エロスな徒然

かめのこたろう

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2018年 04月07日

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 なにやら「リアリティの有無」が創作物の問題として議論されることがよくあるようですが。
 万が一、エロ分野にもこの争いの火の粉が飛び、「デフォルメエロ」派と「リアルエロ派」の間で不毛な争いが起こるのは嘆かわしい限りであるので。
 現代のトマス・アクィナスこと、かめのこ大センセイが重い腰を上げてひとつこの神学論争を喝破してくれようと思います。 

 エロ漫画やエロ小説など二次元エロの世界において、そのエロ描写の方向性は「デフォルメ派」と「リアル派」に大別できることはトイレの使い方以前の常識なので特に説明の必要はないでしょう。
 まぁ、くどいと思われちゃうかもしれないけど一応言っておくと。
 前者は「想像上の女性像を突き詰める」タイプで、後者は「現実の女性に立脚したエロを求める」タイプです。
 具体的にはみさくらなんこつセンセイや退魔忍などは前者、山本直樹センセイや団鬼六センセイを初めとするフランス書院系の大半は後者だと言えばなんとなくイメージがつくでしょうか。

 想像上の女性像を突き詰めるタイプは、実際の女性の性的機能や生物的な構造に縛られることなく想像に想像を重ねた、言うなれば男達が築きあげてきた二次元エロ文化の上だけに立脚する偶像そのものを突き詰めていきます。
 自然、その描き方は想像力の赴くままに自由な発想で極限までデフォルメされており、現実にはありえないような身体反応や快感、精神的挙動が描かれます。
 現代の錬金術師たちが思い描いた、「こうだったらいいな」をひたすら積み重ねていったイデアの積層。

 イメージの連鎖が生み出していった、純粋にイマジナリィな女性像と言えるかもしれません。

 「ふぎゅううううぅぅぅぅぅ、お●●●みるくおいしいのぉぉほぉぉぉぉぅ」とか「ケ●穴●●コ、●ツ穴ま●●でイクーーーーっ!!」などの淫語や快感千倍で白目アヘ顔を晒して失神しながらイキ続ける描写などは、元からある程度の二次元特有のエロ表現に慣れ親しんでいなければ、中々エロいという認識をするのは難しいと思います。
 現代までに築かれたマンガやアニメ、小説媒体などの表現技法に慣れ親しんで、そういった描写なのだと読み解くコードを受け手が持っている必要があり。
 文化的な積み重ねのうえに成立している概念であり表現方法なので、素養がないと正しい理解ができないんです。
 明文化されない暗黙知とか共通認識に支えられた、高度な感性なのは間違いありません。(その方向性はおいといて)

 対して現実の女性に立脚したエロを求めるタイプは、たとえシチュエーションやキャラクター、行為そのものが現実にはありえないようなフィクションであったとしても、女性の性反応に始まる一連の身体的精神的反応自体は現実に即したもの、誇張や強調することがあってもあくまでも実際の生物的機能の延長上の表現に留まります。
 例えば女性が快感に溺れるような描写があっても、必要以上の淫語はでませんし、我を忘れて発情し続けるとかもないです。
 いいとこ、行為の最中に没頭しても終わってから我に帰るとか、自分の状況を客観的に自覚するだけの理性は残してたり。
 むしろ自己を保ってるが故の葛藤とか苦悩とかが齎すエロス、余韻とか風情とか精神的な描写が重要になってきて、そこを怠るとすごく淡白になっちゃうんだと思います。


 どちらにもそれぞれの良さがあって、その方向性によって「効果的な手法」とかが全く違うのは間違いありません。
 デフォルメエロで余韻とか風情とか精神的葛藤とか野暮でしょうし。
 リアルエロで世界観ぶち壊しの淫語とかイキ描写とかやったら台無しでしょうし。
 (たまに奇跡的に両立させてるヤツとかあるみたいですけど)

 それぞれ同じエロ分野だと一言で言いがたいほどに全く異なる趣であり、嗜好する層も全然違ってくるんだと思います。


 かつての遊人センセイのエロマンガはあだち充やまつもと泉を意識した実に「マンガ的」な絵柄のとっても可愛いキャラで、かつ性描写が過激だったので当時はとてもお世話になったのですが、何故かいまいち淡白な印象があったのを思い出しました。
 今振り返ってみると、あくまでも性行為自体は「リアルエロ」の方向性であるにも関わらず全体の雰囲気はポップな感じなのが原因だったような気がします。

 元々劇画系の絵柄と作風だったのを路線変更した結果、可愛いキャラによる生々しく過激な性描写だけどどこか淡白という独自の境地を切り開かれたのかなぁ。。。


 久々に「Angel」を読み返したくなりました。
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