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ダイナの目的(アルダタ視点)

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「子供の頃から、分からないことの多すぎるこの世界が、恐ろしかった。

なぜ地面は固く、なぜ空は、手が届かないほど高いのか。
暗くなったり、明るくなったりする意味は。
蠢いている虫と、そうでない石ころは何が違うのか。
人間と別の生物を、分けているものはなんなのか。

自分は得体の知れない世界に何も教えられず放り出された、赤子のようだと思った。

そして周りの者に聞いても、それは変わらなかった。

納得のいく答え、全てを知っている者は誰一人いない。

誰もが皆、赤子のまま、分からないことをあやふやにしたまま生きている。

そういった身近な現象から始まって、私の違和感は抽象的な方にも広がった。

そもそも私たちは、なぜ生きているのだろう。何を目指して生きていけばよいのか。

そんな具合に。

私たちが相手にしている未知……

我々を取り巻いているおよそ全てのもの、世界と呼ばれうるようなもの。

常に身近にあるというだけで疑問を抱かなくなってしまうが、改めて考えてみると、何一つ、その正体は掴めていない。

私は何も知らないまま生まれ、そして何も知らないまま生涯を終える。

その絶望が、私には重たい。

それに少しでも抵抗するため、私は今の取り組みを始めた。

肩を並べて、この未知に挑んでくれるような同志を増やすために。

私が死んだ後も、その抵抗が続いて、いつか身を結ぶことを想像した。

そうすると少しだけ、自分の恐怖や虚しさが、和らぐ気がしたのだ……」

気がつくと、ダイナさんの家の前まで来ていた。

動悸が激しくなっていた。

今聞いたばかりの話に。

ダイナさんが、そんなことを考えて教師をやっていたなんて。

学ぶことや物を教えることに、こんな形の動機があるなんて。

カオスな世界に抗うための知。

考えたこともない発想だった。

私は苦笑した。

手紙を出したばかりだというのに、もう次の手紙に書きつけたいことが出てきてしまうとは。

早く帰って、今聞いたことを紙の上で、自分の言葉で整理したい。

そしてマリルノ様に、読んでもらいたい。

「さぁ、入ってくれ」

ダイナさんに促され、彼の家の中に入った。

するとダイナさんは後ろで扉を閉めた。

「受け取るものというのは、一体どちらに……」

私は振り返り、そう尋ねようとした。

私の頭に、衝撃が走った。

「すまない……」

ダイナさんのその呟きを最後に、私の意識は闇に沈んだ。










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