92 / 221
2018年 04月07日
しおりを挟むなにやら「リアリティの有無」が創作物の問題として議論されることがよくあるようですが。
万が一、エロ分野にもこの争いの火の粉が飛び、「デフォルメエロ」派と「リアルエロ派」の間で不毛な争いが起こるのは嘆かわしい限りであるので。
現代のトマス・アクィナスこと、かめのこ大センセイが重い腰を上げてひとつこの神学論争を喝破してくれようと思います。
エロ漫画やエロ小説など二次元エロの世界において、そのエロ描写の方向性は「デフォルメ派」と「リアル派」に大別できることはトイレの使い方以前の常識なので特に説明の必要はないでしょう。
まぁ、くどいと思われちゃうかもしれないけど一応言っておくと。
前者は「想像上の女性像を突き詰める」タイプで、後者は「現実の女性に立脚したエロを求める」タイプです。
具体的にはみさくらなんこつセンセイや退魔忍などは前者、山本直樹センセイや団鬼六センセイを初めとするフランス書院系の大半は後者だと言えばなんとなくイメージがつくでしょうか。
想像上の女性像を突き詰めるタイプは、実際の女性の性的機能や生物的な構造に縛られることなく想像に想像を重ねた、言うなれば男達が築きあげてきた二次元エロ文化の上だけに立脚する偶像そのものを突き詰めていきます。
自然、その描き方は想像力の赴くままに自由な発想で極限までデフォルメされており、現実にはありえないような身体反応や快感、精神的挙動が描かれます。
現代の錬金術師たちが思い描いた、「こうだったらいいな」をひたすら積み重ねていったイデアの積層。
イメージの連鎖が生み出していった、純粋にイマジナリィな女性像と言えるかもしれません。
「ふぎゅううううぅぅぅぅぅ、お●●●みるくおいしいのぉぉほぉぉぉぉぅ」とか「ケ●穴●●コ、●ツ穴ま●●でイクーーーーっ!!」などの淫語や快感千倍で白目アヘ顔を晒して失神しながらイキ続ける描写などは、元からある程度の二次元特有のエロ表現に慣れ親しんでいなければ、中々エロいという認識をするのは難しいと思います。
現代までに築かれたマンガやアニメ、小説媒体などの表現技法に慣れ親しんで、そういった描写なのだと読み解くコードを受け手が持っている必要があり。
文化的な積み重ねのうえに成立している概念であり表現方法なので、素養がないと正しい理解ができないんです。
明文化されない暗黙知とか共通認識に支えられた、高度な感性なのは間違いありません。(その方向性はおいといて)
対して現実の女性に立脚したエロを求めるタイプは、たとえシチュエーションやキャラクター、行為そのものが現実にはありえないようなフィクションであったとしても、女性の性反応に始まる一連の身体的精神的反応自体は現実に即したもの、誇張や強調することがあってもあくまでも実際の生物的機能の延長上の表現に留まります。
例えば女性が快感に溺れるような描写があっても、必要以上の淫語はでませんし、我を忘れて発情し続けるとかもないです。
いいとこ、行為の最中に没頭しても終わってから我に帰るとか、自分の状況を客観的に自覚するだけの理性は残してたり。
むしろ自己を保ってるが故の葛藤とか苦悩とかが齎すエロス、余韻とか風情とか精神的な描写が重要になってきて、そこを怠るとすごく淡白になっちゃうんだと思います。
どちらにもそれぞれの良さがあって、その方向性によって「効果的な手法」とかが全く違うのは間違いありません。
デフォルメエロで余韻とか風情とか精神的葛藤とか野暮でしょうし。
リアルエロで世界観ぶち壊しの淫語とかイキ描写とかやったら台無しでしょうし。
(たまに奇跡的に両立させてるヤツとかあるみたいですけど)
それぞれ同じエロ分野だと一言で言いがたいほどに全く異なる趣であり、嗜好する層も全然違ってくるんだと思います。
かつての遊人センセイのエロマンガはあだち充やまつもと泉を意識した実に「マンガ的」な絵柄のとっても可愛いキャラで、かつ性描写が過激だったので当時はとてもお世話になったのですが、何故かいまいち淡白な印象があったのを思い出しました。
今振り返ってみると、あくまでも性行為自体は「リアルエロ」の方向性であるにも関わらず全体の雰囲気はポップな感じなのが原因だったような気がします。
元々劇画系の絵柄と作風だったのを路線変更した結果、可愛いキャラによる生々しく過激な性描写だけどどこか淡白という独自の境地を切り開かれたのかなぁ。。。
久々に「Angel」を読み返したくなりました。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
アニラジロデオ ~夜中に声優ラジオなんて聴いてないでさっさと寝な!
