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第二章 パジャリブ動乱
第二十八話:七面鳥を撃て
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俺とニャーラは、生きて再会することを約束し、ヤリ部屋を出た。
俺は階段を登り、ニャーラは聖堂へ。
神殿の面倒なところは、階段をひたすら登れば四階まで行けるわけではない、ということだ。
階段は一階ごとに途切れている。
地下一階から一階までの階段はそこで終わり、離れたところに二階への階段がある。
そこから三階への階段も離れている。
宗教上の理由か、それとも要塞としての目的のためか。どちらにしても、やっかいだ。
二階に行き、廊下を突っ切って二回曲がり、階段へ。道は地図を頭に叩き込んでいるから、初めてきた場所なのに手に取るようにわかる。
三階に上がる。
息が切れてきた。
二階分の階段と直線をダッシュしてきたのだ。
疲れないはずがない。
しかし、休んではいられない。
三階には、ぶらぶらしている敵がいたからだ。
そいつらは全部で四人。
廊下の長イスに座り、酒を飲んでいた。
「あっ!」
一人が俺に気づき、大声をあげた。
全員が武器を取る。
剣や斧などの接近戦用の武器だ。
慌てるな。どうってことない相手だ。
俺は立ち止まり、大きく深呼吸。
息を整え、脇を締め両手で銃を構え、引き金を引いた。
パァン。
パァン。
パァン。
パァン。
小気味いい音が四つ立て続けになり、四人の腹か胸を撃ち抜いた。
距離が近かったとはいえ、一発も外さなかった。
やるじゃないか、俺。
再び走り出し、階段を目指す。
だが、簡単にはいかない。
銃声のせいで、敵が集まってきた。
なんだなんだと騒ぎながら、そこらの部屋で休んでいた連中が出てきたのだ。
武器を持っている奴も、持っていない奴もいた。
丸腰だからといって、放置していいわけではない。
こちらは一人。組み付かれたらほぼ終わりだから、丸腰だろうが子供だろうが関係ない。
片っ端から殺していく。
パァン、パァン……。
おもしろいように当たる。
まったく外す気がしない。
まるで七面鳥を撃っているかのようだ。
三階の敵を素早く始末してから、四階へ。
階段の途中では、五人の敵が俺を待ち伏せていた。
やっかいなことに、連中はボーガンを持っていた。
俺が近づくと、一斉に射ってきた。
横っ飛びになって避けると、寝た状態で引き金を引く。
二人を殺したが、それ以上は殺せなかった。
弾切れだ。
起き上がりながら空のマガジンを抜き、替えのマガジンを装填。
その隙に、敵が襲ってくる。
ボーガンから斧に持ち替え、力任せに振り下ろしてくる。
すんでのところで避けながら、股間を蹴り上げる。
背後からきた奴を後ろ蹴りで蹴り飛ばす。
接近戦を怖がり、離れたところでビクビクしながらボーガンの矢を装填しようとしている残りの一人の頭にパァン!
倒れている二人にも鉛玉のプレゼントをくれてやり、階段を突破した。
階段の上の敵の数は、三階より少なかった。
階段が山場だったか?
四階の地図も頭に入ってる。
大司祭が囚われているのは執務室だったが、それは一箇所ではない。本来、大司祭は三人いて、それぞれの執務室を持っているからだ。
生き残ってるはずのラクン師の部屋はどこだ!?
「どこだ! どこにいる! 声を出せ!」
さるぐつわをされてるんでなければ、声を出せるはずだ。
反応を期待し、呼びかけながら四階を走る。
「どこだ!」
「ここだ!」
聞き覚えのある声がして、一瞬気を取られた。
次の瞬間――
「ぐぅっ……」
右腕に鋭い痛みが走る。
ボーガンだ。
ボーガンで射たれた。
矢が、二の腕に刺さってる。
突然の痛みに、銃を落としてしまった。
拾おうと手を伸ばし、嫌な予感がして横に飛んだ。
その次の瞬間、俺がいた場所に矢が飛んできた。
「勘がいいな」
俺を射った奴が、嘲笑を含んだ声でそう言った。
そいつの名は……。
「ロスタビリ!」
「また会ったな。会いたかったよ、お前に」
「気が合うな。俺もだ」
「オレたちには奇妙な縁がある。会うのはこれで三度目だが、そのたびに殺し合いをしている」
「それもこれで終わりだ。ここでお前が死ぬからな」
「オレも死ぬが、お前も死ぬ」
「俺の手榴弾を勝手に使ってくれたそうだな。あれで何人殺した?」
「さぁな。最後に残った一発でお前を殺してやってもよかったんだが、やめておいた。すぐに殺したくはないんでな」
「どう殺すつもりだ?」
「手足に矢を射ち込んで、動けなくてしてから腹をかっ捌くってのはどうだ?」
「そんなに優しい男とは知らなかった」
ロスタビリの左手には、ボーガンが矢が装填された状態のボーガンが四つもある。
あれをすべて外して、銃を拾って撃ち……いや、殴り殺してやる。
奴が手榴弾を使わない限り、俺も銃を使うもんか。
本当ならロスタビリを無視してでも大司祭を確保しなきゃいけないんだろうけど……悪いな。
宿敵との決着が最優先だ。
俺は階段を登り、ニャーラは聖堂へ。
神殿の面倒なところは、階段をひたすら登れば四階まで行けるわけではない、ということだ。
階段は一階ごとに途切れている。
地下一階から一階までの階段はそこで終わり、離れたところに二階への階段がある。
そこから三階への階段も離れている。
宗教上の理由か、それとも要塞としての目的のためか。どちらにしても、やっかいだ。
二階に行き、廊下を突っ切って二回曲がり、階段へ。道は地図を頭に叩き込んでいるから、初めてきた場所なのに手に取るようにわかる。
三階に上がる。
息が切れてきた。
二階分の階段と直線をダッシュしてきたのだ。
疲れないはずがない。
しかし、休んではいられない。
三階には、ぶらぶらしている敵がいたからだ。
そいつらは全部で四人。
廊下の長イスに座り、酒を飲んでいた。
「あっ!」
一人が俺に気づき、大声をあげた。
全員が武器を取る。
剣や斧などの接近戦用の武器だ。
慌てるな。どうってことない相手だ。
俺は立ち止まり、大きく深呼吸。
息を整え、脇を締め両手で銃を構え、引き金を引いた。
パァン。
パァン。
パァン。
パァン。
小気味いい音が四つ立て続けになり、四人の腹か胸を撃ち抜いた。
距離が近かったとはいえ、一発も外さなかった。
やるじゃないか、俺。
再び走り出し、階段を目指す。
だが、簡単にはいかない。
銃声のせいで、敵が集まってきた。
なんだなんだと騒ぎながら、そこらの部屋で休んでいた連中が出てきたのだ。
武器を持っている奴も、持っていない奴もいた。
丸腰だからといって、放置していいわけではない。
こちらは一人。組み付かれたらほぼ終わりだから、丸腰だろうが子供だろうが関係ない。
片っ端から殺していく。
パァン、パァン……。
おもしろいように当たる。
まったく外す気がしない。
まるで七面鳥を撃っているかのようだ。
三階の敵を素早く始末してから、四階へ。
階段の途中では、五人の敵が俺を待ち伏せていた。
やっかいなことに、連中はボーガンを持っていた。
俺が近づくと、一斉に射ってきた。
横っ飛びになって避けると、寝た状態で引き金を引く。
二人を殺したが、それ以上は殺せなかった。
弾切れだ。
起き上がりながら空のマガジンを抜き、替えのマガジンを装填。
その隙に、敵が襲ってくる。
ボーガンから斧に持ち替え、力任せに振り下ろしてくる。
すんでのところで避けながら、股間を蹴り上げる。
背後からきた奴を後ろ蹴りで蹴り飛ばす。
接近戦を怖がり、離れたところでビクビクしながらボーガンの矢を装填しようとしている残りの一人の頭にパァン!
倒れている二人にも鉛玉のプレゼントをくれてやり、階段を突破した。
階段の上の敵の数は、三階より少なかった。
階段が山場だったか?
四階の地図も頭に入ってる。
大司祭が囚われているのは執務室だったが、それは一箇所ではない。本来、大司祭は三人いて、それぞれの執務室を持っているからだ。
生き残ってるはずのラクン師の部屋はどこだ!?
「どこだ! どこにいる! 声を出せ!」
さるぐつわをされてるんでなければ、声を出せるはずだ。
反応を期待し、呼びかけながら四階を走る。
「どこだ!」
「ここだ!」
聞き覚えのある声がして、一瞬気を取られた。
次の瞬間――
「ぐぅっ……」
右腕に鋭い痛みが走る。
ボーガンだ。
ボーガンで射たれた。
矢が、二の腕に刺さってる。
突然の痛みに、銃を落としてしまった。
拾おうと手を伸ばし、嫌な予感がして横に飛んだ。
その次の瞬間、俺がいた場所に矢が飛んできた。
「勘がいいな」
俺を射った奴が、嘲笑を含んだ声でそう言った。
そいつの名は……。
「ロスタビリ!」
「また会ったな。会いたかったよ、お前に」
「気が合うな。俺もだ」
「オレたちには奇妙な縁がある。会うのはこれで三度目だが、そのたびに殺し合いをしている」
「それもこれで終わりだ。ここでお前が死ぬからな」
「オレも死ぬが、お前も死ぬ」
「俺の手榴弾を勝手に使ってくれたそうだな。あれで何人殺した?」
「さぁな。最後に残った一発でお前を殺してやってもよかったんだが、やめておいた。すぐに殺したくはないんでな」
「どう殺すつもりだ?」
「手足に矢を射ち込んで、動けなくてしてから腹をかっ捌くってのはどうだ?」
「そんなに優しい男とは知らなかった」
ロスタビリの左手には、ボーガンが矢が装填された状態のボーガンが四つもある。
あれをすべて外して、銃を拾って撃ち……いや、殴り殺してやる。
奴が手榴弾を使わない限り、俺も銃を使うもんか。
本当ならロスタビリを無視してでも大司祭を確保しなきゃいけないんだろうけど……悪いな。
宿敵との決着が最優先だ。
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