12 / 73
停電
しおりを挟む
「んで、なんでお前大学にいたんだよ?」
「あぁ、これ見ろよ」
俺の部屋のソファでくつろぎながら、シンヤはSNSの画面を俺のL.S.へと共有した。
そこには赤く光ってる建物内で"あの謎の機械"に襲われたという内容が幾つも表示されていた。
見る限り、どこの場所にも"赤いヤツは1体ずついる"と書いてある。
「これ見てお前らのいる場所見たらよぉ、イヤな予感がするだろ?」
「確かに」
「わざわざ来て窓割ってくれたのね、危ないのに」
「まぁな。大事な親友のためなら何とやらってヤツだ、なぁルイ?」
「いや俺に振るなよ...あ、もう一つ聞きたい事がある。お前どうして"UnRule"を起動すればいいって知ってたんだ?」
「それはな。まぁ今やどこにでも情報が出てるたぁ思うが、俺の知り合いがよぉ、始めてみたら何か急に"剣"が出てな? それが"本物みたい"で、それでピンときたってわけだ。俺も始めたらこんなのが出てきたぜ」
シンヤは格好つけるようにして、全身が"赤く細長い銃"を出現させた。
「お前のはこんなのが出てきたのか」
「へぇ~、みんな違うのね」
ちなみにシンヤのL.S.を見ると、周りが付けているL.S.と変わらず、それは"事前予約当選者じゃない"事を表していた。
俺とユキの武器も出して見せると、端の方を見始めた。
「おい、これ!!」
「なんだよ?」
「二人ともここを見てみろよ」
これらはどうやら普通の武器では無いらしい。
端の方に"EL"のマークが付いていると違うという。
まだ詳しくは分からないらしいが、"威力が違ったり、特別な能力が付いていたりする"という事は判明してるそうだ。
俺の銃は他と何が違うんだろうか?
威力がヤバい、とかそんくらいに見えるが。
だけどコイツじゃ、唯一あの"赤いヤツ"は倒せなかったんだよな。
まだアイツは大学内をうろうろしているんだろうか?
銃からは"0"が浮き出ており、もうこれ以上何もできなさそうに見える。
それと同時に、"さっきの出来事が本当だった"のを突き付けてくる。
「お前らのL.S.形も色も違うし、そうかなとは思ったけどやっぱりだったか」
「シンヤは"一般側"だったのか?」
「おう。一緒に予約したのによ~なんで俺だけ当たらねえんだ!?」
「まぁそう僻むなって、別に大きな違いなんてねぇよ」
「いいや、俺はあると思うね。"ELマークの武器"は絶対チートの強さだ」
「話してるところ悪いんだけど、ルイに一つ聞いていい?」
「ん?」
「あの4階での"隠しエレベーター"なんだけど...」
「あぁあれな、わるいな話してなかったわ。あれはL.S.から"原田先生の顔をホログラム表示"して認証させたんだよ」
「へぇ~」
「実はあの場所だけカメラの性能がちょっと古いみたいで、あれでもいけるらしい」
「そうそう、俺とルイだけ研究室の人に特別に教えてもらったんだぜ? いいだろ?」
「う~ん、いいかどうかは置いてといて、まさかの知識で助かったってわけね」
「おいおい、置いとくんじゃねぇよ新崎さん!」
あれこれしていると、時刻はPM21:52。
武器の交換をしてみたりしたが、やっぱりダメだった。
この質感や重量は何回触っても本物。
これが未だに理解できない。
どういう仕組みなんだ?
考えながら、俺は"ある事"を思い出した。
「なぁ、そういや総理って"夜も会見する"って言ってたよな?」
「言ってたわね。もしかしてそろそろ始まる?」
「さぁな~時間は特に言ってなかったし、"会える人は会いましょう"とか訳わかんねぇ事言ってたけどよぉ...つまりはあれか? "あの人型のアンドロイドに殺されなかったヤツは見れますよ"、的な?」
「...今回の事からして、それしかないだろうな」
「こんな特別感出して、誰が喜ぶのよ」
「"国の借金が返せる可能性がある"だの何だの意味不明な事言ったかと思えば、急に真逆な100万配り出してよぉ。国民を喜ばせるだけ喜ばせといて、その隙に一気に落とす寸法ってか。犯罪国家日本だなマジで」
「政府はこんな事して何の得があるの? 国会議員は誰も反対してないのかしら?」
シンヤもユキも言ってる事は正論。
100万で一旦喜ばせといて、その間に殺して金を奪う...
今日の昼前に見たSNSの情報が頭をよぎった。
"―人間を殺してその分を取り上げるんじゃないか?"
その言葉の通りになりつつある。
やっぱり、あの時の違和感は...
次の瞬間、部屋の電気が消えた。
「ん? なんだぁ!?」
「停電? ルイ、電気切って無いよね?」
「俺じゃない。停電だ、これは」
暗い静寂の中、イスから立ち上がろうとしたら近くで小さい電子音がした。
それは俺の部屋の自動ドアの前で止まった。
停電のため、自動ドアは普通のドアに切り替えられている。
電子音が鳴るモノはそのドアを開け、躊躇なく入って来た。
「うぉ!?」
「なに!?」
『ルイ様。ブレーカーが落ちていないにも関わらず、"どの場所も"電気が付きません。緊急事態のため、電力会社へご報告をしておきました』
「ありがとう。この辺りを照らしてくれないか」
『分かりました』
「Piitaかよ、ビックリさせんなよな~」
「ほんとよ...」
『ビックリさせてしまい、申し訳ありません』
Piitaは"家庭用AIロボット"だ。
これは2か月前くらいから販売開始され、今では小売価格に抑えられてとんでもなく人気がある。
出た当初に買っちまった俺はめっちゃ損したわけだが、そう思わせないくらい多機能を有している。
料理や洗濯等も出来るが、料理はたまに自分でするようにしている。
特にユキといる時は、どっちがAIより美味いもの作れるかで競っていたりする。
「おい!! SNS見てみろよ!! ここだけじゃねえ!! 東京だけが全部停電らしいぞ!?」
「は!? 東京だけ!?」
即座にL.S.で見ると、
「ブレーカー付いてて電気付かないの草」「電力会社連絡しても繋がらないんだけど」「AI総理は経済政策よりこれを先に何とかしろよ」
情報が散乱してはいるが、画像を見る限りは東京だけが停電のように見える。
これ以上は今は分かりそうにない。
てか"東京だけ"ってなんだ?
わずかな明かりを頼りに窓から外を見てみると、どこも同様に暗闇だった。
ただ例外なのが、"赤い発令の場所だけ"は赤く光り続けていた。
「あそこだけは、"例外"ってか」
「...光り続けてるわね」
隣のユキが手を握ってきた。
少しの震えを感じる。
ユキだけでも、もう怖い思いをさせないようにしないと。
不気味なスカイツリーを見続けていると、L.S.のホログラムディスプレイが幾つか勝手に展開された。
『皆様、こんばんは』
「あぁ、これ見ろよ」
俺の部屋のソファでくつろぎながら、シンヤはSNSの画面を俺のL.S.へと共有した。
そこには赤く光ってる建物内で"あの謎の機械"に襲われたという内容が幾つも表示されていた。
見る限り、どこの場所にも"赤いヤツは1体ずついる"と書いてある。
「これ見てお前らのいる場所見たらよぉ、イヤな予感がするだろ?」
「確かに」
「わざわざ来て窓割ってくれたのね、危ないのに」
「まぁな。大事な親友のためなら何とやらってヤツだ、なぁルイ?」
「いや俺に振るなよ...あ、もう一つ聞きたい事がある。お前どうして"UnRule"を起動すればいいって知ってたんだ?」
「それはな。まぁ今やどこにでも情報が出てるたぁ思うが、俺の知り合いがよぉ、始めてみたら何か急に"剣"が出てな? それが"本物みたい"で、それでピンときたってわけだ。俺も始めたらこんなのが出てきたぜ」
シンヤは格好つけるようにして、全身が"赤く細長い銃"を出現させた。
「お前のはこんなのが出てきたのか」
「へぇ~、みんな違うのね」
ちなみにシンヤのL.S.を見ると、周りが付けているL.S.と変わらず、それは"事前予約当選者じゃない"事を表していた。
俺とユキの武器も出して見せると、端の方を見始めた。
「おい、これ!!」
「なんだよ?」
「二人ともここを見てみろよ」
これらはどうやら普通の武器では無いらしい。
端の方に"EL"のマークが付いていると違うという。
まだ詳しくは分からないらしいが、"威力が違ったり、特別な能力が付いていたりする"という事は判明してるそうだ。
俺の銃は他と何が違うんだろうか?
