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「痛かった?」


 私はまた彼の股間に手を伸ばし、労わるように撫でまわします。
 一瞬ビクッと緊張するも、無抵抗でされるがままになる彼。


「い、痛かったです……」

「じゃあなんで……、おちんちん勃ったままなの?」


 私はまたおちんちんと口にしました。
 そうせずにはいられませんでした。


「わ、わかりま……せん……、わかんないですぅ……」


 隠さずにはいられないのでしょう、居たたまれないように自分の顔を両手で覆いながら云います。
 悲鳴のような弱弱しく情けない声でした。
 私は世の中にこれほど無様で醜く、唾棄すべき存在があるんだろうかと思いました。


「そう……。わからないなら、わかるまでやるしかないかもね……」


 私は恥じ入るように両手で顔を覆いながら寝そべる彼の、ジャージのズボンに手をかけました。
 ピクリと身じろぎをしたようですが、びっくりするくらい抵抗がありません。
 そのまま一気に降ろすと、ビヨンっという感じでとうとう彼の性器がむき出しに。

 一瞬むわっと、中に籠っていた熱気と生々しい臭いに襲われます。
 否応なく湧いてくる嫌悪感、不潔なイメージの気味悪さに慄きながらも、丸出しになった彼のものをしっかり確認します。

 コーチのものより一回り小さいけれど、それだけの印象のものでした。
 特に気になるところや、何か固有の特徴らしいものもない、ごくごく普通のおちんちんだと思います。
 と言っても、私の知見などといえば恋人であるコーチのものと保健体育や雑誌のエッチ特集などから得た程度のものでしかありませんが。

 緩いカーブを描いて反り返る棒状になっているところが、心無し赤くなっている気がするのは私の打擲のせいでしょうか。
 先端はテラテラと照り光っています。
 恐らくおしっこや精液とも違う、分泌液の類かと思いました。
 男性は興奮して勃起すると、そういったものがにじみ出ることくらいは知っていました。
 つまりはそれもまた、彼がはっきりと性的に興奮して欲情していた証拠の一つでしかないわけですが。
 もはや必要ないのに次から次に出てくる罪の証の数々にうんざりしてくるようです。
 

「はぁーーーーっ……」


 っと、クソデカ溜息。
 私は心底呆れた気持ちを隠すことなく、これでもかと思いっきり放ちました。
 顔を自分の手で覆い隠したまま動かなくなり、一言も発さなくなった彼をビクッと反応させる威力はあったようです。


「これはなに?」


「……」


 冷え切った声で聴いてみます。
 でも彼はもう置物になったみたいに硬直したまま、何も答えません。
 僅かにも動きません。
 存在そのものを消し去るかのような、静止と沈黙。
 
 その卑怯な振る舞いにまたもやイラっとさせられます。


「ほんっと、信じらんない……。私怒ってるんだよ?」


「……」


「これが叱られてるヒトの態度? こっちを無視して。おちんちんおっきくして。」


「っ……」


 もはや情状酌量の余地はないと確信しました。
 迷うことなく、私は更なる苦痛を与えるために動き始めます。

 彼の堕落と背信の象徴、天井に向かってびくんびくんと脈打ちながらおったてているものをさらに痛めつけてやろうと固く決心します。

 でも直接触るなんて嫌でした。
 こんな醜い生き物の性器がそのまま肌に触れるなんて、考えただけでもゾッとするようです。

 だから床に落ちた水着を拾って、かぶせようと思いました。
 どうせ彼もこれが大好きなんだろうから、せいぜい利用することにいたします。


「こういう汚らしいものはやっぱり隠した方がいいかもね……」


「っ!!」


 びくんっという反応。
 私はわざわざ股のところが彼の先端に当たるようにしてすぅっと包み込みました。
 女子用競泳水着に包まれた、がっちがちに興奮状態のおちんちんの出来上がりです。

 競技用で布帛製の水着はクロッチと言われる当て布がありません。
 だからアソコの部分もつるつるスベスベで、とても薄く、彼の性器の形がそのままくっきりと浮かび上がりました。
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