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肉親
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「え、え!? ルイが!?」
「マジか!? おい!?」
両隣の二人はすぐ俺の方を向いた。
いや、驚きたいのは俺の方なんだけど...
唐突すぎて、意味がわかんなすぎて。
「なんで"そう"だって分かるんですか?」
「だって、"眼"を見てればすぐに分かるもの。"一定時間で色が変わるの"を、あなたは気付かなかった?」
「き、気付いてはいましたけど、"眼の色が変わる特徴がある"だなんて一つも聞いた事無かったので...」
「あー、学校ではそこまでは教わらないのね。他にも知力や運動能力、様々な能力が明らかに違ったはずよ」
「はい...こんな変わった人が世の中にはいるんだなーって」
ユキが"俺の眼"を間近でじろじろと見始めた。
いや近すぎだろ!!
一瞬でも動けば、口と口が当たりそうにまで近くへ。
「あ、赤から黄色になった!」とユキは一人楽しんでいる。
かと思えば、俺の身体を隅々まで弄り始めた。
腹を触って「お~、ルイの腹筋だぁ~」とか言ってるんだが。
何やってんだコイツ。
「急に気にしすぎだろ」
「なんかね、今までの事、全部納得したなーって」
「納得って、なんだよそれ」
「だって、何やっても凄いなーって」
「んだそりゃ」
その直後、肩を掴まれ揺らされる。
今度はシンヤか。
「はは! そりゃ俺が何やっても勝てねえわけだよなぁ!? 他のヤツには勝てるのによぉ!!」
「まだ根に持ってんのかよ、"それ"」
「おう!! これからも相手頼むぜ!?」
「ふっ」
見ていたアオさんが少し笑った。
いや、俺にとっては笑いごとじゃないんだけど?
"イーリス・マザー構想"は、俺たちが小学生ぐらいの頃から聞いてきた話だ。
教科書に載るくらいのヤバい内容で、テストでもよく出たのを覚えている。
ある施設によって、変異体の受精卵が作られた後、そこへ世界初の"虹の特殊成分"を加えるという禁忌人体実験。
でも、調査に入られた時には"もぬけの殻状態で、失敗の跡だけがあった"って。
授業で聞いたのはそこまでだ。
「本当に僕が、ですか? でも失敗で終わったはずじゃ」
「そこまでが学校で習った内容?」
「えっと、はい」
「そんなの前座も前座よ、もっと濃い続きがあるわ。"虹の成分"だけじゃ何度やっても失敗する事が分かった一団は、頭が狂っちゃったのかしらね。あなたを小型衛星に入れて"宇宙"に飛ばしたのよ」
「!? 僕は"宇宙"に飛ばされたんですか!?」
「そうよ。こっからさらに意味分からないわよ? 当時のAIも使って導かれた理論では、"ある調和"しか成功は無いと証明されてね。それがブラックホールを生成するとされる素粒子の一部と、その対と考えられるホワイトホールの素粒子の一部による"絶対不可能調和"。それがあなたの体内で最後に行われた事」
「...???」
「まぁ、初めて聞くとそんな顔になるわよね。でもよく聞いて。"1兆光年に1度だけ、月の裏側のある位置"でそれらの調和が出来る事が判明したの。奇跡を超えた超奇跡、これが"本当のイーリス・マザー構想"よ」
得意そうに言うユエさん。
ここからの話も飛び抜けた内容だった。
ユエさんの母親が"イーリス・マザー構想一団の一人"だった事、俺の親も"その一団のはず"だ、と。
ある日赤ちゃんだった俺を、今の両親が盗み、それ以来消息が分からなかったそうだ。
ただ、顔と眼の様子は動画で残しており、見て知っていたユエさんが今回すぐ気付いたって感じだ。
何も知らなかった。
それほど普通の生活をしてきたから。
多量すぎる不可解な話に、俺は一呼吸を置いた。
これが事実だとして、一生理解は出来ないだろう。
大学とはいえ、一部研究者を齧っている人間なら何となく納得してしまう内容だから。
第三者が見て、どれだけ"狂った内容"だとしても。
どこまでも"自分の中にある成功や結果"に縋りつく、それが研究者という存在。
なんでそんな事をした?
どうして選ばれたのは俺?
俺は何のために生まれてきた?
きっとそんなものに意味は無い。
― 人類のため
この一言で片付けられる。
なら、全てを知った今。
俺はどうしても知りたい。
その一言を俺は躊躇せず放った。
「今までの話を一旦納得するとして、ユエさん、知ってるなら教えてください...僕の、"本当の親"って、一体誰になるんですか!?」
これまでの事を踏まえるなら、"今の親は本当の親じゃない"って事になる。
だったら、俺は知れるなら知っておきたい。
"本当の親"を。
変異体の受精卵を作った"本当の親"を。
「あなたの"本当の親"、ねぇ。構想の一団が親でもあると思うけど、それじゃ納得しないんでしょ?」
「...はい」
すると、ユエさんは謎に"七色蝶の銃"を指差した。
「それはね、【大蝶イーリス】っていう"UnRule"の一番最後のボス"R.E.Dの分身"が持つ予定だった"イレギュラーな銃剣"なの。その所持者の本体」
「??? どういう事です???」
食い気味にユキが聞くと...
「世界初のAI総理大臣"R.E.D"、いえ、実の名を、"Remake the Earth for Development"、それがあなたの本当の親よ」
「マジか!? おい!?」
両隣の二人はすぐ俺の方を向いた。
いや、驚きたいのは俺の方なんだけど...
唐突すぎて、意味がわかんなすぎて。
「なんで"そう"だって分かるんですか?」
「だって、"眼"を見てればすぐに分かるもの。"一定時間で色が変わるの"を、あなたは気付かなかった?」
「き、気付いてはいましたけど、"眼の色が変わる特徴がある"だなんて一つも聞いた事無かったので...」
「あー、学校ではそこまでは教わらないのね。他にも知力や運動能力、様々な能力が明らかに違ったはずよ」
「はい...こんな変わった人が世の中にはいるんだなーって」
ユキが"俺の眼"を間近でじろじろと見始めた。
いや近すぎだろ!!
一瞬でも動けば、口と口が当たりそうにまで近くへ。
「あ、赤から黄色になった!」とユキは一人楽しんでいる。
かと思えば、俺の身体を隅々まで弄り始めた。
腹を触って「お~、ルイの腹筋だぁ~」とか言ってるんだが。
何やってんだコイツ。
「急に気にしすぎだろ」
「なんかね、今までの事、全部納得したなーって」
「納得って、なんだよそれ」
「だって、何やっても凄いなーって」
「んだそりゃ」
その直後、肩を掴まれ揺らされる。
今度はシンヤか。
「はは! そりゃ俺が何やっても勝てねえわけだよなぁ!? 他のヤツには勝てるのによぉ!!」
「まだ根に持ってんのかよ、"それ"」
「おう!! これからも相手頼むぜ!?」
「ふっ」
見ていたアオさんが少し笑った。
いや、俺にとっては笑いごとじゃないんだけど?
"イーリス・マザー構想"は、俺たちが小学生ぐらいの頃から聞いてきた話だ。
教科書に載るくらいのヤバい内容で、テストでもよく出たのを覚えている。
ある施設によって、変異体の受精卵が作られた後、そこへ世界初の"虹の特殊成分"を加えるという禁忌人体実験。
でも、調査に入られた時には"もぬけの殻状態で、失敗の跡だけがあった"って。
授業で聞いたのはそこまでだ。
「本当に僕が、ですか? でも失敗で終わったはずじゃ」
「そこまでが学校で習った内容?」
「えっと、はい」
「そんなの前座も前座よ、もっと濃い続きがあるわ。"虹の成分"だけじゃ何度やっても失敗する事が分かった一団は、頭が狂っちゃったのかしらね。あなたを小型衛星に入れて"宇宙"に飛ばしたのよ」
「!? 僕は"宇宙"に飛ばされたんですか!?」
「そうよ。こっからさらに意味分からないわよ? 当時のAIも使って導かれた理論では、"ある調和"しか成功は無いと証明されてね。それがブラックホールを生成するとされる素粒子の一部と、その対と考えられるホワイトホールの素粒子の一部による"絶対不可能調和"。それがあなたの体内で最後に行われた事」
「...???」
「まぁ、初めて聞くとそんな顔になるわよね。でもよく聞いて。"1兆光年に1度だけ、月の裏側のある位置"でそれらの調和が出来る事が判明したの。奇跡を超えた超奇跡、これが"本当のイーリス・マザー構想"よ」
得意そうに言うユエさん。
ここからの話も飛び抜けた内容だった。
ユエさんの母親が"イーリス・マザー構想一団の一人"だった事、俺の親も"その一団のはず"だ、と。
ある日赤ちゃんだった俺を、今の両親が盗み、それ以来消息が分からなかったそうだ。
ただ、顔と眼の様子は動画で残しており、見て知っていたユエさんが今回すぐ気付いたって感じだ。
何も知らなかった。
それほど普通の生活をしてきたから。
多量すぎる不可解な話に、俺は一呼吸を置いた。
これが事実だとして、一生理解は出来ないだろう。
大学とはいえ、一部研究者を齧っている人間なら何となく納得してしまう内容だから。
第三者が見て、どれだけ"狂った内容"だとしても。
どこまでも"自分の中にある成功や結果"に縋りつく、それが研究者という存在。
なんでそんな事をした?
どうして選ばれたのは俺?
俺は何のために生まれてきた?
きっとそんなものに意味は無い。
― 人類のため
この一言で片付けられる。
なら、全てを知った今。
俺はどうしても知りたい。
その一言を俺は躊躇せず放った。
「今までの話を一旦納得するとして、ユエさん、知ってるなら教えてください...僕の、"本当の親"って、一体誰になるんですか!?」
これまでの事を踏まえるなら、"今の親は本当の親じゃない"って事になる。
だったら、俺は知れるなら知っておきたい。
"本当の親"を。
変異体の受精卵を作った"本当の親"を。
「あなたの"本当の親"、ねぇ。構想の一団が親でもあると思うけど、それじゃ納得しないんでしょ?」
「...はい」
すると、ユエさんは謎に"七色蝶の銃"を指差した。
「それはね、【大蝶イーリス】っていう"UnRule"の一番最後のボス"R.E.Dの分身"が持つ予定だった"イレギュラーな銃剣"なの。その所持者の本体」
「??? どういう事です???」
食い気味にユキが聞くと...
「世界初のAI総理大臣"R.E.D"、いえ、実の名を、"Remake the Earth for Development"、それがあなたの本当の親よ」
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