威力がヤバい、とかそんくらいに見えるが。
だけどコイツじゃ、唯一あの"赤いヤツ"は倒せなかったんだよな。
まだアイツは大学内をうろうろしているんだろうか?
銃からは"0"が浮き出ており、もうこれ以上何もできなさそうに見える。
それと同時に、"さっきの出来事が本当だった"のを突き付けてくる。
「お前らのL.S.形も色も違うし、そうかなとは思ったけどやっぱりだったか」
「シンヤは"一般側"だったのか?」
「おう。一緒に予約したのによ~なんで俺だけ当たらねえんだ!?」
「まぁそう僻むなって、別に大きな違いなんてねぇよ」
「いいや、俺はあると思うね。"ELマークの武器"は絶対チートの強さだ」
「話してるところ悪いんだけど、ルイに一つ聞いていい?」
「ん?」
「あの4階での"隠しエレベーター"なんだけど...」
「あぁあれな、わるいな話してなかったわ。あれはL.S.から"原田先生の顔をホログラム表示"して認証させたんだよ」
「へぇ~」
「実はあの場所だけカメラの性能がちょっと古いみたいで、あれでもいけるらしい」
「そうそう、俺とルイだけ研究室の人に特別に教えてもらったんだぜ? いいだろ?」
「う~ん、いいかどうかは置いてといて、まさかの知識で助かったってわけね」
「おいおい、置いとくんじゃねぇよ新崎さん!」
あれこれしていると、時刻はPM21:52。
武器の交換をしてみたりしたが、やっぱりダメだった。
この質感や重量は何回触っても本物。
これが未だに理解できない。
どういう仕組みなんだ?
考えながら、俺は"ある事"を思い出した。
「なぁ、そういや総理って"夜も会見する"って言ってたよな?」
「言ってたわね。もしかしてそろそろ始まる?」
「さぁな~時間は特に言ってなかったし、"会える人は会いましょう"とか訳わかんねぇ事言ってたけどよぉ...つまりはあれか? "あの人型のアンドロイドに殺されなかったヤツは見れますよ"、的な?」
「...今回の事からして、それしかないだろうな」
「こんな特別感出して、誰が喜ぶのよ」
「"国の借金が返せる可能性がある"だの何だの意味不明な事言ったかと思えば、急に真逆な100万配り出してよぉ。国民を喜ばせるだけ喜ばせといて、その隙に一気に落とす寸法ってか。犯罪国家日本だなマジで」
「政府はこんな事して何の得があるの? 国会議員は誰も反対してないのかしら?」
シンヤもユキも言ってる事は正論。
100万で一旦喜ばせといて、その間に殺して金を奪う...
今日の昼前に見たSNSの情報が頭をよぎった。
"―人間を殺してその分を取り上げるんじゃないか?"
その言葉の通りになりつつある。
やっぱり、あの時の違和感は...
次の瞬間、部屋の電気が消えた。
「ん? なんだぁ!?」
「停電? ルイ、電気切って無いよね?」
「俺じゃない。停電だ、これは」
暗い静寂の中、イスから立ち上がろうとしたら近くで小さい電子音がした。
それは俺の部屋の自動ドアの前で止まった。
停電のため、自動ドアは普通のドアに切り替えられている。
電子音が鳴るモノはそのドアを開け、躊躇なく入って来た。
「うぉ!?」
「なに!?」
『ルイ様。ブレーカーが落ちていないにも関わらず、"どの場所も"電気が付きません。緊急事態のため、電力会社へご報告をしておきました』
「ありがとう。この辺りを照らしてくれないか」
『分かりました』
「Piitaかよ、ビックリさせんなよな~」
「ほんとよ...」
『ビックリさせてしまい、申し訳ありません』
Piitaは"家庭用AIロボット"だ。
これは2か月前くらいから販売開始され、今では小売価格に抑えられてとんでもなく人気がある。
出た当初に買っちまった俺はめっちゃ損したわけだが、そう思わせないくらい多機能を有している。
料理や洗濯等も出来るが、料理はたまに自分でするようにしている。
特にユキといる時は、どっちがAIより美味いもの作れるかで競っていたりする。
「おい!! SNS見てみろよ!! ここだけじゃねえ!! 東京だけが全部停電らしいぞ!?」
「は!? 東京だけ!?」
即座にL.S.で見ると、
「ブレーカー付いてて電気付かないの草」「電力会社連絡しても繋がらないんだけど」「AI総理は経済政策よりこれを先に何とかしろよ」
情報が散乱してはいるが、画像を見る限りは東京だけが停電のように見える。
これ以上は今は分かりそうにない。
てか"東京だけ"ってなんだ?
わずかな明かりを頼りに窓から外を見てみると、どこも同様に暗闇だった。
ただ例外なのが、"赤い発令の場所だけ"は赤く光り続けていた。
「あそこだけは、"例外"ってか」
「...光り続けてるわね」
隣のユキが手を握ってきた。
少しの震えを感じる。
ユキだけでも、もう怖い思いをさせないようにしないと。
不気味なスカイツリーを見続けていると、L.S.のホログラムディスプレイが幾つか勝手に展開された。
『皆様、こんばんは』
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
転生したら猫でした。
わんコロ餅
ファンタジー
世界最強のラスボスである魔王が勇者に敗れ、目を覚すとそこは知らない世界が・・・・!
何故か猫の姿となった元魔王。
前途多難(?)な戦いがはじまる。
※内容的に大丈夫と判断したので、R15を外しました。ご迷惑をお掛けします。2021.08.14
前世で処刑された聖女、今は黒薬師と呼ばれています
矢野りと
恋愛
旧題:前世で処刑された聖女はひっそりと生きていくと決めました〜今世では黒き薬師と呼ばれています〜
――『偽聖女を処刑しろっ!』
民衆がそう叫ぶなか、私の目の前で大切な人達の命が奪われていく。必死で神に祈ったけれど奇跡は起きなかった。……聖女ではない私は無力だった。
何がいけなかったのだろうか。ただ困っている人達を救いたい一心だっただけなのに……。
人々の歓声に包まれながら私は処刑された。
そして、私は前世の記憶を持ったまま、親の顔も知らない孤児として生まれ変わった。周囲から見れば恵まれているとは言い難いその境遇に私はほっとした。大切なものを持つことがなによりも怖かったから。
――持たなければ、失うこともない。
だから森の奥深くでひっそりと暮らしていたのに、ある日二人の騎士が訪ねてきて……。
『黒き薬師と呼ばれている薬師はあなたでしょうか?』
基本はほのぼのですが、シリアスと切なさありのお話です。
※この作品の設定は架空のものです。
※一話目だけ残酷な描写がありますので苦手な方はご自衛くださいませ。
※感想欄のネタバレ配慮はありません(._.)
最強の回復魔法で、レベルアップ無双! 異常な速度でレベルアップで自由に冒険者をして、勇者よりも強くなります
おーちゃん
ファンタジー
俺は勇者パーティーに加入していて、勇者サリオス、大魔導士ジェンティル、剣士ムジカの3人パーティーの雑用係。雑用係で頑張る毎日であったものの、ある日勇者サリオスから殺されそうになる。俺を殺すのかよ!! もう役に立たないので、追放する気だったらしい。ダンジョンで殺される時に運良く命は助かる。ヒール魔法だけで冒険者として成り上がっていく。勇者サリオスに命を狙われつつも、生き延びていき、やがて俺のレベルは異常な速度で上がり、成長する。猫人、エルフ、ドワーフ族の女の子たちを仲間にしていきます。
人生とは九割がたの虚偽と一割のホントから生成されている。
すずりはさくらの本棚
現代文学
「私が述べたのは、九割がたの虚偽と一割のホントだ。」
この言葉を聞いたとき、彼は薄く笑ってブラックコーヒーをすすった。その目はどこか遠く、私には見えない何かを見つめているようだった。カフェの窓際に座る彼の背中は、夕陽に染まっている。影が伸びるたびに、その姿は虚構と現実の境界を曖昧にしていった。
「ブラックコーヒーがおいしいとはホントだが、残りはすべて虚偽である。」彼はそう続けた。
その瞬間、私は理解した。この男は、自分の言葉を完璧に信じているわけではないのだ。何かを隠している。嘘をつくことに慣れきった者だけが持つ、その特有の余裕。だが、その一言の真実が妙に重く響く。彼が嘘をつく理由は、恐らく何かを守るためだろう。
「例えば?」と私は問いかけた。虚偽の部分に興味が湧いたのだ。
「例えば、君に話した私の過去。家族のこと、友人のこと、仕事のこと。すべて作り話だ。」彼は軽い調子で語ったが、その声の奥には微かな寂しさが漂っていた。
「じゃあ、ホントの部分は?」私はその問いを投げかけた。彼の言う「ホント」が一体何であるのか、その一割にどれだけの重みがあるのか知りたかった。
彼はしばらく沈黙し、ゆっくりとカップをテーブルに戻した。そして、小さな笑みを浮かべながら言った。「君にこうして会っていること、それがホントだ。」
その瞬間、彼の目に一瞬の光が宿った。その一割のホントが、九割の虚偽を超える瞬間だったのだ。嘘に囲まれた人生でも、一瞬の真実があるだけで十分だと彼は信じているのだろう。たった一杯のブラックコーヒーが、その証拠となる。
人生は虚偽とホントで成り立っている。九割がたの虚偽が私たちを覆い隠し、一割のホントが私たちを支えている。それでも、その一割のホントが、すべての虚偽を帳消しにするのだと、私は彼の言葉から感じ取った。
彼の物語は、ここで終わるべきか、それともまだ続くのか。私にはわからない。だが、ひとつだけ確かなのは、彼が私に伝えたかったホントの部分――それが、私の胸の中に深く刻まれたということだ。
追い出された妹の幸せ
瀬織董李
恋愛
『聖女の再来』といわれる姉の影で虐げられてきた妹のエルヴィ。
少しでも家の為にとポーション作りに励んできたが、ある時ついに父から『姉が結婚するで出ていけ』と言われてしまう。
追い出された妹の幸せは何処にあるのか。
7/26 姉のスキルに関する記述を変更しました。ストーリーに変化はありません。
所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!
ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。
幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。
婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。
王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。
しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。
貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。
遠回しに二人を注意するも‥
「所詮あなたは他人だもの!」
「部外者がしゃしゃりでるな!」
十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。
「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」
関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが…
一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。
なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…
自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!
ゆずこしょう
恋愛
ティアナ・ノヴァ(15)には1人の変わった友人がいる。
ニーナ・ルルー同じ年で小さい頃からわたしの後ろばかり追ってくる、少しめんどくさい赤毛の少女だ。
そしていつも去り際に一言。
「私はヒロインなの!あなたはモブよ!」
ティアナは思う。
別に物語じゃないのだし、モブでいいのではないだろうか…
そんな一言を言われるのにも飽きてきたので私は学院生活の3年間ニーナから隠れ切ることに決めた。
よくある婚約破棄なので
おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。
その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。
言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。
「よくある婚約破棄なので」
・すれ違う二人をめぐる短い話
・前編は各自の証言になります
・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド
・全25話完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる