あっこは」
「私たちもカップルに、見せないとね!」
「なんでだ。いつも通りでいいだろ」
「え~、でも今日はそうしたいな~」
「急になんだよ」
「だって..."いつかルイと会えなくなったら"って考えたら、寂しくなっちゃって」
「何言ってんだ。ほぼ毎日会ってんじゃねえか」
「まぁまぁ~。今日だけ、ね!」
「...仕方ねぇな、今日だけな」
「うん!」

 ###

 なんか不意に思い出したよ。
 ユキ。

 また一緒に。
 行こうな。

 いつだって会える。
 また、一緒に。

 帰ったらまた、部屋来るのかな。
 アイツたまには一人で寝ないと、変な癖付くぞ。

 俺がいなくなったらどうすんだよ。
 誰かと一緒に寝るのか?

 やめろよ、そんなの。
 俺はもう変な癖付いちまった。

 また一緒に寝よう。
 これまでも、これからも。

 待ってるよ、ずっと。
 本当は嬉しかったんだ。

 ほら、変な癖付いた。
 全部お前のせいだよ。
 全部、お前の。

 ...

 ......

 .........


 ― 俺の大きな銃剣は割れて消え、両手が飛んだ

「......ユキ......また......」

 見えたのは、自分の下半身。
 俺はもういない。

 ユキ。

 ― 全てを、お前に

 ※これにて前編が終了となります。次回からまさかの中編へと入りますので、是非続けて読んで頂ければ幸いです
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