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2019年 04月19日
しおりを挟む「シャコタンブギ」と「湾岸ミッドナイト」のどちらかを選べという難問を突きつけられたらと想像するだけで身震いが起きて落ち着きがなくなってしまいます。
皆さんにとって楠みちはるセンセイといったらどちらなんでしょうか。
知名度もあるし、やっぱり「湾岸ミッドナイト」でしょうか。
それとも古きよき不良たちによる青春グラフィティ的な雰囲気が堪らない「シャコタン☆ブギ」でしょうか。
まぁいずれにしろ、どちらも「車」がメインで取り扱われている作品であるにも関わらず、そういうのに全然興味がない人でも楽しめる名作なことだけは間違いありません。
特に「湾岸ミッドナイト」はシャコタンブギとちがって一切コメディー色がなく、ストイックなほどに車のことしか出てきません。
申し訳程度に人間ドラマ的なものはありますが、基本的には9割方「車のうんちくと違法暴走描写」だけで成立しているマンガです。
だから本来、自分のような車なんて全然興味も無いしスピード出したいなんてこれっぽっちも思わない人間が面白く感じるのは難しいはずなんです。
早く「自動運転」が開発されて煩わしい運転から解放されることを心底から願っているような走り屋的感性皆無のヤカラが、公道を300キロで違法レースするなんてイカれてるとしか言いようが無い話を受け入れて楽しめるはずがないんです。
にも関わらず、ふと気付けばこの作品を読み込んでしまう、思わず心躍らせてしまっているその理由。
それはひとえに「その道を極めた者たちだけが共有する空気、その雰囲気」がどうしようもなく魅力的で惹き付けられてしまうからなんだと思います。
“言葉などいらない、言わなくてもすべてわかる 走っている以上仲間であり戦うべき相手”
馴れ合いなどとは全く無縁の倒すべき「敵」どうしでありながら、それゆえにこそ分かり合える掛け替えのない関係。
走り屋とチューナーが、互いに互いを認め合ってそれぞれの持ちうるものを全力で発揮して只管「走り」を追及していくその姿。
こういう「わかってるヤツらだけが持てる雰囲気」みたいなノリ、玄人どうしの共感とか暗黙の理解とか通じ合いとか、そういうのが妙にカッコよく見えちゃう。
専門用語がずらずら続く、まるでちんぷんかんぷんの話が延々と続いて、後はひたすら車が走ってる場面だけの作品なのにたまらなく面白く感じちゃう。
あまりにも影響されすぎたせいか、一時期はエロスなビデオを見ているとき湾岸ミッドナイト風のセリフナレーションが聞こえてくるようになりました。
“ロータ(リ)ーは何処までも回るけど意味のない高回転はただの負担だ”
“コイツは女優を舐めていない、そして過信していない。対等でいようとしている”
“速さやパワー感に翻弄されれば脆くも崩れ去る、それがファックだ”
“乗れている……。今、完全にワガママボディをコントロール下におけている”
時に「上手い」と唸らされたとき、あるいは「チガウチガウソウジャナイ」とやきもきさせられたときに。
エッチという世界で如何に人体の可能性を追求できるか、その極限の世界に生きている者たちに否応もなく感じてしまうもの。
彼らのプレイの一つ一つに思わず心を揺さぶられて、浮かび上がってくる言葉の数々。
「湾岸ミッドナイト」に見出したものが確かにそこにはありました。
車や走り屋などという世界とは一切無縁で共通するところなどまるでないような、心情的には何億光年もかけ離れたような完全なる異世界で、まったく別の領域で確かに同じものを感じ持ちえたのです。
“なつかしいような・・。だけどはじめて感じるこのフィール”
女の子も車も「上手く乗る」ことだけが共通しているわけじゃあ、ありません。
きっと、もっと深い本質的な部分、核となる場所で通じるものがあるのだぁと、久々引っ張り出して読んだ余韻で独り頑なに思い込むのでした。
※時間が有り余って仕方がない絶対的ヒマ人がいたら、各セリフは単行本のどこからもってきたのか探してみよう!
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