坪庭 芝特訓
恋愛
女子高生の零児(れいじ 黒髪アーモンドアイの方)と響季(ひびき 茶髪眼鏡の方)は、深夜の声優ラジオ界隈で暗躍するネタ職人。
零児は「ネタコーナーさえあればどんなラジオ番組にも現れ、オモシロネタを放り込む」、響季は「ノベルティグッズさえ貰えればどんなラジオ番組にもメールを送る」というスタンスでそれぞれネタを送ってきた。
接点のなかった二人だが、ある日零児が献結 (※10代の子限定の献血)ルームでラジオ番組のノベルティグッズを手にしているところを響季が見つける。
零児が同じネタ職人ではないかと勘付いた響季は、献結ルームの職員さん、看護師さん達の力も借り、なんとかしてその証拠を掴みたい、彼女のラジオネームを知りたいと奔走する。
ここから第四部その2⇒いつしか響季のことを本気で好きになっていた零児は、その熱に浮かされ彼女の核とも言える面白さを失いつつあった。
それに気付き、零児の元から走り去った響季。
そして突如舞い込む百合営業声優の入籍話と、みんな大好きプリント自習。
プリントを5分でやっつけた響季は零児とのことを柿内君に相談するが、いつしか話は今や親友となった二人の出会いと柿内君の過去のこと、更に零児と響季の実験の日々の話へと続く。
一学年上の生徒相手に、お笑い営業をしていた少女。
夜の街で、大人相手に育った少年。
危うい少女達の告白百人組手、からのKissing図書館デート。
その少女達は今や心が離れていた。
ってそんな話どうでもいいから彼女達の仲を修復する解決策を!
そうだVogue対決だ!
勝った方には当選したけど全く行く気のしない献結啓蒙ライブのチケットをプレゼント!
ひゃだ!それってとってもいいアイデア!
そんな感じでギャルパイセンと先生達を巻き込み、ハイスクールがダンスフロアに。
R15指定ですが、高濃度百合分補給のためにたまにそういうのが出るよというレベル、かつ欠番扱いです。
読み飛ばしてもらっても大丈夫です。
検索用キーワード
百合ん百合ん女子高生/よくわかる献血/ハガキ職人講座/ラジオと献血/百合声優の結婚報告/プリント自習/処世術としてのオネエキャラ/告白タイム/ギャルゲー収録直後の声優コメント/雑誌じゃない方のVOGUE/若者の缶コーヒー離れ
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
文章練習ノート
クロレキシー
エッセイ・ノンフィクション
文章を練習する事を目的とした詩や描写など。他サイトで掲載した過去の掌編など。
詩やその他のジャンルが見当たらないので、エッセイにて登録いたしました。
厳しいご指摘も含めて、感想おまちしています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
仄暗こぼれ話~日本神話・妖怪伝説・民話など~日本霊異記から遠野物語くらいの時代間で~
霞花怜
エッセイ・ノンフィクション
連載中の『仄暗い灯が迷子の二人を包むまで』に登場する神様や民話や逸話について、好き勝手に解説しています。作者の個人的な感想など多く含みますので、参考にはしないでください。面白おかしく読んで「そんなんだな~」と思う程度でお願いします。一話完結型なので、どの話から読んでも「へぇ」で終われると思います。不定期更新です。
本作はこちら↓
『仄暗い灯が迷子の二人を包むまで』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/20419239/463890795
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる